公開日:2024-07-10 更新日:2024-07-11
RC造(鉄筋コンクリート造)の耐用年数|マンション・戸建の寿命や他構造との違いについて
これから中古物件を購入する方が気になるのが、建物の耐用年数や寿命ですよね。
RC(鉄筋コンクリート)造は、マンションや一部の戸建住宅に採用されており、何年その建物に住み続けられるか気になる方も多いでしょう。
そこで今回は、「RC(鉄筋コンクリート)造」の建物について、耐用年数と寿命の考え方を解説します。
併せて、これから中古物件を探し始める方のために、耐用年数を超えた建物のメリット・デメリットや、物件選びを後悔しないために知っておくべき劣化のサインを紹介します。
マイホーム計画を検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
・中古のRC造建物選びは、外装改修や内部のリノベーションまで合わせて相談できる会社がおすすめです。
・1998年創業以来、東京・千葉・神奈川で8,000件を超える「一棟リノベーション」「マンション・戸建住宅リノベーション」の実績があるSHUKEN Reへご相談ください。
目次
■RC造の耐用年数と寿命|マンションと戸建住宅・他構造との違い
RC造の一棟リノベーション事例を見る:Case6「エコーレジデンス やまびこ社員寮」
まず重要なポイントは、「耐用年数と寿命はイコールではない」という点です。
耐用年数はその建物が存続できる年数、つまり寿命と同じ意味で捉えられることもありますが、そうでない使われ方をされるケースもあります。
【耐用年数】
法定耐用年数と呼ばれることもあり、その場合は固定資産を減価償却し、購入金額を分割して経費計上できる年数を指します。
つまり、その対象は事業用の建築物(および車両などその他固定資産)に限ります。
税法に基づき資産の種別や材料(建物の場合は構造)、用途によって年数が決められているため、どの事業者も公平に減価償却できるのです。
(参考:国税庁|減価償却のあらまし)
【寿命】
建物が現存し住み続けられる年数で、立地条件やこれまでのメンテナンス状況によって変動します。
このように、厳密に言うと建物の耐用年数と寿命は意味合いが違うのです。
税法で定められている耐用年数は、同じRC造でも建物用途によって期間は異なります。
事務所 | 住宅 | |
耐用年数 | 50年 | 47年
(1998年税制改正で60年から短縮) |
(参考:国税庁|主な減価償却資産の耐用年数表)
ちなみに、他構造の耐用年数は以下のとおりです。
事務所 | 住宅 | |
木造 | 24年 | 22年 |
S造
(鉄骨造) |
22〜38年
(鉄骨厚さによる年数異なる) |
19〜34年
(鉄骨厚さによる年数異なる) |
SRC造
(鉄骨鉄筋コンクリート造) |
50年 | 47年 |
対して、寿命はその建物が事務所であっても住宅であっても期間に影響はなく、さらにマンション・戸建などの建物規模や形状にも左右されません。
国土交通省の公表資料によると、RC造建物(住宅)の建て替え時平均築年数は「68年」と法定耐用年数を優に超えており、「120〜150年」もの寿命を期待できるという文献もあります。(参考:国土交通省|「中古住宅流通促進・活用に関する研究会」報告書取りまとめ後の取組紹介)
ただし、これは外装などの主要構造部を適正にメンテナンスしていることが条件です。
マンション・戸建住宅どちらにおいても、手入れされず劣化を放置していれば、寿命を全うできない可能性は十分考えられます。
▶︎マンション専有部・戸建住宅のリノベーションのご相談はこちらから
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■耐用年数を超えたRC造建物はどうなる?メリットとデメリット
RC造マンションの専有部リノベーション事例を見る:Case189「Make Dramatic」
耐用年数を超えていても、「性能が劣る」「良い物件ではない」とは限りません。
では、メリット・デメリットを紹介します。
【耐用年数を超えているRC造建物のメリット】
- ・不動産価格がリーズナブル
【耐用年数を超えているRC造建物のデメリット】
- ・ローンの審査が厳しい
- ・新築以降のメンテナンス(修繕)状況によって、建物の寿命が大きく変わる
法定耐用年数が不動産価格査定の指標となっているため、耐用年数を超えた建物はまだまだ使い続けられるにもかかわらず、安く見積もられているのが現状です。
