公開日:2022-03-06 更新日:2024-07-04
ファミリークローゼットを“後悔”する人の理由は?失敗しないための間取りづくりから事例まで徹底解説
皆さんは、「ファミリークローゼット」という言葉を聞いたことはありますか?最近トレンドの間取りで、新築住宅だけではなくリノベーション物件にもよく採用されています。
ですが、まだまだその本当の魅力について知らない方も多いかもしれません。
そこで、今回はファミリークローゼットの魅力についてや、失敗しないための解決方法やポイントについて解説します。
今のお住まいをもっと便利にしたい方は、ぜひ参考にしてください。
・ランドリールームやパントリーと併用するプランもおすすめ。
・敢えてドアをつけないシンプルプランにすれば、面倒なドアの開け閉めもなくなる。
目次
■ “スタンダード”になりつつあるファミリークローゼット
「ファミリークローゼット」とは、ご家族全員の洋服などを一箇所にまとめて収納できる場所です。
従来の各室に設けたクローゼットとは異なり、ある程度の広さを持つ収納スペースを配置します。
主なタイプは以下の2種類です。
- ●出入り口が一箇所のウォークインタイプ
- ●出入り口が二箇所以上あり通り抜けができるウォークスルータイプ
どちらも複数人の洋服などを収納するため、一般的な部屋併設型のクローゼットと比べると、広めなのが特徴です。
では、なぜ家族全員のものを一箇所にまとめて収納するのでしょうか?メリットは以下の通りです。
- ●家事の負担を軽減できる
- ●省スペースになる
- ●間取りによっては、ランドリールームやパントリーと兼用できる
家事をしている方なら想像できるかもしれませんが、洗濯物を各部屋のクローゼットにしまうことは、なかなか面倒な作業です。
しかし、それが一箇所にまとまっているとどうでしょう。
行ったり来たりの時間が省略できるだけではなく、乾いた洋服をまとめて運んでクローゼット内で畳むこともできます。
そのため、家事負担が大幅に軽減できるため、忙しい方には特におすすめです。
収納スペースを一箇所にまとめることで、各部屋にクローゼットを設ける必要がなくなるため、スペースをより有効活用できる点もメリットです。
また、クローゼット扉の設置や棚の造作などを必要とする場所が少なくなるため、材料費や工事費の縮小にもつながります。
そして、ファミリークローゼットと同様に、最近人気の高いスペースが「ランドリールーム」や「パントリー」です。
ランドリールームは、「洗濯する・干す・畳む」の一連の作業を一部屋でできるスペースで、パントリーは食料庫としてだけではなく掃除用品や日用品の保管にも便利です。
プランによっては、ファミリークローゼットとこれらのスペースを併用でき、何かとストック品の集中管理ができて、無駄な買い物を防げます。
■ 「後悔」「失敗」「いらない」と感じる理由は?解決方法はある?
ファミリークローゼットについてインターネットで調べてみると、「失敗」「後悔」「いらない」というキーワードを見かけます。
確かにメリットの多いスペースですしトレンドでもあるため、あまり考えずに取り入れてしまう方は少なくありません。
しかし、せっかく限られたスペースの中で設置するなら、便利な場所にしたいですよね。
そこで、ここでは失敗例を踏まえた注意点や解決策を紹介します。
その① 広さが不十分だった
よくあるのが、「収納量が足りず中途半端」という理由です。
リビングや寝室など部屋と比べるとどうしても優先順位が低いため、ファミリークローゼットに十分なスペースを使えない場合もあるかもしれません。
しかし、せっかく作るなら“使える”場所にしたいですよね。
そのためには、最低でも3畳の広さは確保しましょう。
家族構成や部屋の形状、開口部の位置によっては、それ以上に必要な場合もあります。
ウォークイン(出入り口が一箇所)の場合には、比較的狭いスペースでも成り立ちますが、ウォークスルー(出入り口が二箇所以上)ですと、通り抜けができて便利な分、通路でスペースを使うため、より広い場所を確保しなくてはけません。
そして、ご家族の生活ルーティーンも必要な広さに影響します。
朝などに複数人が出入りする場合には、渋滞にならないように広さや出入り口に工夫が必要です。
その② 配置場所を間違った
収納スペースは生活の中では、どうしても“脇役”的な場所ですが、だからと言って家の端に配置してしまうと、逆に動線が長くなっていくのが億劫になってしまうケースもよくあります。
洗濯を干す場所や畳む場所から遠いと、家事が楽になるどころか、逆に手間かかってしまう場合も…。
リビングや寝室の近くに設置するなど、家族全員の生活動線からあまり外れた場所に配置しないように注意しましょう。
その③ 収納レイアウトを間違った
せっかく広さが十分だとしても、「収納しきれず部屋が片付かない」という失敗例も少なくありません。
その原因は、「収納したいものの量を考えずに棚やハンガーパイプを付けすぎる」ことにあります。
何を収納したいかをあらかじめイメージせずに、とりあえず収納しやすくなるように内部を作り込みすぎてしまうと、結局収納しきれずあちこちにデッドスペースが生まれてしまいます。
市販の収納ケースを納めたい場合にも、プランニングの時点でサイズなどを設計スタッフに伝えておくと良いでしょう。
限られた空間にどれだけ効率よく収納できるかどうかは、荷物量を事前に把握することや、どのように収納するかをイメージできるかにかかっています。
その④ ディテールの設計を間違った
失敗しないためには、広さや内部のプランニングを検討するだけでは不十分です。
出入りを想定したドアの位置や細かい機能も重要なポイントになります。
よくあるトラブルが、ドアの開閉時に室内の荷物にぶつかってしまうという問題です。
収納脇に袖壁を作ったり、むしろドアを設置しないという選択肢も検討してみましょう。
