公開日:2023-01-16 更新日:2024-07-04
店舗付き住宅リノベーションのメリットと考え方|施工事例も紹介
これから新規開業する場合、店舗用の賃貸物件を探して契約するケースが多いです。
しかしご自宅や中古住宅をリノベーションして、店舗付き住宅として開業するのも一つの選択肢。
今回は店舗付き住宅リノベーションのメリットや、関係する法律や規制、プランの考え方などを詳しく解説します。
実際の店舗付き住宅リノベーション事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
・ベースとなる中古住宅探しにこだわることで、店舗リノベーション費用を抑えられる可能性があります。
■店舗付き住宅のメリット
まずは自宅や中古物件を店舗付き住宅にリノベーションするメリットをチェックしていきましょう。
家賃が掛からない
自宅や中古住宅の一部を店舗にリノベーションして開業すれば、毎月の家賃が掛からない点は大きなメリットです。
店舗家賃は売上比率の10%が目安と言われています。目標月商300万円のお店を目指すなら、30万円の家賃が目安ということですね。
店舗兼住宅なら初期費用のみでその後は家賃が発生しないため、毎月の利益が大きくなります。
賃貸物件を借りるより初期費用は多めにかかるかもしれませんが、長く経営を続けるほどコストメリットは大きくなるので元を取るのは難しくないでしょう。
通勤時間がなく効率的に働ける
自宅とお店が隣接する店舗付き住宅は、通勤時間がかからず効率良く働けるのも魅力的なポイントです。
通勤ラッシュが無いのは精神的・体力的な余裕につながりますし、浮いた時間を趣味や勉強などに使うこともできます♪
お子さんが小さい時期も、店舗付き住宅ならご夫婦で協力して仕事と育児を両立できるのもメリット。
自由に店舗をつくれる
自己所有の店舗付き住宅なら、法律以外の制限なく自由な店舗づくりができるのもメリット。
賃貸物件だと契約内容によってデザインやレイアウトの制限があり、原状回復のことも考えなければいけません。
店舗付き住宅は建築基準法や消防法などの法規制を遵守すれば、レイアウトやデザインにこだわった自由なお店づくりができます。
出店エリアが広がる
店舗付き住宅は第一種低層住居専用地域など、一般的な店舗はつくれない場所にも出店することができます。
業種やエリアによっては競合が少ない可能性があり、安定した経営が狙えるかもしれません。
リノベーション費用を経費計上できる
店舗づくりにかかったリノベーション費用は、減価償却して経費計上できるのも意外なメリット。
居住スペース以外の費用は確定申告で経費計上できるので、節税効果が得られます。
住宅ローンを活用できる
店舗付き住宅の場合、事業用ローンではなく金利の安い住宅ローンを活用できるのもメリットと言えます。
一般的な店舗づくりでは「事業用ローン」を組むことが多いですが、店舗兼住宅は金融機関や条件によって建物全体に住宅ローンを使えるケースがあるのです。
※店舗兼住宅で住宅ローンを組む条件例
- 店舗と住居を一つの建物として登記すること
- 店舗面積が建物全体の1/2以内
- 店舗部分を自分の事業に活用する
- 店舗と自宅を内部で行き来できる
上記のような条件をクリアできれば、建物全体に対して金利の低い住宅ローンを組める可能性があります。
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将来賃貸運用もできる
店舗付き住宅はご自身の資産になるので、将来お店を閉めた後、人に貸し出して家賃収入を得ることも可能です。
賃貸物件は毎月家賃を支払っても自分の資産にはならないため、お店を閉めたら何も残りません。
自宅として暮らしながら家賃収入を得られれば、引退後の生活も安心感がありますね。
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■自宅や中古住宅を店舗にするときの法律は?
