公開日:2026-08-26
民泊の180日ルールとは?数え方・罰則からゼロ日規制の最新動向まで解説

住宅宿泊事業法における民泊は、年間180日という営業日数のルールがあり、上限を超えて営業すると法律違反となります。
さらに近年は、民泊施設の騒音やゴミ出しなどによるトラブルが原因で、自治体の条例により180日よりも短い日数しか営業できないエリアも増えています。
加えて2026年7月には、自治体が条例で営業可能日数を実質ゼロと定める「ゼロ日規制」について条件付きで容認する方針を、国土交通省(観光庁)・厚生労働省の連名で通知しました。
法律上の上限は180日ですが、実際にどのエリアでも180日まで営業できるとは限らない状況になっており、慎重に開業計画を進めないと、経営が続けられなくなるリスクもあります。
そこでこの記事では、多くの民泊施設づくりを手掛けてきたSHUKEN Reが、180日ルールの基礎知識から、条例による規制やゼロ日規制の最新動向まで詳しく解説します。
- ・民泊の180日ルールは全国共通ですが、自治体によっては条例による上乗せ規制でさらに短くなるケースもあります。
- ・営業日数の上限を破ると法令違反となり、罰則や業務停止命令を受ける可能性があります。
- ・民泊開業エリアや物件を選ぶ際は、収益性だけでなく、市場動向を踏まえた営業日数や曜日などの制限にも注意が必要です。
目次
■民泊の180日ルールとは

住宅宿泊事業法(民泊新法)における民泊施設は、年間の営業日数が180日までと定められています。
そもそも民泊とは、届出を行うことで、住宅に宿泊者を泊めて宿泊料を得る「住宅宿泊事業」を行うことを指します。
以前は旅館業法上の許可を得なければ宿泊事業を営めませんでしたが、2018年施行の住宅宿泊事業法によって届出制での民泊開業が可能になりました。
民泊は用途地域の制限が比較的緩やかで個人でも参入しやすい一方で、営業日数の上限という制約も設けられています。
住宅宿泊事業法の詳細については、「民泊新法(住宅宿泊事業法)とは?【2025年改正対応】」もご覧ください。
180日の数え方
180日の営業日数は、毎年4月1日の正午から翌年4月1日の正午までを1年間として数えられます。
1月1日から12月31日までの暦年ではない点に注意が必要です。
カウントの対象となるのは、実際に宿泊者を泊めた日数であり、予約のみで宿泊が発生しなかった日や空室の日は含まれません。
1日の単位は正午を基準に区切られます。
例えば、正午にチェックインし、翌日の正午までにチェックアウトした場合は1日分としてカウントされます。
また、この上限は事業者単位ではなく、届出住宅ごとに適用される点も押さえておきましょう。
複数の物件を運営する場合は、物件ごとに残日数を管理する必要があります。
なお、民泊にはホストが住宅に居住しながら運営する「家主居住型」と、不在のまま運営する「家主不在型」の2つの形態がありますが、180日という上限自体はどちらの形態でも変わりません。
ただし、家主不在型の民泊は、自治体の条例によって営業日数にさらに厳しい制限がかけられているケースもあります。
自治体の条例による上乗せ規制については、後半で詳しく解説します。
■民泊の180日ルールが設けられた理由

180日という営業日数の上限は、民泊の急速な広がりによって生じる複数の問題に配慮して設定されました。
営業日数の上限が設けられた理由は大きく分けると次の3点です。
- 住宅地の生活環境を守るため:宿泊者の出入りが多くなることによる、騒音やゴミ出しマナーなど、近隣住民とのトラブルを防止し住環境を守る
- 旅館業法上の宿泊施設との公平性を保つため:厳しい許可基準をクリアしたホテルや旅館と、届出のみで開業できる民泊が無制限に競合しないようにする
- 住宅としての性格を維持するため:宿泊事業への転用が進みすぎ、地域の住宅不足や家賃高騰が進行するのを防ぐ
