公開日:2023-01-03 更新日:2024-10-15
戸建の“耐震補強”リノベーションはここがポイント!費用から方法まで解説
日本は、いつ大地震が起きるか分からない“地震大国”。
だからこそ、お住まいの耐震性は気になるところですよね。
しかし、既存住宅の場合はどれほどの性能を持っているのかはっきりしないお宅も少なくありません。
また、今よりも耐震性を高めるために耐震補強リノベーションを検討している方も多いでしょう。
そこで、今回は耐震診断から耐震補強リノベーションの方法、関連する補助金・税控除制度などについて解説します。
今のお住まいにこれからもずっと住み続けたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
・現状の性能を把握して正確な耐震補強リノベーションをするには「耐震診断」を受ける必要があります。
・在来軸組工法の木造住宅ですと、各部をリノベーションすることで耐震性を高められます。
・“SHUKEN Re”では、物件探しからローン相談、リノベーションの設計・施工、アフターメンテナンスまでをまとめてお任せいただける「ワンストップリノベーション」をご用意しています。
目次
■ 耐震補強リノベーションが必要かどうかの基準は?
耐震補強改修を検討するにあたって、一般の方が本当にリノベーションが必要なのかどうかを判断するのは簡単ではありません。
では、まずはどのような基準で耐震補強改修を検討し始めればよいのでしょうか?
ここでキーワードとなるのが、「旧耐震・新耐震」です。
日本で住宅を建てる際に厳守しなくてはいけないのが「建築基準法」ですが、その中でも特に重要視されているのが“耐震”に関する規定です。
建築基準法ができたのは1950年、第二次世界大戦後に街を再建するために、建物に関する事項を初めて法律化しました。
しかし、この段階ではあくまでも急速な建物整備が最優先であったため、耐震性についてはあまり重要視されていませんでした。
その後発生した新潟地震や十勝沖地震、伊豆半島沖地震などの大地震災害を受けて、1981年に耐震基準を大きく変える大改正が行われました。
「旧耐震」の建物と「新耐震」の建物には、耐震性に大きな違いがあります。
「旧耐震」の建物は、あくまでも〈中地震(震度5)で倒壊しないこと〉が基準とされており、それ以上の性能については法律の縛りはなく、各設計者や施主の意思に委ねられていました。
それに比べて、「新耐震」の建物は〈中地震(震度5)では軽微な損傷に留まり、大地震(震度6〜7程度)でも倒壊しないこと〉が義務付けられており、建築確認申請の際には、その建物の「許容応力度(地震などの外力に対して、その建物の部材の耐久力を上回らないように定めた限界点)」を確認します。
「新耐震基準の考え方」(引用:国土交通省|住宅・建築物の耐震化に関する現状と課題)
ですから、耐震補強リノベーションを検討する場合は、まずその住宅の建築年を確認してみましょう。
2000年以後に建てられた住宅は「品確法」による耐震等級もチェック
建築基準法の改正によって大きく前進した住宅の耐震ですが、2000(平成12)年に制定された「住宅品質確保促進法(通称:品確法)」によって、一般の方でもその住宅の性能がはっきり比較できる仕組みができました。
これを「住宅性能表示制度」と言い、耐震性能や火災時の安全性など、10分野34事項を評価して等級分けします。
(参考:国土交通省|新築住宅の 住宅性能表示制度 住宅性能表示制度ガイド)
品確法の中では、耐震性能を「耐震等級」と呼び、新築・既設問わずに、1〜3等級に分類しています。
(「国土交通省|住宅性能等級・評価方法基準」のデータを元に作成)
等級が高いほど耐震性能が高いことが公的に認められるということです。
(ただし、構造躯体が著しく劣化していない場合)
つまり、「とにかく耐震補強をすればいい」という訳ではなく、まずはその住宅がいつ建てられたのかや、どのくらいの等級に該当しているのかを確認することが重要だということです。
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■ まずは“耐震診断”を!方法や診断の時に見るポイントは?
