公開日:2024-03-03 更新日:2024-07-04
〈スケルトンリノベーションで後悔しない〉マンションの費用目安とメリット・デメリット、事例紹介も
「間取りを一新するなら“スケルトンリノベーション」そんなフレーズを聞いたことがある方も多いでしょう。
スケルトンリノベーションとは、マンション専有部内を構造躯体以外全て撤去してやりかえる方法です。
間取りを変える方法として、最も合理的で確実な方法ですが、そのメリット・デメリットはあまり知られていないようです。
そこで、今回はマンションのスケルトンリノベーションについて、メリット・デメリットや価格目安を解説します。
SHUKEN Reがこれまで手がけた施工事例も、間取り図・概算費用付きで紹介しますので、マンションリノベーションを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
・後悔のないスケルトンリノベーションを実現させるためには、知識や施工事例が豊富なリノベーション会社がおすすめです。
・“SHUKEN Re”の8,000件超のリノベーション事例の中から、スケルトンリノベーションの施工事例を間取り図・概算費用付きで紹介します。
目次
■ マンションのスケルトンリノベーションとは?メリット
リノベーション事例を見る:Case164「Compact × Comfort」
スケルトンリノベーションとは、マンション専有部分を全て撤去してやりかえるリノベーションです。
・天井組み(コンクリート躯体の上の木部)
・床組み(コンクリート躯体の上の木部)
・設備機器(水回りや照明器具、換気扇など)
・電気配線や設備配管
・床コンクリートスラブ(下階との堺)
・界壁(左右部屋との境)
・コンクリートの梁型や柱型
・パイプシャフト(配管や配線が通る竪穴)
・窓サッシ
・玄関ドア
では、スケルトンリノベーションのメリットを見てみましょう。
「新築マンションでは得られない自由な間取りが実現できる」
新築マンションは似たような間取りが多いですが、中古マンションをスケルトンリノベーションすると、注文住宅のように世界で一つだけの間取りが手に入ります。
そのため、「規格住宅のようなマンションには住みたくない」という方は、新築マンションを選択肢に入れず、中古マンション一択で物件探しをしている方も多いです。
「デザインを一新できる」
専有部内を全て解体撤去するため、デザインもゼロから検討できます。
部分リフォームを繰り返す場合と異なり、内装材や設備機器を一気にトータルコーディネイトできるため、部屋内はまるで新築マンションのように生まれ変わります。
「買い替えよりもトータル費用が少ない」
住んでいるマンションの劣化が気になると、選択肢として上がるのがもっと新しいマンションへの買い替えですよね。
ところが、今住んでいるマンションを売却した資金で新しいマンションが買えるとは限りませんし、ローンの残債があれば、売る時点で持ち出し資金が必要になる可能性もあるでしょう。
一方、今住んでいるマンションをスケルトンリノベーションで改装すれば、リノベーション費用はかかるものの、買い替えによるコストはかかりません。
「追加費用が発生しにくい」
スケルトンリノベーションは、専有部内を全て解体撤去してやりかえるため、部分リフォームのように解体してみてから工事範囲が広がってしまうことはほぼありません。
そのため、着工前にトータル予算を把握しやすい点はメリットと言えるでしょう。
ただし、途中で間取りを変更したり、設備機器・内装材のグレードを上げれば、追加費用が発生するので、着工前にじっくりプランの詳細まで検討してください。
「住み慣れた環境を離れなくていい」
何年もそのマンションで生活してきた方にとって、住み替えで生活環境がガラリと変わるのは大きなストレスになりますよね。
また、現在、駅近など立地の良いマンションに住んでいる方は、同様の条件を持つ新たなマンションを見つけるのは難しいでしょう。
その点、築年数の古いマンションでも、スケルトンリノベーションをすれば、住み慣れた環境を手放さず、さらに数十年、その場所での生活を続けられます。
「配管・配線・断熱材をやり直せる」
リノベーションの際にチェックしなくてはいけないのが、給排水管や電気配線です。
これらの寿命は15〜20年程度なので、築年数によっては既にかなり劣化しているかもしれません。
部分リフォームでは総入れ替えが難しいですが、スケルトンリノベーションは、全てが露出するため、くまなく劣化度合いをチェックでき、必要に応じて取り替えも簡単にできます。