なかでも、住宅地でも営業できる民泊において住環境を維持することは大きな目的であり、あくまで「住宅の空き時間を活用する」範囲にとどめる制度として設計されています。
180日ルール違反は罰則あり
180日の上限を超えて民泊を営業すると法令違反となり、行政処分と刑事罰の両方が科される可能性があります。
まず、都道府県知事等は、法令違反があった事業者に対して業務改善命令を出すことができ、従わない場合は業務停止命令や事業廃止命令に進みます。
これらの命令に違反した場合、住宅宿泊事業法により6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象となるため注意が必要です。
さらに、上限を超えた営業は届出の範囲を逸脱した無許可の宿泊事業(旅館業法違反)とみなされ、同様に6か月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金の対象となるおそれがあります。
こうした処分は事業の廃止や予約サイト(OTA)からの掲載停止にもつながるため、一度の違反で民泊の営業を続けられなくなるリスクが高いです。
■180日を超えて宿泊事業を続ける・物件を活用する方法

集客力が高い立地で民泊を開業する場合、180日ルールの範囲内だと収益性には限りがあるため、さらに多く営業したいと考えるケースも少なくありません。
そこで、住宅宿泊事業法以外の制度に切り替えることで、営業日数の制限をなくす方法をご紹介します。
| 制度 | 年間営業日数 | 手続き | 最低宿泊日数 | 用途地域の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 住宅宿泊事業(民泊新法) | 180日まで | 届出 | なし | 住居専用地域でも可(条例で制限あり) |
| 簡易宿所(旅館業法) | 上限なし | 許可 | なし | 住居専用地域は不可 |
| 特区民泊 | 上限なし | 認定 | 2泊3日以上 | 実施自治体の区域内のみ |
| 旅館・ホテル営業 | 上限なし | 許可 | なし | 住居専用地域は不可 |
| 定期借家(マンスリー) | 制限対象外 | 賃貸借契約 | 1か月以上 | 住居系でも可 |
簡易宿所(旅館業法の許可)
旅館業法上の簡易宿所営業許可を取得して宿泊事業を開業すれば、日数の上限なく年間を通じて営業可能です。
ただし、客室の最低床面積や換気設備など、住宅宿泊事業よりも厳しい構造設備基準を満たす必要があります。
自治体の条例によっては玄関帳場(フロント)の設置が求められる場合もあります。
また、簡易宿所はホテルや旅館と同じように、住居専用地域など一部の用途地域では開業できない点にも注意が必要です。
特区民泊
国家戦略特区に指定されたエリアでは、条例で定めた要件を満たすことで、日数制限のない「特区民泊」として運営できます。
ただし、2026年7月時点で実施しているのは、東京都大田区・新潟市・北九州市・千葉市など一部の自治体に限られます。
大阪府のように、多くの自治体で特区民泊の新規受け付けを終了するケースも少なくありません。
参照:大阪府 国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(特区民泊)にかかる今後の対応方針について
また、国の基準により2泊3日以上の滞在が条件とされているため、短期滞在中心の需要には対応しにくい点にも注意が必要です。
旅館業法上の旅館・ホテル営業許可
より本格的に宿泊事業を展開する場合は、旅館・ホテル営業の許可を取得する方法もあります。
玄関帳場(フロント)の設置や客室の最低床面積、換気・採光といった構造設備の基準が簡易宿所よりも厳格になるため、初期投資は大きくなりやすいです。
通年の観光・ビジネス需要などがあり、大きな収益が期待できるエリアでは、有力な選択肢になります。
定期借家(マンスリーマンション)
宿泊事業ではなく、1か月以上の期間で部屋を貸し出す定期借家契約に切り替える方法もあります。