そして、両手いっぱいに荷物を持ちながら出入りする際、照明のスイッチを押すのが大変な場面も多いでしょう。
そのような場合には、人感センサー付きの照明器具がおすすめです。
その他、必要に応じて姿見ミラーを置いたり、洋服を一時的にかけるためのランドリーロープや移動式パイプラックも用意してみてください。
その⑤ 家族構成が変わって使わなくなった
ファミリークローゼットを設けた方で意外に多いのが、「便利に使っていたが、子供が独立して使わなくなった」という感想です。
たしかに、家族構成が変わったことで、それほど広い収納スペースが必要なくなるということは、誰にでも起こりうるシチュエーションでしょう。
その可能性がある場合には、将来的に書斎や家事室などに改装できるように、収納を造作しすぎずにシンプルな作りにしておくことをおすすめします。
家の“長寿命化”がトレンドでもあるため、部屋の用途をフレキシブルに変えられるようにしておくことで、将来的なリノベーション費用を安く抑えることができます。
■ ファミリークローゼットの成功事例4選
私たちShuken Reでは、今まで数多くのファミリークローゼットを手がけてきました。
その中でも特徴的な事例を4つ紹介します。
今のお住いの収納にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
事例① 収納スペースを一箇所に集約
〈BEFORE〉
〈AFTER〉
こちらは、ご夫婦+お子さん1人のご家族のお住まいです。
元々のプランでは寝室と廊下に小さなクローゼットが分散していました。
しかし、お子さんがいるとそれだけではどうしてもスッキリ片付けることは難しいため、リノベーションの際に2つの寝室の間に広めのクローゼットを設置し、ご家族の洋服などを一箇所に収納できるようにしました。
間取りのほぼ中央に設置したことで、どこからも足を運びやすいですし、洗面脱衣室から廊下を挟んですぐにアクセスできるため、洗濯物をしまう際や入浴前に洋服を取りに行くにも便利です。
クローゼット裏には、両側の寝室から入れるウォークスルータイプの書斎スペースを設置し、落ち着いて作業できる“隠れ家”的なスペースが生まれました。
ここに、生活感を出してしまう書類やプリンターなどをしまえば、リビングもすっきりします。
事例② ドアを極力取り除いた無駄のない間取り
〈BEFORE〉
〈AFTER〉
こちらは、玄関脇とリビング、寝室の3箇所に収納スペースを配した事例です。
一見、収納場所が分散しているようですが、毎日着るコートなどをかけておく場所と、それ以外の洋服などの荷物を収納する場所、洋服以外の荷物をしまう場所で別れているため、それぞれ用途が異なります。
元々は各部屋にそれぞれ収納していましたが、これでは洗濯物をしまう際にあちこちのドアを開け閉めしなくてはいけません。
これが毎日となると、かなりの負担になってしまいます。
そこで、この事例では敢えてクローゼットにドアは付けずに、荷物を持った状態でも出入りがしやすい工夫を施しました。
「ドアがないと中が丸見えで気になる」という方には、カーテンなどで簡易的に仕切るのもおすすめです。
来客時など必要に応じて開け閉めできますし、通常ですと開けっ放しにしておけば荷物の出し入れも簡単です。
そして何よりも、材料費や施工費をコンパクトに抑えられます。
事例③ ウォークスルーの大容量クローゼット
〈BEFORE〉
〈AFTER〉
元々は、従来のプランでよく見かける押入れサイズのクローゼットが各部屋に設置されていました。
確かに、このプランですとそれぞれの洋服や荷物を収納するのには十分かもしれません。
しかし、ご家族共通で使うものをしまう場所に困ってしまいます。
また、大きなものをしまうには、少々手狭でしょう。
そこで、リノベーションの際には元々の収納場所を集約した広さのウォークスルークローゼットに加え、大きなものでも楽々しまえる収納部屋を設けました。
寝室からの出入りと、キッチンからの出入りの両方が可能なので、ファミリークローゼットとしてだけではなく、食料や日用品をストックできるパントリーとしても活用できます。
事例を見る:Case118「帰ってきたくなるリゾートなお家」
事例④ クローゼットを間取りの中心に
〈BEFORE〉
AFTER
みなさんは季節物の荷物をどこにしまっていますか?
マンションの場合ですと、収納場所に困っているという方も少なくないでしょう。
そのような場合にも、ファミリークローゼットはおすすめです。
各部屋に収納を設けない代わりに、その分のスペースを一箇所にまとめることで、大きな荷物もしまえます。
そして、子供部屋の収納について悩んでいる方にも、ファミリークローゼットはおすすめです。
洗濯物をしまうためにわざわざ部屋の中に入る必要がありませんし、何より洋服の管理がしやすいです。
大人の寝室にだけ、最小限のクローゼットを設けてもいいでしょう。
事例を見る:Case106「Happy Family Home」
最近では、敢えてお子さんのお部屋は「勉強する+寝る』ためだけのシンプルな空間にして、出来るだけリビングなどで家族の時間を大切にしたいという方も増えています。
〈関連コラム〉
■ まとめ:ファミリークローゼットですっきり家事ラクな住まいに
ファミリークローゼットは、今までの分散型収納とは全く違う新しい考え方です。
「それぞれのプライバシーがなくなる」と心配される方もいるかもしれませんが、クローゼットをまとめることで、家事の負担が一気に楽になりますし、中途半端なスペースがあちこちにあるのと比べても、収納量はぐんと増えます。
また、扉や造作工事が減るため、リノベーション費用の削減にもつながります。
忙しい方や家を常にきれいに片付けたい方は、一度ファミリークローゼットについて考えてみてください。
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