「断熱性・省エネ性を見直せる」
外壁に面した場所に断熱材を追加できるため、古いマンションで結露に悩まされていた方にもスケルトンリノベーションはおすすめです。
ちなみに、日本では建築物の断熱性能(省エネ性能)に関する規定ができたのは1980年のことで、それ以前はあまり重要視されてきませんでした。
つまり、築43年以上経っているマンションでこれまでフルスケルトンリノベーションしていない物件は、ほとんど断熱性がない可能性もあるということです。
窓にインナーサッシ(内窓)を付けると断熱性は向上しますが、壁内の結露は防ぎきれないので、家具の裏などにカビが生えて困っている場合は、根本的な断熱リノベーションを検討しましょう。
〈おすすめコラム〉
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「雨漏りなどを見つけられる」
スケルトンリノベーションは、壁や天井の仕上げを全て撤去するため、構造躯体、つまり共用部分の劣化を見つけられる可能性があります。
ベランダ付近や外壁に面した部分や、窓周りに水ジミがないかくまなくチェックできるため、雨漏りによる被害を未然に防げるということです。
雨漏り跡が見つかった場合、その是正工事にかかる費用は修繕積立金から支払われるため、すぐに補修せず必ず管理組合へ報告しましょう。
■ マンションのスケルトンリノベーション|デメリット・注意点
リノベーション事例を見る:Case177「Full Life」
マンションのスケルトンリノベーションは、専有部内を新築マンションのように一新できる点が魅力ですが、検討する前に知っておかなくてはいけないデメリットや注意点もあります。
「まとまったコストがかかる」
新築マンションへ住み替えるよりもコストを抑えられるものの、部分リフォームと比べるとまとまった費用がかかる点は否めません。
ご家庭によっては、住宅ローンとは別にリフォームローンの融資を受ける可能性もあるでしょう。
ただし、既存住宅のリフォームが対象の補助金や減税特例はいくつもありますので、それらを利用してコストダウンすることができます。
「プランニングや工期がかかる」
部分リフォームと比べると、間取り・住宅性能・設備機器・内装仕上げなど、たくさんのことを考えなくてはいけません。
そのため、プランの打ち合わせ期間には1~2ヶ月程度必要です。
また、いざ工事が始まると、工期は3〜4ヶ月ほどかかるケースが多く、その間は仮住まいすることとなります。
荷物が多い場合は、別途、荷物保管用コンテナの賃料も予算に入れておく必要があるでしょう。
「共用部は工事できずそのまま」
スケルトンリノベーションで工事できるのは、専有部分のみです。
そのため、玄関ドアや窓サッシは基本的に取り替えできません。
ただし、窓サッシや玄関ドアは、断熱性や防犯性向上が目的であれば、区分所有個人の意思で取り替えが認められるケースもありますので、気になる方は管理組合へ相談してください。(参考:国土交通省|マンション標準管理規約)
ベランダ・バルコニーにウッドデッキや物置を固定したり、塗装し直す工事も規約違反になりますので注意しましょう。
〈おすすめコラム〉
中古マンションはどこまでリノベーションできる?リノベ向きマンションの特徴
「管理規約によって工事内容に制限がある場合も」
「専有部ならなんでも自由にリノベーションできる」とは限らないので注意しましょう。
物件ごとに独自ルールを管理規約によって定めているところもあるからです。
例えば、水回りを移動できなかったり、使える床材が限定されていたりするマンションもあります。
そのため、フルスケルトンリノベーションをする前に、必ず管理規約の内容を細かくチェックしてください。
「構造種別によっては間取りに制限がある場合も」
1981年5月以前に建てられた”旧耐震構造マンション”に多いのが、「壁式構造」です。
一方、1981年6月以降に建てられた”新耐震マンション”で多いのが、「ラーメン構造」で、この2つには大きな違いがあります。
【壁式構造】
床・天井・壁で建物荷重を支える構造方式で、主に4階以下の低層マンションに用いられている可能性が高いです。
室内に柱型や梁型が出ず、凸凹のない成形な部屋を確保できる反面、一部の壁も主要構造部であれば、間取り変更できない可能性があります。
【ラーメン構造】
新耐震基準で5階以上のマンションに採用される構造方式で、柱・梁・天井・床で建物荷重を支えます。
