中古マンションリノベ済み物件購入の注意点|メリット・デメリットを詳しく解説
中古マンションの中には、新築マンションさながらに内装や設備をリノベーションしたリノベ済み物件があります。
リノベ済み物件は、購入してすぐに住み始められる点や、価格が明確で資金計画が立てやすい点が大きなメリットです。
しかし、リノベ済み物件には、見た目の綺麗さだけでは判断できない購入時の注意点がいくつかあります。
今回は、マンションのリノベ済み物件のメリット・デメリットと、購入後に自分でリノベーションする場合と比較した注意点を詳しく解説します。
・中古マンションの「リノベ済み物件」は、購入価格が明確で資金計画が立てやすいことや、購入後すぐに綺麗な家に住めることがメリットです。
・リノベ済み物件は、自分でリノベーションするよりも割高になる可能性もあります。
・また、給排水管の状態や断熱性など、見えない部分の劣化状態・マンション全体の管理状況を見落としてしまいやすいなどのデメリットもあるため、購入前にリノベ済み物件はプロのアドバイスを受けて見極めをすることが大切です。
Contents
中古マンションの「リノベ済み物件」とは?
事例を見る:Case23「じぶん価値の家 NOBLE BROOKLYN」
中古マンションの「リノベ済み物件」とは、名前の通り、すでにリノベーション済みの中古マンションのことを指します。
リノベ済み物件は、不動産会社などが個人から中古マンションを買い取り、リノベーションした上で再販する「買取再販物件」が多いのも特徴です。
リノベ済み物件を購入するメリット
事例を見る:Case20「howzlife NEXT STYLE」
①立地条件や管理状況などが比較的良い
リノベ済み物件は、不動産会社が個人から中古マンションを買い取ってリノベーションした買取再販物件が多くなっています。
つまり、リノベ済み物件は、不動産会社が不動産売買のプロの視点で「リノベーションして売り出せば買い手が付く可能性が高い」と判断した物件ということになります。
そのため、リノベ済み物件は資産価値に影響しやすい「立地条件」や「周辺環境」、マンション全体の「管理状況」が比較的良い物件が多いのがメリットです。
②価格が明確で資金計画が立てやすい
リノベ済み物件マンションは、見学時に購入価格が明確に分かるので、予算に対して購入判断がしやすいのがメリットです。
購入する時点で価格が決まっているので資金計画も立てやすく、間取りや内装、設備機器などが新築と同じ程度にリノベーションされた住まいを、新築マンションよりもローコストで手に入れられます。
さらに、リノベーション物件はリノベーション費用がかからないため、「リフォームローン」が不要で住宅ローン一本の契約で済み、ローン手続きがシンプルでスムーズな点もメリットと言えるでしょう。
リフォーム一体化ローンなら購入+リノベでもローンを一本化できる
中古マンションを購入して自分でリノベーションする場合、リノベーション費用と物件購入費用を1つのローンとして借り入れできる「リフォーム(リノベーション)一体化ローン」を扱う金融機関も増えています。
一体化ローンを利用できれば、購入+自分でリノベーションの場合でもリノベーション工事費用を住宅ローンとして一本化できますし、住宅ローン控除も適用できますので、積極的に検討してみましょう。
・中古住宅購入と同時にリフォームすると住宅ローン控除は受けられない?e-taxや年末調整についても解説
③購入後すぐに綺麗な部屋に住み始められる
リノベ済み物件は、引き渡し後すぐに住める点も魅力です。
中古マンションを自分でリノベーションする場合、物件購入後に工事をするので、入居まで数ヶ月かかります。
それに比べ、リノベ済み物件マンションはすぐに入居できる状態なので、仮住まいや家賃のコストを抑えられます。
④デザイン性が高いおしゃれな物件も多い
現在のリノベ済み物件は、デザイン性の高い住まいが多いことも魅力のひとつです。
内装のコンセプトにより、デザイナーズマンション風、古民家風、ヴィンテージマンション風など、古さを逆手にとり魅力として進化させている物件もいっぱいです。
コンセプトが自分の好みに合っていれば、手間をかけずにおしゃれな住まいを手に入れられるのがメリットと言えます。
⑤実際の住み心地・周辺環境・管理状況をチェックできる
リノベ済み物件マンションは、すでに完成している状態を見学できます。
実際に動いてみて感じる動線の良し悪し、キッチンや洗面所の使い勝手、日当たりや風通し、床の踏み心地、窓やドアの開け閉めしやすさなど、暮らし始めてからの生活に影響することを事前にしっかりチェックできます。
また、リノベ済み物件かどうかにかかわらず、中古マンションは実物と一緒に周辺環境もチェックできるのも大きなメリット。
マンション住人の雰囲気や近隣環境を事前に確認することで、実際に暮らした際に周辺環境で悩む可能性を最小限に抑えられます。
さらに、マンションの修繕履歴や長期修繕計画、修繕積立金の状況など過去の実績を確認でき、建物が適切に管理されているか、安心して住み続けられるかを判断する材料になります。
⑥最低2年間の瑕疵担保責任(契約不適合責任)が付随する(売主が法人の場合)
