公開日:2023-01-09 更新日:2024-07-04
リノベーションに「建築確認申請」は必要?費用と注意点は?
なんとなく聞いたことのある「建築確認申請」ですが、新築住宅を建てたことがないと、その詳細を知らない方も多いでしょう。
実は、この「建築確認申請」はリノベーションの際にも必要なケースもあります。
そこで、今回は「建築確認申請」に関する基礎知識から、リノベーションで申請が必要なケース、建築基準法違反になった場合のリスクなどについて詳しくお話しします。
大規模なリノベーションを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
・建物の種別や工事内容によっては、リノベーションの際も「建築確認申請」をしなくてはいけません。
・“SHUKEN Re”では、物件探しからローン相談、リノベーションの設計・施工、アフターメンテナンスまでをまとめてお任せいただける「ワンストップリノベーション」をご用意しています。
目次
■ 「建築確認申請」とは?
「建築確認申請」とは、建築基準法で義務付けられている手続きで、建物を新築する際に関連法規を守っているかを公的に審査するためのものです。
着工前の設計図やその他設計図書を見て、建築基準法や都市計画法、その他条例に則しているかどうかを建築主事(地方公共団体に設置される担当部署)もしくは国から委任された指定確認審査機関が細かくチェックします。
〈都市計画法〉
限られた土地を建物の用途別に有効的かつ平等に配分し、人々が健康的・文化的な都市活動を送れるよう管理する法律です。
その中では、無秩序に街が広がることを防ぐ「市街地区域・市街地調整区域」の区分や、その地域で建てられる建物の用途を制限した「用途地域」などが規定されています。
〈建築基準法(建築基準法施行令)〉
昭和25年に初めて制定された法律で、「国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低基準を定める」ことを目的とし、構造・仕様についてや、敷地と道路・隣地との関係、建築面積(床面積)など、建物にかかわる重要な項目について最低限の基準を定めています。
日本においては、建築にかかわる法律の中で“最も権威があり厳格な”法律と言っても間違いありません。
確認申請を行なってから完工・引き渡しまでの流れは以下の通りです。
着工前・着工後・完工後と三度にわたって調査することで、その建物に違法性がないかをチェックするのが目的。
つまり、人々が安心して建物を使うためにも、「建築確認申請」は重要な意味を持っているのです。
新築住宅と同様に、リノベーションも工事内容によっては「建築確認申請」が義務化されています。
建築物を建築等する場合は、建築主事等に対して、その計画が建築基準法及び同施行令、消防法等の建築基準関係規定に適合している旨の確認の申請を行う必要があります。
具体的には、次のような場合には確認申請を必要とします。
①建築物の建築
②大規模な修繕又は模様替え
③駐車場等の工作物の築造や昇降機等の建築設備の設置
その理由は、ズバリ「人々の生活を脅かすような違法建築を防ぐため」。
リノベーションだからといって法令を破ってしまうと、地震などの際に倒壊して重大な被害を出してしまうかもしれません。
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■ まずは「四号建築物」に該当するかどうかをチェック!