先ほど、まずは築年数を確認するべきとお話ししましたが、築年数がはっきり分からない場合や、新築時から何度かリノベーションをしているようなお宅の場合には、それだけの情報では耐震補強リノベーションの必要性を判断できません。
また、いくら新しいお宅であっても、雨漏りやシロアリ被害が発生していれば、設計通りの耐震性能があるとも言い切れません。
ですから、戸建住宅の耐震改修を検討する際には、必ず「耐震診断」を受けましょう。
それらの住宅にお住まいの方は、施工会社や設計事務所などに相談しましょう。
まず、耐震診断には非破壊の「一般診断(簡易診断)」と、壁や床などを一部解体して行う「詳細診断」があります。
一般住宅ですと、ほとんどの場合「一般診断(簡易診断)」を行います。では、その内容を詳しく見ていきましょう。
診断内容・診断箇所
【図面】
図面から、築年数や間仕切壁の量・位置を確認
【建物の外観】
外観を見て、大きなクラックなどが発生していないか確認
【建物全体の状態】
構造躯体の劣化(腐食・シロアリ被害)がないかや、全体的な経年劣化を確認
【屋根】
重い屋根(日本瓦など)か軽い屋根(スレート瓦・金属系屋根材など)を確認
【外壁】
重い外壁材(窯業系サイディング)かどうかを確認
【床下】
床組の強度やシロアリ被害・補強金物の設置有無、土台の腐食状態を確認
【基礎】
大きなひび割れがないかや鉄筋の有無を確認
これらを確認するために診断士が現地調査を行います。
資料がなかったり目視で確認できなかったりした場合は、一般的な状態であると推測するか、最も条件が悪い状態であると想定して診断します。
これらの情報を専用ソフトに入力すると、Is値(Seismic Index of Structure)という数値が算出され、この度合いによってその住宅の基本耐震性能が分かり、合わせて間仕切り壁のバランスなどの診断もされます。
■震度6~7程度の地震に対する耐震診断結果のIs値の評価
・Is<0.3 …倒壊または崩壊する危険性が高い
・0.3≦Is<0.6 …倒壊または崩壊する危険性がある
・0.6≦Is …倒壊または崩壊する危険性が低いつまりIs値が高いほど建物の安全度も高くなると言えます。
(中略)
一般的な建物であれば「Is値0.6以上であるか」がひとつの目安となるでしょう。(引用:一般財団法人 日本耐震診断協会)
耐震診断を受けて、Is値が安心できる数値であるか、そして間仕切り壁の位置はバランスがよいかなどを確認しましょう。
診断費用
診断費用は会社によってまちまちですが、20〜50万円が相場とされています。
ただし、こちらの費用は「一般診断」の場合の金額なので、詳細診断をする場合は、診断費用が割高になることに加えて、解体した場所の復旧費用もかかります。
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■ “耐震リノベーション”の方法は?部位ごとの費用目安や工事内容は?
では、具体的にはどのような耐震補強リノベーションができるのでしょうか?
ここでは、木造在来軸組工法の一戸建て住宅について、主な工事内容と費用を紹介します。
屋根葺き替え工事
まず、最も効果的と言われているのが「屋根の軽量化」です。
日本瓦などの重い屋根材を使っていると、どうしても建物の重心が上部になってしまい、横揺れの際に揺れが増長してしまいます。
また、荷重も大きいため、倒壊のリスクも高いです。
ですから、瓦などからスレート瓦や金属系屋根材へ取り替えるだけでも、Is値は上がります。
100〜250万円程度(足場の設置・解体、既存屋根材の解体撤去、下地工事、防水工事、新規屋根材の設置工事)
※新規の屋根材や立地状況によって、金額は変動します。
※既存屋根材にアスベストが混入している場合は、処分費が別途かかります。
外壁やりかえ工事
高級感のある窯業系サイディングですが、どうしても荷重が大きいため、それに耐えられる性能がなければ耐震性能を落としかねません。
ですから、サイディングを取り外して一般的なモルタル外壁にすることで、耐震性は向上させられます。
ただし、玄関ドアや窓サッシなどとの取り合いに補修工事が発生する場合もありますので、施工の可否も含めて必ず施工会社へ詳細を確認しましょう。
200〜400万円程度(足場の設置・解体、既存外壁材の解体撤去、モルタル工事、塗装工事)
※立地状況によって、金額は変動します。
※既存外壁材にアスベストが混入している場合は、処分費が別途かかります。
間仕切り壁の追加・補強工事
間仕切り壁の位置が偏っていると、偏心率(耐震要素がバランスよく配置されているかチェックする指標)に影響を及ぼします。
ですから、診断結果次第では、間仕切り壁を追加したり、既存間仕切り壁を耐震壁としたりしなくてはいけません。
既存間仕切り壁に筋交(すじかい)を追加することも効果的です。
耐震パネルへの取り替え(室内間仕切壁):20〜25万円(/幅90cm)程度
耐震パネルへの取り替え(外壁に面した壁):50〜65万円(/幅90cm)程度
筋交の追加:15〜30万円(/幅90cm)程度
※壁の仕上げ工事は別途かかります。
構造体接合部への補強金物設置
柱と梁・筋交・土台との接合部(柱頭・柱脚接合部)などに、補強金物を設置する方法もあります。
