公開日:2026-11-08
定期借地権付きマンションとは?安い理由とデメリット、中古購入前の確認点

定期借地権付きマンションとは、建物は自分で所有し、土地は期間を決めて地主から借りる物件のことです。
土地を買わない分、価格を抑えられる一方、住める期限や地代、住宅ローンの組み方に、所有権マンションにはない条件やデメリットがあります。
中古で選ぶ場合は、残存期間と費用の総額、住宅ローンの条件を購入前に確かめることが判断の分かれ目です。
この記事では、安い理由とデメリット、中古で買う前に確かめる5つのことを、確認に使う書類とあわせて紹介します。
- ・定期借地権付きマンションが安いのは土地の所有権の代金が含まれないためで、代わりに住める期限や地代の負担といったデメリットがあります。
- ・中古で買う前は、権利の種類・残存期間・費用の総額・住宅ローン・リノベーションの範囲の5点の確認が欠かせません。
- ・一般定期借地権は契約の更新ができず、売却のしやすさは残存期間や立地によって変わります。
目次
■定期借地権付きマンションとは、土地を「借りて」住む物件のこと

定期借地権付きマンションは、部屋(建物)は自分で所有し、土地は地主から借りて地代を払う住まいのことです。
定期借地権とは、建物の所有を目的として土地を借りる権利の1つで、マンションでは「一般定期借地権」が用いられるのが一般的です。
一般定期借地権の期間は50年以上と借地借家法で定められており、契約の更新はありません。
原則として、期間が終わると建物を解体して更地にし、土地を地主へ返す決まりです。
一般的な分譲マンションでは土地の持分も購入しますが、定期借地権付きマンションで手に入るのは建物の所有権と、土地を借りる権利です。
所有権マンションとの主な違いを表でまとめました。
| 項目 | 定期借地権付きマンション | 所有権マンション |
|---|---|---|
|
土地の権利 |
地主から借りる |
共有持分を持つ |
|
住める期間 |
契約で定めた退去期限まで |
借地による期限はない |
|
毎月の費用 |
管理費・修繕積立金に加え、地代・解体準備金 |
管理費・修繕積立金 |
|
将来手元に残る資産 |
更地にして返すため残らない |
土地と建物の持分 |
〈参照〉国土交通省「定期借地権の解説(2.定期借地権の法的背景)」
定期借地権付きマンションは、所有権マンションとさまざまな点で違いがあり、相場より安く販売される傾向があります。
次の章で、定期借地権付きマンションが安い理由や、注意すべきデメリットについて詳しく見ていきましょう。
■定期借地権付きマンションが安い理由とデメリット

定期借地権付きマンションの安さは、所有権の物件にはない条件と引き換えになっています。
価格のメリットだけで判断しないよう、安い理由とデメリットをセットで確認しておきましょう。
土地の所有権を得られない分、価格が抑えられている
定期借地権付きマンションが安いのは、販売価格に土地の所有権の代金が含まれていないことが大きな理由です。
国土交通省の解説では、分譲時の価格の目安として、マンションは所有権の物件の80%前後とされています。
〈参照〉国土交通省「定期借地権の解説(10.住宅購入者の視点)」
相場より安く購入できるのはメリットですが、土地の所有権がないことにより後述するさまざまなデメリットにもつながります。
期間満了後は住み続けられず、資産も手元に残らない
定期借地権付きマンションの大きなデメリットとして挙げられるのは、契約期間満了後は住み続けられない点です。
〈期間満了で起こること〉
- ・退去期限までに、次の住まいへ住み替える必要がある
- ・建物を解体して土地を返すため、満了時には売却できる資産が残らない
- ・リノベーションに費用をかけても、暮らせる期間は残存期間に限られる
所有権マンションであれば、資産価値は立地などに左右されるものの、建物が古くなっても土地の持分は残ります。
しかし、定期借地権付きマンションは契約満了時に売却できる資産が残らず、自己資金やローンで次の住まいを探さなければなりません。
売却価格が低く売りにくいケースもある
定期借地権付きマンションは、残存期間が短くなるにつれて買い手が限られ、売却価格が下がりやすい傾向があります。
次に買う人にとっては、住める年数だけでなく、組める住宅ローンの期間も短くなるためです。
契約満了前に住み替える場合でも、希望の価格で売却できず、住宅ローンを完済できないリスクが考えられます。
将来手放す予定があるなら、出口の考え方を購入前に決めておくことが大切です。
所有権マンションでは発生しない毎月の費用がかかる
定期借地権付きマンションでは、管理費と修繕積立金に加えて、地代と解体準備金がかかるのが一般的です。
相場より安く購入できても、毎月かかる金額によってはかえって高くついてしまう可能性もあるのです。
地代は土地を借りる対価で、物価や税額の変動などに応じて改定されることがあります。
解体準備金は、期間満了時に建物を取り壊す費用に備える積立金です。
積み立てた金額で将来の解体費用をすべてまかなえるとは限らず、見直される場合もあります。
地代・解体準備金の金額や徴収方法、改定条件は物件ごとに異なるため、確認方法を後半で紹介します。
■中古の定期借地権付きマンションを買う前に確かめる5つのこと

