公開日:2023-03-09 更新日:2024-07-04
リノベーションで断熱性・気密性を高める!メリットから方法・費用目安まで解説
最近、新築住宅の注目キーワードが「断熱性・気密性」ですが、リノベーションでこれらの性能を高めることはできます。
しかし、まだまだそのメリットや方法について知らない方も多いかもしれません。
そこで今回は、断熱性・気密性を高めるメリットや、リノベーションの方法、費用目安についてお話しします。
家の暑さや寒さでお悩みの方はもちろん、より快適な住まいにしたい方も、ぜひ参考にしてください。
・戸建住宅とマンションではできる工事内容が異なります。
・“SHUKEN Re”では、物件探しからローン相談、リノベーションの設計・施工、アフターメンテナンスまでを専門スタッフがサポートする「ワンストップリノベ」をご用意しています。
目次
■ 高気密高断熱住宅とは?メリット・デメリットはある?
最近話題の「高気密・高断熱住宅」。でも、どうして高気密・高断熱住宅がいいの?と疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。
高気密高断熱住宅とは、以下のような特徴を持つ住宅を指します。
- ・断熱性が高い
- ・気密性が高い
- ・隙間が少なく、隙間風など空気の出入りが少ない
- ・天井、床、壁に断熱材が十分入っているため、室温が屋外の温度に左右されにくい
では、具体的にはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
メリット① 室温が快適な温度に安定しやすい
断熱性と気密性を高めるということは、外気温の影響を受けにくくなるということです。
そのため、一度空調機器で快適な温度に整えれば、比較的長時間その効果を保てます。
メリット② 部屋ごとの室温ムラがなくなり健康的
厚生労働省の調べによると、入浴時などのヒートショックで死亡する方は2018年に5398名もいたことが分かっています。
ヒートショックの原因は、急激な温度差による血圧の変動です。
高気密高断熱住宅ですと、外気温の影響を受けにくいため、室内の温度ムラを小さく抑えることができます。
また、ある論文によるとアレルギー性鼻炎やアレルギー性結膜炎、アトピー性皮膚炎、気管支喘息が改善したと言うデータも出ています。(参考:健康維持がもたらす間接的便益(NEB)を考慮した住宅断熱の投資評価)
これは、高気密高断熱住宅に欠かせない高性能換気システムによって、アレルギーの原因となるほこりなどが除去されることが理由と考えられています。
メリット③ 空調にかかるコストが削減できて省エネ
今のお住まいで、「夏場は一日中エアコンを付けっぱなしにしていないと暑くていられない」というお悩みを抱えている方も多いはず。
また、冬場には足元が寒くて辛いという方も少なくないでしょう。
高気密高断熱住宅なら、空調効率が高まるため、短時間運転させるだけで効果を維持できます。
光熱費の削減にもつながるため、地球環境への負荷が少ない省エネ住宅としても注目されています。
デメリット① 換気不足になる可能性がある
気密性が高いということは、それだけ空気の出入りが少ないことを意味します。
そのままでは換気不足となって、室内の空気が澱んでいく一方です。
住宅の気密性・断熱性を高める場合には、同時に24時間換気システムを導入しましょう。
ハウスダストが室内に溜まっていくことを防ぎ、外部から花粉やPM2.5などの物質が入ってくることを妨げられます。
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デメリット② 内部結露が起こる可能性がある
高気密高断熱住宅の弊害として最も大きな問題が、壁や床、天井内に発生する「内部結露」。
内部結露は、敷き込んだ断熱材に隙間があるとそこから空気(熱)の出入りが集中し、結露の原因となってしまう現象です。
壁や床、天井内に結露が発生すれば、カビが繁殖し健康被害につながる恐れがありますし、構造躯体の劣化を早めて、断熱材そのものの性能も落としかねません。
内部結露を防ぐ最も有効な方法は、「施工実績が豊富な会社へ任せること」!
見た目では分かりにくい断熱材の隙間を確実に塞げば、内部結露のリスクをかなり抑えられます。
デメリット③ コストが割高
新築はもちろん、リノベーションでも高気密高断熱仕様にするためには、高性能な断熱材を使わなくてはいけませんし、高い施工技術も必要です。
そのため、通常の工事よりも材料費・施工費はどうしても割高になってしまうでしょう。
ただし、その分光熱費が削減できることも忘れてはいけません。
断熱・気密リノベーションをする場合は、その家に何年住み続けるのかをシミュレーションしてコスパを確認してみましょう。
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■ 戸建住宅でできる断熱・気密リノベーションの方法は?費用はどのくらい?
