公開日:2026-10-21
中古マンション購入前のハザードマップの見方|水害・液状化・建物設備を確認

候補の中古マンションの住所をハザードマップに入力すると、浸水想定区域や土砂災害警戒区域など、災害リスクが高いエリアを示す色が地図に重なって表示されます。
しかし、ハザードマップを調べただけでは、中古マンションの災害リスクや、購入すべきかどうかの判断はできません。
本記事では、ハザードマップの調べ方と災害別の見方にくわえて、建物・設備・管理の面で購入前に確認したいポイントを解説します。
- ・ハザードマップで分かるのは立地の想定までで、中古マンションの災害リスクは建物・設備・管理と組み合わせて判断します。
- ・重要事項説明は契約の直前に行われ、液状化と地震の揺れやすさは法令の対象に含まれないため、物件を比べる段階でハザードマップを確認しましょう。
- ・同じ浸水想定区域内でも、受変電設備の設置階や管理組合の備えによって、停電・断水の影響と復旧費用の負担は物件ごとに変わります。
目次
■中古マンションの災害リスクは、立地・建物・設備・管理を組み合わせて確認する

ハザードマップは、想定される災害が起きたときに、中古マンションの建物・設備・管理の面で何が起こるかまで突き合わせて読みます。
例えば、同じ浸水想定区域内でも、受変電設備が地下にあるか上階にあるかで、停電するリスクが変わります。
ハザードマップで分かるのは立地の想定までで、建物・設備・管理の状況は別の資料での確認が必要です。
4つの軸で見る資料と分かる内容は、以下のとおりです。
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確認する軸 |
見る資料 |
分かること |
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立地 |
ハザードマップ、重要事項説明 |
浸水深・土砂災害・津波・液状化・揺れやすさの想定 |
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建物 |
建築確認済証、耐震診断の結果 |
適用された耐震基準と耐震性 |
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設備 |
竣工図、管理会社への確認 |
受変電設備や給水ポンプの設置階 |
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管理 |
総会議事録、長期修繕計画、重要事項調査報告書 |
過去の被災履歴と、設備更新・復旧への備え |
4つの軸のうち、ハザードマップで確認できるのは立地の想定のみで、建物・設備・管理は売主・仲介・管理組合への確認が必要です。
本記事では、ハザードマップの見方にくわえて、中古マンションを検討する際に立地以外でどこを確認すればよいかについても詳しく解説していきます。
■中古マンションの災害リスクは、物件を比べる段階でハザードマップを確認する

中古マンションの災害リスクは、契約時の重要事項説明を待たずに、物件を比較する段階でハザードマップを見て確認するのが基本です。
重要事項説明は契約の直前に行われるため、候補を絞り込む材料としては間に合いません。
また、重要事項説明で扱われるのは水害・土砂災害・津波の3種類で、液状化と地震の揺れやすさは法令で定められた説明項目には含まれません。
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項目 |
重要事項説明 |
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洪水・雨水出水(内水)・高潮 |
対象(2020年8月28日〜) |
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土砂災害警戒区域 |
対象(改正前から) |
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津波災害警戒区域 |
対象(改正前から) |
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液状化 |
対象外 |
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地震の揺れやすさ |
対象外 |
土砂災害警戒区域と津波災害警戒区域はもともと重要事項説明の対象でしたが、宅地建物取引業法施行規則の改正により、2020年8月28日からは、洪水・雨水出水・高潮のハザードマップ上における物件所在地の説明も義務化されました。
一方、液状化や地震の揺れやすさは重要事項説明で法令上の説明項目に含まれないため、マンション購入前にご自身で調べる必要があります。
つまり、中古マンションの購入時はすべての災害リスクの説明が義務付けられているわけではないため、ハザードマップなどを活用してご自身で情報収集をする必要があるということです。
品川区で中古マンションを購入し、SHUKEN ReでリノベーションされたN様も、購入に反対されたご両親に、地盤の情報やハザードマップを自分で調べて伝えたところ、応援してもらえたそうです。
■中古マンションのハザードマップの見方

中古マンションの災害リスクは、「ハザードマップポータルサイト」で確認できます。
ハザードマップポータルサイトは「重ねるハザードマップ」と、都道府県や市区町村が公開する「わがまちハザードマップ」の2種類に分かれており、災害の種類によって使い分けます。
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災害の種類 |
確認できるマップ |
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洪水・内水・土砂災害・高潮・津波 |
重ねるハザードマップ |
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液状化 |
重ねるハザードマップ、都道府県・市区町村のマップ |
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地震の揺れやすさ |
都道府県・市区町村のマップ |

