公開日:2026-07-26
民泊のローンはどう組む?融資の種類・審査の流れ・成功のポイントを解説

民泊事業を始めるとき、大きな壁になるのがどのようにローンを組むのかという点です。
民泊施設は一戸建てやマンションなどの一般的な住宅とはローンの組み方が異なり、どのように資金調達を進めれば良いのか分かりづらいのが現状です。
そこでこの記事では、民泊開業でローンを組む時に使える金融商品の種類、準備から融資までの流れなどの情報を分かりやすくまとめました。
これから民泊の開業計画や資金調達に取り組む方は、ぜひ参考にしてください。
- ・民泊開業に使えるローンは複数あり、金利や融資上限、返済期間などの条件が異なります。
- ・住宅宿泊事業法(民泊新法)と旅館業法(簡易宿所)で、利用できるローンの種類が変わります。
- ・民泊ローンの審査を通すためには、物件選定の段階からリノベーション計画も同時進行し、正確な費用総額を把握することが重要です。
■民泊開業で住宅ローンは原則使えない

民泊の資金調達を考えるうえで、最初に押さえておきたいのが「住宅ローンは原則として使えない」という点です。
住宅ローンは、自分が居住するための住宅を取得・改修することを目的としたローンであり、事業用途への転用は認められていません。
住宅ローンを組んで取得した物件で民泊運営をした場合、金融機関に発覚した時点で残債の一括返済を求められるリスクがあります。
例外として、自宅の一部を宿泊者に貸す「家主居住型民泊(ホームステイ型)」の場合は、居住割合や運用形態によっては住宅ローンを継続したまま認められるケースもあります。
なお、その場合でも融資を受けている金融機関への事前相談と承諾が必須であり、無断で民泊を運営した場合は規約違反に問われるリスクがあるため注意が必要です。
ただしこれは一般的な民泊投資や物件リノベーションには当てはまらないケースがほとんどのため、基本的には「事業融資」としてローンを組むことが大前提です。
■民泊開業で使える主なローンの種類