金物の種類は主に3つあります。
- ・ホールダウン金物(地震が起こったときに柱が土台や梁から抜けてしまわないように固定する)
- ・筋交金物(地震などにより横から力がかかった場合に、筋交が外れてしまうことを防ぐ)
- ・羽子板ボルトなどの仕口補強金物(直行して接合する部材が地震などによってずれないように固定する)
金物の種類によって多少費用は異なりますが、大体下記の金額が目安です。
3〜5万円(/カ所)程度
※壁や天井、床の解体及び復旧は別途かかります。
基礎補強工事
基礎は、家の荷重を支える重要な役割を果たしますが、大きなクラックが入っていたり鉄筋が入っていなかったりすると、その耐震性能に不安があります。
主な補強方法は、既存の基礎にアンカーボルトを打ちコンクリートを充填する“増し打ち”や、炭素繊維シートなどを基礎表面に貼り付ける工事です。
増し打ちは大掛かりなコンクリートの打設工事が必要となるため、工期が1ヶ月程度かかるのに対して、炭素繊維シートなどを用いた方法は、一週間以内で完工するケースは少なくありません。
基礎のコンクリート増し打ち:40〜60万円程度
炭素繊維シートを用いた基礎補強:40〜70万円程度
※付帯する外構工事は別途かかります。
シロアリ被害箇所の補修・防蟻工事
シロアリの被害によって、柱や土台など重要な構造躯体が劣化していると、設計上は耐震性が十分であっても意味がありません。
床下の診断などによって被害箇所が確認できたり、シロアリの登り道(蟻道)を見つけた場合は、早めに防蟻工事を手配しましょう。
ちなみに、防蟻工事は1回やれば良いという訳ではなく、5〜10年に一度の間隔で定期的に行わないと薬剤の効果は切れてしまいます。
5〜10万円(/一階の建坪数)
※床の部分解体・復旧をする必要がある場合、その費用は別途かかります。
トータルの平均費用
日本木造住宅耐震補強事業者協同組合がアンケート調査を行った結果によると、耐震補強工事にかかった平均費用は、旧耐震の住宅の場合が189万円、新耐震の住宅の場合が152万円となっています。
ちなみに、旧耐震・新耐震合わせた調査では、耐震補強工事を行った平均築年数は37.5年となり、耐震診断の結果を見ると「9割以上」の住宅が現行の建築基準法による水準をクリアしていないことも分かっています。
(引用:木耐協|木耐協調査データ 2021年3月4日発表 )
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■ “耐震リノベーション”に関連する補助金・税金控除は?
都道府県や区町村では、それぞれ独自に耐震診断や耐震補強改修に対して補助金を用意しています。
ですから、まずは管轄の役所へ行ってそれらの情報を入手すると良いでしょう。
ただし、補助の条件として「旧耐震基準の建物である」ことを挙げているものも多いので、比較的新しい住宅ですと利用できるケースは少ないかもしれません。
(参考:地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(令和4年度版))
しかし、これだけ聞いて「うちには関係ない」と思うのは早いです!
耐震改修工事を対象としたお得なリフォームローンもありますので、そちらも併せて検討してみましょう。
そのほかに、マイホームを耐震リノベーションした場合の多くで利用できるのが「住宅耐震改修特別控除」です。
個人が、平成26年4月1日から令和5年12月31日までの間に、自己の居住の用に供する家屋(昭和56年5月31日以前に建築されたものに限ります。)について住宅耐震改修をした場合には、一定の金額をその年分の所得税額から控除(住宅耐震改修特別控除)することができます。
(引用:国税庁|No.1222 耐震改修工事をした場合(住宅耐震改修特別控除)
ただし、こちらの税控除を利用するためには、確定申告をしなくてはいけませんので、注意してください。
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■ まとめ:“耐震リノベーション”で既存住宅を長寿命化しましょう
リノベーションと聞いてイメージするのは「内装をきれいにする」「設備機器を最新のものに取り替える」などが先行して頭に浮かぶかもしれません。
しかし、その家に今後も長く安心して住み続けるためには、まず「耐震補強リノベーション」をすることが肝心です。
築年数や現状によってその緊急性は異なりますが、家の各所をリノベーションすることで、確実に住まいは“長寿命化”します。
耐震診断や耐震補強のプランニングをどこに相談すればいいかお悩みの方は、ぜひ私たち“SHUKEN Re”へご連絡を!
常に最新の情報やトレンドを取り入れ、“プロ”としてあなたのマイホームリノベーションをお手伝いさせていただきます。
施工事例では、築年数の古い物件でもきれいに蘇った事例を多数ご覧いただけますので、今のお住まいを“大変身”させたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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