公開日:2024-11-30
外より家の中が寒いのはなぜ?原因やパターン別の対策、古いマンションが寒い理由と暖かくする方法も解説
「外より家の中が寒いのはなぜ?」と疑問を持つ方は多くいらっしゃいます。
外より家の中が寒い場合、「断熱材が入っていない」「隙間風が入り込んでいる」など、さまざまな原因が考えられるため、ご自宅の状況を踏まえて検討することが大切です。
そこで今回は、外より家の中が寒い原因とパターン別に対策を解説します。
古いマンションが寒い理由と暖かくする方法もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- ・「窓・ドアの断熱性能が低い」など、外より家の中が寒い原因をお伝えします。
- ・外より家の中が寒い場合の対策を、「すぐできる」「DIY」「リフォーム・リノベーション」のパターン別に解説します。
- ・古いマンションが寒い理由と暖かくする方法をご紹介します。
■外より家の中が寒いのはなぜ?原因を解説
外より家の中が寒い原因は、以下のとおりです。
- ・気密性が低く隙間風が入り込んでいる
- ・窓・ドアの断熱性能が低い
- ・壁・床・天井に断熱材が入っていない・劣化している
- ・コールドドラフト現象が発生している
- ・暖房器具が不足している
ご自宅の状況と照らし合わせながら、外より家の中が寒い原因を探りましょう。
気密性が低く隙間風が入り込んでいる
家の以下の部分に隙間があるために気密性が低く、冷たい隙間風が入り込んで室温を下げている可能性があります。
- ・窓の隙間
- ・玄関ドアの隙間
- ・勝手口ドアの隙間
- ・天井と壁の隙間
- ・壁と床の隙間
- ・壁材の隙間
- ・内装と住宅設備の隙間
「どこに隙間があるか把握できない」といった場合には、開口部を閉め切った状態で線香などを使用し、煙の流れをチェックしましょう。
なお、窓やドアの隙間は虫・ホコリ・花粉などが室内に侵入する原因にもなるため、対策が必須です。
窓・ドアの断熱性能が低い
断熱性能が低い以下のような窓・ドアを利用している場合、外気の影響を受けやすくなり、室内が冷えてしまうケースがあります。
- ・単層ガラス
- ・アルミサッシ
- ・アルミ製のドア
かつて主流だった「単層ガラス+アルミサッシ」の組み合わせは断熱性が低いため、ご自宅の窓ガラスとサッシの組み合わせを確認しましょう。
窓・ドアの断熱性が低いと結露が発生しやすくなり、カビの原因となる可能性もあります。
壁・床・天井に断熱材が入っていない・劣化している
壁・床・天井に断熱材が入っていない、もしくは劣化している家では、室内に冷気が伝わりやすいため、外より家の中が寒い可能性があります。
日本で断熱材が普及したのは1990年代以降ですので、築30年を超える住宅の場合は、断熱材が入っていない家も珍しくないので注意が必要です。
壁・床・天井に断熱材が入っているか確認するには、以下の方法があります。
- ・新築時の図面・仕上げ表で確認する
- ・点検口から目視でチェックする
- ・施工業者に確認を依頼する
なお、壁・床・天井に断熱材が入っていても劣化が進んでいるケースがあり、施工業者に確認を依頼してください。
コールドドラフト現象が発生している
断熱性の低い窓を使用している場合、窓で冷やされた空気が床付近に流れ込む「コールドドラフト現象」が発生します。
コールドドラフト現象が発生する状態では、長時間暖房をかけても足元が暖まりにくいのがネックです。
また、暖かい空気が天井付近に滞留するため、「頭のあたりだけ暖かい」といったストレスを感じる可能性もあります。
室内の空気を循環させることで状況を改善できますが、根本から解決するには窓の断熱性を高めることが必要です。
暖房器具が不足している
家の暖房器具が以下のように不足している状態だと、「外より家の中が寒い」と感じる可能性があります。
- ・部屋の広さに合わない暖房器具を使用している
- ・暖房器具のない居室がある
- ・トイレや洗面室など、非居室に暖房器具がない
- ・暖房器具が古く、効率が悪い
暖房機器を設置していても、先ほどご説明したように、家に「隙間がある」「断熱性が低い」「断熱材が入っていない」場合、コールドドラフトが発生しやすいため、住まいの断熱性の改善と同時に適切な暖房機器を設置する必要があります。
次の章以降で、外より家の中が寒い場合の対策について解説します。
■外より家の中が寒い場合の対策【すぐできる】
外より家の中が寒い場合に、すぐできる対策をご紹介します。
【重ね着】アウターとインナーの間に保温性のある素材を
外より家の中が寒い場合、以下のように服装を工夫すると、手軽に防寒対策ができます。
- ・保温や発汗機能がある衣類・下着を身につける
- ・デニムなどの下にレギンスや裏起毛のパンツを履く