これは旅館業法にも住宅宿泊事業法にも該当しない「賃貸借」として扱われるため、日数の制限を受けません。
ただし、短期の宿泊需要に応えられなくなるため、想定していた収益モデルとは性質が変わる点を踏まえておく必要があります。
繁忙期の連続した180日間を民泊にあて、残りの期間をまとめて定期借家で貸し出すという併用も1つの考え方です。
ただし定期借家は1か月以上の契約が前提となるため、民泊の営業期間と賃貸期間をあらかじめまとめて区切っておく必要があります。
■180日ルールだけでなく条例による日数制限もある

民泊の180日の上限はあくまで国が定めた全国共通のルールであり、自治体が条例で独自の規制を上乗せしているケースが数多くあります。
上乗せ条例の代表例は、住居専用地域などで平日の営業を禁止し、週末や祝日前後に限定するタイプです。
例えば土日のみ営業可能な自治体の場合、祝日を除いて単純計算すると「約52週×2日」で年間104日程度にとどまり、上限の180日には届きません。
こうした上乗せ規制は、学校や保育施設周辺、閑静な住宅街など、地域の実情に応じて自治体ごとに設定されているため、エリアによって実際に営業できる日数は大きく異なります。
自治体の上乗せ条例については「民泊規制が経営に与える影響とは?規制強化によるデメリットと対策を解説」もご覧ください。
また、2026年7月には、観光庁・厚生労働省から、全国の地方公共団体に向けて技術的助言が通知されました。
この通知には、(1)条例による「ゼロ日規制」を条件付きで容認すること、(2)自治体の判断で、住宅宿泊事業者にカメラ設置などICTを活用した管理体制を義務づけられること、の2つの柱があります。
ゼロ日規制とは、自治体が条例で年間の営業可能日数を実質的にゼロと定め、そのエリアでの民泊営業を事実上禁止する規制手法です。
対象となるのは、生活環境の悪化が具体的に生じている区域で、規制の必要性・合理性を客観的な資料で説明できる場合などです。
これまで国は、立地そのものを制限するゼロ日規制について慎重な姿勢を示してきました。
しかし、民泊施設による近隣トラブルや苦情が急増したことが、今回の方針転換を後押ししたとみられます。
すでにトラブルが生じているエリアでは、新規参入の防止だけでなく、既存の民泊施設に対する制限も認められる内容になっています。
参照:地方公共団体に対して民泊に関する通知を行いました~「住宅宿泊事業法に規定する届出住宅に係るゼロ日規制等について(技術的助言)」の発出について~
■収益性と営業日数のバランスで立地を選ぶ重要性

ここまで見てきたとおり、180日という上限はあくまで全国共通の基準であり、実際に営業できる日数はエリアによってさらに短くなります。
民泊開業でエリアや物件を選ぶ際は、立地や収益性に加えて、地域の実情を踏まえた営業日数の規制動向を把握することも重要です。
利回りや物件価格だけを基準にエリアや物件を選ぶと、開業後に想定外の規制強化に直面するおそれがあります。
例えば、購入時には上乗せ規制がなかったエリアでも、周辺で民泊トラブルが増えれば、条例改正によって営業可能日数が大きく減らされたり、ゼロ日規制の対象区域に指定されたりする可能性もゼロではありません。
リフォーム・リノベーションに数百万円単位の費用をかけたあとにこうした事態が起これば、民泊として運営できなくなり、投資回収の計画そのものが崩れてしまいます。
上乗せ条例やゼロ日規制の対象区域、今後の改正予定は、自治体ごとに異なるうえ、条例や議会での検討状況は随時更新されます。
不動産情報だけを見て物件を選んでも、こうした行政の動きまでは把握しきれないのが実情です。
180日を超えて営業するなら、建物・工事の要件も変わる
前述したように、簡易宿所や旅館業許可で通年運用を目指す場合、営業日数だけでなく建物側の条件も変わります。
- ・用途変更:住宅から簡易宿所・ホテル等へ用途を変えると、規模によっては建築基準法上の用途変更手続きが必要