では、戸建住宅の場合にはどのようなリノベーション方法があるのでしょうか。
ここでは、一般的な工事内容について費用目安と共に紹介します。
● 壁内・床下・天井裏(小屋裏)に断熱材を入れる
外部に面した壁内や一階の床下、天井裏(小屋裏)に十分な断熱材を敷き込むことで、家を包み込むように断熱できます。
グラスウールなどの繊維系断熱材や、ウレタンフォームなどの断熱パネル、発泡ウレタンなどの吹き付け断熱材などがあります。
ただし、ここで重要なのは熱の出入り口となる隙間や、ヒートブリッジ・コールドブリッジを作らない点。
ヒートブリッジ・コールドブリッジとは、鉄骨のような熱伝導率の高い部材によって、熱の出入りを集中させ、結露をもたらす現象です。
性能を生かしきるためには、やはり知識や経験、施工実績の豊富な会社へ相談することが成功の秘訣となります。
【壁内・床下・天井裏への断熱材充填(グラスウール)】
1,000〜3,000円/㎡(内装仕上げや付帯工事別途)
【壁内・床下・天井裏への断熱材充填(ウレタンフォーム)】
1,000円〜4,000円/㎡(内装仕上げや付帯工事別途)
【壁内・床下・天井裏への断熱材充填(吹き付け発泡ウレタン)】
4,000〜6,000円/㎡(内装仕上げや付帯工事別途)
● 断熱サッシ・断熱ドアに取り替える
古いサッシは建て付けが悪く隙間が空いている可能性がある上に、サッシ本体やガラスそのものに断熱性はほとんどありません。
特に冬場は、屋外へ流れ出る熱の約50%が窓からとも言われています。
そのため、熱伝導率の低い樹脂製サッシと断熱性の高い複層ガラスに取り替えるだけで、窓辺がヒヤッとすることがなくなりますし、夏の日差しによる暑さも遮れます。(参考:YKK ap|暮らしを快適にする“断熱窓”)
ただし、部屋にある窓を全て取り替えないと、断熱性・気密性の低い既存窓へ熱の出入りが集中し、その部分の結露がひどくなる場合もあるので気をつけましょう。
忘れてはいけないのが、玄関ドアです。
内部に断熱材が入った断熱ドアに取り替えると、ドア部分からの熱損失を防げるだけではなく、戸先付近から冷気が入ってくることもなくなります。(参考:YKK ap|玄関ドアの教科書)
【樹脂製サッシ+断熱ガラスへの取り替え(腰窓サイズ、既存と同位置・同サイズの場合)】
200,000〜600,000円/箇所(周囲壁の復旧工事、その他付帯工事別途)
【断熱玄関ドアへの取り替え(片開きドア、既存と同位置・同サイズの場合)】
200,000〜600,000円/箇所(周囲壁の復旧工事、その他付帯工事別途)
ただし、既存の納まりによって施工できない場合もあるので、詳しくはリノベーション会社へ相談しましょう。
● 断熱ガラスに取り替える
比較的新しいお住まいの場合には、サッシが既に樹脂製になっているかもしれません。
その場合は、ガラスのみを断熱性の高いものへ取り替えるだけでも効果が得られます。
断熱ガラスは、2枚のガラスの間に空気層があり、それが断熱層として働きます。
空気層が真空になっているより性能の高いものもあるので、ご予算に応じて選んでみましょう。
(引用:日本板硝子株式会社)
【断熱ガラスのみの取り替え(掃き出し窓サイズの場合)】
60,000〜70,000円/箇所
あくまでも、比較的新しく劣化していないサッシの場合のみ有効です。
● 内窓を設置する
手軽で効果が大きいのが、内窓(インナーサッシ)を付ける方法です。
壁を解体せずに設置できるため、内装仕上げなどの付帯工事が必要ありません。
既存窓の内側にもう一つ窓を設置するため、その間が大きな空気層となって断熱性を高めてくれます。
ただし、こちらの場合も窓サッシ取り替えと同様に、部屋内全ての箇所をまとめて施工することが重要です。
【内窓の設置(掃き出し窓サイズの場合)】
80,000〜150,000円/箇所
● 気流止めをする
床下・壁内間の通気や小屋裏(屋根裏)、壁内の隙間を埋めることで、気密性を高められます。
湿気を含んだ空気が侵入してくることを防げるため、結露やカビなどの抑制にも効果的です。
ただし、壁内の気流を止める(隙間を埋める)ためには、ある程度広範囲で解体しなくてはいけませんし、小屋裏や床下に入って作業するためには、人の出入りできる点検口が必要です。
