公開日:2026-06-21
新耐震基準はいつから?旧耐震との違い・見分け方・中古マンション購入前に確認すべきポイント

中古マンションや投資物件を検討するとき、建物が「旧耐震基準」か「新耐震基準」かの違いは、価格やローン、税制優遇など購入時の影響だけでなく、将来の資産価値にも直結する重要な情報です。
しかし、新耐震基準・旧耐震基準の正しい判断方法や、区分所有、一棟所有などケースごとに異なる見分け方のポイントは意外と知られていません。
このコラムでは、区分マンションから一棟ビルまで幅広くリノベーションを手がけるSHUKEN Reが、耐震基準の確認方法や新耐震・旧耐震の見分け方、中古住宅購入時に確認すべきポイントを解説します。
- ・新耐震基準と旧耐震基準の境界線は、竣工日ではなく「建築確認日が1981年(昭和56年)6月1日以降かどうか」で判断します。昭和57〜58年竣工の物件は必ず書類で確認が必要です。
- ・新耐震基準と旧耐震基準の見分け方は、立場(戸建所有者・マンション区分所有者・一棟オーナー・ビルオーナー・賃貸入居者)によって確認できる書類と手段が異なります。
- ・旧耐震マンションの区分所有者は、分譲マンションの性質上、構造的な耐震補強を個人で行うことはできません。管理組合の耐震対応状況を購入前に必ず確認しましょう。
- ・一棟マンション・アパートやビルを所有するオーナーは、所有者権限で耐震診断・改修・リノベーションを組み合わせて対応できます。
目次
■耐震基準とは|地震から命を守るための最低基準

耐震基準とは、建物を建築する際に守らなければならない、地震に対する強度の最低ラインです。
建築基準法に基づいて国が定めており、1950年の制定以降、耐震規定について複数回の重要な改正が行われてきました。
本コラムでは耐震基準の歴史を『旧耐震基準(1981年5月以前)』『新耐震基準(1981年6月以降)』『2000年基準(現行)(2000年6月以降の木造住宅向け強化)』の3つの区分で整理し、順を追って解説します。
なお、「耐震基準」と「耐震等級」は混同されやすい言葉ですが、耐震基準は法律上の最低義務であるのに対し、耐震等級は任意の性能評価(等級1〜3)であり、両者は別の概念です。
耐震基準と耐震等級の違い・調べ方については、以下のコラムで詳しく解説しています。
〈関連コラム〉
中古マンションの耐震基準と耐震等級の違いは?調べ方や2026年マンション関係法改正後の物件選びのポイントを解説
■旧耐震基準は昭和56年5月31日以前の建築物(※建築確認日が基準)

旧耐震基準とは、1950年の建築基準法制定から1981年(昭和56年)5月31日まで適用されていた、建築物の耐震性に関する基準です。
旧耐震基準の考え方は「震度5強程度の中規模地震で倒壊しないこと」を求めるもので(損傷は許容)、震度6以上の大規模地震に対する規定はなく、大規模地震時の安全性は担保されていませんでした。
旧々耐震とは|1971年改正との違い
旧耐震基準の中でも、さらに古い「旧々耐震」という概念があります。
1971年(昭和46年)に建築基準法施行令の耐震規定が改正され、それ以前の基準を旧々耐震と呼ぶことがあります。
1971年改正では鉄筋コンクリート造における柱の帯筋(フープ筋)間隔が厳格化され、耐震性能が底上げされました。
そのため、1971年以前の建物はとりわけ耐震性に懸念がある可能性があります。
旧耐震基準は「震度5強程度で倒壊しない」水準
旧耐震基準が想定するのは「震度5強程度の地震が発生しても倒壊しない」という水準です。
旧耐震基準は当時としては相応の水準でしたが、1995年の阪神・淡路大震災で旧耐震基準の建物に大きな被害が集中したことで、大規模地震に対する基準の限界が明らかになりました。
■新耐震基準は1981年6月1日以降の建築物(※建築確認日が基準)

新耐震基準は、1978年(昭和53年)に発生した宮城県沖地震(M7.4、最大震度5)で多くの建物に大きな被害が出たことを契機に、建築基準法の抜本的な見直しによって改正された耐震基準です。
施行日は1981年(昭和56年)6月1日で、この日以降に建築確認を受けた建物が新耐震基準の適用対象となります。
新耐震基準は「震度6強〜7でも倒壊しない」水準
新耐震基準の最大の特徴は、地震の規模によって求める性能レベルを変えるという「2段階設計」の考え方を導入したことです。