- ・消防設備:宿泊用途は住宅より基準が厳しく、自動火災報知設備・誘導灯・消火器などの追加が必要
- ・間取り・動線:客室の最低床面積、フロント(玄関帳場)、換気・採光など、制度ごとの構造設備基準を満たす設計が求められる
これらの法的要件への適合は、物件によって変わります。
民泊施設の用途変更や費用相場については「民泊開業で用途変更が必要なケース・不要なケース」「民泊リノベーションの費用相場」もご覧ください。
民泊開業を検討する物件によって、工事費・工期が大きく変わるため、購入・契約前にリノベーション会社と一緒に「その制度で営業できる建物か」を確認することが重要です。
そこで重要になるのが、民泊施設づくりの実績があり、エリアごとの規制動向や市場の実情に詳しい専門家に相談することです。
物件選定の段階から規制の見通しを踏まえたアドバイスを受けることで、収益性と運営の継続性を両立させたエリア選びがしやすくなります。
SHUKEN Reは、東京・千葉・神奈川を中心に、一棟まるごとの民泊活用から区分マンションの民泊転用まで数多く手掛けてきました。(会社全体ではリノベーション・リフォーム実績が約20年で8,000件超)
エリアごとの条例や規制動向を踏まえた物件選定のアドバイスから、民泊利用を前提とした間取り・設備のリノベーション、開業後の運営を見据えた提案まで、トータルサポートが可能です。
収益性だけでなく、開業後も長く営業を続けられるエリア・物件選びをしたい方は、ぜひSHUKEN Reにご相談ください。
■民泊180日ルールについてよくある質問
最後に、東京・千葉・神奈川エリアで多くの民泊施設づくりを手掛けてきたSHUKEN Reが、民泊180日ルールについてよくある質問にお答えします。
■まとめ
民泊の180日ルールは、住宅宿泊事業法によって定められた営業日数の上限です。
数え方や罰則を正しく理解しておくことは、合法的に民泊を運営するための最低条件といえます。
一方で、自治体の上乗せ条例やゼロ日規制の広がりにより、180日という上限だけを見ていては開業後に想定外の規制強化に直面するリスクが高まっています。
収益性や物件価格だけを基準にエリアを選んでしまうと、条例改正によって営業日数が大きく減らされたり、営業自体ができなくなったりする可能性もゼロではありません。
だからこそ、開業前の段階から、エリアごとの規制動向や市場の実情に詳しい専門家に相談することが重要です。
SHUKEN Reは、東京・千葉・神奈川を中心に、民泊施設を含む数多くのリノベーションを手掛けてきた実績があり、物件選定から施工、開業後の運営を見据えた提案まで、トータルでサポートしています。
民泊開業や既存物件のリノベーションを検討している方は、ぜひ一度SHUKEN Reにご相談ください。
Q 180日を超えて営業するとバレる?
発覚する可能性が高いです
住宅宿泊事業者には、2か月ごとに営業日数を自治体へ報告する義務があり、実態と食い違いがあれば行政の調査対象になります。
また、AirbnbやBooking.comなどの予約サイトには宿泊履歴が残るため、行政がさかのぼって超過を確認することも可能です。
そのほか、宿泊者の頻繁な出入りや騒音・ゴミ出しのマナー違反から、近隣住民が自治体へ通報し、発覚につながることも少なくありません。
前述したように180日ルールに違反すると罰則があるため、法律を守って民泊を運営しましょう。
Q 民泊の日数制限に違反していないか自分で確認する方法は?
定期報告の記録と、実際の予約実績を照合して確認します
民泊制度運営システムには2か月ごとに報告した営業日数が記録されているため、まずはその累計を確認します。
そのうえで、AirbnbやBooking.comなど各予約サイトの宿泊実績を合算し、報告済みの日数と一致しているかを照合します。
複数の予約サイトに掲載している場合は、システム上の記録だけでは実態を把握しきれないため、この突き合わせが欠かせません。









