公開日:2026-08-05 

資産管理会社を設立するメリット・デメリット|不動産投資でのリノベーション活用戦略

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資産管理会社の設立イメージ

 

不動産投資の規模を拡大していくと、所得税の負担や個人名義での融資枠の限界に直面する場面が増え、資産管理会社の設立が選択肢に挙がることが多いです。

 

資産管理会社については、節税や相続対策といった一般的なメリットを解説する記事は数多く存在します。

 

しかし、法人化によって生まれた経費計上の自由度や資金調達力を、その後の投資判断や経営にどう活かすかまで踏み込んだ情報は多くありません。

 

そこでこの記事では、資産管理会社を設立する具体的なメリット・デメリットを整理したうえで、不動産投資におけるリノベーションの活用による経営戦略まで詳しく解説します。

 

ご自身の保有状況や事業計画と照らし合わせながら、不動産投資の判断材料としてお役立てください。

 

この記事のポイント
  • ・資産管理会社の設立は、リノベーションによる収益性の向上と組み合わせることで、不動産投資の拡大につながります。
  • ・法人化による維持費の増加や資産の私的流用の制限など、個人経営と比較した際のデメリットも押さえておきましょう。
  • ・資産管理会社名義でリノベーションをする場合は、費用内訳の明確化や長期的な資金計画など、個人経営よりシビアな視点が求められます。
SHUKEN Re 編集部


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■資産管理会社とは

 

資産管理会社のイメージ

 

資産管理会社とは、不動産や株式などの個人資産を、法人名義で管理・運用するために設立する会社を指します。

 

不動産投資においては、法人が物件そのものを取得する「不動産所有方式」と、物件は個人が所有したまま法人が管理業務のみを担う「管理委託方式」がありますが、節税効果が大きいことから不動産所有方式が選ばれるのが一般的です。

 

本記事でも、不動産所有方式の資産管理会社を前提に解説します。

 

資産管理会社を設立する目的として多く挙げられるのが、所得税と法人税の税率差を利用した節税、相続時の資産評価を圧縮する相続対策、そして次世代への事業承継の3点です。

 

これらの目的は不動産投資に限らず、株式や有価証券など幅広い資産を保有する資産家にも共通して見られます。

 

一方で、不動産投資家が資産管理会社を検討する背景には、単なる節税だけでなく、規模拡大に伴う融資枠の確保や、法人ならではの経費計上の幅を活用したいという事情も関わってきます。

 

具体的にどのようなメリットが得られるのか、次章で整理します。

 

 

■不動産投資における資産管理会社設立のメリット

 

資産管理会社を設立した不動産オーナー

 

不動産投資において資産管理会社を設立することには、さまざまなメリットがあります。

 

まずは、資産管理会社をつくる基本的なメリットを1つずつチェックしていきましょう。

 

 

所得税・法人税の税率差による節税効果

 

不動産投資による所得が一定の水準を超える場合、資産管理会社を設立することで所得税と法人税の税率差による節税効果を得られる可能性があるのもメリットです。

 

課税される所得金額

税率

控除額

1,000円から1,949,000円まで

5%

0円

1,950,000円から3,299,000円まで

10%

97,500円

3,300,000円から6,949,000円まで

20%

427,500円

6,950,000円から8,999,000円まで

23%

636,000円

9,000,000円から17,999,000円まで

33%

1,536,000円

18,000,000円から39,999,000円まで

40%

2,796,000円

40,000,000円以上

45%

4,796,000円

出典:国税庁 所得税の税率

 

個人の所得税は累進課税のため所得が増えるほど税率が上がり、課税所得4,000万円以上では税率が最も高くなり、45%が適用されます。

 

区分

法人税率

資本金1億円以下の法人の年800万円以下の部分

15%

上記以外の普通法人

23.2%

出典:国税庁 法人税の税率

 

一方、法人税率は最大でも23.2%と、個人の所得税に比べて税率の上限が低い水準です。

 

なお、実際の税負担を比べる際は、個人は所得税に住民税(約10%)を加えた税率、法人は法人税に法人住民税・法人事業税などを加えた実効税率(所得800万円超の部分でおおむね33〜34%)で比較する必要があります。

 

※資本金1億円以下の中小法人・所得800万円超の部分を前提とした概算です。税制改正により変動します。(2026年4月1日以後開始事業年度からは防衛特別法人税の付加があります)