旧耐震基準は「中規模地震で倒壊しない」という1段階の設計でしたが、新耐震基準では2段階の性能目標を建物に課しています。
- ・1次設計(中規模地震への対応)…震度5強程度の地震では建物がほとんど損傷しない(日常的に起こりうる地震では修繕不要な状態を保つ)
- ・2次設計(大規模地震への対応)…震度6強〜7程度の地震が発生しても建物が倒壊・崩壊しない(数百年に一度の大地震では損傷は許容するが、人命を守ることを最優先とする)
上記のように、新耐震基準は「震度6強〜7の大地震で多少の損傷は許容するが、絶対に倒壊させない」という考え方で、人命保護を明確に制度化しています。
2000年基準(現行):木造住宅の耐力壁・接合金物が強化
1995年の阪神・淡路大震災では、新耐震基準(1981年〜)の木造住宅は旧耐震基準と比べて被害は大幅に少なかったものの、柱・梁・土台などの接合部仕様が不十分な物件を中心に倒壊・損傷が一部で発生しました。
阪神・淡路大震災の教訓から2000年(平成12年)にさらなる改正が行われ、主に木造住宅を対象に次の3点が強化されました。
- 1. 地盤の強さに応じた基礎設計の義務化
- 2. 柱・土台・梁の接合部への金物取り付け仕様の明確化
- 3. 耐力壁のバランスの良い配置の義務化
マンション(鉄筋コンクリート造・鉄骨造)は、2000年基準による直接的な耐震性能の変化は限定的です。
RC造の耐震性においては1981年の新耐震基準への適合が最初の確認ポイントです。
ただし、同時期に制定された住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)に基づき、2000年10月から住宅性能表示制度の運用が開始されたため、2000年以降に建設された物件では耐震等級の確認がしやすくなっています。
マンションの耐震等級を調べる際は、住宅性能評価書の有無もあわせて確認すると、戸建てだけでなくマンションでも性能の把握がしやすくなります。
■新耐震基準・旧耐震基準・2000年基準(現行)の違い

事例を見る:Case225「Private Gallery」
新耐震基準・旧耐震基準・2000年基準(現行)の違いをまとめると以下のようになります。
|
旧耐震基準 |
新耐震基準 |
2000年基準(現行) |
|
|
施行時期 |
〜1981年5月31日 |
1981年6月1日〜 |
2000年6月〜 |
|
対象構造 |
すべて |
すべて |
主に木造 |
|
中規模地震(震度5強程度) |
倒壊しない(損傷は許容) |
損傷しない |
損傷しない |
|
大規模地震(震度6強〜7) |
規定なし |
倒壊・崩壊しない |
倒壊・崩壊しない |
|
主な強化点 |
— |
2次設計の義務化 |
地盤・接合・耐力壁 |
2025年改正(4号特例縮小)の影響
2025年4月から建築基準法の改正により「4号特例」が縮小されました。
4号特例縮小により、比較的小規模な木造住宅でも構造計算の添付が必要になるケースが増えています。
マンションへの直接的な影響は限定的ですが、今後の新築戸建て市場における耐震性の底上げという点で注目される改正です。
過去の大地震データから見る新旧耐震基準の実際の被害差
過去の大地震で、新耐震・旧耐震の違いによって被害にどの程度の差が出たのかについて解説します。
なお、木造住宅とRC造マンションでは傾向が異なるため、それぞれの被害状況を確認しておきましょう。
【RC造マンション】阪神・淡路大震災(1995年)
RC造・SRC造建物の被害調査では、旧耐震基準の建物は「大破」「倒壊」に至った比率が新耐震基準の建物を大幅に上回りました。
特に被害が集中したのは、1階がピロティ構造のマンション・平面形状が不整形な建物・1971年以前に建設されたRC造建物です。
一方、新耐震基準(1981年〜)のRC造建物は相対的に被害が軽微であり、基準改正の効果が実証されました。
〈出典〉東京都マンションポータルサイト「マンションの耐震化のすすめ」
【木造住宅】阪神・淡路大震災(1995年)
木造住宅では旧耐震基準の建物を中心に多数の倒壊が発生しました。
新耐震基準の木造住宅は相対的に被害が少なかったものの、接合部の仕様が不十分なケースでは新耐震基準下の建物にも被害が出たことが後の2000年基準改正につながりました。
