公開日:2024-07-21 更新日:2024-07-29
中古マンションの住宅ローン控除とリフォーム減税のポイント|2024年から変わる要件や期間をチェック
住宅購入やリフォーム・リノベーションの際に知っておきたい、「住宅ローン控除」や「リフォーム減税」。
2022年度の大幅な税制改正や2024年度の一部改正により、適用要件や控除期間に変更があり、中古住宅の取得については、以前よりも減税が受けやすい状況にあります。
この記事では、中古物件の購入およびリノベーションをご検討中の方向けに、住宅ローン控除の基礎知識や2024年の改正ポイントを解説します。
リフォーム減税の変更点や住宅ローン控除、固定資産税軽減措置との併用に関する情報もお伝えしますので、ぜひ参考にしてください♪
・2024年度の税制改正により、中古住宅の築年数要件が緩和されるなど、住宅ローン控除が受けやすくなりました。
・新築と中古住宅で異なる控除期間と控除率が適用され、対象となる住宅性能の条件にも違いがあります。
・住宅ローン控除とリフォーム減税などの併用はできませんが、条件を満たせばリフォーム減税と固定資産税軽減措置との併用は可能です。
目次
■中古マンションの住宅ローン控除2024年
中古マンションリノベーションの事例を見る:Case186「gray tone」
住宅購入の際に住宅ローンを組む場合、一定の条件を満たすことで所得税の一部が減税される「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」が利用できます。
この制度では、住宅ローンの年末残高に基づいて計算される金額が所得税額から控除されます。
なお所得税で控除しきれない場合は、住民税から減税される仕組みです。
居住目的の「住宅」であれば、戸建て、マンション、新築、中古を問わず、控除の対象となるため、大規模なリフォーム・リノベーションの際にも利用できる可能性があります。
住宅ローン控除の対象住宅
新築・再販の場合は、2024年度の税制改正により「長期優良住宅・低炭素住宅」「ZEH水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」のみが対象となりました。
しかし、中古・増改築等(既存住宅)の場合は、全ての住宅が対象となるため、中古マンション購入時にも住宅ローン控除が利用できます。
なお、「住宅の環境性能等」別の借入限度額は「省エネ住宅」で3,000万円、「その他の住宅」で2,000万円となっています。
(画像引用)国土交通省|住宅ローン減税
住宅ローン控除の要件
住宅ローン控除を受けるためには、以下のような条件を満たす必要があります。
「住宅ローン控除の要件」
- ・個人が居住用に購入した住宅である
- ・住宅ローンを利用して購入した住宅である
- ・住宅ローンの返済期間が10年以上である
- ・引渡しあるいは工事完了から6か月以内に居住(控除を受ける年の12月31日までに入居する)
- ・中古物件の場合は、1982年(昭和57年)以降に建築された住宅であること、あるいは現行の耐震基準に適合する住宅であること
また、新築・再販の場合も中古・増改築等の場合も、合計所得が2,000万円以下で床面積が50㎡以上であることが要件に含まれますが、1,000万円以下の所得の場合は「40㎡以上」に緩和されます。
控除期間と控除率の変更点
2022年度の税制改正までは、新築や中古に関わらず、住宅ローンの控除期間は10年、また控除率は住宅ローンの年末残高の1%でした。
2024年度の改正では、以下のように変更されています。
控除期間:
・「新築・再販」 13年間
・「中古・増改築等」 10年間
控除率:
新築・中古ともに一律0.7%
住宅ローン控除の手続き方法
住宅ローン控除を受けるための手続きは、初年度と2年目以降で異なります。
【初年度の手続き】
住宅ローン控除を最初に受ける場合、入居した翌年の2月16日から3月15日の間に確定申告を行います。
「初年度の確定申告に必要な書類」
- ・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- ・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
- ・住宅の登記事項証明書
- ・売買契約書、建築請負契約書の写し
- ・耐震基準適合証明書、建設住宅性能評価書の写し
- ・入居時期に関する申告書兼証明書
- ・源泉徴収票
- ・本人確認書類
【2年目以降の手続き】
2年目以降は、給与所得者とそれ以外の方で手続きが以下のように異なります。
■給与所得者の場合:給与所得者は、年末調整にて住宅ローン控除の申告をします。
「年末調整に必要な書類」
- ・給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書
- ・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
■給与所得者以外の場合:給与所得者以外の方は、2年目以降も確定申告が必要になります。
「確定申告に必要な書類」
- ・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
- ・住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
SHUKEN Reでは「将来的なリノベーションを検討中」という方向けに、物件探しや住宅ローン、リフォームローンに関するご相談も受け付けております。
■要件緩和や改正のポイント
中古マンションリノベーションの事例を見る:Case182「Cinematic」
次に、2024年度の税制改正による中古物件特有の要件緩和のポイントについて詳しく解説します。
築年数要件の緩和がある
中古住宅の購入で住宅ローン控除を受けるためには「新耐震基準に適合」していることが要件として、追加されます。
この築年数要件は、2022年まで「木造住宅で築20年以内、非耐火構造で築25年以内」となっていましたが、改正により「新耐震基準(1982年1月1日以降に建築された物件)」まで緩和されました。