また、気流止めは全てを隈なくやることで気密性は高まるため、もれなく全ての箇所が確認できなくてはいけません。
そのため、ほとんどの場合はフルリノベーションやスケルトンリノベーションと併せて行います。
【気流止め(木造2階・30坪程度)】
500,000〜800,000円/一式(壁・天井・床の復旧工事別途)
● 24時間換気システムを導入する
家の気密性を高めるデメリットとして挙げられるのが、「換気不足」です。
ハウスダストやシックハウス症候群の原因物質が室内に篭もりやすいため、これではいくら快適な温度に保てても心地よい生活は送れません。
建築基準法の改正によって2003年以降は新築住宅へ設置が義務化されていますが、既存住宅はその対象ではないため、併せて導入を検討してください。
おすすめなのが、給気も排気も機械によって強制的に行う「第一種換気」です。
熱交換器付きの設備を整えれば、排気から熱や湿気を取り出し給気した空気へ熱移動させられるため、真冬や真夏でも室温に影響がなく省エネになります。
より光熱費を削減したい方におすすめです。
【熱交換器付き第一種換気システムの導入(木造2階・30坪程度)】
400,000〜700,000円/一式(壁・天井・床の復旧工事別途)
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■ マンションでできる断熱・気密リノベーションの方法は?費用はどのくらい?
マンションの場合は、専有部分のみしかリノベーションできないため、どうしてもできることが限られてしまいます。
窓サッシや玄関ドアはもちろん、窓ガラスさえも共用部であるため、区分所有者個人で手をつけられないのです。
また、換気システムを新たに導入するために外壁へ穴を開けることも禁止されています。
ただし、全く何もできないという訳ではありません。
寒さや暑さでお悩みの方は、ぜひできる範囲で断熱・気密リノベーションを検討してみましょう。
● 壁内に断熱材を入れる
室内側から外壁のコンクリート躯体が見えるまで解体して内部に断熱材を入れます。
戸建住宅と同様に、ウレタンフォームなどの断熱パネルを敷き込む方法と、液状の発泡ウレタンを吹き付ける方法があります。
吹き付ける方法の方が隙間なく断熱性を高められますが、8階以上の部屋には高圧で液体を送り込むことができず施工できません。
【壁内への断熱材充填(ウレタンフォーム)】
1,000円〜4,000円/㎡(内装仕上げや付帯工事別途)
【壁内への断熱材充填(吹き付け発泡ウレタン)】
4,000〜6,000円/㎡(内装仕上げや付帯工事別途)
● 壁に断熱パネルを上貼りする
できるだけコストを抑えたい方におすすめなのがこちらの方法です。
既存壁の上に、石膏ボード付きの硬質ウレタンフォームパネルを貼り付け、その上から内装仕上げを施します。
解体費用が必要ない点はメリットですが、既存壁に新たにパネルを上貼りするため、どうしても部屋が一回り小さくなってしまいます。
【既存壁への断熱パネル上貼り】
40,000〜8,000円/㎡(内装仕上げ工事や付帯工事別途)
● 内窓を設置する
マンションの場合、外窓は共用部であるため取り替えできませんが、内窓を設置することは全く問題ありません。
ただし、ベランダなどに出る際には、2度窓を開けなくてはいけない点は把握しておきましょう。
【内窓の設置(掃き出し窓サイズの場合)】
80,000〜150,000円/箇所
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■ まとめ:断熱性・気密性を高めて快適な住まいに
住まいの断熱性・気密性を高めることは、空調にかかる光熱費を削減できるだけではなく、室温ムラを軽減し、快適な室内環境を整えることにつながります。
リノベーションというと、理想の間取りやおしゃれなインテリアデザインを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、ずっと住み続けるマイホームだからこそ、目に見えない性能も高めることが重要です。
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