中古の定期借地権付きマンションは、物件ごとに契約内容が異なるため、価格の安さより先に条件を確かめることが欠かせません。
〈確認項目と書類〉
- ・権利の種類と契約条件:重要事項説明書、借地契約書
- ・契約満了日と退去期限:借地契約書
- ・地代・解体準備金・保証金:重要事項説明書、管理組合の総会資料
- ・住宅ローンの借入期間:金融機関の事前審査
- ・リノベーションできる範囲:管理規約
中古マンションの物件選び全体のチェックポイントは、こちらのコラムで紹介しています。
〈関連コラム〉
「買ってはいけない中古マンション」に要注意!物件選びのチェックポイント14選
権利の種類と契約条件 「一般定期借地権」か「旧法借地権」か
定期借地権付きマンションを検討するときは、まず物件情報の権利欄で、借地権の種類を確かめます。
〈権利欄の表記例〉
- ・定期借地権(一般定期借地権)
- ・借地権(旧法)
- ・地上権、賃借権(借地権の形を示す表記。賃借権は売却時に地主の承諾が必要)
同じ借地でも、旧法借地権には法定更新の仕組みがあるのに対し、一般定期借地権は期間満了で終了する権利です。
重要事項説明書では、借地権の種類に加えて、契約期間と、売却時に地主の承諾が必要かどうかも確認しておきましょう。
残存期間とライフプランを照らし合わせ、住み切るか売るかを決めておく
定期借地権付きマンションを選ぶなら、購入前に「住み切るか、途中で売るか」という出口を決めておくことが重要です。
まずは借地契約書で、契約満了日と退去期限を確認します。
退去期限は、解体工事の期間を見込んで契約満了日より前に設けられていることがあります。
次に、自分の年齢と住む予定の年数を、退去期限と並べてみましょう。
〈出口別の考え方〉
- ・住み切る:退去期限までの年数が、住む予定の年数より長いか確認する
- ・途中で売る:手放す時点で退去期限まで何年残るかを逆算し、残存期間の長い物件に絞る
例えば、契約上の退去期限まで45年ある物件を40歳で購入すれば85歳まで、25年の物件なら65歳まで住める計算です。
途中で売る場合は、手放す時点の残存期間で次の買い手がどのくらいの期間の住宅ローンを組めるかが、売りやすさの目安になります。
地代・解体準備金・保証金を含めた費用の総額
定期借地権付きマンションの費用は、月々の支払いと購入時の負担に分けて確認するのがポイントです。
〈確認したい費用〉
- ・地代の支払い方法(月払い・前払い)と金額、改定の時期・計算方法
- ・解体準備金の金額と、積立済みの総額
- ・保証金や前払地代の有無、返還条件、売主からの承継・精算の方法
解体準備金の積立状況や見直しの予定は、管理組合の総会資料や長期修繕計画など、開示されている資料で確かめられます。
所有権の物件と比べる際は、物件価格・リノベーション費用・ローンの利息に、住む予定の年数分の管理費・修繕積立金・地代・解体準備金を加えた総額で判断することが大切です。
定期借地権付きでは、土地の固定資産税・都市計画税はかかりません。
住宅ローンを扱う金融機関と借入期間
定期借地権付きマンションの住宅ローンは、借地の残存期間によって借入期間が制限される場合があります。
例えばフラット35では、年齢などで決まる通常の借入期間と借地権の残存期間を比べ、短いほうが上限になります。
定期借地権の残存期間が短いマンションは、借入期間も短くなり、同じ金額を借りても月々の返済額は大きくなる点に注意が必要です。
民間の金融機関は、取り扱いの有無や条件が各社で異なるため、物件名と借地契約の内容を伝えて事前に確認しておきましょう。
〈参照〉住宅金融支援機構【フラット35】「敷地が借地の場合」
中古物件の住宅ローンで借入期間がどう決まるかは、こちらのコラムで紹介しています。
〈関連コラム〉
中古物件で住宅ローンを使う|新築との条件の違いや借入年数、金利、控除、物件選びのコツを解説
リノベーションできる範囲と、残りの居住年数に合う工事内容
定期借地権付きマンションでも、所有権のマンションと同じように専有部分のリノベーションができます。
工事できる範囲は管理規約や建物の構造、配管の位置などで変わり、水回りの移動や床材の変更には管理組合への申請・承認が必要になる場合もあります。
工事費のかけ方は、退去期限までの年数と住む予定の年数で考えることが大切です。
〈工事内容の考え方〉
- ・長く住む予定がある:水回りまで含めた全面的なリノベーションも候補になる
- ・住む年数が限られる:住む年数に見合う費用に収まるよう、工事内容と仕様を決める
物件価格とリノベーション費用を合わせた総予算で考えると、所有権の物件とも比較しやすくなります。
工事範囲ごとの費用の目安や予算の立て方は、こちらのコラムで紹介しています。
〈関連コラム〉
【2026年版】リノベーション費用相場|業者選びと予算の立て方まで徹底解説
工事できる範囲と費用は物件ごとに違うため、購入前にプランと見積もりを出してもらうと、残りの年数に見合う工事かを判断できます。
SHUKEN Reでは、候補の中古マンション探しからお見積もり、施工までワンストップでサポートいたします。
物件が絞れた段階で、リノベーション担当が現地に同行し、工事の可能性や費用感をお伝えします。
検討中の定期借地権付きマンションの購入判断はもちろん、ほかの物件との比較もお手伝いできますので、ぜひお気軽にご相談ください。
■定期借地権付きマンションが向いている人・向いていない人