- ・「首・手首・足首」を防寒できる服装を心がける
- ・薄い靴下を重ね履きする
重ね着によって身体が締めつけられると血行不良になり、冷えを悪化させるので、過度な重ね着は避けましょう。
【底冷え対策】保温・発熱・蓄熱できるマットやホットカーペットを
足元の冷えが気になる場合には、厚手のマットやホットカーペットを敷きましょう。
床にマットやカーペットを設置することで、ダイレクトに床の冷えを感じるのを防ぎます。
近年では、保温・吸湿発熱・蓄熱の機能を持ったマットが販売されており、電気を使わなくても防寒対策が可能です。
また、裏起毛のルームシューズなど、防寒に配慮された室内履きを利用すれば、マットやカーペットを設置しない場所でも冷えを感じにくくなります。
【空調】サーキュレーターで空気を循環させる
室内の上部分に暖かい空気が滞留しているようであれば、サーキュレーターで空気を循環させましょう。
エアコンとサーキュレーターを組み合わせる際には、エアコンに対して対角線上にサーキュレーターを設置するのが基本です。
家具や家電があってエアコンの対角線上にサーキュレーターを置けない場合は、天井に向かって真上に送風してください。
【暖房機器】室内環境に応じた暖房機器の選び方
暖房器具がなかったり、古かったりする場合には、暖房器具の追加・交換を検討してください。
一般的に、以下の暖房器具の寿命は5〜7年程度とされているので、過ぎているようであれば交換しましょう。
- ・ハロゲンヒーター
- ・ファンヒーター
- ・石油ストーブ
特にトイレや洗面室などの非居室、勝手口のあるキッチンなどは底冷えしますので、足下から暖めるストーブ、ヒーターがおすすめです。
■外より家の中が寒い場合の対策【DIY】
外より家の中が寒い場合に、手軽にDIYでできる対策を解説します。
断熱ボードを設置する
「断熱ボード」とは、窓際などに設置して冷気を防ぐボード状のアイテムです。
断熱ボードは、窓や勝手口のドアに立てかけるだけで防寒対策ができるので、設置に手間がかかりません。
窓・ドアに隙間テープを貼る
隙間風が家の中に入り込んでいるようであれば、窓・ドアに隙間テープを貼りましょう。
「隙間テープ」とは、テープ表面にスポンジなどが付いているシール材のことで、ホームセンター・通販・100円均一などで入手できます。
隙間テープによって窓・ドアの開閉がしづらくなるケースもあるため、テープの厚さは隙間の状態に合わせて選びましょう。
また、隙間テープは時間の経過とともに劣化していくので、定期的に張り替える必要があります。
窓に断熱シート・フィルムを貼る
貼り付け型の断熱材である「断熱シート・フィルム」を窓に貼ると、室内の熱が逃げにくくなり、暖房効率がアップします。
断熱性能があるカーテン・ロールスクリーンに取り替える
断熱性能があるカーテンに取り替えると、外気をシャットアウトし、室内の熱が逃げにくくなります。
既存のカーテン・ロールスクリーンの取り替えはもちろん、勝手口のドアなど設置していない箇所に追加するのもおすすめです。
■外より家の中が寒い場合の対策【リフォーム・リノベーション】
外より家の中が寒い場合に、リフォーム・リノベーションでできる対策をご紹介します。
家の寒さを根本から解消したい方は、リフォーム・リノベーションがおすすめです。
床暖房を導入する
リフォーム・リノベーションで床暖房を導入すれば、室内を足元からまんべんなく暖められます。
床暖房を取り入れるメリットは、以下のとおりです。
- ・使用中に風が出ないことから、肌が乾燥しづらい
- ・火を使わないので、安全性が高い
- ・水蒸気が発生しないため、結露が起こりにくい
床暖房には、発熱体に通電させる「電気式」とパイプに温水を循環させる「温水式」の2種類があります。
ご契約中のガス会社にガス床暖房の割引プランがある場合や、太陽光発電を設置している場合には光熱費を抑えやすいため、床暖房の導入がおすすめです。
内窓(二重窓)を取り付ける
「内窓(二重窓)」とは、現在の窓の内側に新たに窓を設けることで、窓と窓の間の空気層によって室内の熱が逃げにくくなります。
加えて、内窓によって気密性がアップするため、隙間風を解消できるのも嬉しいポイントです。
内窓には、そのほかにも以下のようなメリットがあります。
- ・窓周辺の空気が冷えづらくなり、結露防止に役立つ
- ・気密性が上がることで、防音性が向上する
- ・2枚の窓が侵入しづらい印象を与えるため、防犯対策につながる
ただし、開閉するには窓を2回開け閉めする必要があったり、掃除の手間がかかったりするデメリットは避けられないので、念頭に置いて検討しましょう。
断熱性の高い窓・ドアに交換する
断熱性の高い窓・ドアに交換すると、開口部から熱が出入りしにくくなるので、暖房効率アップに役立ちます。