【RC造マンション】熊本地震(2016年)
国土交通省の被害調査では、倒壊・崩壊したRC建築物の多くが旧耐震基準の建物でした。
新耐震基準のRC造建物は大多数が軽微な被害にとどまりましたが、前震(4月14日・震度7)と本震(4月16日・震度7)の連続という特殊な条件下で一部の新耐震建物にも損傷が生じました。
〈出典〉国土交通省「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会 報告書について」
【木造住宅・RC造】能登半島地震(2024年)
石川県を中心とした被害では、旧々耐震・旧耐震基準の木造住宅への倒壊被害が際立ちました。
RC造建物への直接的な倒壊被害は相対的に少なかったものの、液状化による建物の傾斜・沈下が広範囲で発生しており、地盤リスクの重要性が改めて浮き彫りになりました。
〈出典〉国土交通省「令和6年能登半島地震における建築物構造被害の原因分析を行う委員会 最終とりまとめを公表します~原因分析を踏まえた対策の方向性をとりまとめ~」
耐震基準への適合だけでなく、建物ごとの構造形式・地盤状況・耐震診断の実施状況を総合的に確認することが重要です。
■新耐震か旧耐震かの見分け方|立場別チェックポイントと確認方法

事例を見る:Case219「Enjoy Interiors」
「自分の物件が新耐震・旧耐震どちらなのか知りたい」という場合、確認できる書類や利用できる手段は、マンションの区分所有者か一棟所有者かなど、属性によって変わります。
この章では、①戸建所有者・購入検討者、②マンション区分所有者・購入検討者、③一棟マンション・アパートオーナー、④ビルオーナー、⑤賃貸入居者の5つの立場別に解説します。
【全属性共通の前提】境界線は「竣工日」ではなく「建築確認日」
新旧耐震基準の境目は、建物の竣工日(完成日)ではなく、建築確認申請が受け付けられた日付(建築確認日)です。
1981年(昭和56年)6月1日以降に建築確認を受けた建物が新耐震基準の適用対象となります。
「昭和57年(1982年)竣工のマンション」であっても、建築確認が1981年5月31日以前であれば旧耐震基準になります。
大規模なマンションやビルは建築確認の取得から竣工まで1〜3年かかることがあるため、特に1982〜1983年(昭和57〜58年)竣工の物件はグレーゾーンで注意が必要です。
①戸建所有者・購入検討者の場合
戸建ては建築確認済証を建て主(または売主)が保管しているケースが多く、書類を比較的入手しやすいです。
耐震基準を確認できる書類
- ・建築確認済証(確認通知書)…発行日が1981年6月1日以降なら新耐震基準
- ・建築計画概要書…建物所在地の市区町村役所(建築指導課)で取得可能。所有者でなくても申請できる
- ・登記簿謄本…竣工年の推測には使えるが、建築確認日との差異があるため補助的な確認にとどめる
戸建特有のチェックポイント:2000年基準(現行)にも注目
マンション(RC造)は1981年の新耐震基準が主要な判断基準ですが、木造戸建ての場合は「2000年基準(現行)」も重要なチェックポイントです。
2000年6月以降に建築確認を受けた木造住宅では、次の3点が強化されています。
- ・地盤調査に基づく基礎設計の義務化
- ・柱・土台・梁の接合部への金物仕様の明確化
- ・耐力壁の配置バランス規定
つまり木造戸建てを検討する場合、「新耐震基準(1981年〜)か旧耐震か」に加えて、「2000年基準以降か1981〜1999年か」も判断の分岐点になります。
1981年以降・2000年以前の木造住宅は「新耐震ではあるが現行基準には満たない」という位置づけです。
戸建ての所有者は単独で耐震診断を実施し、必要に応じて耐震補強工事を行えます。
多くの自治体が耐震診断費用の補助制度を設けており、補助を活用すれば木造住宅の場合は無料〜数万円程度の自己負担で診断が受けられるケースもあります。
②マンション区分所有者・購入検討者の場合
分譲マンションの一室を購入・所有する場合、個人で耐震基準を確認できる書類は以下のようなものがあります。
耐震基準を確認できる書類
- ・建築確認済証…管理組合・管理会社が保管。問い合わせて確認日を教えてもらう
