公開日:2023-01-08 更新日:2024-12-19
〈中古住宅購入後のトラブル“17例”から学ぶ〉物件の選び方と対策について
中古住宅の購入には、大きな支払いが伴うため、絶対にトラブルには遭いたくないですよね。
しかし、残念ながら中古住宅を購入後に大きなトラブルに見舞われる方は決して少なくありません。
そこで、今回は中古住宅の購入後にトラブルに遭わないために、実例を交えてその回避方法を紹介します。
物件の選び方についてもお話ししますので、「後悔したくない!」という方は、ぜひ参考にしてください。
・中古物件を購入後や引き渡し後に、大きなトラブルに遭ってしまう人は少なくありません。
・トラブルを解決するには費用や労力がかかるため、事前に回避するためのポイントを知っておくことが重要です。
・SHUKEN Reでは、中古物件探しからローン相談、リノベーション、アフターサービスまでまとめてお任せいただける「ワンストップリノベーション」をご用意しています。
目次
【中古戸建住宅・中古マンション共通】契約後・引き渡し後に起こるトラブル例とその回避方法
中古住宅の購入は、人生で二度とないかもしれない“大きな買い物”。
だからこそ、今まで購入後にどのようなトラブルがあったのかを知っておくことは重要です。
今から紹介するトラブル事例を踏まえて、ぜひこれらに遭わないようにしっかりと知識を身につけておきましょう。
売主から聞いていた状況と違った
今までのメンテナンス状況やリノベーション履歴は、売主の主張を元に買主へ伝えられます。
そのため、「今まできちんと改修してきました」と言われても、実際には新築時から全く手付かずだったというケースがゼロという訳ではありません。
実際に、内見時に見せてもらえない部屋があったり、不自然な場所に家具が置いてあったりすると、カビなどの不具合を隠していたという可能性もあります。
「内見を複数回したくても断られる」「壁紙だけ張り替えられたばかり」という場合には、不動産仲介会社を通して不具合がないか入念に確認することをおすすめします。
可能であれば、今までのリノベーションに関する資料があるかも聞いてみてもらうと良いでしょう。
引き渡し後に残置物がそのままになっていた
不動産の引き渡しの際には残置物のない状態にするのが通常ですが、稀にいざ引き渡し後に現地を確認したら、家財品などがそのまま残っていたというケースもあります。
特に、前持ち主がローンを返済できなくなって“競売”にかけられたような物件の場合は、このようなことが起こりがちです。
「残置物をしょうがないから処分する」と手をつけてしまう方もいますが、売主が所有権を放棄していない物(執行目的外動産)を勝手に処分してしまうと、最悪の場合、民事裁判にまで発展しかねません。
売主が所有権を放棄していれば処分費用を負担するだけで良いのですが、所有権を放棄していない場合、民事執行法に沿った処理が求められます。
(参考:裁判所|不動産競売手続について)
このような大きなトラブルを避けるためには、引き渡し前に不動産仲介会社などに内部をきちんと最終確認してもらい、物が残っている場合は「いつまでに・誰が・どのように」撤去するかをきちんと話し合ってもらいましょう。
立地が思ったより悪かった
最近は、オンラインで売り出し中の物件内部をじっくり見られるため、現地での内見をせずに購入を決断してしまう方もいらっしゃいます。
これは絶対におすすめしません!
