公開日:2023-01-09 更新日:2026-06-29
リノベーションに「建築確認申請」は必要?2025年改正(四号特例廃止)と費用・注意点を解説

なんとなく聞いたことのある「建築確認申請」ですが、新築住宅を建てたことがないと、その詳細を知らない方も多いでしょう。
実は、この「建築確認申請」はリノベーションの際にも必要なケースもあります。
そこで今回は、2025年4月に施行された建築基準法改正(四号建築物の廃止・四号特例の縮小)を踏まえ、「建築確認申請」の基礎知識から、リノベーションで申請が必要なケース、建築基準法違反になった場合のリスクまで詳しく解説します。
大規模なリノベーションを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
・建物の種別や工事内容によっては、リノベーションの際も「建築確認申請」が必要です。2025年4月の改正で一般的な木造2階建ても原則「新2号建築物」となり、大規模な修繕・模様替えで確認申請が必要になりました。
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目次
■ 「建築確認申請」とは?

「建築確認申請」とは、建築基準法で義務付けられている手続きで、建物を新築する際に関連法規を守っているかを公的に審査するためのものです。
着工前の設計図やその他設計図書を見て、建築基準法や都市計画法、その他条例に則しているかどうかを建築主事(地方公共団体に設置される担当部署)もしくは国から委任された指定確認審査機関が細かくチェックします。
〈都市計画法〉
限られた土地を建物の用途別に有効的かつ平等に配分し、人々が健康的・文化的な都市活動を送れるよう管理する法律です。
その中では、無秩序に街が広がることを防ぐ「市街地区域・市街地調整区域」の区分や、その地域で建てられる建物の用途を制限した「用途地域」などが規定されています。
〈建築基準法(建築基準法施行令)〉
昭和25年に初めて制定された法律で、「国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低基準を定める」ことを目的とし、構造・仕様についてや、敷地と道路・隣地との関係、建築面積(床面積)など、建物にかかわる重要な項目について最低限の基準を定めています。
日本においては、建築にかかわる法律の中で“最も権威があり厳格な”法律と言っても間違いありません。
確認申請を行なってから完工・引き渡しまでの流れは以下の通りです。

着工前・着工後・完工後と三度にわたって調査することで、その建物に違法性がないかをチェックするのが目的。
つまり、人々が安心して建物を使うためにも、「建築確認申請」は重要な意味を持っているのです。
新築住宅と同様に、リノベーションも工事内容によっては「建築確認申請」が義務化されています。
建築物を建築等する場合は、建築主事等に対して、その計画が建築基準法及び同施行令、消防法等の建築基準関係規定に適合している旨の確認の申請を行う必要があります。
具体的には、次のような場合には確認申請を必要とします。
①建築物の建築
②大規模な修繕又は模様替え
③駐車場等の工作物の築造や昇降機等の建築設備の設置
その理由は、ズバリ「人々の生活を脅かすような違法建築を防ぐため」。
リノベーションだからといって法令を破ってしまうと、地震などの際に倒壊して重大な被害を出してしまうかもしれません。
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■ まずは「新2号・新3号」どちらかをチェック!(四号特例の廃止)

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リノベーション時に建築確認申請が必要かどうかは、その住宅が「新2号建築物」か「新3号建築物」のどちらに当たるかで変わります。
2025年4月の改正前は「四号建築物」という区分が使われていましたが、現在は廃止され、この2区分に再編されています。
2025年4月以降の区分は次の通りです。
- 【新2号建築物】木造2階建て、または木造平屋建てで延べ面積200㎡超の建築物。
審査省略制度(旧・四号特例)の対象外で、全地域で建築確認・検査が必要。確認申請時に構造関係規定・省エネ関連の図書提出も求められます。 - 【新3号建築物】木造平屋建てで延べ面積200㎡以下の建築物。
従来の四号建築物と同様に審査の一部省略が継続。都市計画区域等の内で建築する場合に確認・検査が必要です。
(木造3階建て以上や延べ面積500㎡超などは従来どおり全面的に審査対象です。)
かつて「四号建築物」に該当する建物は、確認申請の一部が簡略化されたり、リノベーション時の申請が不要になるケースがありました。
これがいわゆる「四号特例」で、1983年に始まった制度です(2025年4月の改正で縮小され、現在は新3号建築物にのみ審査省略が引き継がれています)。
住宅建築棟数が急増していた当時、審査業務負荷を軽減するために、他の建物と比べても審査の必要性が比較的少ないとされていた「四号建築物」について、審査内容を省略化することが決定したのです。
「四号特例」が始まったことで、一般的な木造住宅などを確認申請する際に、構造耐力計算などが審査項目から外されました。
つまり、建築基準法に沿った住宅を提供することの責任が、建築士へ委ねられたということです。
2025年4月に「四号特例」は縮小・四号建築物は廃止(施行済み)
四号特例の縮小は2022年の法改正(令和4年法律第69号)で決まり、2025年4月1日に施行されました。
背景には2005年の耐震偽装事件があり、審査の一部省略・民営化のもとで構造審査が十分に行われていなかった事案が問題視されたことがあります。
施行された変更点は以下の通りです。
〈主な改正内容〉
・ 木造2階建て・延べ面積200㎡超は「新2号建築物」となり、審査省略の対象外。確認申請で構造関係規定・省エネ関連図書の提出が必要。
・木造平屋建てで延べ面積200㎡以下は「新3号建築物」となり、従来どおり審査の一部省略を継続(都市計画区域等内では確認・検査が必要)。
・延べ面積300㎡超の木造建築物は構造計算が義務化。
新2号建築物の確認申請では、省エネ関連図書の提出が必要で、2025年4月から増改築部分にも省エネ基準適合が求められています。
このように、ハウスメーカーやリノベーション会社の実務に大きな影響を与えています。
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■ 戸建リノベーションで「建築確認申請」が必要なケースは?