 

そのうえでも、所得(利益)が一定水準を超えると法人のほうが税負担を抑えやすくなる点がメリットです。

 

 

経費計上の幅が広がる

 

資産管理会社を設立して不動産物件を保有することで、個人では経費算入が難しい支出も、不動産賃貸業に関連する費用として計上しやすくなる点もメリットです。

 

個人の不動産所得でも、修繕費や減価償却費、固定資産税、火災保険料、管理委託費、借入金の利息などは必要経費として認められます。

 

ただし、それ以外の支出については賃貸経営との関連性が厳しく問われ、経費として認められる範囲は限定的です。

 

資産管理会社であれば、管理業務を担う役員・従業員への報酬、役員退職金の積立、賃貸経営に使用する社用車の経費なども、事業に関連する支出として計上の対象になり得ます。

 

賃貸経営の規模が大きいほど、法人化によって経費計上できる範囲が広がるメリットは大きくなる傾向があります。

 

マンションの経費計上の仕組みについては「マンションの減価償却と節税の仕組み」もご覧ください。

 

 

家族への給与支払いによる所得分散

 

資産管理会社では、入居者対応や物件管理、賃貸経営に関わる事務作業を親族に任せ、その対価として給与を支払うことで、世帯全体の所得を分散できます。

 

個人の不動産所得の場合、青色事業専従者給与を活用するには事業的規模(おおむね5棟または10室以上)が要件となるなど、家族への支払いを経費化できる範囲は限定的です。

 

資産管理会社であれば、業務内容に応じた役員報酬や給与として損金計上できるため、賃貸経営の実務を家族で分担しながら、税負担を踏まえた資金計画を立てやすくなります。

 

 

融資枠の別枠化・与信拡大

 

資産管理会社を設立すると、個人名義とは別の借入枠として、法人名義での融資を受けられる可能性があるのもメリットの1つです。

 

新設の法人は事業実績がなく、代表者個人の連帯保証を求められることが一般的なため、個人の与信から完全に独立するわけではありません。

 

ただし、個人名義とは別の借入枠として審査を受けられるため、借入の選択肢が広がる点はメリットといえます。

 

例えば、個人名義の借入残高が上限に近づいている場合でも、資産管理会社の法人枠を持つことで、物件の買い増しや大規模修繕の資金調達の余地が生まれる可能性があります。

 

 

相続・事業承継対策をしやすい

 

資産管理会社を設立することで、将来の相続や不動産事業の承継時に有利になる点もメリットです。

 

資産管理会社が不動産そのものを所有することで、相続財産が非上場株式となり、相続税評価額を抑えられる場合があります。

 

非上場株式の評価では、会社が保有する資産の価値から、含み益に対する法人税相当額(約37%)を差し引いて評価額を算定する方式が用いられます。

 

そのため、不動産を個人で保有するより、資産管理会社を通じて株式として保有したほうが、相続税の課税対象となる評価額を圧縮できる可能性があるのです。

 

ただし、株式の評価方法は会社の規模や資産構成によって異なり、取得から3年以内の不動産は通常の取引価額で評価されるなどの例外もあるため、事前に税理士などの専門家に相談するのが望ましいです。

 

また、不動産の名義が資産管理会社になっていれば、相続時の複雑な名義変更手続きが不要となり、事業承継もスムーズになります。

 

 

■資産管理会社の設立で押さえておきたいデメリット

 

資産管理会社の設立手続き

 

資産管理会社にはさまざまなメリットがある一方、設立・維持コストをはじめとしたデメリットもあるため、事前に把握しておく必要があります。

 

 

設立・維持コストがかかる

 

長期的な節税効果は期待できるものの、資産管理会社の設立や維持には一定のコストがかかる点がデメリットです。

 

株式会社の場合は登録免許税15万円と定款認証費用などで20万円台、合同会社の場合は定款認証が不要なため登録免許税6万円を中心に6万〜10万円程度の初期費用が必要です。

 

さらに、いずれも専門家への依頼費用は別途かかります。

 

設立後も税理士への顧問報酬や決算申告の費用が毎年継続的に発生するため、個人で確定申告を行う場合と比べて、運営にかかるコストは増加します。

 

 

赤字でも法人住民税が発生する

 

法人は赤字であっても法人住民税の均等割が課され、自治体や資本金の規模にもよりますが、年間7万円程度の負担が生じる点も注意すべきデメリットです。

 