部屋の隅にコンクリートの柱型があり、天井には梁型も出てしまいますが、間仕切り壁は構造体ではないため、撤去や移動が可能です。
これから中古マンションを購入する方で間取りを大胆に変更したい場合は、「ラーメン構造」を選びましょう。
購入前に構造種別を見極めるためには、物件選びからリノベーションのプロへ相談するのがおすすめです。
▶︎中古物件探し・資金計画からリノベーションまで“ワンストップ”で相談したい方はちらから
「間取り・デザインによっては売りにくくなる可能性も」
スケルトンリノベーションは、間取りやデザインを自由に変えられる点が魅力ですが、売却目的で改装する場合は要注意です。
個性的な間取りやデザインにすると、売りにくくなる可能性があります。
内装材の寿命は5〜10年程度、設備機器の寿命は10〜15年程度なので、それ以前に売却する場合は、“売れやすい”プランにしておくと良いでしょう。
リノベ専門の不動産会社は、物件の買い取りをしている場合がありますので併せて相談してみるのもおすすめです。
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スケルトンリフォームのデメリットを知って後悔を防ごう|間取りビフォーアフターも
■ マンションのスケルトンリノベーションはいくらかかる?|60平米・70平米・80平米の費用目安
マンションのリノベーションをする上で気になるのは、やはり費用ですよね。
東京近郊でマンションのスケルトンリノベーションを行う場合、費用目安は「15~20万円/㎡」です。
〈専有部分面積〉 | 〈フルリノベーション費用目安〉 |
60㎡ | 900〜1,200万円 |
70㎡ | 1,050〜1,400万円 |
80㎡ | 1,200〜1,600万円 |
90㎡ | 1,350〜1,800万円 |
100㎡ | 1,500〜2,000万円 |
マンションでしたら外壁やベランダなど共用部の不具合は管理組合負担で修繕されますが、一戸建て住宅は外壁や屋根、その他エクステリアの改修費用や、構造体の劣化(シロアリや腐朽)など、予期せぬ工事費用が発生するリスクがあります。
つまり、マンションは専有部のプランをしっかり固めておけば、後から追加費用が発生する可能性が低いのです。
ただし、ハイグレードな設備機器や内装材を採用したり、窓・玄関ドアまで取り替える場合は、費用目安よりも予算に余裕を持って確保しておきましょう。
そのため、予算内でリノベーションしたい方は、施工会社と綿密な打ち合わせを重ねましょう。
▶︎マンションリノベーションの見積もり・プラン相談はこちらから
■ 間取りと費用が分かるスケルトンリノベーションの施工事例|1000万円台・2000万円台
“SHUKEN Re”は1998年創業以来、8,000件超のリノベーションを手がけてきた実績があります。
その中から、マンションのスケルトンリノベーション事例を、間取り図・概算費用付きで紹介します。
【築34年・127㎡・2,300万円・千葉県】
リノベーション事例を見る:Case180「Maisonnette」
工期 | 120日 |
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家族構成 | 夫婦+お子様1人 |
エリア | 千葉県 |
年代 | 30代 |
物件種別 | マンションリノベーション |
築年数 | 34年 |
間取り | 5LDK+WIC |
広さ | 127㎡ |
リノベーション費用 | 約2300万円 |
こちらは、賃貸マンションから希少な最上階のメゾネットタイプの物件に住み替えた事例です。
中古物件探しからスケルトンリノベーションまでお手伝いさせていただきました。
以前訪れたロンドンのホテルがインテリアデザインのメインコンセプトです。
ヘリンボーン張りの床や落ち着きのあるカラーチョイスが素敵ですよね。
玄関土間は、ベビーカーや自転車を置ける広々とした室内ガレージとしても使えます。
リノベーション事例を見る:Case180「Maisonnette」
2階は、家族でも1人でもくつろげるセカンドリビングにしました。
1階の吹き抜けとは室内窓でつなげて、陽の光が差し込むようにした点がポイントです。
「以前より家で過ごす時間が楽しく感じられるようになった」という嬉しい感想をいただきました。
▶︎リノベーションの“リアル”が分かるお客様インタビューはこちらから
【築28年・83㎡・1,800万円・東京都】
リノベーション事例を見る:Case174「Second Stage」