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ここまでは、建築確認申請やそれにかかわる重要なキーワードについてお話ししましたが、では一体どのようなリノベーション工事をすると建築確認申請をしなくてはいけないのでしょうか?
ケース① 新2号建築物の「屋根葺き替え」・「外壁改修」
新2号建築物(木造2階建てや木造平屋200㎡超など)で、屋根の過半を葺き替えたり外壁の過半を別の材料に変更したりする場合は、建築確認申請が必要です。
なぜなら、建築基準法で定める「大規模な修繕又は模様替え」は、以下のように定義付けられているからです。
【大規模の修繕】
・修繕とは、経年劣化した建築物の部分を、既存のものと概ね同じ位置に概ね同じ材料、形状、寸法のものを用いて原状回復を図ることをいいます。
・大規模の修繕とは、修繕する建築物の部分のうち、主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)の一種以上を、過半(1/2超)にわたり修繕することをいいます。
【大規模の模様替え】
・模様替えとは、建築物の構造・規模・機能の同一性を損なわない範囲で改造することをいいます。一般的に改修工事などで原状回復を目的とせずに性能の向上を図ることをいいます。
・大規模の模様替えとは、模様替えをする建築物の部分のうち、主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)の一種以上を、過半(1/2超)にわたり模様替えをすることをいいます。
2025年4月以降は、新2号建築物(一般的な木造2階建てを含む)が屋根の過半の葺き替えや外壁の過半の改修など「大規模の修繕・模様替え」を行う場合、全地域で建築確認申請が必要です。
審査省略が続くのは新3号建築物(木造平屋・延べ面積200㎡以下)に限られます。
ケース② 新2号建築物の「間取り変更・フルリノベーション」
家の中をほとんど解体してやりかえるフルリノベーションや、部分的な間取り変更でも、主要構造部の過半を変更する場合は建築確認申請が必要です。
なぜなら、「主要構造部」である壁、柱、床などを過半にわたり変更するからです。
新3号建築物(木造平屋・延べ面積200㎡以下)は審査省略の対象ですが、新2号建築物(木造2階建て等)は対象外のため確認申請が必要です。
ケース③ 10㎡超の「増築」
建築物の区分にかかわらず、防火地域・準防火地域以外で床面積10㎡を超える増築をする場合は建築確認申請が必要です(防火地域・準防火地域内は面積を問わず必要)。
これは部屋を追加するケースに限らず、バルコニーなどの屋外空間を新設・増設する場合も該当する可能性があります。
ですから、室内外の増築を検討する際には、確認申請の有無を含めて詳細を建築士に確認しましょう。
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ケース④ 防火地域・準防火地域での「増築」
増築面積が10㎡以下であっても、防火地域・準防火地域に指定されている場所では、必ず確認申請をしなくてはいけません。
なぜなら、火災時に隣家への延焼を最小限に抑えて、人々が確実に避難できるようにするためです。
防火地域・準防火地域には、主に繁華街や駅・幹線道路の近くが該当します。
ご自宅が防火地域・準防火地域内であるかどうかは、都道府県や市町村が運営している都市計画情報サービスなどで簡単に確認できます。
(参考:東京都都市整備局|都市計画情報等インターネット提供サービスについて)
ケース⑤ 「カーポートや物置の新設」
敷地内にカーポートや物置などの独立した建物を新設する場合も、増築同様の条件が課せられます。
つまり、新設する建物の面積が、防火地域・準防火地域以外では10㎡超、防火地域・準防火地域内では面積を問わず(10㎡以下でも)建築確認申請が必要です。
もちろん、ホームセンターなどで販売されている市販の物置も該当します。
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■ 建築確認申請をしないと「建築基準法違反建築」に