個人の場合、不動産所得の赤字は給与所得などと損益通算できるため、赤字によって一定の税負担が発生することはなく、むしろ世帯全体の所得税・住民税の負担を軽減できます。

 

一方、法人である資産管理会社の場合は事業の収支にかかわらず、一定額の法人住民税を毎年納付しなければなりません。

 

物件の空室や修繕によって一時的に収支が低下した場合でも負担が変わらないため、経営面のリスクになり得ます。

 

 

資産を私的に利用しにくくなる

 

資産管理会社の物件は法人の資産となるため、代表者個人が自由に処分したり、私的に利用したりできなくなる点もデメリットです。

 

個人名義の不動産であれば所有者の判断で自由に活用できますが、法人名義になると、資産の扱いには会社としての意思決定や会計処理が求められます。

 

役員が会社の資産を個人的に利用する場合は、貸付金や賞与として扱われ、追加の税負担が生じる可能性があります。

 

さらに、会社の資金を個人が自由に使うことはできず、役員報酬などによる配分が必要です。

 

 

会計・税務手続きの手間が増える

 

資産管理会社を設立すると、決算書作成や法人税申告など、個人の確定申告よりも複雑な事務作業が必要になります。

 

これらの業務は税理士に依頼するケースが多く、前述の顧問報酬とあわせて、時間的・金銭的な負担として考慮しておく必要があります。

 

 

■資産管理会社×リノベーションが不動産投資に向く理由

 

資産管理会社による一棟リノベーション物件

 

不動産投資の分野では近年、老朽化した一棟マンションやアパートをリノベーションによって再生させ、収益物件として運用したり再販したりするケースが増えています。

 

新築用地の取得が難しいエリアが増えていることや、既存物件を再生させたほうがコストを抑えられるケースがあることなどが主な理由です。

 

こうした流れの中で、資産管理会社を設立することで、リノベーションを活用しやすくなり、税務面でのメリットも生まれます。

 

例えば、借入を法人名義で組み立てることで個人名義の借入残高と分けて管理できるため、資金調達の選択肢が広がり、リノベーションへの投資判断をしやすくなる可能性が高いです。

 

また、リノベーション費用の計上によって赤字(欠損金)が出た場合、翌年以降に繰り越せる期間にも個人と法人で差があります。

 

青色申告の場合、個人は繰越期間が最長3年であるのに対し、法人は最長10年と長く、工事期間中の一時的な赤字をその後の黒字と相殺できる期間に余裕があります。

 

こうした資金調達力と赤字繰越の柔軟性は、投資対象の幅にも影響するポイントです。

 

法定耐用年数を超過した物件や築年数の古い物件など、これまで見送っていた案件も、資産管理会社であれば選択肢に入りやすくなります。

 

さらに、リノベーションによって稼働率や賃料収入が改善すれば、収益還元による物件評価の向上も期待でき、売却時の条件交渉や次の資金調達において有利に働く可能性があるのも、不動産投資における大きなメリットです。

 

不動産物件におけるリノベーション活用については、「不動産投資×リノベーションのメリット・デメリット」「一棟リノベーションのメリット・デメリット」もご覧ください。

 

 

■資産管理会社名義でリノベーションを行う際の注意点

 

資産管理会社名義でのリノベーション事例

 

資産管理会社の名義でリノベーションを行う際は、税務・資金計画・発注の3つの観点で個人とは異なる実務上の注意点があります。

 

リノベーション費用は、修繕費として全額を当期の損金にできる部分と、資本的支出として資産計上し減価償却する部分に分かれます。

 

この区分を誤ると、本来その年に計上できたはずの費用が資産計上され、かえって納税額が想定より増えてしまう可能性があるため、工事内容ごとの内訳の明確化が必要です。

 

リノベーション時の経費計上については「社宅のリフォーム費用は経費計上できる?」で詳しく解説しています。

 

また、一棟リノベーションは工事規模や工期が大きくなりやすく、資金計画にも長期的な視点が求められます。

 

工事期間中は入居者の一時退去や家賃収入の減少が発生することもあるため、資金繰りへの影響をあらかじめ見込んでおくことが重要です。

 

法人として工事を発注する際は、個人契約とは異なり、法人名義での契約や請求書の発行、複数社からの相見積もりなど、社内の意思決定プロセスを整えておく必要があります。

 