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リノベーション時に建築確認申請が必要かどうかを知る前に、まずはその住宅が「四号建築物」かどうかを確認しなくてはいけません。
なぜなら、「四号建築物」に該当するか否かで基準が大きく異なるからです。
「四号建築物」とは、建築基準法第6条の4(建築物の建築に関する確認の特例)で定められている規定で、以下の条件に当てはまる建物を指します。
- ● 特殊建築物に該当せず、不特定多数が利用しない建物
- ● 木造二階建て以下の建物
- ● 延床面積が500㎡以下の建物
- ● 建物高さが13m以下もしくは軒高さが9m以下の建物(木造)
- ● 平屋建てで延べ面積が200㎡以下の建物(非木造建築物)
この「四号建築物」に該当する建物は、建築確認申請において簡略化できるという特例を受けられたり、リノベーション時の申請が不要になるケースが増えたりします。
これがいわゆる「四号特例」で、1983年に開始されました。
住宅建築棟数が急増していた当時、審査業務負荷を軽減するために、他の建物と比べても審査の必要性が比較的少ないとされていた「四号建築物」について、審査内容を省略化することが決定したのです。
「四号特例」が始まったことで、一般的な木造住宅などを確認申請する際に、構造耐力計算などが審査項目から外されました。
つまり、建築基準法に沿った住宅を提供することの責任が、設計士へ委ねられたということです。
2025年から「四号特例」は縮小に
実は、2022年に「四号特例」の縮小が閣議決定しました。
この背景には、2005年に問題となった耐震偽装事件があります。
建築確認審査業務が簡略化・一部民営化したことにより、しっかりと審査が行われていなかった事案が発覚したのです。
この事実を受けて、2006年に「四号特例廃止法案」が国会に上がり、紆余曲折の末、2022年4月に「四号特例縮小法案」が閣議決定されたのです。
四号特例縮小法案で決められた変更点は以下の通りです。
〈主な改正内容〉
- ● 「木造2階建て以下の建物は壁量計算書や構造図の提出が省略可能」 → 「木造・非木造問わず、平屋の建物は壁量計算書や構造図の提出が省略可能」
- ● 「延床面積が500㎡以下の建物は構造計算書の提出が省略可能」 → 「延床面積が300㎡以下の建物は構造計算書が省略可能」
実施開始は2025年を予定しており、すぐに始動する訳ではありませんが、実際に特例が縮小されると、ハウスメーカーはもちろん、リノベーション会社にも大きな影響が及ぼされると考えられています。
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ここまでは、建築確認申請やそれにかかわる重要なキーワードについてお話ししましたが、では一体どのようなリノベーション工事をすると建築確認申請をしなくてはいけないのでしょうか?
ケース① 四号特例建物以外の「屋根葺き替え」・「外壁改修」
四号特例に該当しない三階建て住宅などで屋根の葺き替えや外壁材の変更をする場合は、建築確認申請が必要となる場合があります。
なぜなら、建築基準法で定める「大規模な修繕又は模様替え」は、以下のように定義付けられているからです。
【大規模の修繕】
・修繕とは、経年劣化した建築物の部分を、既存のものと概ね同じ位置に概ね同じ材料、形状、寸法のものを用いて原状回復を図ることをいいます。
・大規模の修繕とは、修繕する建築物の部分のうち、主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)の一種以上を、過半(1/2超)にわたり修繕することをいいます。
【大規模の模様替え】
・模様替えとは、建築物の構造・規模・機能の同一性を損なわない範囲で改造することをいいます。一般的に改修工事などで原状回復を目的とせずに性能の向上を図ることをいいます。
・大規模の模様替えとは、模様替えをする建築物の部分のうち、主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)の一種以上を、過半(1/2超)にわたり模様替えをすることをいいます。
ですから、建物の種類によっては、屋根の1/2以上を葺き替える場合や、外壁の1/2以上を別の材料に取り替える場合は建築確認申請が義務付けられています。
現時点(2022年時点)では、四号特例に該当する建物について、上記のようなリノベーションをしても建築確認申請はする必要はありません。
ケース② 四号特例建物以外の「間取り変更・フルリノベーション」
家の中をほとんど解体してやりかえるフルリノベーションや、部分的な間取り変更についても、四号建築物以外の建物は建築確認申請をしなくてはいけません。
なぜなら、「主要構造物」である壁、柱、床などを変更するからです。
ただし、こちらも四号建築物であれば建築確認申請する必要はありません。
ケース③ 10㎡以上の「増築」
四号建築物であるか否かは関係なく、10㎡以上の増築をする場合は建築確認申請が必要です。
これは部屋を追加するケースに限らず、バルコニーなどの屋外空間を新設・増設する場合も該当する可能性があります。
ですから、室内外の増築を検討する際には、確認申請の有無を含めて詳細を設計士に確認しましょう。
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ケース④ 準防火地域・防火地域での「増築」
増築面積が10㎡以下であっても、準防火地域や防火地域に指定されている場所では、必ず確認申請をしなくてはいけません。
なぜなら、火災時に隣家への延焼を最小限に抑えて、人々が確実に避難できるようにするためです。
準防火地域や防火地域は、主に繁華街や駅・幹線道路の近くが該当します。