- ・重要事項説明書…中古マンション購入時に仲介会社から交付される。耐震基準の記載を確認
- ・建築計画概要書…役所(建築指導課)で誰でも取得できる。住所・地番が必要※
- ・管理会社からの「重要事項に係る調査報告書」…耐震診断・補強工事の履歴が記載されていることが多い
※窓口での検索には、一般的な住所(住居表示)ではなく、法務局で定められた「地番」が必要になるケースが多いため、事前に登記簿等で確認しておきましょう。
区分所有特有のチェックポイント
マンション区分所有者が特に確認すべきなのは、建物全体としての耐震対応状況です。
- ・管理組合による耐震診断の実施有無…旧耐震基準のマンションでも、竣工後に耐震診断・補強工事が行われているケースがある
- ・長期修繕計画への耐震工事の組み込み状況…将来的な耐震改修の予定があるかどうか
- ・修繕積立金の充足状況…積立金が不足していると大規模修繕・耐震改修ができないリスクがある
区分所有者は構造補強を単独で行えない点に注意
分譲マンションの構造部分(柱・梁・耐力壁・基礎など)は「共用部分」であるため、区分所有者が個人の判断で補強工事を行うことはできません。
建物全体の耐震補強工事は共用部分の重大な変更にあたるため、区分所有法に基づき、原則として区分所有者および議決権の各4分の3以上の特別多数決議が必要です(軽微な変更にとどまる工事の場合は過半数の普通決議で実施できるケースもあります)。
旧耐震基準のマンションを購入する際は、「管理組合が耐震改修に積極的か」「修繕積立金が将来の耐震工事費用を賄える水準か」も含めて判断することが重要です。
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③一棟マンション・アパートオーナー(投資用)の場合
一棟まるごと所有する投資用物件のオーナーが耐震基準を確認できる書類は以下のようなものがあります。
耐震基準を確認できる書類
- ・建築確認済証…所有者として自分が保管(または売主から引き継ぐ)
- ・建築計画概要書…役所で取得可能
- ・耐震診断報告書…旧耐震基準の物件であれば自ら発注・取得できる
- ・耐震基準適合証明書…耐震診断の結果、一定の性能が確認された場合に建築士が発行
一棟オーナー特有のチェックポイント
区分所有者とは異なり、一棟オーナーは耐震診断・補強工事を含む対応を自らの判断で進められます。
投資物件として旧耐震基準の一棟マンション・アパートを取得・保有する場合、耐震基準は融資や保険、出口戦略に直接影響します。
- ・融資…金融機関は旧耐震物件に対して担保評価を低く見積もる傾向がある。耐震基準適合証明書があれば評価改善につながる場合がある
- ・保険…地震保険の保険料は建築年や耐震性能によって割引が変わる
- ・出口戦略(売却)…旧耐震基準の物件は買い手が限定され、売却価格が大幅に下落するリスクがある。耐震補強済みであることが売却時の付加価値になる
Is値(構造耐震指標)とは
一棟建物の耐震診断では、「Is値(構造耐震指標)」という数値を用いて耐震性能を評価します。Is値の判定基準は使用する診断方法によって異なります。
- ・第2次・第3次診断…Is値0.6以上で「耐震性あり」と判断される
- ・第1次診断…Is値0.8以上が必要(簡易的な方法のため基準が高め)
耐震診断報告書を受け取った際は、どの診断方法が使用されているかを確認したうえでIs値を読み取ることが重要です。
0.6未満(第1次診断では0.8未満)の場合は耐震補強が推奨されます。
④ビルオーナー(オフィス・商業施設)の場合
事務所ビルや商業施設を所有するビルオーナーは、住宅とは異なる「耐震改修促進法」の対象になる場合があるため、以下のポイントをチェックしましょう。
ビル特有のチェックポイント:特定建築物への法的義務
「耐震改修促進法(建築物の耐震改修の促進に関する法律)」では、旧耐震基準の建築物のうち多数の者が利用する一定規模以上の建築物を「特定既存耐震不適格建築物」と位置づけ、所有者に対して耐震診断・耐震改修の努力義務を課しています。
さらに、2013年改正で新設された「要緊急安全確認大規模建築物」に該当する場合は、耐震診断の実施と結果の所管行政庁への報告が義務付けられ、報告内容は公表される仕組みになっています。