用途地域
都市計画法で定められている用途地域によっては、店舗付き住宅の制限がかけられていることもあるので要注意。
・第1種低層住居専用地域
- 店舗面積50㎡以下かつ、建物の延床面積の1/2未満
・第2種低層住居専用地域
- 店舗面積150㎡以下
- 店舗部分が2階以下
・準工業地域/工業地域/工業専用地域
- 住宅と店舗を内部で行き来できる「店舗兼用住宅」のみ
上記の用途地域にある建物を店舗リノベーションする場合、床面積や構造などの制限が掛かる可能性があります。
席数やレイアウトに大きく影響するので、用途地域にも注目しながら物件探しに取り組みましょう。
消防法
店舗付き住宅は、店舗・住宅の床面積比率や用途によっては、消防法への対応も必要になります。
住宅より店舗面積の方が小さく50㎡以下の場合は、一般住宅とみなされます。
しかし店舗が50㎡を超えたり居住スペースより広くなったりすると、「複合用途防火対象物」とみなされ防火管理者の選任や設置届などの手続きが必要になることも。
設計やリノベ費用にも影響してくるので、計画段階で消防法への対応についても確認しておきましょう。
■店舗付き住宅リノベーションの考え方
仕事と生活の動線
仕事と生活が一つの建物に集中する店舗付き住宅では、それぞれの動線についてしっかり考える必要があります。
店舗と住居の動線が近いと切り替えがスムーズですが、反面プライバシー性が低下するので注意が必要です。
店舗と住宅の出入り口が外にあればプライバシー性は確保できますが、仕事とプライベートの切り替えが不便かもしれません。
一日の行動を細かくシミュレーションして、仕事・生活動線の距離感を上手に調整しましょう。
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完全住宅化の可能性と対応
リノベーションで店舗付き住宅をつくる際は、将来完全住宅化する可能性も検討しましょう。
将来仕事を引退するとき、店舗部分を住宅部分に転用できればライフスタイルが広がります。
完全住宅化しにくい間取りだと店舗部分がムダになってしまいますし、再リノベーションの費用も多くかかります。
店舗部分を賃貸に出す選択肢なども踏まえ、お店を閉めたときのことまでシミュレーションしましょう。
集客しやすい外観
飲食やサービス業など集客が重要になる業種では、店舗兼住宅の外観や通りからの視認性などにもこだわりましょう。
ベースとなる一般住宅はあくまで居住目的の建物なので、そのままだと店舗用物件より集客しにくい可能性が高いです。
目立つ入り口や看板の設置、外構部分も含めて店舗と分かるようにリノベーションするなど、入りやすい外観を目指しましょう。
■店舗付き住宅リノベの費用を抑えるポイント
店舗リノベーションしやすい物件を選ぶ
中古住宅を購入してリノベーションする場合、店舗向きの物件を選ぶと費用を抑えやすくなります。
例えばカフェ開業の場合、日当たりの良い大きな窓のある物件を選べば、元の構造を活かして費用を抑えられるかもしれません。
また鉄骨造や2×4工法など間取り変更の制限が多い物件を避け、自由度の高い木造軸組工法を選ぶのもコストダウンに効果的。
物件を決めてから店舗設計を進めるのではなく、ワンストップリノベーションで同時に計画するのもおすすめです。
ワンストップリノベで施工会社と一緒に物件を探せば、お店づくりに適した中古住宅を見極めることができます。
ワンストップリノベについてはこちらもご覧ください。
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リノベーション物件探しは不動産会社よりリフォーム会社がおすすめ
■店舗付き住宅リノベーション事例
最後に、築50年の中古住宅をおしゃれな店舗付き住宅にリノベーションした事例を紹介します。
店舗リノベーション事例を見る:Case1「築50年の魅力たっぷり!古き良き下町カフェ」
1階を古民家風カフェに、2階を居住スペースにリノベーションした「店舗兼住宅」になっています。
全体の床面積は143㎡、リノベーションにかかった期間は68日間です。
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居住スペースも元の梁を活かした古民家リノベ仕様で、暮らしやすくおしゃれにリノベーション♪
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地下もあえて鉄骨むき出しの無骨な仕上げで、雰囲気のあるギャラリースペースに仕上げました。
店舗リノベーション事例を見る:Case1「築50年の魅力たっぷり!古き良き下町カフェ」
東京23区内とは思えないほど開放感のあるお庭は、テラス席としてお客さんを楽しませてくれます。
■まとめ
店舗付き住宅リノベーションには、賃貸物件の開業にはないさまざまなメリットがあります。
おしゃれな飲食店やカフェなど、デザインにもこだわったお店づくりを目指すなら、店舗リノベーションも検討してみてください。
私たちSHUKEN Reは、リノベーション専門店として店舗付き住宅づくりもお手伝いしています。
ワンストップ体制で物件探し、資金計画、店舗づくりをトータルサポートできますので、どんなこともお気軽にご相談ください。