中古住宅の売却相場は築年数で変わる?古いマンション・戸建てを高く売るコツは?
新築マンションや戸建ては、購入した瞬間から中古住宅となり、築年数が古くなるごとに徐々に価値が下がっていきます。
現在お住まいのマイホームを売却するなら、どれくらいの築年数で売るのがよいか、売り時を知りたいという人も多いのではないでしょうか。
今回は、中古住宅の築年数別の売却価格相場について、首都圏の中古マンション・戸建ての2022年最新成約データを使って分析・解説します。
中古住宅の売却を検討中の方は参考にしてくださいね。
・中古住宅は、戸建て・マンションどちらの場合でも、築年数が売却相場に影響します。ただし、立地や建物の状態などによっては、築年数が古くても相場より高く売却できる場合もあります。
・築20~25年以上の中古住宅でも、住宅ローン控除が適用しやすいように条件を整えるなど、より売れやすくなるよう工夫する方法もあります。
Contents
中古住宅は築年数が古いほど売却相場が安くなる
事例を見る:Case17「NATURAL INDUSTRIAL」
はじめに、東日本不動産流通機構が公表している、首都圏の中古マンション・中古戸建ての築年数別の平均成約価格(売却価格)の最新データをご紹介します。
(出典)東日本不動産流通機構「レインズデータライブラリー・マーケットデータ(2022年)」を基に弊社で作成
グラフから分かるように、首都圏の中古マンションも中古戸建ても、築年数が古くなるほど成約価格(売却価格)が安くなる傾向にあります。
首都圏の中古マンション築年数別売却相場
首都圏の中古マンションは、築0~5年の築浅マンションと比較して、5年経つごとに約1割ずつ徐々に売却相場が下がっていきます。
そして、築26年を超えてくると一気に売却相場が下がり、築26~30年では築浅物件の4割程度、築30年以上では築浅物件の3割程度まで下がっていることが分かりました。
首都圏の中古戸建て築年数別売却相場
首都圏の中古戸建ての売却相場は、マンションよりも築年数による売却相場の下落が緩やかです。
築21~25年以内までの戸建ては、築0~5年以内の戸建てと比較して売却価格相場は2.5割程下落しています。
築30年を超えると、築25年で築浅の約7割、築30年になると築浅の約5割の売却相場になっていることが分かりました。
【首都圏エリア別】中古住宅の築年数別売却相場
事例を見る:Case26「暮らしながら、自分達で作りあげるおでんの似合う家・ODEN GOTEN」
次に、首都圏のエリア別に、中古マンションと中古戸建ての築年数別の平均成約価格を見てみましょう。
【首都圏エリア別】中古マンションの築年数別売却相場
(出典)東日本不動産流通機構「レインズデータライブラリー(首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況)」を基に弊社で作成
首都圏のエリア別中古マンション売却価格相場は、東京23区が最も高く、次いで神奈川(横浜・川崎)、東京(多摩地域)の順で高い傾向にあります。
埼玉県、千葉県、神奈川(横浜・川崎以外)の3エリアは、どの築年数帯でもほぼ同じ売却相場となっています。
グラフを見ると、築年数を経るごとに売却相場の地域差が少なくなっていくことも分かりますね。
例えば、横浜・川崎エリアと千葉県では、築浅(築0~5年)マンションの売却相場は約1,600万円の差があるのに対して、築30年を超えるマンションでは売却相場の差は約700万円まで小さくなります。
首都圏での住み替えなどを検討中の方は参考にしてみてください。
【首都圏エリア別】中古戸建ての築年数別売却相場
(出典)東日本不動産流通機構「レインズデータライブラリー(首都圏中古マンション・中古戸建住宅地域別・築年帯別成約状況)」を基に弊社で作成
首都圏の中古戸建ての築年数別売却相場は、築年数を経るごとに、エリアの土地価格の差がより顕著に現れています。
もう1つ注目したいのが、東京23区内の中古戸建ての売却相場が、築25~30年で築浅物件以上に上昇していることです。
これは、23区内は土地価格相場が周辺よりも高く、立地の良いエリアの高額中古戸建ての成約が増えていることが影響していると考えられ、築25~30年の中古戸建ての需要の高まりも見てとれます。
ただし、23区内でも築30年を超えると、築浅と比較した売却相場の下落率は他のエリアよりもやや高めになります。
中古住宅の売り時築年数はいつ?
2022年の首都圏の中古住宅市場統計データを踏まえると、中古住宅をできるだけ高く売却するなら、売却相場の下落が比較的緩やかな
- ・中古マンションは「築20年以内まで」
- ・中古戸建ては「築25年以内まで」
がおすすめのタイミングと言えます。
築25年以上の中古住宅の売却は難しい?