定期借地権付きマンションが合うかどうかは、住む予定の年数と、家を資産として残したいかで分かれます。
〈向いている人〉
- ・退去期限より前に住み替える予定があり、住む期間を区切って考えられる人
- ・同じ予算で、所有権の物件では手が届きにくい立地や広さを優先したい人
- ・住む年数に合わせて、リノベーション費用を決められる人
〈向いていない人〉
- ・老後も同じ家に住み続けたい人
- ・子どもに家を資産として残したい人
- ・長い借入期間の住宅ローンを組まないと購入が難しい人
どちらとも言えない場合は、同じエリアの所有権マンションと、住む予定の年数でかかる総額を並べて比べると判断しやすくなります。
■定期借地権付きマンションに関してよくある質問

最後に、定期借地権付きの中古マンションの購入を検討するときによくある質問に、まとめてお答えします。
■まとめ
定期借地権付きマンションは、土地を借りる分だけ価格を抑えられる一方、住める期限と、地代・解体準備金の負担という条件がつきます。
購入前には、権利の種類、残存期間と出口、費用の総額、住宅ローン、リノベーションの範囲の5点を確かめておくことが大切です。
退去期限まで住み切る計画が立ち、住む年数でかかる総額が所有権の物件と比べて見合うなら、価格を抑えて立地を選べる選択肢になります。
特にリノベーションを前提に中古マンションを選ぶ場合は、専門家に相談して購入の可否を判断するのがおすすめです。
SHUKEN Reの物件探し相談では、宅地建物取引士とFPの資格を持つ担当者が在籍し、次のようなサポートをいたします。
〈物件探し相談でできること〉
- ・気になる定期借地権付きマンションの残存期間や維持費を整理する
- ・物件価格と改修費を合わせた予算を検討する
- ・同じエリアの所有権マンションと比較する
気になる物件があれば、まずはお気軽にご相談ください。
Q 残存期間が短い定期借地権付きマンションでも売却できる?
売却できる場合はありますが、残存期間が短いほど価格は下がりやすくなります
定期借地権付きマンションの売りやすさは、残存期間に加えて、立地や管理状態、次に買う人が利用できる住宅ローンの条件などが影響します。
残存期間が短くなるほど、買い手が組めるローンの期間も短くなり、購入できる人は限られていきます。
売却を予定している場合は、手放す時点の残存期間とあわせて、周辺の需要や融資条件も確認しておきましょう。
Q 定期借地権付きマンションに住み続ける方法はない?
再契約する方法はありますが、確実性はありません
一般定期借地権は、契約の更新や期間の延長をしないことを、契約のときに書面で取り決める仕組みです。
地主と新たに契約を結ぶ可能性はゼロではないものの、区分所有者全体の合意や建物の状態も関わり、再契約できる保証はありません。
購入を判断する際は、再契約を前提にせず、退去期限までの年数で考えましょう。