施工会社を選定する際は、一棟リノベーションの実績が豊富で、法人との取引に慣れている会社を選ぶことで、契約や資金計画の面でも進めやすくなります。

 

SHUKEN Reは約20年で8,000件超(会社全体のリノベーション・リフォーム実績)を手掛け、法人名義での一棟リノベーションでは資金計画や契約手続きまでトータルでサポートしています。

 

例えばこちらは、築32年、19戸の集合住宅を民泊施設として一棟リノベーションした施工事例です。

 

一棟リノベ事例

 

一棟リノベーション事例

 

テーマパークに近い立地を活かし、部屋ごとにテーマを変えることで、ゲストに楽しんでもらえる民泊施設に生まれ変わりました。

 

資産管理会社の設立によって生まれた資金使途の選択肢を活かし、リノベーションによって収益性の高い投資をすることも可能です。

 

所有物件の一棟リノベーションはもちろん、購入検討中のアパートやマンションについても、収益性や事業計画を踏まえてサポートいたします。

 

ぜひお気軽にご相談ください。

 

一棟リノベーションのバナー

▶SHUKEN Reの一棟リノベーション施工事例はこちら

 

 

■資産管理会社の設立でよくある質問

 

資産管理会社の設立書類

 

最後に、不動産投資における資産管理会社の設立について、よくある質問にまとめてお答えします。

 

 

 

 

■まとめ|資産管理会社の次の一手としてのリノベーション

 

資産管理会社は、節税効果や経費計上の幅の広さなど、不動産投資の規模拡大期に多くのメリットをもたらします。

 

一方で、設立・維持コストや赤字時の法人住民税など、個人にはない負担も発生するため、保有規模や事業計画と照らし合わせたうえでの判断が必要です。

 

また、ただ資産管理会社を設立して法人化するだけでなく、リノベーションによる収益性の改善などの経営戦略と組み合わせることも大切です。

 

リノベーションによる賃料単価の引き上げや稼働率の改善による収益性の向上、建物評価の見直しによる資産価値の維持など、期待できる効果は少なくありません。

 

一棟全体のリノベーションを検討する際は、税務・資金計画・発注の実務を踏まえたうえで、実績のある施工会社に相談することが重要です。

 

SHUKEN Reでは、法人名義での資金計画や手続きを踏まえた一棟リノベーションのサポートを行っています。

 

所有物件の収益性向上や資産価値の維持を検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

一棟リノベーションのバナー

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Q 資産管理会社の設立には、どのような手順が必要ですか?

A

定款の作成・認証、登記申請などの手続きが必要です

 

資産管理会社の設立では、会社の商号や事業目的、資本金額などを決めたうえで定款を作成し、株式会社の場合は公証役場での認証を受けます。

 

その後、法務局に設立登記を申請し、登記が完了すると法人としての活動が可能になります。

 

設立後に個人から法人へ不動産を移す場合は、不動産売買契約や所有権移転登記も別途必要です。

Q どのくらいの規模から資産管理会社を検討すべきですか?

A

課税所得700万~900万円が目安と言われています

 

課税所得が700万〜900万円を超えるあたりから、所得税・住民税と法人実効税率の差によって生じる節税額が、設立・維持コストを上回りやすくなり、法人化のメリットが出てくると言われています。

 

個人の所得税は累進課税のため、課税所得が増えるほど税率が上がり、一定のラインを超えると法人税率との差によって税負担を抑えられる可能性が出てきます。

 

ただし、判断材料は所得水準だけでなく、今後の物件買い増しや規模拡大の予定、相続対策の必要性なども関わってくるため、法人化に適したタイミングは人それぞれです。

 

法人化のタイミングをより詳しく知りたい方は、「不動産投資を法人化するタイミングの目安」もあわせてご覧ください。

Q 将来個人名義に戻すことはできますか?

A

制度上は可能ですが税負担が発生します

 

資産管理会社の名義になった不動産を個人に戻すには、会社を解散するか、法人から個人へ不動産を売却する手続きが必要です。

 

この際、不動産取得税や登録免許税に加え、売却益が出た場合は法人税の負担も生じるため、設立前の状態に簡単に戻せるわけではありません。

 

そのため、資産管理会社の設立は、将来にわたって法人で保有し続ける前提で検討することをおすすめします。

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