見た目では分からない給排水や電気配線などに不具合があった場合も、売主が不動産会社など法人のリノベーション物件では、最低2年間の「瑕疵担保責任(契約不適合責任)」が発生するため、期間内で契約書に記載されていない不具合は無償で修理してもらえます。
ちなみに、リノベ済み物件でも売主が不動産会社以外の個人・法人の場合は、瑕疵担保責任(契約不適合責任)の保証期間は「1〜3ヶ月」と短くなるケースが多い点には注意しましょう。
リノベ済み物件を購入するデメリット・注意点【後悔しない対策付き】
このように、リノベ済み物件はメリットがありますが、注意すべきデメリットもあります。
リノベ済み物件や中古マンションの比較検討時、購入時には以下のデメリットと対策をしっかり把握した上で、後悔しない選択をしましょう。
①売主が法人なので消費税がかかる
通常、売主が個人で不動産会社がその間を仲介する一般的な売買取引の場合は、物件そのものには消費税がかかりません。
一方で、リノベ済み物件として不動産会社、つまり売主が法人の場合は商品とみなされて消費税がかかる点がデメリットになります。
【対策】コストは諸費用・税金を含めたトータル費用で比較
売主が法人のリノベ済み物件は、消費税がかかるのがデメリットですが、例えば、不動産会社などが買い取った物件をリノベーションして再販した場合は、仲介手数料を支払う必要がなく、そもそもリノベーション費用がかからないというメリットもあります。
このように、トータルで考えるとお得になる場合もありますので、消費税だけでなくその他の諸費用も考慮して比較しましょう。
・中古マンションを購入する際に消費税はどうなる?非課税のケースやその他の税金について
・中古住宅と消費税の仕組み|売主(法人/個人)による違いや住宅ローン控除への影響を解説
・中古マンションの初期費用は一体いくら?目安の内訳からシミュレーションまで
②自分でリノベーションするより割高になる可能性がある
リノベ済み物件は、あらかじめリノベーションにかかったコストが物件価格に含まれています。
リノベ済み物件は、自分でリノベーション工事内容を選べません。
そのため、リノベーション前の物件を購入して、自分でリノベーションした場合よりも割高になるケースがあります。
購入したあとで、自分の好きなようにリノベーションをしたほうが、物件価格と工事費用を合わせても結果的に安かった、というケースも多いのです。
【対策】周辺相場を把握して選ぶ
リノベ済み物件は、リノベーション費用が物件価格に含まれていることを考えて、同じマンション内の他の売り出し中の住戸や、周辺の似たような条件の物件の価格相場を把握して、適切な価格かどうかを見極めることがポイントです。
また、リノベーション前のマンションを購入して自分でリノベーションした場合と、リノベーション物件を購入した場合でどちらが安いかは、リノベーション前の物件の状態によって、1件1件見積もりが変わってくる点も注意が必要。
自分でリノベーションすることも視野に入れている場合は、リノベーションの施工会社と一緒に物件探しをして、リノベーション費用の概算をできるだけ具体的にしながら比較することがとても大切になります。
③理想的なデザインや間取りであるとは限らない
リノベ済み物件は、あらかじめ内装や間取り、設備が一新されているのがメリットですが、裏を返すと好みの間取りやデザインではないかもしれないというデメリットにもなります。
特に、住まいへのこだわりが強い人ほど、リノベーション物件で100%理想通りの住まいを見つけるのは難しいかもしれません。
そのため、妥協した部分がずっと心に残ったままで後悔してしまう…ということも起こりえます。
【対策】具体的な暮らしをシミュレーションして検討する
リノベ済み物件は、内覧時の新築のような内装や、おしゃれで最先端の設備が入っているため「こんな綺麗な家にすぐに住めるなら」と即決してしまいたくなるかもしれません。
そのため、その間取りや設備が本当に自分や家族のライフスタイルに合っていて暮らしやすいかどうかという点を見落としてしまいがちです。
リノベ済み物件は「実際にその物件に住み始めたら?」と仮定して、自分や家族の具体的な暮らしをシミュレーションした上で、無理なく生活できるかどうかを重視して選びましょう。
④【古いマンション】見えない部分の追加工事が必要になる可能性も
築年数が25〜30年以上の古いマンションでは、専有部内の給排水管や電気配線が新築時から一度は更新されていることが多いです。
しかし、リノベ済み物件ではまれに、給排水管など見えない部分の更新が必要な時期を過ぎていても交換や修復などがされていないケースがあります。
これではいくら表面的に綺麗でも、そのうち水漏れなどの不具合が生じて、再び大規模なリノベーションが必要になるかもしれません。
また、見えない部分で言うと、配管や配線と同時に、断熱性など住み心地に関わる性能は十分か、適切に断熱リフォームなどが行われているかどうかも重要です。
もともとの物件が、適切に断熱工事がされていなかった場合、住んでから寒さや結露に悩まされたり、光熱費がかさんだりする可能性もあるからです。
【対策】専有部分の過去のリフォーム・リノベーション履歴をチェック