民泊開業の資金調達で使える主な融資は、以下の3種類です。
ただし、民泊施設の開業方法には住宅宿泊事業法(民泊新法)と旅館業法(簡易宿所)の2パターンがあり、どの開業方法を選ぶかによって利用できるローンが異なります。
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住宅宿泊事業法(民泊新法) |
旅館業法(簡易宿所) |
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民泊専用ローン(不動産担保ローン) |
〇 |
〇 |
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民間銀行の事業ローン |
〇 |
〇 |
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日本政策金融公庫 |
△(条件付きで可 / 要確認) |
〇 |
日本政策金融公庫のローンは、原則として旅館業法の許可を前提とするケースが多く、住宅宿泊事業法では要件が厳しくなる、あるいは対象外となることがあるため注意が必要です。
住宅宿泊事業法と旅館業法の違いについては、〈民泊の始め方を5ステップで分かりやすく解説〉〈民泊新法(住宅宿泊事業法)とは?〉のコラムを参考にしてみてください。
ここからは、それぞれのローンごとの基本的な要件や特徴の違いをチェックしていきましょう。
民泊専用ローン(不動産担保ローン)
民泊専用ローンは、既存の不動産を担保に融資を実行する不動産担保ローンの1種です。
不動産担保ローンは以前から存在していますが、近年はインバウンド需要の拡大を背景に、民泊事業者向けに条件を整えた専用商品を提供する金融機関が増えています。
担保を提供することで、無担保ローンと比べて高額・低金利での借り入れがしやすい点が民泊専用ローンのメリットです。
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金利 |
変動金利 3.55%~4.55% |
変動金利 ※具体的な金利は要問合せ |
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返済期間 |
1年超~35年以内 |
1年以上20年以内(1年単位) |
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融資額 |
300万円~10億円 |
1,000万円以上1億円以内で当該購入物件の購入価格等の範囲内 |
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担保 |
必要 ※融資対象の土地建物 |
必要 ※融資対象の土地建物 |
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連帯保証人 |
原則不要 |
原則不要 |
※2026年6月時点の情報です
金融機関によって条件は異なりますが、比較的返済期間の上限が長めで、融資額の上限も高い傾向があります。
物件取得からリノベーションまで、まとまった費用を借り入れやすい点がメリットです。
また、ローンを利用する土地・建物への抵当権の設定は必要ですが、連帯保証人が原則不要なのも特徴です。
このように民泊専用ローンは比較的条件が良く、旅館業法・民泊新法の許認可の条件がないため民泊施設の開業で利用しやすい傾向があります。
デメリットとしては、返済が滞った場合、担保として差し入れた不動産を失うリスクがあります。
また融資額は担保となる不動産の評価によって決まるため、物件の状態・立地・収益性によっては希望額に届かないケースもあります。
民間銀行の事業ローン(無担保型)
メガバンク・地方銀行・信用金庫など多くの民間銀行が扱う事業ローンは、無担保でスピーディーに事業資金を借り入れできるのが特徴です。
金融機関によって、ビジネスローン、フリーローンなど別の名称で呼ばれることもあります。
民泊事業向けの専用商品ではありませんが、資金使途が幅広く、民泊物件の取得やリノベーションにも利用しやすいです。
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※対象は個人事業主、神奈川県内・東京都町田市に居住または事業所のある方 |
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金利 |
固定金利 4.8%・8.8%・11.8%・14.8%(審査によりいずれかの金利が適用) |
変動金利 年4.8%~14.5% ※金利は変動 |
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返済期間 |
6ヵ月以上15年以内(1ヵ月単位) |
要確認 |
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融資額 |
10万円以上1,000万円以内(1万円単位) |
10万円以上500万円以内 |
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担保 |
不要 |
不要 |
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連帯保証人 |
不要 |
不要 |
※2026年6月時点の情報です
金融機関によって審査基準や条件は異なりますが、事業用ローンは担保・保証人が不要なケースが多いのがメリットです。
ただし、無担保である分、融資額の上限は低めで、返済期間も短く設定されているため、用途は限られます。
ある程度自己資金があり、不足する分をスムーズに借り入れたい場合に向いているローンです。
日本政策金融公庫(公的融資)
政府100%出資の政策金融機関である日本政策金融公庫は、民間の金融機関と異なり、創業・新規事業を支援することを目的としています。
民間金融機関では実績不足で融資を断られやすい新規開業でも、創業支援を目的とする公庫なら相談の土台に載りやすい点がメリットです。
ただし門戸が広い分、後述のとおり事業計画の中身(収益性・返済能力)は厳しく審査されます。
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金利 |
固定金利(基準利率) 2.5%~4.8%(有担保) 3.45%~5.15%(無担保、税務申告を2期終えていない方) |
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返済期間 |
運転資金:5年以内(特に必要な場合7年以内) 設備資金:10年以内 |
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融資限度額 |
4,800万円 |
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担保 |
要相談 |
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連帯保証人 |
要相談 |
※2026年6月時点の情報です
変動金利が中心の民間ローンと異なり、固定金利(基準利率)で返済額が安定し、条件によっては低金利で借り入れできる点が日本政策金融公庫のメリットです。
また、担保と保証人は必須ではなく、相談しながら条件を決められます。
ただし、比較的返済期間が短めで、民泊施設の開業では、収益性や返済能力が厳しくチェックされる点がデメリットです。
また、旅館業法における簡易宿所の営業許可を前提とするケースが多く、住宅宿泊事業法は対象外になる可能性もあります。
さらに、事業計画書の売上予測や経費計算に根拠がないと、実現性が低いと判断され、審査に通らない、あるいは希望額を借り入れできないといったリスクが高まります。
■民泊開業でローンを組む流れ

