公開日:2026-10-14
マンションは停電すると断水する?原因・対策と購入前の設備チェック

マンションは停電しても必ず断水するわけではなく、採用している給水方式によって停電時に起こり得る状況が異なります。
そのため、「停電でマンションの水道が止まる」可能性を考える際は、給水方式だけでなく、ポンプや受水槽・高置水槽の有無、非常用電源の対象設備や稼働時間まで確認することが大切です。
なお、国土交通省の資料では、2019年の東日本台風による内水氾濫で、高層マンションの地下の高圧受変電設備が冠水し、停電によってエレベーターや給水設備が使用できなくなった事例もあります。
そこで今回は、マンションの給水方式の違いや停電で断水が起こる原因と対策、中古マンション購入前に確認しておきたい設備や管理資料について解説します。
さらに、物件探しの段階からリノベーションの可能性を見極めるSHUKEN Re(シュウケン・アールイー)のワンストップサービスも参考にしてみてください。
- ・マンションは給水方式によって停電時の断水条件が異なり、ポンプや受水槽・高置水槽の有無などで、水道への影響が変わります。
- ・中古マンション購入前に、給水方式やポンプの位置、非常用電源の対象設備、稼働時間、管理資料などを確認しておきましょう。
- ・共用設備は専有部分の工事だけでは変えにくいため、物件探しの段階から設備やリノベーションの可否を確認しておくことが大切です。
目次
■マンションは停電すると断水すると言われる仕組み

マンションのフルリノベーション事例を見る:Case238「Full Order」
台風や地震などの影響でマンションが停電した際、断水が起こることがあります。
特に中古マンションでは、建物によって水を各住戸に供給する仕組みである「給水方式」が異なり、停電時の給水の可否や使用状況にも違いが生じます。
なぜ停電するとマンションで断水することがあるのか
マンションの水道は、すべてが配水管の水圧だけで各住戸まで水を届ける仕組みとは限りません。
例えば、増圧ポンプや給水ポンプなど、電気を使う設備で水を供給する方式を採用しているマンションでは、停電によって電力の供給が止まると、ポンプによる給水が停止したり、水圧が低下したりすることがあります。
また、停電以外でも地震などの衝撃によって水道管や給水設備が損傷した場合にも、断水することがあります。
給水方式によって停電時の断水リスクが変わる
マンションの主な給水方式は、本管の水圧を利用して各住戸へ直接給水する「直結給水方式」と、水道本管の水をいったん受水槽に貯めてから各住戸に送る「貯水槽水道方式」に分けられます。
直結給水方式は、配水管の水圧を利用する「直圧給水方式」と、増圧ポンプで圧力を加える「増圧給水方式」の2種類です。
なお、貯水槽水道方式には、受水槽の水を加圧給水ポンプで各住戸に直接送る「加圧給水式」と、受水槽の水を高置水槽に送り、重力を利用して各住戸に給水する「高置水槽式」があります。
| 給水方式 | マンションの特徴 | 給水の仕組みと停電時の断水リスク |
|---|---|---|
| 直結給水方式「直圧給水方式」 | 比較的低層のマンション(適用できる階数は、地域の水圧や水道局の基準などによって異なる) |
配水管の水圧を利用し、受水槽やポンプを介さず各住戸に直接給水する。 電気を使わないため、停電だけでは断水しにくい。 |
| 直結給水方式「増圧給水方式」 | 中低層~中高層のマンション(適用範囲は、水圧や建物の高さなどによって異なる) |
配水管の水圧に増圧ポンプで圧力を加えて、各住戸に直接給水する。 停電で増圧ポンプが停止すると、ポンプの圧力が必要な階では断水する可能性がある。 |
| 貯水槽水道方式「加圧給水式」 | 中高層のマンションなど、受水槽を設ける建物 |
受水槽に貯めた水を加圧給水ポンプで各住戸に送る。 停電でポンプが停止すると、通常は各住戸への給水も停止する。受水槽内に残っている水は、非常用給水栓などから取り出して利用できる場合がある。 |
| 貯水槽水道方式「高置水槽式」 | 中高層のマンションなど、従来型のマンションにも見られる |
受水槽の水をポンプで高置水槽に送り、そこから重力を利用して各住戸に給水する。 停電でポンプが停止しても、高置水槽に残っている水は、なくなるまで重力により利用できる。 |
※給水方式や設備によって、実際に停電した場合の影響や留意点は異なるため、上記は一般的な特徴・違いとして参考にしてみてください。
東京都水道局も、直結給水方式には貯留機能がない一方、受水槽方式では水槽内に残っている水を利用できる場合があるなど、それぞれで災害時の水の確保方法が異なると説明しています。