なぜなら、インターネット上で確認できる情報は限られており、実際の立地環境や日当たり、風通し、騒音などはその場所に行かなければ確認できないからです。
内装を一目で気に入り購入した後に、「前面道路の通行量が多く住みづらい」「洗濯物が外に干せない」「近所にある飲食店の匂いが気になる」などのトラブルが発生するケースは多くあります。
このようなトラブルに合わないためには、時間帯を変えて何度か現地へ出向くことをおすすめします。
通行量や日差しの具合などを重点的にチェックしてみましょう。
ご近所トラブルが絶えない
購入後ずっと気持ちよく暮らし続けるためには、ご近所関係はとても重要です。
特に、コロナ禍以降ご近所トラブルは増えており、2017(平成29)年から2021(令和3)年にかけて「近隣関係や迷惑行為」による警察への通報件数は全国で5万件以上増えています。
(参考:警察庁|令和3年における相談取扱状況について)
ご近所トラブルは、騒音などの“被害者”になるケースだけではありません。
特に、小さいお子さんやペットのいるご家庭の場合は「多少の迷惑をかける」ことを前提として、物件選びの時からご近所の状況をリサーチしておいてください。
購入後に隣近所の方とうまく行かないと分かっても、どうしようもできません。
「周りに住んでいる年齢層はどのくらいか」「昼夜逆転して生活している人は多くないか」など、ご自身が被害者の場合・加害者の場合の両方をイメージして、ご近所を巡ってみるのも良いでしょう。
見えない部分の劣化がひどくすぐに住めなかった
住宅は、新築時からどれほどきちんとメンテナンスしてきたかによって寿命が大きく変わります。
ですから、いくら表面がきれいであっても、住まい全体が健全な状態であるとは限りません。
特に、築30年を超える物件で給排水管や電気配線が新築時から一度も更新されていない場合は、そのまま住み始めるとある日突然漏水や漏電してしまうリスクがあります。
築年数の古い物件を購入する場合は、これらについてメンテナンスの有無をはっきりさせておきましょう。
していないのであれば、購入後にリノベーションで更新することはできます。
避けなくてはいけないのが、「更新したか分からない」という状況にしないということです。
給排水管の寿命は25〜30年程度と言われており、素材によってはさらに短期間で劣化してしまうものもあります。
電線やケーブル、コンセント、スイッチなどの寿命も25〜30年程度なので、築年数が30年を超える場合は更新したことがあるかどうかを事前に売主へ確認しましょう。
結露がひどく住み始めてからすぐにカビが発生した
築年数に関係なく、結露の問題は戸建住宅・マンションどちらの場合も付きまといます。
「春や秋などの快適な気温の時期に内見した時には気にならなかったが、住み始めてから結露に悩まされた」という方は少なくありません。
窓周りの壁紙に水シミはないか、窓枠が水分で劣化していないか、窓のガラス周りにあるパッキンに黒カビが生えていないかなどを内覧時に確認しましょう。
メンテナンス費用を想定していなかった
中古住宅は「買っておしまい」という訳にはいきません。
賃貸住宅に住んでいた時にはかからなかった「メンテナンス費用」が必要になるのです。
家を長持ちさせるためには、各部を適切な時期にメンテナンスしなくてはいけないため、その費用についても長期的に計画を立てておきましょう。
たまに、「住宅ローンの返済が大変でリノベーションできない」という方もいらっしゃいますが、それでは家の寿命を縮めかねません。
転売・賃貸にしようと思ったがうまくいかなかった
不動産投資や賃貸を目的として中古住宅を購入しても、いざ運用しようとしたら残念ながらうまくいかなかったという方もいらっしゃいます。
その原因は様々な要素がありますが、そのうちの一つが「適切なリノベーションをしなかった」という点が挙げられます。
リノベーションをするにしても、その土地に住む人の年齢層・所得層、ライフスタイルに合ったプランにしなくてはあまり効果はありません。
最近は、住宅ストックが増えて住宅が余っている状態であるため、ライバルと差別化を図るためには「ただ表面をきれいにする」だけでは勝ち残れない可能性もあるのです。
〈関連コラム〉
【東京で不動産投資・賃貸運用を始めたい方へ】失敗例から学ぶリノベーションのポイントと注意点を解説
【中古戸建住宅】契約後・引き渡し後に起こるトラブル例とその回避方法
ここまでは、中古戸建住宅・中古マンションに共通したトラブル例を紹介しましたが、ここからは戸建住宅に特化したケースについてお話しします。
隣家との境界線が曖昧で売却する際に揉めた
古い住宅で稀にあるのが、「隣家との境界線が曖昧なまま」というケースです。