重ねるハザードマップでは、洪水・内水・土砂災害・高潮・津波の災害リスクを確認可能です。
調べたい中古マンション周辺のマップを開き、地図上に複数の災害リスクを表示して直感的にチェックできます。
内水は掲載している市区町村が限られるため、色が付いていなくても市区町村のハザードマップで確かめましょう。
液状化の傾向の目安は重ねるハザードマップでも見られますが、地域ごとの詳しい予測は都道府県・市区町村のマップで確認するのが基本です。
また、地震発生時の揺れやすさの予測は、都道府県・市区町村のマップで確認します。
地図を見るときは、物件が災害リスクの高い区域内かどうかだけでなく、想定浸水深などの数値を読み取り、建物・設備と突き合わせることが大切です。
■【災害別】中古マンション購入前にハザードマップで確認するポイント

中古マンションでは、同じ色の区域内でも、災害の種類によって建物で影響を受ける箇所が異なります。
災害別に、ハザードマップでの見方と、建物側の確認ポイントをセットで見ていきましょう。
洪水・内水・高潮は、想定浸水深と受変電設備の設置階を突き合わせる
中古マンションでは、想定浸水深が受変電設備や給水ポンプの高さに届くかどうかで、災害発生時の暮らしへの影響が変わります。
想定浸水深の目安は、一般的な家屋の場合、0.5m未満なら1階の床下、0.5〜3mなら1階の床上、3〜5mなら2階の床上、5m以上なら2階の軒下以上まで水が届く深さです。
受変電設備が地下や1階にあり、想定浸水深が設置の高さを超える場合、停電によって上層階でもエレベーターと給水が止まる可能性があります。
また、機械式駐車場が地下にある物件では、車の水没にくわえて、設備の復旧費用を修繕積立金から支出するケースもあります。
受変電設備の設置階や止水板の有無は内見だけでは分かりにくいため、仲介会社を通じて管理会社に確認しましょう。
浸水想定区域の中古マンションの購入判断については、〈浸水想定区域のマンションは買っても大丈夫?価格と災害リスクの確認ポイント〉もご覧ください。
土砂災害・津波は、建物の被害と避難の方法を分けて確認する
中古マンションが土砂災害警戒区域や津波災害警戒区域に含まれる場合は、建物の被害と避難の方法を分けて確認します。
土砂災害警戒区域では、斜面に面した1階住戸や共用部分が被害を受けるおそれがあるため、敷地内の擁壁やがけの点検状況を管理会社に確認しましょう。
津波浸水想定の区域では、示された深さと、建物の何階以上なら水が届かないかを照らし合わせます。
自治体が示す避難場所・避難経路も確認し、マンションが自治体の津波避難ビルに指定されている場合は、外部の避難者を受け入れる協定の内容も確認しておきましょう。
液状化は、建物本体よりも配管と外構への影響で読む
中古マンションの液状化リスクは、建物本体よりも、敷地内の給排水管や外構への影響として読みます。
杭基礎のマンションなら、建物本体は固い地盤に支えられているため、傾きなどの被害は受けにくいと考えられます。
一方、杭基礎でもマンションの周囲の地盤が沈下すると、給排水管の破断やエントランス周りの段差が発生する場合があります。
直接基礎の物件では、建物本体への影響も含めて、地盤調査の結果や過去の補修履歴を確認しましょう。
液状化の予測図は、都道府県や市区町村が公開しています。
例を挙げると、東京都の場合は「東京の液状化予測図」、千葉県は「液状化しやすさマップ」と「液状化危険度マップ」、神奈川県は「地震被害想定調査」の液状化危険度マップで、地域ごとの想定を確認できます。
〈参照〉
神奈川県 地震被害想定調査
ただし、マップ上で可能性が低い地域でも、液状化が発生しないことは保証されていません。
例えば東京都の予測図は、都全域を一律の強さで揺らした場合の相対的な可能性を示すもので、特定の場所の液状化の有無を断定するものではありません。
液状化の詳しい確認方法は、〈マンションの液状化リスクはどう見る?埋立地・湾岸エリアで中古物件を購入する前の確認ポイント〉で解説しています。
地震の揺れやすさは、建物の耐震基準・耐震診断の結果と突き合わせる
中古マンションの地震リスクは、揺れやすさマップで地盤の揺れ方を確かめたうえで、建物の耐震基準と照らし合わせて判断します。
軟らかい地盤では地震動が増幅されやすいため、揺れやすいとされる地域の物件ほど、耐震性の確認が欠かせません。
建物の耐震性が被害の大きさを左右するため、購入前に、適用された基準と耐震診断の結果を確かめておきましょう。
建築確認済証の交付日が1981年5月31日以前の中古マンションは、旧耐震基準が適用されています。
旧耐震基準の中古マンションでは、購入前に耐震診断や耐震改修の実施状況を確認しましょう。
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耐震診断・改修の状況 |
購入前に確認すること |
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診断済みで耐震性を満たす、または改修済み |
診断結果の報告書、改修工事の記録 |
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診断済みで、改修は未実施 |
改修計画の有無、費用負担(一時金・修繕積立金) |
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診断を受けていない |
管理組合の診断予定、住宅ローンの審査条件 |
新耐震基準と旧耐震基準の違いは〈中古マンションの耐震基準と耐震等級の違いは?〉、旧耐震基準の物件で住宅ローンを組む際の注意点は〈旧耐震物件は住宅ローン審査が通りづらい?〉のコラムで解説しています。
管理組合の資料で過去の被災履歴や設備状況を確認する
中古マンションでは、ハザードマップに出ない過去の被災履歴と、設備の備えを管理組合の資料で確認できます。
浸水想定区域内の物件なら、総会議事録で過去の浸水被害や、止水板・排水ポンプの設置を決めた記録をたどれます。
長期修繕計画で分かるのは、受変電設備や機械式駐車場の更新時期と、今後の修繕費用の見通しです。
重要事項調査報告書からは、被災時の復旧に充てられる修繕積立金の残高や、予定されている大規模修繕の内容を確認できます。
防災備蓄や非常用発電機の有無は、管理会社への問い合わせで確かめましょう。
資料は買主が直接取り寄せるのではなく、仲介会社を通じて管理会社に閲覧を依頼するのが一般的です。
ここまで見てきたように、中古マンションの購入検討時は、ハザードマップと現場で候補物件の災害リスクを細かくチェックする必要があります。
すべての物件を調べるのは手間と時間がかかるため、検討初期段階で災害リスクを照らし合わせ、候補を絞り込むのが効率的です。
SHUKEN Reの物件検索システムでは、浸水想定区域や、土砂災害・津波の警戒区域を地図上に表示しながら物件探しができるため、候補を比べる段階からハザードマップと照らし合わせられます。
■中古マンションのハザードマップに関するよくある質問