民泊開業のためにローンを組む流れを、5ステップでチェックしていきましょう。
一般的な事業融資と異なり、民泊は許認可の取得が必要なため、資金計画と並行して開業形態の方針を固めることが重要です。
①物件・リノベーション計画を固め、必要資金を算出する
民泊ローンを組むための最初のステップは、開業にかかる費用を明確にすることです。
必要資金は、物件取得費・リノベーション費用・諸費用(登記費用・許認可申請費など)・開業後の運転資金などさまざまな項目があります。
必要資金の総額を把握しないと、自己資金とのバランスや、いくら借りるべきなのか分からず、どのローンを選べばよいのか判断できません。
このうちリノベーション費用は、間取り変更・水回りの改修・防音対策・消防設備の設置など工事内容によって大きく変わります。
民泊開業にかかるリノベーション費用については、〈民泊許可に必要な費用の内訳と相場を解説〉もご覧ください。
②許認可の形態を決める
必要資金の把握と並行して、住宅宿泊事業法と旅館業法(簡易宿所)のどちらで開業・運営するかを確定させます。
前章で解説した通り、許認可の形態によって使えるローンが変わるため、融資先の選定より前に方針を固めることが資金計画の前提になります。
また、住宅宿泊事業法と旅館業法では、開業のハードルや営業日数などの条件も変わるため、立地や後述する事業計画とあわせて比較検討しましょう。
③事業計画をつくる
融資審査を通してローンを組むためには、事業計画によって、民泊事業が成り立つかどうかを数字で示すことが重要です。
客室数・想定稼働率・宿泊単価・ランニングコスト(清掃費・管理手数料・光熱費など)を具体的に記載し、収益と返済の見通しを明示します。
事業計画の数値は、楽観的すぎる稼働率や単価を並べるのではなく、近隣の民泊施設の実績をベースに保守的に組むことが重要です。
インバウンド需要の拡大など、市場背景やエリアの特性を補強材料として事業計画に加えるのも有効です。
④自己資金と必要書類を準備する
民泊開業でフルローンを組むことも不可能ではありませんが、審査通過率・返済負担の面で自己資金があるほうが有利です。
前述した必要資金の総額に対して、10〜30%程度の自己資金を用意するのが理想的です。
申し込みに必要な書類は金融機関によって異なりますが、一般的には以下のようなものが必要になります。
- 本人確認書類
- 借入申込書
- 事業計画書・収支計画書
- 確定申告書(既存事業がある場合)
- 取得予定の物件情報
- 施工会社による正式な見積書
用意するのに時間がかかる書類もあるため、申し込み予定の金融機関の条件を確認し、なるべく早めに準備しましょう。
⑤金融機関への申し込み・審査・融資実行
必要書類がそろったら、金融機関の窓口へ申し込みを行います。
審査期間は金融機関によって異なりますが、1〜2ヵ月程度を見込んでおくのが一般的です。
融資実行のタイミングが物件契約・工事着工のスケジュールに影響するため、早めに動き出すことが重要です。
審査が通ったら、物件の売買契約やリノベーションの工事請負契約を交わし、具体的に開業計画をスタートできるようになります。
ここまで見てきた民泊ローンを組むための流れの中で、特に重要になるのは施工会社の選定とリノベーション計画です。
ローン審査で金融機関がチェックする「具体的なリノベーションプランと費用の根拠となる見積書」「完成後の運用イメージや収益性」は、施工会社との連携が必要になります。
また、旅館業法(簡易宿所)で200㎡超の建物を宿泊用途に変える場合の用途変更確認申請(建築基準法)や、自動火災報知設備の設置要件(消防法)など、複雑な法令をクリアした実現可能なプランであることも審査でチェックされます。
民泊施設づくりに精通した施工会社に早い段階から相談することが、資金調達の成功率を高めるポイントです。
私たちSHUKEN Reは、これまで多くの民泊施設づくりを手掛けた実績を持つリノベーション専門店です。
開業物件の選定やチェック、具体的なリノベーションプランづくりや見積もりなど、ローン計画を含めて民泊施設づくりをトータルサポートいたします。
ぜひお気軽にご相談ください。
■民泊のローン計画でよくある質問

最後に、民泊開業でローン計画を立てる際によくある質問をまとめました。
■まとめ|民泊ローンはリノベーション計画と同時進行が基本
民泊開業の資金調達は、住宅ローンではなく事業融資を組むことが基本となり、融資までの流れも異なります。
融資を通すためには、物件の取得費用だけでなく、リノベーションを含めた必要資金の算出、事業計画の策定といったさまざまな工程が必要です。
事業計画の精度や資金調達の成功率を高めるためには、なるべく早い段階で民泊づくりに詳しい施工会社に相談することが大切です。
私たちSHUKEN Reは、物件選定から資金計画、リノベーションまで民泊開業をトータルサポートいたします。
ローンの審査に必要なプランニングや見積もり、事業計画づくりまでお手伝い可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
Q 既存の住宅ローンが残っている物件で民泊を始めることはできますか?
家主居住型民泊など一部のケースを除き、原則としてできません
住宅ローンの残債がある物件で民泊を始めることは、原則として契約違反になります。
住宅ローンは自己居住を目的とした融資であるため、民泊運営のように事業用途に転用した場合、金融機関に発覚した時点で残債の一括返済を求められるリスクがあります。
ただし、自宅の一部を貸す家主居住型民泊(ホームステイ型)であれば、居住実態が維持されているとして認められるケースもあります。
いずれの場合も、まず現在の契約内容を確認し、金融機関に事前相談することが必須です。
民泊運営を本格的に始める場合は、住宅ローンから事業融資への借り換えを検討することが現実的な選択肢になります。
Q 複数の金融機関から借り入れを分けることはできますか?
可能ですが、審査に影響するケースもあります
民泊開業の必要資金を、複数の金融機関から借り入れることは実務上可能です。
ただし、複数の融資を並行して進める場合、それぞれの審査で返済能力の総合的な判断がされるため、借り入れ総額と収益計画のバランスが重要になります。
金融機関によっては、他行からの借り入れ状況を審査の判断材料にするケースもあります。
また、金融機関によって審査スケジュールが異なるため、融資実行のタイミングを考慮した上で進めることも重要です。