加えて、「開閉しづらい」「解錠・施錠しにくい」といった不具合も解消できるのがメリットです。
窓は「サッシ」と「ガラス」の組み合わせによって断熱性が異なり、例えば以下のような組み合わせがあります。
- ・アルミサッシ+単層ガラス
- ・アルミ樹脂複合サッシ+複層ガラス
- ・オール樹脂サッシ+複層ガラス
- ・オール樹脂サッシ+トリプルガラス
上記を断熱性で比較すると、「アルミサッシ+単層ガラス」が最も低く、「オール樹脂サッシ+トリプルガラス」が最も高くなります。
窓の断熱性をアップするリノベーションについては、以下の記事で解説しています。
〈関連コラム〉
リノベーションで窓の断熱性を最適化|快適な環境をつくるフルリノベーションの魅力を探る
壁・床・天井に断熱材を追加・交換する
家の壁・床・天井に断熱材を追加すると、部屋全体の熱が逃げにくくなり、室温の安定化につながります。
天井・床の場合は、内装材を解体せずに施工できるケースがあるため、費用を抑えることも可能です。
「大がかりな工事は避けたい」「費用を抑えながら断熱化したい」とお考えの方は、天井・床の断熱化が向いています。
また、断熱材は湿気などで劣化しているケースもあるため、傷んでいる場合には交換を検討しましょう。
家全体を断熱リフォーム・リノベーションする
断熱材の追加や窓の交換を含めて、家全体を断熱リフォーム・リノベーションする方法もあります。
家全体を断熱リフォーム・リノベーションすれば、部屋と部屋の温度差解消につながるので、ヒートショック予防にも効果的です。
また、家全体を断熱リフォーム・リノベーションする場合、以下のメリットもあります。
- ・内装・外装を一新できる
- ・ライフスタイルに合わせて間取りを変更できる
- ・耐震補強もできる
家全体のリフォーム・リノベーションは費用が高額になりやすいですが、断熱工事のあとに耐震補強や間取り変更をするよりもまとめてスケルトンリフォーム(柱や梁などを残して解体して壁・内装・設備を一新する工事)をしたほうがお得です。
家全体のリフォーム・リノベーションの際には、施工事例などをチェックして「理想の家」をイメージしながら計画を進めましょう。
SHUKEN Reでは数多くの施工事例を掲載しているので、ぜひチェックしてみてください。
リノベーションで断熱性・気密性を高めるメリットや方法については、こちらの記事で解説しています。
〈関連コラム〉
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断熱リフォームは必要?2024年の補助金制度を活用して戸建て・マンションの省エネ化を実現
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■古いマンションが寒い理由と暖かくする方法
最後に、「古いマンションが寒い理由」と「暖かくする方法」を解説します。
古いマンションが寒い理由
古いマンションが寒い理由は、以下のとおりです。
- ・壁や床に断熱材が入っていないために、外気の影響を受けやすい
- ・玄関ドアや窓の断熱性が低く、冷気が伝わりやすい
- ・角部屋もしくは最上階に住宅があり、熱が室外へ放出されやすい
上記のように、古いマンションが寒い理由は、断熱材が入っていないなど住宅全体の断熱性能が低い点にあります。
なお、中古マンションの購入前に断熱材が入っているか知りたい場合には、「竣工図」や「住宅性能評価書」などから把握することが可能です。
古いマンションを暖かくする方法
古いマンションを暖かくする方法は、以下のとおりです。
- ・壁や床に断熱材を追加・交換する
- ・窓や玄関ドアを断熱性が高い製品に交換する
- ・窓に隙間テープや断熱シートを貼る
- ・断熱性の高いカーテン・ロールスクリーンに取り替える
上記の方法を実践すると、住宅の断熱性が向上して外気の影響を受けにくくなり、寒さを改善できます。
ただし、「窓」や「玄関ドア」は共用部に該当するため、分譲マンションであってもリフォーム・リノベーションは原則できません。必ず管理規約等でリフォーム・リノベーションが可能な範囲を確認してください。
断熱リフォームを“失敗”と感じる理由については、こちらの記事で解説しています。
〈関連コラム〉
断熱リフォームを“失敗”と感じる理由は?コツはある?マンション・戸建ての失敗例を踏まえた対策を詳しく解説
■まとめ
外より家の中が寒いのは、そもそも「断熱材が入っていない」「窓・ドアの断熱性能が低い」など、断熱性能が低い住宅の老朽化が最大の理由です。
家の寒さを根本的に解消したい場合は、断熱材の追加などリフォーム・リノベーションを検討しましょう。
今回ご紹介した内容を、家の防寒対策を考える際の参考としていただけると幸いです。
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