公開日:2024-01-28 更新日:2024-07-04
オフィスビル一棟買いが注目されている理由|メリットや注意点を解説
不動産投資の中でも注目が集まっている、オフィスビル一棟買い。
コロナ過によりオフィスビルの需要は一時的に低下しました。しかしコロナ後は東京都心の主要ビジネスエリアを中心に、オフィスビルの需要は回復傾向です。
テレワークの普及等に伴うオフィス需要の変化で、企業のオフィスビルの選別が進み、都心のハイグレードな大規模ビルと、利便性の高い中小規模ビルといった二極化が進行しています。
生産年齢人口の減少、働き方の多様化によりオフィス需要も変化しており、小回りの利く中小規模のオフィスビルに注目が集まっているのです。
今回は、中小規模のオフィスビル一棟買いのメリットや注意点などを詳しく解説します。
・東京都内のオフィスビル平均価格は6億5,552万円、23区内の駅近物件は1~2億円前後が相場となります。
■中小規模のオフィスビル投資が注目されている理由
不動産投資と言えばマンションやアパートなどの住居系収益物件がメジャーですが、近年中小規模のオフィスビル投資が注目されています。
オフィスビルは安定した需要が期待できる
少子高齢化が進む日本では住宅の賃貸需要は減少する可能性が高く、供給過多なため競争が激化すると見られています。
一方、オフィスの賃貸需要は新型コロナウイルスを機に大きく減少したものの、多くの企業がテレワークから出社体制に戻り、回復基調にあります。
2023年のテレワークに関する意識調査によると、直近1週間の出勤日数が0日と回答したのは、テレワーカーで21.2%、管理職はわずか9.8%でした。
テレワーク自体はコロナ前より普及したものの、出社日数が0日になった企業は少なく、引き続きオフィスを必要とするケースがほとんどです。
参照元:公益財団法人日本生産性本部
東京23区のオフィスニーズに関する調査では、2023年に新規賃借予定ありと回答した企業は27%に上りました。
多くの企業が従業員のエンゲージメント向上や新規採用のためにオフィスが必要だと考えており、都市部を中心に今後も賃貸需要が期待できそうな状況です。
参照元:森ビル株式会社
コワーキングスペースの需要も期待大
近年はIT技術者を中心に「デジタルノマド」という働き方も増えており、コワーキングスペースとしてのオフィス需要も期待できます。
日本は海外からのデジタルノマド需要を見据えて、ビザの導入や受け入れ態勢の整備を進めています。
テレワークによって働く場所を選ばなくなったことで新しいオフィス需要が生まれ、ビジネスチャンスも広がっているのです。
オフィスビル一棟買いでトレンドを採り入れたコワーキングスペースをつくれば、大きな需要が期待できるかもしれません。
■オフィスビル一棟買いのメリット
アパートやマンションなどの住居系物件、オフィスビルの区分買いと比較して、一棟買いには次のようなメリットがあります。
住居系物件より賃料単価と利回りが高い
オフィスビルは住居系物件より賃料単価と利回りが高いため、短期間で投資回収し効率よく収益を上げられる可能性があります。
また、築年数による賃料の下落率が低いのもオフィスビルのメリットです。
アパートやマンションは築年数が経つと家賃相場が低下していきますが、オフィスビルは適切な維持管理を続ければ収益性をキープできる可能性が高いです。
オフィスビルは入居期間も長い傾向があるため、住居系物件より安定した収益が期待できます。
区分所有より経営の自由度が高い
オフィスビルは区分所有できる物件もありますが、一棟買いの方が経営の自由度が高くなるのもメリットの1つ。
区分所有の場合は同じビル内のテナントを選べず、専有部分の用途やビジネスモデルもある程度限られます。
また、建物の維持管理も全体の意向に左右され、ビル自体が古くなると入居率が低下するリスクも。
オフィスビル一棟買いなら単独所有となるため、レイアウトや用途、維持管理などもオーナーの一存で決定可能です。
景気動向や需要変動に合わせて経営方針を変えられるため、安定した経営を続けられる可能性が高いです。
土地の所有権を丸ごと得られる
区分買いと異なり、オフィスビル一棟買いは土地の所有権を丸ごと得られるのも大きなメリットです。
建物は築年数と共に価値が低下していきますが、土地は下落率が低く、試算価値が残る可能性が高いです。
オフィスビルは駅前など地価が高いエリアに多いため、土地を単独所有すれば、売却・転用・建て替えなど出口戦略の幅も広がります。
立地が良い物件が多い
オフィスビルは住居系物件より環境面のハードルが低く、好立地な物件を見つけやすいのも魅力的なポイントです。
マンション・アパートは日照や騒音などのハードルが高く、集客力の高い物件を見つけるのは難しいケースが多いです。
一方、オフィスビルはそれほど環境が課題になることがなく、駅から徒歩圏内の立地が良い物件なら収益を確保できる可能性があります。
オフィスビルは基本的に都市部に集中しているため、比較的好立地・好条件な物件を見つけやすいでしょう。
定期借家契約を結ぶことが多い
オフィスビルを一棟買いして経営する場合、企業や店舗などが取引対象となり、定期借家契約を結ぶケースが多いのも意外なメリットの1つです。
アパートやマンションなどで一般的な普通借家契約は借主の権利が強く、オーナーの意向で契約更新を断ることができません。
一方、定期借家契約はあらかじめ設定した期間が満了したら、更新するかどうか話合いで決めることができます。
住居系物件は入居者の退去に時間がかかり、リノベーションや建て替えの難易度は高めです。
しかしオフィスビルで定期借家契約を結べば、契約満了のタイミングでスムーズにリノベーション・建て替えをして空室対策も可能です。
内装工事と原状回復の負担が少ない
オフィスの内装工事や原状回復は基本的に賃借人自らが実施するため、オーナー側の費用負担が少ないのも経営面のメリットです。
アパートやマンションは、部屋数が増えるほど原状回復費用が高くなり運転資金を圧迫します。
しかし、オフィスビルの場合は入居する企業やテナントが内装工事を手配し、原状回復費用を負担します。
オフィスビル一棟買いで複数の部屋を経営しても、オーナーの負担はそれほど大きくないでしょう。
■オフィスビル一棟の平均価格は?