これは、売主にとっては不利なポイントですが、買主にとっては絶好のチャンスとなるでしょう。
ただし、ローンの担保額も法定耐用年数が指標であるため、一部の金融機関では融資対象を築60年以内に限定しているところも少なくありません。
古い物件は担保価値が低いと評価されてしまうからです。
築年数の割に手入れが行き届いている建物は、お買い得物件である可能性が高いでしょう。
このような物件を選ぶには、建物の劣化サインを細かく見つけられて、さらにその改修までをワンストップで相談できる会社がおすすめです。
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中古のRC造建物を購入する際、単に築年数が耐用年数以下かどうかをチェックするだけでは少々リスクが伴います。
なぜなら、マンション・戸建住宅どちらにおいても、RC造建物は10〜15年に一度は外装メンテナンスをする必要があり、それを怠っている物件は築20・30年程度でも構造体まで劣化している可能性があるからです。
物件を選ぶ際は、ぜひ劣化サインがないかチェックしてください。
【外壁に現れる劣化サイン】
◻︎外壁コンクリート内の鉄筋が錆びて膨張し、表面のコンクリートを押し上げて破壊する「爆裂現象」(かなり深刻で既に構造の耐久性が落ちている可能性あり)
◻︎外壁タイルのヒビ割れや浮き、脱落(下地のコンクリート躯体にまで深い亀裂がある可能性も)
◻︎外壁のヒビ割れ(ヒビの幅が0.3mm以上、深さが5mm以上の構造クラックは特に注意)
◻︎コーキング(シーリング)材のヒビ割れや破断、脱落(コンクリート躯体まで水が回っている可能性あり)
◻︎外壁塗装の塗膜浮きや剥離(コンクリート躯体が見えている場合は特に注意)
◻︎開口部周りなどにあるサビ汁跡(鉄筋のサビが隙間から表面に流失している可能性あり)
※塗膜のチョーキング現象(白華現象)がある場合でもすぐに構造まで影響を及ぼす可能性が低いが、5年以内の再塗装計画があるかチェック
【屋上に現れる劣化サイン】
◻︎屋上防水の不良(シートの剥がれ・ヒビ・浮き、防水塗料の剥離・摩耗などがあると、既に漏水している可能性あり)
◻︎屋上排水口の詰まり(防水層の脆弱部分から漏水している可能性あり)
◻︎立ち上がり部分コーキング(シーリング)材のヒビ割れや破断、脱落(コンクリート躯体まで水が回っている可能性あり)
【その他の場所に現れる劣化サイン】
◻︎外廊下や外階段のシート材浮きや剥がれ(シート材の下に水が侵入している可能性あり)
◻︎手すりなどの腐食(塗膜剥離やサビがあると、根元などの取り合い部からコンクリート内部へ水が侵入している可能性あり)
一見きれいに見えても、劣化サインが多いと構造体の耐久性が落ちている可能性も考えられます。
マンションなど規模が大きく外観を細かくチェックできない場合は、「長期修繕計画書」を見るのがおすすめです。
長期修繕計画書は、管理組合によって保管されており、“これまで”と“これから”の共用部に関するメンテナンス計画が記載されています。
その内容から、適切なメンテナンスが定期的に行われてきたかを推測できます。
そのため、建築知識の豊富な会社へ物件選びを相談しましょう。
一棟購入の場合は外装の改修、区分購入の場合は内部のリノベーションまでまとめて任せられる会社へ相談すれば、購入前でも具体的な予算計画を立てられます。
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■まとめ
RC造建物の耐用年数は、住宅用で47年、事務所用で50年に設定されています。
ここで気を付けなくてはいけないのは、これら年数がその建物の寿命とは限らないという点です。
これまで外装メンテナンスを適切に行ってきた建物は、耐用年数を超えても十分使い続けられます。
一方で、お手入れが不十分でしたら耐用年数以内でも構造体が劣化している可能性も否めません。
そのため、中古のRC造建物を購入する場合は、劣化サインを見つけてその改善方法まで提案できる会社へ相談しましょう。
SHUKEN Reは、1998年創業以来、東京・千葉・神奈川で8,000件を超える「一棟リノベーション」「マンション・戸建住宅リノベーション」を手がけてきた実績がありますので、どうぞお気軽にご相談ください。
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