最近は、不動産売買をする際に測量を行い権利関係をはっきりさせてから取引を行うため、このようなトラブルはほとんどありません。
しかし、古い住宅で初めて中古住宅として売り出す場合は、所有者同士で口約束により境界線を決めているようなこともない訳ではありません。
昔に造成された住宅地で中古住宅を買う場合などは、敷地の境界線についても事前に確認しておきましょう。
登記上明確になっている境界線を「筆界」と呼び、隣地の所有者との話し合いで決められた私法上の境界線を「所有権界」と言います。
新しい宅地はこれらに差がないのですが、古い宅地の場合はその間に誤差がある場合もあります。
変形した土地の場合、口約束で土地を譲渡して建物を建てている場合もあるため、登記簿謄本などで事前に事実関係を確認しましょう。
住み始めてから雨漏りやシロアリ被害が見つかった
表面上はきれいでも、実は雨漏りがしていたりシロアリ被害がある場合も少なくありません。
実際に、購入後すぐに大掛かりな改修が必要になったというケースもあります。
2020年に改正された民法により、中古住宅も「契約不適合責任」が適用されることになったため、売主の悪意でこれらを隠すことはできなくなりました。
しかし、契約書に「雨漏り・シロアリ被害がある」旨がきちんと記載されていれば、売主の補償義務はなくなります。
ですから、契約時には見える部分・見えない部分関係なしに、書面上でどの場所にどのような不具合があるかをきちんと確認しましょう。
床の軋みが気になり始めた
築40年を超える戸建住宅を買う場合には、その耐震性についてもじっくり検討しましょう。
実際に、見た目はそれほど劣化していないので購入したにもかかわらず、段々床が軋むようになったということもあります。
1981年5月31日までに建築確認を受けた住宅は、「旧耐震」と呼ばれ、現行の建築基準法が求める耐震性能は持ち合わせていません。
ですから、購入後に耐震補強リノベーションをすることを想定しておくか、売主が既に補強工事をしているかどうかを確認すると良いでしょう。
(参考:国土交通省|住宅・建築物の耐震化について)
窓やドアがうまく開閉できなくなった
木造の戸建住宅の場合、どうしても新築時から年数が経つと少しずつ歪み始めてしまいます。
そのため、窓やドアがスムーズに開閉できず、それを購入後に初めて気が付くということも少なくありません。
内見をする際は、窓やドアが閉められた状態であることが多いですが、必ず全ての窓サッシや玄関ドア、内装ドアを開け閉めしてみましょう。
少しでもひっかかったり違和感があるなど気になる箇所があれば、不動産仲介会社を通して、売主へ報告しましょう。
締め切っているのに隙間がある場合も同様です。
私道トラブルを抱えていた
私道に面した中古住宅を購入する場合は、必ず道路の権利関係についても確認しておきましょう。
通常は、私道に面した宅地所有者で権利を分割し、通行権に関わるトラブルを未然に防ぎます。
(引用:法務省|共有私道の保存・管理等に関する事例研究会 |複数の者が所有する私道の工事において必要な所有者の同意に関する研究報告書)
しかし、稀に何かの手違いで土地に私道の権利が付随しておらず、周辺住民によって通行を妨害されるなどのケースが発生しているのも事実です。
裁判になっても負ける可能性は極めて少ないですが、それまでの労力やご近所トラブルはかなりの心労となってしまうでしょう。
ですから、土地・建物の権利だけではなく、必ず私道についてもどのようになっているか確認してください。
夏は暑く冬は寒くて居心地が悪かった
住宅の断熱性が低く、購入後に「夏は暑く冬が寒い」というトラブルが発覚する場合があります。
家の断熱性能は書面で分かりづらいですが、「住宅の品質確保の促進等に関する法律(通称:品確法)」で規定された“断熱等級”の認定を受けていれば、ある程度心配ないと言えるでしょう。
ただし、等級1〜7のうち、1と2は旧省エネルギー基準以下であるため、あまり断熱性は期待できません。
1999年に創設された等級4以上の住宅であれば、壁や天井に加えて、窓や玄関などの開口部も断熱仕様になっているということになります。
(参考:国土交通省|住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく住宅性能表示制度におけるZEH水準を上回る等級について)
【中古マンション】契約後・引き渡し後に起こるトラブル例とその回避方法
マンションは、構造体含む共有部を全体で管理するため、あまり大きなトラブルは起こらないように感じるかもしれませんが、実際に購入後に住み始めてから「こんなはずじゃなかった」と頭を抱えてしまう方もいらっしゃいます。
共有部の管理が行き届いておらず住みにくかった