工期 | 70日 |
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家族構成 | 夫婦+猫ちゃん1匹 |
エリア | 東京都目黒区 |
年代 | 60代 |
物件種別 | マンションリノベーション |
築年数 | 28年 |
間取り | 1LDK+WTC+パントリー |
広さ | 83㎡ |
リノベーション費用 | 約1800万円 |
お客様が長らく生活されてきたマンションをスケルトンリノベーションした事例です。
お子さんは独立されたので、ご夫婦暮らしにちょうどいい間取りに変更しました。
ポイントは、「広いLDKとコンパクトな寝室」の“2人仕様”という点です。
ヴィンテージマンションのようなレトロ感漂う落ち着いたインテリアデザインにまとめました。
リノベーション事例を見る:Case174「Second Stage」
撤去できないパイプスペースやマンションの躯体柱もデザインのアクセントとして活かし、暗くなりがちな玄関には、ガラスブロックを採用して陽の光を取り入れています。
ご夫婦で料理を楽しめる広々としたキッチンも魅力です。
自宅で過ごす時間がぐんと増えるリタイア後の暮らしが楽しみになる間取りに仕上がりました。
▶︎リノベーションの“リアル”が分かるお客様インタビューはこちらから
【築41年・76㎡・1,000万円】
リノベーション事例を見る:Case166「Design & Function」
工期 | 60日 |
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家族構成 | ご夫婦+お子様1人 |
年代 | 40代 |
物件種別 | マンションリノベーション |
築年数 | 41年 |
間取り | 1LDK + WTC + SIC + ロフト + ワークスペース |
広さ | 76㎡ |
リノベーション費用 | 約1000万円 |
今までは賃貸物件に住んでいたお客様ですが、「そろそろ持ち家を」と考えていたときに、同じマンション内に売り物件が出たのをきっかけに、物件購入とスケルトンリノベーションを決断されました。
バルコニー側に並んでいた洋室・和室と古めかしい独立型キッチンの間仕切りを撤去して、広々としたLDKに変更した点がポイントです。
寝室をミニマルにして、ゆったりとしたウォークインクローゼットと個室の書斎スペースを設けました。
リノベーション事例を見る:Case166「Design & Function」
寝室の上には、娘さんが憧れていたロフトベッドを実現!
下部は収納スペースにして、限られた床面積をフル活用しています。
▶︎リノベーションの“リアル”が分かるお客様インタビューはこちらから
■ スケルトンリノベーションと住み替えで迷った時のチェックポイント
「今住んでいるマンションを綺麗に蘇らせたい」「これからマイホームを購入したい」という方は、新築マンションへの住み替えだけではなく中古マンションのスケルトンリノベーションを選択肢に入れてみましょう。
最後に、スケルトンリノベーションと住み替えを迷っている方のために、チェックポイントを紹介します。
・今まで住み慣れた場所でずっと生活したい
・間取りやデザインにこだわりたい
・新築マンションへの住み替えよりもリーズナブルに理想の住まいを手に入れたい
・当面は売却を考えていない
・まだ住宅ローンが残っていて、売却して住み替えても残債がある
これらのポイントに多く該当する方ほど、スケルトンリノベーションがおすすめです。
〈おすすめコラム〉
リノベーション VS 新築!どちらか迷った場合のポイント8選
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■ まとめ:スケルトンリノベーションは施工実績が豊富な会社へ相談を
スケルトンリノベーションは、専有部内をまるで新築マンションのように蘇らせられる点が魅力です。
ただし、物件によってはマンション管理規約で工事範囲が制限されている場合があるため、購入物件がリノベ向きかどうかの見極めが重要です。
今住んでいるマンションをスケルトンリノベーションする場合は、仮住まいの準備も必要です。
スケルトンリノベーション実績が豊富な会社であれば、管理会社・組合とのやりとりや、配管・配線・断熱材のやり直しにも慣れているため、安心してスケルトン工事を任せることができます。
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