そのため、中古マンションの購入前には、単に「停電対策の有無」を確認するだけでなく、水が配水管から住戸の蛇口までどのような設備を経由して届くのかを聞いておくことで、停電した際のリスクや対策を具体的に想定しやすくなります。
〈出典〉東京都水道局「給水方式について(貯水槽水道方式と直結給水方式の違い)」
地下の電気設備が浸水すると停電と断水が起こることもある
また、停電と断水は、別々のトラブルとして起こるとは限りません。
国土交通省は、令和元年東日本台風による内水氾濫で、高層マンションの地下に設置された高圧受変電設備が冠水し、停電によってエレベーターや給水設備などのライフラインが一定期間使用できなくなった事例を公表しています。
この事例からも、マンションの防災設備を見る際は、非常用電源の有無だけでなく、どの設備に電源を供給できるのか、受変電設備や給水設備が建物のどこに設置されているのかなど、万が一浸水した場合はどの設備への影響が見込まれるのかまで確認しておくことが大切です。
〈出典〉国土交通省「建築物における電気設備の浸水対策のあり方に関する検討会」
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東京・千葉・神奈川エリアで約25年8,000件超の設計・施工実績があるSHUKEN Reでは、リノベーションに最適な物件探しはもちろん、選ぶべきではない物件の特徴や確認方法に関するご相談も受け付けています。
■中古マンションの防災設備の調べ方|購入前に確認したい4項目

中古マンションを選ぶ際は、現在の設備だけでなく、これまでの点検・修繕状況や今後の維持管理まで確認することが大切です。
実際、マンションごとに異なる給水方式や非常用電源の対象設備、電気設備の浸水対策など、内見だけでは分かりにくい情報も少なくありません。
そのため、中古マンションの購入前には、以下4項目を確認しながら、管理会社や仲介会社への聞き取り、総会議事録、修繕履歴、長期修繕計画などの資料も活用してみましょう。
中古マンションの購入前に確認したい4項目
- ・給水方式とポンプの位置
- ・非常用電源の対象設備と稼働時間
- ・地下・低層階の電気設備と浸水対策
- ・過去のトラブルと今後の修繕計画
①給水方式とポンプの位置を確認する
まず、管理会社や仲介会社には、以下の項目について詳しく確認しておきましょう。
管理会社・仲介会社に確認したいこと
- ・給水方式の種類
- ・ポンプや受水槽などの給水設備の設置場所
- ・停電によりポンプも停止する仕組みかどうか
- ・給水設備が非常用電源の対象かどうか
- ・停電時の給水対応
- ・水槽内の残水を利用できるか
特に、給水ポンプや増圧ポンプを使って給水している場合は、停電によって給水にどのような影響が出やすいかを、あらかじめ聞いておきましょう。
受水槽や高置水槽がある場合も、ポンプの種類や設置場所だけでなく、どの設備を経由して各住戸へ水を送っているのかを確認することが大切です。
なお、設備図面や管理資料で給水経路を見ておくと、停電時の給水への影響を具体的に想定するのに役立ちます。
②非常用電源で動かせる設備と稼働時間を確認する
例えば、非常用発電機が設置されているマンションでも、それだけでは停電時に給水設備を稼働できるかどうかは判断できません。
そのため、エレベーターや照明、消防・防災設備などに加え、給水ポンプなどの給水設備も非常用電源の対象になっているかを確認しておきましょう。
さらに、発電機・蓄電池などの非常用電源が動く場合でも、設備容量や燃料、運転方法などによって実際に稼働できる時間は異なります。
管理会社には、「給水設備は非常用電源の対象」かどうかだけでなく、「想定される稼働時間」と「復旧までの段取り」などを確認しておくことで、適切な中古マンション選びや備えの検討につながります。
③地下・低層階の電気設備と浸水対策を確認する
国土交通省は、電気設備の浸水対策として、電気設備を上階に設置することや、止水板・防水扉の設置、防水区画の形成などを示しています。
〈出典〉国土交通省「建築物における電気設備の浸水対策のあり方に関する検討会」【令和2年6月19日公表】建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン
中古マンション探しでは、ハザードマップでそのエリアの浸水リスクを確認した上で、建物内部の設備にも目を向けることが重要です。
マンションの地下や低い位置に受変電設備などの電気設備がある場合、浸水によって建物全体の電力供給に影響が出る可能性もあります。
2026年8月千葉豪雨では、千葉市内のマンションの地下に電気設備がある物件で停電・断水が長期化した事例が報じられていました。
そのため、マンションを選ぶ際は、電気設備の浸水対策についても詳しく確認しておきたいところです。
〈出典〉千葉市「令和8年第3回定例会行政報告」(2026年9月7日)