まず、エントランスや駐車場・駐輪場、ゴミ置き場などの管理が行き届いておらず、毎日憂鬱な生活を送らなければいけないケースがあります。
この原因は、管理組合が正常に運営されていないことや、管理費・修繕積立金が区分所有者からきちんと徴収できていないことなどが考えられます。
このトラブルを防ぐためには、購入前に不動産仲介会社を通じて管理組合の資料を見せてもらうか、管理体制について確認してみるのをおすすめします。
それが難しければ、何度か現地を訪れて、共有部の様子をうかがっておくと良いでしょう。
中古マンションを購入する際には、どうしても専有部分に目が向きがちですが、資産価値を保つためにも、共用部分の管理状況はとても重要なポイントです。
要望通りのリノベーションができなかった
「多少古くてもリノベーションすればいい」と購入に踏み切ったものの、引き渡しを受けて工事をしようとしたら、ほとんど理想通りのリノベーションができなかったという事例もあります。
マンションの場合、管理規約によってリノベーションしてよい工事内容や工事範囲、仕様が決められているため、いくら専有部内であっても、それを破って工事することはできません。
また、古いマンションですと電気容量の上限が決まっていたり、インターネットの光回線に対応していないなどのトラブルがあり、これらは一区分所有者の意思では、どうすることもできないのです。
ですから、リノベーション前提で中古マンションを購入する場合は、必ずその管理規約などの詳細を確認してから決断しましょう。
〈関連コラム〉
“買わない方がいい”中古マンションを避けるための15のポイントを徹底解説
マンションの管理費・修繕積立金が払えなくなった
マンションを所有する限り、「管理費」と「修繕積立金」を管理組合に納める義務があります。
管理費は、マンションの共有部(エントランス、エレベーター、ゴミ置き場など)を維持管理するための費用であり、管理人の人件費や事務処理費用なども含まれます。
修繕積立金は、共有部のメンテナンス費用を区分所有者で分けて積み立てるための資金であり、金額は長期修繕計画に基づき算出され、戸数や築年数によって異なります。
これらは、複数の所有者のいる共同住宅を長期間正しく運営するためには欠かせません。
しかし、今まで賃貸住宅や戸建住宅に住んでいた人にとっては、あまり馴染みがなく、うっかりその分の費用を想定せずに中古マンションを購入してしまう方もいます。
管理費・修繕積立金の金額は、購入前でも確認することができます。
ですから、住宅ローンを組む際には、返済計画と合わせて、これらの支払いもきちんと盛り込んでおきましょう。
公益財団法人 東日本不動産流通機構が2020年に行った調査によると、「平均月額管理費は191円/㎡」、「修繕積立金169円/㎡」というデータが出ています。
こちらを参考に、物件探しやローンシミュレーションをしてみるのもおすすめです。
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リノベーション会社でトラブルを回避する|良い?悪い?会社の見つけ方
中古マンションの初期費用は一体いくら?目安の内訳からシミュレーションまで
法的トラブルを避けるために「契約不適合責任」についても知っておきましょう
2020年に大幅改正された民法では、契約内容に適合しない商品を引き渡した際に売主側の負う責任「契約不適合責任」が明記されています。
改正前の民法でも、同じような文言が書かれており「瑕疵担保(かしたんぽ)責任」と呼ばれていました。
「瑕疵担保責任」と「契約不適合責任」の大枠や意図は同じですが、さらに買主への補償が手厚くなりました。
(「法務省|民法(債権関係)の改正に関する説明資料 」を元に作成)
ここで重要なのが、「中古物件の購入時にも適用される」という点です。
これによって、見えない部分に不具合があっても補償される場合があります。
ただし、全ての不具合が補償対象となる訳ではありません。
以下のようなケースの場合は、売主の免責となります。
- ● 不適合の存在を知り、それを契約書に明記して、買主も承諾して購入した場合
- ● 不具合があっても免責とする旨が契約書に特約として記載されている場合
実際に、築20年を超える物件の場合は、契約不適合責任を全部免責とする場合も多いですし、比較的新しい物件でも、設備機器などの不具合については免責とするのが一般的です。
この法律は、売主に不利で買主に有利というものではなく、売買取引後のトラブルを未然に防いだり、悪質な取引をなくすことが目的です。
ですから、売主との交渉の際に、あまり無理を押し付けてしまうと、破断になってしまうこともあるので気をつけましょう。
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