ご自宅が準防火地域・防火地域内であるかどうかは、都道府県や市町村が運営している都市計画情報サービスなどで簡単に確認できます。
(参考:東京都都市整備局|都市計画情報等インターネット提供サービス)
ケース⑤ 「カーポートや物置の新設」
敷地内にカーポートや物置などの独立した建物を新設する場合も、増築同様の条件が課せられます。
つまり、新設する建物の面積が、準防火地域・防火地域外の場合は10㎡以上、準防火地域・防火地域内であれば10㎡以下であっても建築確認申請をしなくてはいけません。
もちろん、ホームセンターなどで販売されている市販の物置も該当します。
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■ 建築確認申請をしないと「建築基準法違反建築」に
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建築確認申請は、建築基準法の中で公的に定められた手続きです。
(参考:建築基準法・第6条「建築物の建築等に関する申請及び確認」)
そのため、建築確認申請が義務付けられているのにそれを行わなければ、“建築基準法違反”になってしまいます。
建築基準法の中には、その罰則についての記載もあります。
第九条「違反建築物に対する措置」
特定行政庁は、建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づく許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む。)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、増築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる。
(引用:建築基準法)
簡単に言うと、違法建築であることが発覚した場合、行政指導のもと、その建物の是正工事をしない限り、住めなくなる可能性もあるということです。
この是正工事を行わない場合は、罰金や懲役など刑事罰の対象となる場合もゼロではありませんので、必要に応じて建築確認申請を行いましょう。
万が一、違法建築であることが発覚しなかったとしても、将来的に売却する際に「既存不適合建築物(現行の法律に則していない建物)」と認定され、買主の融資が通らず商談が成立しない可能性もあります。
また、火災被害を受けた際も、保険会社に届け出ていた建物と間取りや面積が違っていると、「報告義務違反」とみなされて保険金が受け取れないことも少なくありません。
ですから、対象となるリノベーション工事をする場合は、必ず確認申請を行い、完了検査時に発行される検査済証を受け取った後に、不動産登記の変更(建物表題部変更登記)も行い、火災保険会社への報告も忘れずに済ませましょう。
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■ 建築確認申請にかかる費用目安は?誰でもできるの?
建築確認申請は、建築基準法上「建築主」が行うこととなっています。
しかし、申請書類には図面などの建築資料が必要となるため、実際は国家資格を持った「建築士」が代理申請します。
では、建築確認申請を建築士に代理申請してもらう場合には、どのくらいの費用が別途かかるのでしょうか?
〈建築確認申請費用〉
9,400円(東京都・30㎡を超え100㎡以内の場合)
※ホームエレベーターなどがある場合は、別途申請費用がかかります。
〈中間検査費用〉
11,000円(東京都・30㎡を超え100㎡以内の場合)
〈完了検査費用〉
12,000円(東京都・30㎡を超え100㎡以内の場合)
※ホームエレベーターなどがある場合は、別途申請費用がかかります。
〈建築士の費用〉
200,000〜300,000円程度(申請書類作成費用、その他諸経費、人件費など)
※別途、リノベーションプランの作成費用がかかります。
つまり、リノベーションで建築確認申請が必要な場合は、プラン作成や施工費とは別に、最低でも200,000円以上もの費用がかかるということです。
ですから、予算組みをする際には、建築確認申請にかかる費用についても想定しておきましょう。
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■ マンションリノベーションで建築確認申請が必要なケースは“ほぼゼロ”!
マンションのフルリノベーションでも間仕切り壁や床・天井をやりかえますが、この場合は建築確認申請をする必要はありません。
なぜなら、建築確認申請は「主要構造部(壁、柱、床、はり、屋根又は階段)の一種以上を、過半(1/2超)にわたり改修する場合」に必要であり、マンションですと、各戸内の壁などはこれに該当しないからです。
マンションの主要構造部とは、あくまでも共有部分であるコンクリート躯体を指します。
“ほぼゼロ”と表記したのには理由があり、棟丸ごとを個人が所有しており、主要構造部の一部を改修する場合は建築確認申請をしなくてはいけないからです。
しかし、それ以外の物件では区分所有者の一存で主要構造部を改修工事することはまずないため、個人でリノベーションする場合に建築確認申請が必要となるケースは“ゼロ”と言っても間違いではありません。
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■ まとめ:リノベーションでも該当工事をする場合は必ず「建築確認申請」を!
建築確認申請は、その建物を安心・安全に使い続けるために必要な手続きであり、決して無駄に手間や費用をかけるためにある訳ではありません。
ですから、該当する工事をする場合は必ず建築確認申請を設計士に行ってもらいましょう。
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