主な対象の目安は以下のとおりです(詳細は建物の用途・規模により異なるため、所管行政庁での確認が必要です)。
- ・昭和56年5月31日以前に着工した建物(旧耐震基準)
- ・要緊急安全確認大規模建築物(耐震診断が義務):病院・店舗・旅館等の不特定多数が利用する建築物で階数3以上かつ床面積5,000㎡以上、老人ホーム等の避難弱者が利用する建築物で階数2以上かつ床面積5,000㎡以上 など
義務化された耐震診断を実施しない場合は、行政による指導・助言、指示、公表の対象となります。
ビルの耐震評価の指標はIs値
ビルの耐震診断でも一棟マンションと同様にIs値が用いられます。
第2次・第3次診断ではIs値0.6未満、第1次診断ではIs値0.8未満が「耐震性不足」の判断となり、補強工事の実施が強く推奨されます。
テナントに対する安全性の告知義務も生じる場合があるため、旧耐震基準のビルを保有するオーナーは早めの対応が求められます。
耐震基準を確認できる書類・手続き
- ・建築確認済証…所有者として保管
- ・耐震診断報告書…自ら発注・取得(特定建築物は法的義務)
- ・耐震改修計画…補強が必要な場合に作成し、行政に認定申請できる
- ・Is値報告書…建築士による耐震診断の成果物
⑤賃貸入居者の場合
賃貸で居住中の方は、以下のような方法で耐震基準を確認できますが、所有する場合と比べて得られる情報が限られることが多いです。
賃貸入居者が使える確認方法
- ・竣工年(物件情報・不動産ポータルサイト)から推測する…1983年(昭和58年)以前竣工の物件は旧耐震の可能性が高い。ただし前述のグレーゾーンに注意
- ・管理会社・大家に直接問い合わせる…建築確認をいつ受けているか、新耐震基準に適合しているかを確認する
- ・建築計画概要書を役所で取得する…建物の住所・地番がわかれば、所有者でなくても市区町村の建築指導課で取得可能。手数料数百円〜数千円※
- ・内見時に確認する…引っ越し先を検討している段階であれば、内見時に仲介会社や管理会社に確認するのが現実的
※窓口での検索には、一般的な住所(住居表示)ではなく、法務局で定められた「地番」が必要になるケースが多いため、事前に登記簿等で確認しておきましょう。
賃貸入居者は構造上の補強を自分では行えません。
現在住んでいる建物が旧耐震基準であっても、管理会社や大家に耐震診断・補強工事の実施状況を確認することで、安全性をある程度把握できます。
耐震性に不安を感じる場合は、新耐震基準(建築確認日が1981年6月1日以降)の物件や耐震補強済みの物件への住み替えを検討するのも一つの選択肢です。
将来的な購入を検討している方は、賃貸中の段階から見分け方の手順を把握しておくと、いざ購入を決断した際にスムーズに動けます。
書類が手元にない・役所でも見当たらない場合
建築確認済証・建築計画概要書いずれも確認できなかった場合の最終手段として、次の方法があります。
- ・登記簿謄本(登記事項証明書)の新築年月日から推測する…竣工年から逆算して建築確認日を推測する方法。ただしあくまで参考値にとどめる
- ・不動産会社(仲介業者)に調査依頼する…専任媒介契約を結んだ不動産会社には書類取り寄せの義務があり、売主や管理会社経由で確認できるケースが多い
書類での確認が理想ですが、取得できない場合でも、不動産会社への調査依頼や耐震診断で判断材料をそろえられます。
ご自身の属性に合わせて、複数の方法を組み合わせて確認しましょう。
■旧耐震マンションを購入する際のリスクと注意点

旧耐震基準のマンションは新耐震基準の物件に比べて価格が低いケースが多いですが、購入にはリスクもあります。
旧耐震基準マンションの購入検討時に知っておきたい注意点を解説します。
住宅ローン審査が通りにくくなるケース
代表的な住宅ローンの1つである「フラット35」は、住宅金融支援機構が定める技術基準への適合(フラット35適合証明書の取得)が利用条件です。
中古住宅では、建築確認日が1981年(昭和56年)6月1日以降であることが原則ですが、建築確認日が同年5月31日以前(旧耐震基準)の住宅でも、住宅金融支援機構が定める「耐震評価基準」等への適合が確認されればフラット35を利用できます。
旧耐震物件の場合、実務上は耐震診断や耐震補強工事を行ったうえで、適合証明検査機関等の物件検査を受けて適合証明書を発行してもらう流れになります。