最後に、東京・神奈川・千葉エリアで多くの中古マンションリノベーションを手がけてきたSHUKEN Reが、ハザードマップに関してよくある質問にお答えします。
■まとめ
中古マンションの災害リスクは、ハザードマップの想定と建物・設備・管理を突き合わせて判断します。
災害が起きたときに建物で何が起こるかを、耐震性・設備の設置階・管理組合の備えの3つの面から物件ごとに確かめましょう。
特に、液状化と地震の揺れやすさは重要事項説明の対象外のため、候補を比べる段階でハザードマップで確認しましょう。
候補物件のハザードマップの見方や、建物・設備の確認に迷った場合は、SHUKEN Reにご相談ください。
地図上で候補物件周辺の浸水想定区域や、土砂災害・津波の警戒区域を表示できる物件検索システムを活用しながら、ご希望の中古マンション探しをサポートいたします。
Q 検討エリア内全体にハザードマップで色がついていますが、避けるべきですか?
想定される災害で建物のどこが影響を受けるかで、物件ごとに判断しましょう
希望エリア全体が浸水想定区域に含まれる場合、区域外の物件だけに絞り込むと、候補が大きく限られる場合があります。
区域内では、想定浸水深と受変電設備の設置階、管理組合の防災対策を組み合わせて、物件を比べましょう。
Q ハザードマップで浸水3〜5mの想定ですが、3階以上なら購入しても問題ありませんか?
住戸まで水が届かなくても、共用部分の被害や復旧費用の影響を受けるため、階数だけでは判断できません
上層階の住戸でも、1階のエントランスや地下の設備が被害を受けた場合、保険で賄えない復旧費用は、修繕積立金や一時金として区分所有者全員で負担します。
管理組合が加入する共用部分の火災保険に水災補償が付いているかも、重要事項調査報告書や管理会社への確認で把握しておきましょう。
あわせて、受変電設備の設置階と想定浸水深を突き合わせ、停電時にエレベーターと給水がどの程度止まるかを確認します。