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建築確認申請は、建築基準法の中で公的に定められた手続きです。
(参考:建築基準法・第6条「建築物の建築等に関する申請及び確認」)
そのため、建築確認申請が義務付けられているのにそれを行わなければ、“建築基準法違反”になってしまいます。
建築基準法の中には、その罰則についての記載もあります。
第九条「違反建築物に対する措置」
特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。
(引用:建築基準法)
簡単に言うと、違法建築であることが発覚した場合、行政指導のもと、その建物の是正工事をしない限り、住めなくなる可能性もあるということです。
この是正工事を行わない場合は、罰金や懲役など刑事罰の対象となる場合もゼロではありませんので、必要に応じて建築確認申請を行いましょう。
万が一、違法建築であることが発覚しなかったとしても、将来的に売却する際に「既存不適格建築物(現行の法律に適合していない建物)」と扱われ、買主の融資が通らず商談が成立しない可能性もあります。
また、火災被害を受けた際も、保険会社に届け出ていた建物と間取りや面積が違っていると、「報告義務違反」とみなされて保険金が受け取れないことも少なくありません。
ですから、対象となるリノベーション工事をする場合は、必ず確認申請を行い、完了検査時に発行される検査済証を受け取った後に、不動産登記の変更(建物表題部変更登記)も行い、火災保険会社への報告も忘れずに済ませましょう。
〈関連ページ〉
国土交通省|既存建築物の活用の促進について
国土交通省|既存建築物の緩和措置に関する解説集 (第3版)
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■ 建築確認申請にかかる費用目安は?誰でもできるの?

建築確認申請は、建築基準法上「建築主」が行うこととなっています。
しかし、申請書類には図面などの建築資料が必要となるため、実際は国家資格を持った「建築士」が代理申請します。
では、建築確認申請を建築士に代理申請してもらう場合には、どのくらいの費用が別途かかるのでしょうか?
〈建築確認申請費用〉
13,000円(東京都・30㎡を超え100㎡以内の場合)
※ホームエレベーターなどがある場合は、別途申請費用がかかります。
〈中間検査費用〉
11,000円(東京都・30㎡を超え100㎡以内の場合)
〈完了検査費用〉
16,000円(東京都・30㎡を超え100㎡以内の場合)
※ホームエレベーターなどがある場合は、別途申請費用がかかります。
〈建築士の費用〉
200,000〜300,000円程度(申請書類作成費用、その他諸経費、人件費など)
※別途、リノベーションプランの作成費用がかかります。
つまり、リノベーションで建築確認申請が必要な場合は、プラン作成や施工費とは別に、最低でも200,000円以上もの費用がかかるということです。
なお、新2号建築物は構造審査・省エネ適合性判定などの加算が生じる可能性があります。
予算組みをする際には、建築確認申請にかかる費用についても想定しておきましょう。
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■ マンションリノベーションで建築確認申請が必要なケースは“ほぼゼロ”!

2025年改正は主に木造戸建てに影響し、マンション専有部の内装リノベーションには基本的に影響はありません。
マンションのフルリノベーションでも間仕切り壁や床・天井をやりかえますが、この場合でも建築確認申請をする必要はありません。
なぜなら、建築確認申請は「主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)の一種以上を、過半(1/2超)にわたり改修する場合」に必要であり、マンションですと、各戸内の壁などはこれに該当しないからです。
マンションの主要構造部とは、あくまでも共有部分であるコンクリート躯体を指します。
“ほぼゼロ”と表記したのには理由があり、棟丸ごとを個人が所有しており、主要構造部の一部を改修する場合は建築確認申請をしなくてはいけないからです。
しかし、それ以外の物件では区分所有者の一存で主要構造部を改修工事することはまずないため、個人でリノベーションする場合に建築確認申請が必要となるケースは“ゼロ”と言っても間違いではありません。
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■ まとめ:リノベーションでも該当工事をする場合は必ず「建築確認申請」を!
建築確認申請は、その建物を安心・安全に使い続けるために必要な手続きであり、決して無駄に手間や費用をかけるためにある訳ではありません。
ですから、該当する工事をする場合は必ず建築確認申請を建築士に行ってもらいましょう。
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