では、中古住宅は築25年以上になると売れないのかというと、決してそうではありません。
例えば、新耐震基準で建てられている築25~40年以内(昭和56年6月以降の建築確認申請)の中古マンションは、「中古住宅を安く買ってリノベーションして住みたい」という人からの需要が高まっています。
築年数の古い中古住宅は、買主にとっては物件費用を安く抑えられて、購入後も価値が変わりにくいというメリットがある物件でもあるのです。
築25年以上の中古戸建て売却価格は土地価格の影響が大きい
国税庁が定めている、木造戸建て住宅の法定耐用年数は22年となっており、戸建て住宅(建物)の税法上の資産価値(評価額)はおおよそ築25年ほどでほぼゼロになります。
(参考)国税庁「主な減価償却資産の耐用年数表」
このように、築25年以上の中古戸建ての売却価格は、建物自体よりも、築年数で価値が下がらない土地の価格によって左右されることが多いのが現状です。
ただし、同じ築年数の戸建てでも、人口が増加傾向など人気のエリアや、将来的に開発が予定されているエリアなどでは土地の査定額が高くなり、相場よりも高く売却できるケースもあります。
築年数が古い中古住宅をより高く売るポイント
中古住宅は、もともとの立地や状態が良い物件や、新耐震基準に適合している物件なら、同じ築年数でも高く売れやすい傾向があります。
もし、あなたの売りたい中古住宅がどちらにもあてはまらない場合は、次のようなことを検討してみましょう。
住宅ローン減税が適用されるように条件を整えて売り出す
築年数が古い中古住宅でも、住宅ローン控除が適応されるように条件を整えて売り出せば、買い手も購入しやすくなり、売却できる可能性を高められます。
中古住宅購入時に住宅ローン減税を適用するには、昭和57年1月1日以降に建築された住宅であることなどが条件(※参照)になっています。
※この他、合計所得金額が2,000万円以下、返済期間10年以上、床面積が50㎡以上などの要件があります。
それ以前に建てられた住宅の場合、新耐震基準を満たすことを証明する以下の書類のうちいずれかを提出すれば、住宅ローン控除が適用できるようになります。
- ①建設住宅性能評価書
- ②耐震基準適合証明書(写し)
- ③既存住宅瑕疵保険の付保証明書
(参考)
国税庁「No.1211-3 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
一般社団法人住宅性能評価・表示協会「住宅性能表示制度について」
一般社団法人住宅性能評価・表示協会「既存住宅の住宅性能表示制度ガイド」
国土交通省「既存住宅売買瑕疵保険について」
旧耐震(昭和57年1月1日以降に建築)の中古住宅の注意点
昭和57年1月1日以降に建築された建物で、そのままでは性能評価や瑕疵保険の基準を満たせない場合は、証明書類を取得できないので注意が必要です。
なお、新耐震基準を満たすために耐震補強工事を実施する場合、木造二階建ての戸建てでは100万円~200万円程の工事費用がかかります。
ただし、買主側が購入後6ヶ月以内に耐震改修工事を行い、新耐震基準適合証明書を取得して住む場合でも住宅ローン控除を適用できます。
売却前に耐震補強工事を実施すべきかどうかは、不動産会社と相談しながら慎重に検討しましょう。
(参考)国税庁「No.1211-5 要耐震改修住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」
旧耐震のマンションの場合、マンション居住者の合意が必要になる耐震補強工事をすぐに実施することは現実的ではないため、住宅ローン控除の適用は難しくなります。
ただし、旧耐震でも耐震診断の結果、耐震補強をしなくても基準を満たす場合は、適合証明書を取得できます。
もともと地震に強い構造である、5階建て以下の壁式構造のRC造(WRC造)マンションなどで満たせる可能性があります。
耐震診断には、証明書の取得も合わせて10~15万円前後の費用がかかります。
また、診断を行うには管理組合に設計図書が保管してあることなどが条件になりますので、管理組合に確認してから診断を申請するようにしましょう。
不動産会社の買取を利用する
「買取」とは、物件を不動産会社に直接買い取ってもらう売却方法です。
不動産会社を通して売主を見つけて売却する「仲介」と比べて、仲介手数料がかからない、早く売却できるなどのメリットがあります。
ただし、買取査定価格は、市場相場よりも安価になりやすいというデメリットもあります。
立地や建物の状態が良くない中古住宅は、仲介だと売却までに長期間かかったり、希望の価格より値引きしなければならなくなったりするリスクも高くなります。
その場合、不動産会社と相談の上で、買取を検討するのも1つの手です。
まとめ
事例を見る:Case35「Fn Design -住まいを機能からデザインする-」
中古住宅は、戸建て・マンションどちらの場合でも、築年数が売却相場に影響します。
ただし、一概に古いからといって売却価格が必ず安くなるとは限りません。
立地や建物の状態などによっては、築年数が古くても相場より高く売却できる場合もあります。
また、築20~25年以上の中古住宅でも、買主が住宅ローン控除を利用しやすいように条件を整えるなど、より売れやすくなるよう工夫する方法もありますので、信頼できる不動産会社と相談しながら進めていくのがおすすめです。
築年数の古い中古住宅の売却サポートはhowzlifeにお任せください
私たちhowzlifeは、東京23区・23区に隣接する市・横浜市・川崎市・千葉県の一部(浦安・市川・船橋・千葉)を対応エリアとした、リノベーション専門の不動産会社です。
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築年数の古い戸建て・マンションや、現状のままでは住めないような空き家、しばらくお手入れのされていない相続物件の売却などもご相談いただけます。
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