証明書の取得が困難な物件ではフラット35が利用できず、民間ローンが選択肢となりますが、金融機関によっては旧耐震基準の物件自体を担保評価しないケースもあるため注意が必要です。
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住宅ローン控除・不動産取得税軽減が受けられない場合
住宅ローン控除の判定基準は、建築確認日ではなく 「登記簿上の新築年月日」です。
建築確認は旧耐震基準(昭和56年5月31日以前)でも、登記簿上の新築年月日が昭和57年(1982年)1月1日以降であれば、控除対象となります。
一方、登記簿上の新築年月日が昭和56年12月31日以前の建物(多くは旧耐震基準)は、原則として住宅ローン控除の対象外ですが、「耐震基準適合証明書」「既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)」「既存住宅売買瑕疵保険」のいずれかを取得することで、例外的に控除を受けられます。
不動産取得税の軽減措置も同様で、これらの証明書がなければ軽減を受けられない場合があります。
耐震基準適合証明書は、旧耐震基準の建物でも「建物全体」で耐震診断を受け、現行の耐震基準と同等の性能があると確認されれば取得できます。
しかし、旧耐震基準のマンション(特にRC造)が、耐震補強工事を行わずに現行基準を満たすケースは稀です。
管理組合による建物全体の耐震補強工事が完了していなければ、耐震基準適合証明書を取得することは事実上困難です。
一棟所有者であれば自らの判断で耐震診断・耐震補強工事を発注して証明書取得まで進められますが、マンション区分所有者の場合は管理組合の合意・実施が前提となるため、個人の判断だけでは解決できない点に注意が必要です。
倒壊リスク・建て替え問題・資産価値への影響
地震による倒壊リスクに加え、旧耐震基準のマンションは資産価値・建て替え合意の面でもリスクがあります。
2026年4月1日に施行された改正区分所有法により、耐震性不足など客観的事由がある場合は建て替え決議の要件が従来の『5分の4以上』から『4分の3以上』へ緩和され、一棟リノベーション(建物の更新)も同要件で実施できるようになりました。
合意形成が現実的になった一方、耐震性不足が認定された物件では、購入・リノベーション後に建て替え決議が成立し、想定外のタイミングで建て替えを迫られるリスクもあります。
将来の売却時の価格下落リスクとあわせて、管理組合の動向を事前に確認することが重要です。
■旧耐震物件とリノベーションの可能性|区分所有・一棟所有それぞれの考え方

「気に入った立地に旧耐震の物件しかない」「旧耐震だけど価格が魅力的」という場合に取れる対策を紹介します。
マンション区分所有者の場合:耐震補強はできないが、室内は変えられる
分譲マンションの構造部分(柱・梁・耐力壁・基礎など)は「共用部分」であり、耐震補強は管理組合の決議を経て建物全体として実施するものです。
そのため、区分所有者が個人の判断で耐震補強を行うことはできません。
住戸内部(専有部分)については自由にリノベーションが可能で、間取り変更・設備更新・断熱改修・内装刷新を行えます。
旧耐震物件の購入を検討する場合は、管理組合の耐震診断実施状況・補強工事の有無・長期修繕計画への組み込み状況を先に確認したうえで、専有部分のリノベーションを検討しましょう。
一棟マンション・アパートオーナーの場合:耐震補強+フルリノベーションが可能
一棟まるごと所有する場合は、オーナー権限で建物全体の耐震診断・改修・リノベーションを組み合わせて進められます。
旧耐震基準の一棟物件を取得・運用する場合は、必要に応じて耐震診断・耐震改修を構造の専門家と連携しながら進めることで、資産価値の向上・融資評価の改善・入居者への安全性訴求につなげることができます。
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特に東京・千葉・神奈川エリアには1970〜80年代建設の旧耐震一棟マンション・アパートが多く存在し、立地条件は良いものの耐震性の問題で市場評価が低い物件も少なくありません。
こうした物件を旧耐震のまま購入して高稼働で運用しているオーナーも多い一方、長期保有・売却を見据えると耐震対応済み物件との差は無視できません。