ただし、1981年以前に建てられた住宅でも、耐震診断にて「新耐震基準並みの耐震性がある」と判断された場合は、控除の対象となります。
耐震性を証明する必要書類は以下の通りです。
- ・耐震基準適合証明書
- ・既存住宅性能評価書(耐震等級1以上)
- ・既存住宅売買瑕疵保険付き証明書(既存住宅瑕疵保険に加入)
築1981年以前の物件で住宅ローン控除の利用を検討する場合は、耐震診断や必要な改修が完了しており、証明書が発行済みの物件である必要があります。
築40年以上のマンションの場合は、耐震基準適合証明書の有無をあらかじめ確認しておくことをおすすめします。
中古は省エネ住宅以外も対象
中古住宅は、新築に比べて環境負荷が低いため、2025年までの入居であれば借入限度額の引き下げがありません。
そのため、省エネ基準の新築よりも借入限度額は低くなりますが、省エネ住宅以外の物件でも住宅ローン控除を受けられるのがメリットです。
ただし、省エネ基準を満たす住宅の借入限度額は、その他の住宅よりも1,000万円高く控除されることを覚えておきましょう。
「中古住宅の借入限度額」
- ・長期優良住宅・低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅:3,000万円
- ・その他の住宅:2,000万円
中古マンションを選ぶ際は、これらのポイントを押さえた上で、省エネ基準を満たす住宅取得の検討や資金計画を立てることが大切です。
〈関連コラム〉
リノベーション一体型住宅ローンのおすすめ銀行はどこ?融資の流れや銀行選びのポイントを解説
築年数の古いマンションはデメリットが多い?購入・リノベーション時の注意点
■リフォーム減税との併用について
中古マンションリノベーションの事例を見る:Case163「Smile Kitchen House」
住宅ローン控除と「リフォーム減税」「固定資産税軽減措置」との併用についてもチェックしておきましょう。
住宅ローン控除とリフォーム減税の併用
リフォーム減税は、一定の要件を満たすリフォーム・リノベーションをした場合、住宅ローンの利用がなくても控除が受けられる制度です。
対象となる税金は、主に所得税と固定資産税ですが、条件によっては贈与税や登録免許税、不動産取得税なども減額される場合があります。
2024年度の税制改正により、リフォーム減税の期限は2025年12月31日まで延長され、内容も拡充されました。
しかし、リフォーム減税は住宅ローン控除との併用ができないため注意が必要です。
中古マンションを購入してリノベーションする場合は「住宅ローン控除」を、持ち家リノベーションの場合は「リフォーム減税」を利用するなど、使い分けましょう。
住宅ローン控除と固定資産税軽減措置の併用
耐震・省エネ・バリアフリー・長期優良化の4種類のリフォームで、翌年の固定資産税が減額される「固定資産税の軽減措置」も、2025年12月31日まで延長されることが決まりました。
リフォームの種類別の減額割合は、以下の通りです。
- ・耐震リフォーム:1/2減額
- ・省エネリフォーム:1/3減額
- ・バリアフリーリフォーム:1/3減額
- ・長期優良住宅化リフォーム:2/3減額
また、固定資産税軽減措置も住宅ローン控除との併用はできません。
リフォーム減税と固定資産税軽減措置の併用
所得税控除のリフォーム減税と固定資産税軽減措置の併用は可能です。
つまり、リフォーム・リノベーションの費用に対して、リフォーム減税を適用させながら、さらに翌年の固定資産税の軽減措置も受けられます。
ただし、工事内容によっては同時に利用できないケースもあるため、あらかじめ施工会社に確認しておきましょう。
〈関連コラム〉
マンション住み替えで理想の暮らし|中古購入×リノベーションで自分好みの家づくり
リノベーションと“固定資産税”の関係は?金額が上下する工事について解説
■中古マンション購入の確認ポイント
中古マンションリノベーションの事例を見る:Case146「MIX Style」
最後に、住宅ローン控除を受けられる、中古マンション選びの際にチェックしておくべきポイントをまとめてみましょう。
築年数の確認
住宅ローン控除を視野に入れた、中古マンション購入&リノベーションをお考えの場合は、まず気になる物件の築年数を確認してみましょう。
前に述べた通り、2022年の税制改正では、1982年1月1日以降に建築された「新耐震基準適合住宅」であることが住宅ローン控除の適用要件となっています。
また、予期せぬ修繕費用がかかる可能性を考え、築年数だけでなく、建物の状態や過去の修繕履歴についても調査しておくようにしましょう。
住宅性能の調査
住宅ローン控除の借入限度額は、住宅性能によって異なります。
中古マンションの場合、長期優良住宅・脱炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅などの省エネ住宅と、その他の住宅では控除額の上限が変わります。
省エネ基準を満たす物件は、控除額が高くなるため、経済的なメリットや住み心地、建物の安全性を考えて、検討してみるのもいいかもしれません。
■まとめ:中古マンションの住宅ローン控除2024年の変更ポイント
住宅ローン控除は、2025年4月以降「原則として全ての建築物の省エネ基準適合義務化」に向けた国の取り組みで、2025年までの入居が適用条件となっています。
そのため、現時点で家づくりを始める予定がある場合には、早めの情報収集と手続きの準備を進めていくことをおすすめします。
中古マンションの購入やリノベーションをお考えの際には、ぜひ税制改正のポイントを押さえて、住宅ローン控除を最大限に活用させましょう。
SHUKEN Reでは、金融・経済の幅広い知識を持つスタッフが、節税対策や将来を見据えた資金計画のお手伝いもしています。
SHUKEN Reは、東京・千葉・神奈川エリアで約20年にわたり8,000件超のリノベーション施工実績がある専門会社です。
経験豊富なスタッフが、リノベーション全般はもちろん住宅ローンやリフォームローン、節税対策に関する疑問にも対応いたします。
ぜひ安心してご相談ください。