リノベ済み物件は、不動産会社が買い取ったあとに実施したリフォーム・リノベーションだけでなく、専有部分で過去に行われた全てのリフォーム・リノベーション履歴をチェックしましょう。
前述した「見えない部分」の給排水管、電気配線の交換履歴や、断熱リフォームの実施履歴は、不動産会社にしっかり確認しておきましょう。
⑤共用部分の管理や住民のマナーに注意
リノベ済み物件は、室内は新築のようにリノベーションできたとしても、外装、共用廊下、ゴミ置き場、駐車場、エントランスなどの共用部分は手を加えることはできません。
仮に、清掃が行き届いていない、住民のマナー・モラルに問題がありそう、などと感じた場合は注意が必要でしょう。
また、マンション全体での大規模修繕計画もしっかりチェックしましょう。
マンションでは、共用部である外壁や屋根(屋上)、給排水管、共用廊下・階段などに対して、12~15年ごとに大規模修繕が行われることが多くなっています。
(参考)国土交通省「令和3年度マンション大規模修繕工事に関する実態調査について(概要)」
もし、築年数が古いマンションで大規模修繕が一度も実施されていなかったり、大規模修繕計画自体がない、もしくは滞っていたりする場合は、管理が適切に行われていない可能性があるため要注意です。
【対策】マンション全体の大規模修繕計画や修繕積立金の状況・妥当性をチェック
特に築年数が古いリノベーション物件の場合は、大規模修繕計画の予定をしっかりチェックしておきましょう。
築年数の経過に伴って、外壁塗装・修理や防水加工などの工事費はより高額になるケースもあり、必要な工事費用によっては、修繕積立金以外に臨時の工事費用を徴収される場合もあります。
マンションの修繕積立金は、国土交通省によってガイドラインが定められています。
2021年のガイドラインの改訂によって、修繕積立金の月額の目安(マンションの専有面積による㎡・月単価)が示されています。
(出典)国土交通省「マンションの修繕積立金に関するガイドライン(令和3年9月改訂)」
ただし、修繕積立金の額が、目安に収まっていないからといって、その金額が不適切であると判断できるわけではありません。
もし、修繕積立金が目安より大幅に安い、または高い場合は、長期修繕計画の内容や修繕積立金の設定の考え方、積立方法等についてチェックし、妥当性を見極めることが大切です。
⑥【旧耐震マンション】耐震性に不安のある物件に注意
リノベ済み物件は、内装は新築同様に綺麗になっているため、建物全体の安全性についても新築同様と勘違いしてしまうかもしれません。
しかし、物件が「旧耐震(1981年6月1日以前に建築確認申請が受理されたマンション)」の場合は、建物全体の耐震性が現行の基準を満たしていない可能性があります。
ちなみに、国土交通省が実施した「平成30年度マンション総合調査」によると、旧耐震基準に基づき建設されたマンションの組合のうち、
- 「耐震診断をして、耐震性があると判断された」…13.9%
- 「耐震診断をして、さらに詳細な耐震診断が必要と判定された」…6.3%
- 「耐震診断をして、耐震性がないと判断された」…13.9%
- 「耐震診断をしていない」…63.7%
という結果になっており、旧耐震基準のマンションのうち8割以上が、耐震診断をしていない、もしくは耐震性に何らかの問題があるマンションだったということになります。
【対策】旧耐震のマンションを見分ける方法を知っておく
旧耐震基準のリノベーション物件を検討する場合、
「耐震診断をしていない」マンションの場合は、今後耐震診断を受ける予定はあるか、
「耐震診断をして、耐震性がないと判断された」マンションの場合は、耐震改修を実施しているか、今後実施する予定はあるかを必ず確認しましょう。
ちなみに、中古マンションの物件広告では、建物の完成(竣工)年月しか分かりません。
建築工事期間(1~2年)を考慮に入れ、完成(竣工)年月が1983年もしくは1984年以降なら、新耐震基準で建てられている可能性が高いと予測できます。
具体的な建築確認申請受理日を知りたい場合は、不動産仲介会社の担当者に調べてもらう他、各自治体の建築確認を所管する担当部署で調べることもできるので、相談してみましょう。
こだわりの住まいづくりなら「自分でリノベーション」がおすすめ
事例を見る:Case17「NATURAL INDUSTRIAL」
今回は、すでにリノベーションされた中古マンションである「リノベ済み物件」のメリット・デメリットを解説しました。
リノベ済み物件のデメリットを避けてこだわりの住まいづくりをするなら、リノベーション前のマンションを購入してから、自分でリノベーションする方法があります。
また、中古マンション物件探しから始めるなら、物件探しからローン相談、リノベーション設計施工までをトータルで請け負う「ワンストップリノベーション」を選ぶのがおすすめ。
ワンストップリノベーションの概要や、メリット・デメリット、費用相場などについては過去のコラムで詳しく解説していますので、合わせてチェックしてみてくださいね。
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