また、管理会社に「過去に地下設備の浸水や停電が発生していないか」「浸水対策工事を行った履歴がないか」も聞いておくことで、ハザードマップだけでは分からない建物自体の浸水リスクを見極めやすくなります。
管理会社に確認しておきたいマンションの浸水対策
- ・受変電設備などの設置場所
- ・止水板・防水扉の有無
- ・設備のかさ上げや移設の有無
- ・防水区画の有無
- ・過去の浸水被害や対策工事の履歴
④管理組合の資料から過去のトラブルと今後の修繕を確認する
中古マンションを選ぶ場合、現在設置されている設備だけでなく、これまでの維持・管理状況や今後の修繕予定についても把握しておきましょう。
管理組合の総会議事録や長期修繕計画、修繕履歴などでは、ポンプや受水槽、電気設備などに関する故障・交換・修繕の記録を確認できます。
例えば、「過去に給水設備が故障した」「地下設備の浸水対策工事を実施した」「ポンプ交換の予定がある」などの記録があれば、マンション購入後の維持管理費や停電・断水時の対応を考えるための判断材料にもなります。
| 資料 | 確認しておきたい内容 |
|---|---|
| 総会議事録 | 給水・電気設備の故障、浸水、修繕に関する議論 |
| 長期修繕計画 | ポンプ・電気設備などの修繕・更新予定 |
| 修繕履歴 | 過去の設備交換・修繕・浸水対策 |
| 設備図面・竣工図 | ポンプ・受水槽・受変電設備などの設置場所と給水経路 |
過去の故障や浸水・修繕については「総会議事録」や「修繕履歴」、今後の設備更新予定は「長期修繕計画」、設備の設置場所や給水経路は「設備図面・竣工図」を確認することで、建物の状態をより具体的に把握しておきましょう。
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■停電・断水に備える「購入前」の確認と「リノベーション」

マンションのフルリノベーション事例を見る:Case220「PRESENT AND THE FUTURE」
中古マンションの停電・断水対策は、購入後に住戸内をリノベーションするだけでは対応できない部分があります。
専有部分の工事で変えられる範囲と、建物全体の設備として購入前に確認しておくべき範囲を分けて、効果的な災害への備えを考えていきましょう。
マンションの共用設備は専有部分のリノベーションだけでは変えられない
国土交通省の「マンション標準管理委託契約書」では、管理対象部分として、ポンプ室、自家用電気室、受水槽室、高置水槽室などの専有部分に属さない建物の部分に加え、電気設備、給水設備、排水設備、各種の配線・配管などが示されています。
そのため、お施主様がマンションの購入後に住戸内をスケルトンリノベーションしても、給水方式や地下の受変電設備自体を変更することはできません。
つまり、室内の間取りやキッチン、浴室などはリノベーションで変更できても、建物全体に関わる設備には、管理規約や管理組合との調整、建物側の技術的な制約があるということです。
〈出典〉国土交通省「「マンション標準管理委託契約書」及び「マンション標準管理委託契約書コメント」の改訂」(令和5年9月11日)【マンション標準管理委託契約書本文、別紙1~4、別表第1~第5】
だからこそ「買ってから考える」より物件選びの段階で見極める
リノベーションを前提に中古マンションを探すなら、立地や物件価格だけでなく、給水方式や電気設備、管理状況なども購入前に確認しておくのがポイントです。
特に、購入後に停電・断水に関わる設備上の問題が見つかっても、住戸内のリノベーションだけでは解決できない場合があります。
そのため、室内の状態だけでなく、給水設備や電気設備の設置場所、非常用電源の有無、管理・修繕の状況など、建物全体に関わる情報まで確認しておくことが重要です。
SHUKEN Reでは、物件探しの段階から宅地建物取引士・FPの資格を持つ担当者がご相談を受けています。
物件の候補を絞った後は、プロの担当者が現地を訪れ、工事の可能性や費用を総合的に調査するため、購入後に「ご希望のリノベーションが実現しない」というミスマッチも防ぎやすくなります。
災害への備えは「設備」だけでなく物件選びから
マンションの停電・断水を含む防災対策を考える際は、まずハザードマップなどから立地を確認し、その上で給水方式や給水設備・電気設備の設置場所、非常用電源の有無、管理状況などを確認します。
SHUKEN Reの物件検索システムでは、中古マンションなどの物件を地図上で探しながら、学区や公表されている浸水・土砂・津波などの災害情報もチェックできます。
ただし、地図上の災害情報だけでは、建物内部の設備や停電・断水時の対応まで判断することはできません。