不動産投資の中でも、オフィスビル一棟買いは初期費用が高額になるケースが多いため、相場をチェックしてみましょう。
東京都内で2022年~2023年の間に取引された物件から、用途が事務所の建物をピックアップして平均価格を計算してみます。
※東京都全体のオフィスビル平均価格
6億5,552万7,272円 延床面積629㎡(430軒)
出典:国土交通省 土地総合情報システムを基に弊社集計
東京都内は23区を中心に高額物件が多く、平均価格は6億円オーバーとなりました。
地区名 | 最寄駅:名称 | 最寄駅:距離(分) | 取引価格(総額) | 延床面積(㎡) | 建築年 | 建物の構造 |
中馬込 | 馬込 | 4 | 93000000 | 220 | 昭和52年 | RC |
南町 | 国分寺 | 4 | 100000000 | 300 | 昭和55年 | SRC |
飯田橋 | 九段下 | 5 | 130000000 | 155 | 昭和35年 | RC |
池袋 | 池袋 | 11 | 130000000 | 210 | 昭和63年 | RC |
西蒲田 | 蒲田 | 4 | 150000000 | 380 | 昭和45年 | RC |
百人町 | 西武新宿 | 5 | 180000000 | 270 | 平成4年 | RC |
神田神保町 | 神保町 | 3 | 200000000 | 210 | 昭和49年 | RC |
出典:国土交通省 土地総合情報システム
しかし、オフィスビルは物件数が豊富で、東京23区内でも1億円前後の取引事例は多いようです。
地価とオフィスビルの需要が高い東京都内では、1~2億円前後が物件購入費用の目安になりそうです。
■オフィスビル一棟買いの注意点
実際にオフィスビル投資の一棟物件を選ぶ際は、次のポイントに注意しましょう。
中古ビルはメンテナンス履歴と耐震性を確認
中古ビルを購入する場合は、メンテナンス履歴と耐震性をしっかりチェックしましょう。
鉄筋コンクリート造のビルの耐久性は100年以上と言われていますが、メンテナンスを怠ると寿命は短くなります。
建物がダメージを受けている場合、余計な修繕費用がかかる可能性も。
防水や配管入れ替えなど、適切なタイミングでメンテナンスされている物件を選びましょう。
〈関連コラム〉
ビルの建て替え年数はどれくらい?耐用年数を過ぎたビルの建て替え・リノベーション費用相場
景気の影響を受けやすい
入居者が企業であるオフィスビルは、住居系収益物件より景気動向の影響を受けやすい点にも注意が必要です。
景気が悪化して企業の倒産が増えると、オフィス需要が減退し賃料相場も下がる可能性があります。
常に景気動向や政策をチェックし、需要が低下する前に売却や店舗へのコンバージョンなど手を打つ必要があるでしょう。
〈関連コラム〉
空室期間のリスクが大きい
オフィスは賃料相場が高い分、空室期間が続いたときの影響が大きく、キャッシュフローを悪化させるリスクがあります。
退去時はすぐに募集を開始し、なるべく空室期間を短くすることが必要です。
また、なるべく好立地な物件を選ぶことも、空室リスクを回避する重要な取り組みです。
アクセスはもちろん、従業員のエンゲージメントや取引先からのイメージなど、企業側の目線になりオフィスビルを選びましょう。
■まとめ
働き方改革が進むこれからの日本ではさまざまなオフィス需要が期待でき、投資の選択肢として多くの個人投資家や企業が注目しています。
収益性の高い投資先を探している方、アパートやマンションからのステップアップを考えている方は、オフィスビル投資も検討してみてください。
企業向けの賃貸オフィスだけでなく、スタートアップやノマドワーカーのためのコワーキングスペースの需要も期待できます。
働き方の変化やオフィストレンドをキャッチアップし、中古ビルをリノベーションして魅力的な施設・サービスをつくるのもおすすめです。
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