ビルオーナーの場合:法的義務への対応と一棟リノベーションで価値再生
旧耐震基準のオフィスビルや商業ビルは、前述のとおり耐震改修促進法による法的義務への対応が求められる場合があります。
義務対応としての耐震補強に加えて、フルリノベーションによってオフィス・ホテル・民泊・住居など用途を転換し、建物の収益力を再構築する事例が増えています。
SHUKEN Reではビルの一棟リノベーション実績も多数あり、用途変更を含む企画提案から施工まで対応しています。
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旧耐震物件を選ぶ場合に確認すべきポイントまとめ
旧耐震物件の購入を検討する際のポイントをまとめます。
耐震診断の有無・補助金制度の活用
多くの自治体では、旧耐震基準の建物に対して耐震診断費用の補助や耐震補強工事費用の助成制度を設けています。
東京都・神奈川県・千葉県でもそれぞれ補助制度があります。
一棟オーナー・ビルオーナーは工事費用の一部を自治体補助でカバーできる可能性があるため、購入・取得前に対象エリアの補助制度を確認することをおすすめします。
管理組合・管理体制による耐震改修の履歴(マンション区分所有の場合)
マンション区分所有を検討する場合は、過去の大規模修繕工事の履歴・長期修繕計画の有無・修繕積立金の積み立て状況を確認します。
管理組合や管理会社から「重要事項に係る調査報告書」を取り寄せることで、耐震診断の実施状況や補強工事の有無を把握できます。
■新耐震基準・旧耐震基準に関するよくある質問

最後に、東京・千葉・神奈川エリアで約25年にわたり8,000件超のリノベーション設計・施工実績があるSHUKEN Reが、新耐震基準・旧耐震基準にまつわるよくある疑問にお答えします。
■まとめ
新旧耐震基準の境界線は「建築確認日が1981年6月1日以降かどうか」であり、竣工年だけでは判断できません。
見分け方は立場によって異なり、マンション区分所有者は管理組合の耐震対応状況・修繕積立金の充足度を購入前に確認することが重要です。
区分所有マンションでは構造部分が共用部分にあたるため、個人で耐震補強を行うことはできません。
建物全体の耐震状況を先に把握したうえで、住戸内の専有部分のリノベーションを検討しましょう。
一棟オーナー・ビルオーナーは所有者権限で耐震診断・改修・リノベーションを組み合わせて進められます。
SHUKEN Reでは、東京・千葉・神奈川エリアの中古マンションの専有部フルリノベーションから、一棟マンション・アパート・ビルの一棟リノベーション(用途変更含む)まで幅広く対応しています。
旧耐震物件の取得・活用についても、物件選びの段階からお気軽にご相談ください。
Q 新耐震基準なら地震で絶対に倒壊しませんか?
絶対という保証はありませんが、旧耐震基準と比べて大幅にリスクが低いといえます。
新耐震基準は「震度6強〜7程度の大規模地震でも倒壊・崩壊しない」ことを目的として設計されています。
ただし、建物の立地する地盤の状況、施工品質、建設後のメンテナンス状況なども耐震性に影響します。
熊本地震(2016年)では一部の新耐震基準建物にも大きな被害が出たことから、耐震基準への適合だけでなく個別の耐震診断が重要と指摘されています。
Q 築年数だけで新耐震かどうか判断できますか?
築年数(竣工年)だけでは判断できません。
新旧の境界線は「建築確認日が1981年6月1日以降かどうか」です。
竣工が1982〜1983年であっても旧耐震基準の建物が存在します。
必ず建築確認済証や建築計画概要書などの書類で確認してください。
Q 旧耐震マンションはいつまで住めますか?
法律上の「建物の使用期限」は特に定められていません。
ただし、老朽化・耐震性の問題が顕在化した場合は行政から指導を受けることがあります。
また、2026年4月1日に施行された改正区分所有法により、耐震性不足など客観的事由がある場合に建て替え決議の要件が「5分の4以上」から「4分の3以上」に緩和されました。
これにより建て替え・一棟リノベーションの合意形成が現実的になっています。
旧耐震マンションに住み続けるのであれば、管理組合の耐震診断・補強・建て替えに関する議論の状況を定期的に確認することが重要です。