候補となるマンションが絞れたら、物件資料や管理状況なども確認し、給水方式や電気設備、リノベーションの可能性まで含めて検討しましょう。
価値あるプランを希望予算内で実現するためには、フルリノベーションを前提とした最適な物件探しから、設計・施工までの一貫対応が可能な「ワンストップリノベーション」がおすすめです。
物件購入とリノベーションの窓口が1つになり、効率的なプランニングと適正価格での家づくりが進められます。
SHUKEN Reではファイナンシャルプランナーによる無料相談も実施しています。
リノベーション計画はもちろん、将来の資金計画についても、お気軽にご相談ください。
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マンションのフルリノベーション事例を見る:Case224「Clearly divide」
最後に、マンションの停電・断水対策で気になる点をQ&A形式でまとめました。
■まとめ
マンションは停電で必ず断水するわけではありませんが、給水方式の種類や非常用電源の有無など、給水設備や電気設備の構成によって、停電時の水道への影響は異なります。
また、給水設備や受変電設備など、建物全体に関わる共用部分は、購入後に専有部分をフルリノベーションしても自由に変更できるとは限りません。
だからこそ、物件選びの段階で建物の設備や管理状況を確認し、リノベーションでできること・できないことを把握した上で、物件選びの条件を整理しておきましょう。
SHUKEN Reでは、地域特性もふまえた現地調査と、リノベーションのプロならではの視点で、工事の可能性や費用を含めた、お施主様にとって好条件の物件選びをサポートしています。
災害への備えと、これからの暮らしに合うリノベーションをお考えの方は、ぜひ物件探しの段階からご相談ください。
物件探しから設計・施工まで一貫してプランニング可能な「ワンストップリノベーション」なら、「希望通りのリノベーションができない」「予期せぬ追加工事でコストが膨らむ」などの後悔を防ぎやすくなります。
また、SHUKEN Reでは、リノベーションに精通したスタッフによる価値ある家づくりプランのご提案に加え、家計に優しい資金計画を立てるためのFP相談もご用意しています。
東京・千葉・神奈川エリアで約25年にわたり積み重ねた8,000件超の施工実績を活かし、お客様だけのオリジナルプランと将来を見据えた設計で、理想の住まいづくりをご提案します。
浦安本店・世田谷店・青山店にショールームを併設。見学会・セミナー・相談会などのイベントも随時開催中です。
お気軽にお近くの店舗へご相談ください。
Q マンションの場合、停電・断水が復旧するまでに、どれくらいの時間がかかりますか?
復旧時間は、停電の原因や建物の被害状況、給水方式、非常用電源の有無、設備の損傷範囲などによって変わります。
特に、地下の受変電設備が浸水した場合は、電源を戻すだけでなく、設備の点検や復旧工事が必要になる可能性があります。
マンションの購入を決める前には、過去の停電・断水履歴だけでなく、非常用電源の有無や稼働時間、停電時の連絡体制・運用について、詳しく管理会社に確認しておきましょう。
Q マンションに非常用発電機や蓄電池があっても、長時間の停電に備えて水の備蓄が必要ですか?
給水設備が非常用電源の対象であっても、設備の容量や燃料などによって稼働時間に限界があるため、これだけで断水への備えが十分であるとは判断できません。
そもそも、マンションに非常用発電機や蓄電池の備えがあっても、給水設備が電源供給の対象になっていない場合もあります。
マンションの給水方式と非常用電源の仕様を確認した上で、断水が発生した場合の備えとして、各家庭で飲料水や生活用水を備蓄しておくと安心です。
Q 中古マンションの購入前は、管理会社にどんな質問をすれば設備の状況が確認できますか?
「給水方式の種類や特徴」「ポンプの仕様や設置場所」「非常用電源の対象や稼働時間」「過去の停電・断水や浸水の有無」「設備修繕の予定」など、建物全体に関わる情報を聞いておきましょう。
また、管理組合の総会議事録や長期修繕計画、設備の修繕履歴などを見て、今後の工事予定や修繕積立金の状況まで把握しておけば、マンション購入後の資金管理にも役立ちます。
Q 地下に電気設備があるマンションの浸水リスクの判断はどうすればいいでしょうか?
地下に電気設備があるマンションの場合は、その地域のハザードマップに加えて、設備の設置位置、止水板や防水扉などの浸水対策や過去の浸水被害、工事履歴まで確認しておきましょう。
特に、受変電設備が浸水すると、建物全体の停電につながる可能性があります。
国土交通省が公表している高層マンションの事例もふまえ、管理会社に設備の位置や浸水対策、過去の被害状況を事前に確認した上で、物件選びの参考にしてみましょう。










