公開日:2023-10-29 更新日:2024-07-04
賃貸アパートのリフォームローンは基本3パターン|日本政策金融公庫・住宅金融支援機構・民間金融機関の特徴
アパートの築年数が古くなると、設備や建物の老朽化、空室率の上昇などでリフォーム・リノベーションが必要になってきます。
家賃収入の中からリフォーム費用を用意するのが理想的ですが、資金が足りない、現金を崩したくないという大家さんも多いようです。
そんなときは、賃貸アパート用のリフォームローンを活用するのがおすすめです。
賃貸アパート用のリフォームローンなら、比較的低金利・無担保で費用を借入できる可能性があります。
しかし、「アパート リフォームローン」と検索すると、たくさんの金融機関が出てくるのでどこを選んだら良いか分かりにくいですよね。
そこで今回は、賃貸アパートに使えるおすすめのリフォームローンを基本的な3つの選択肢に絞り、それぞれの特徴を解説します。
・日本政策金融公庫のアパートリフォームローンは、融資限度額の高さが魅力です。
・民間金融機関のアパートリフォームローンは、担保・保証人が不要でスピーディーに借りられるのがメリット。
■賃貸アパートに使えるリフォームローンとは?
まずは、賃貸アパートの大家さんがリフォームに使えるローンの基本的な内容を押さえておきましょう。
アパートのリフォームローンとは?
アパートのリフォームに使えるのは、「投資物件」を対象にしたローンです。「不動産投資用リフォームローン」と呼ばれることもあります。
一般的なリフォームローンの対象は自宅のみで賃貸アパートには使えませんが、投資物件向けのローンなら融資を受けることができます。
不動産物件購入時に使えるアパートローンも投資物件のリフォームに使えるため、違いを確認しておきましょう。
アパートローン | アパートリフォームローン | |
金利 | 1~5%前後 | 2~5%前後 |
融資限度額 | 1~5億円前後 | 1,000万円前後 |
借入期間の上限 | 30~35年前後 | 10~20年前後 |
アパートローンは、リフォーム専用ローンより融資限度額や借入期間などの条件は有利です。
一方、アパートローンは担保・保証人が必要になることが多く、申し込みや審査のハードルは高め。
ただしこれは民間金融機関のケースで、ほかの金融期間のアパートリフォームローンは条件が異なるケースも多いです。
次の章から具体的な3つの選択肢ごとの違いをチェックしていきましょう。
■賃貸アパートのリフォームローン3つの選択肢
実際に賃貸アパートのリフォームに使えるローンは、大きく分けると住宅金融支援機構・日本政策金融公庫・民間金融機関の3パターンです。
それぞれの金利タイプ・借入期間・保証人・担保などの条件や特徴をチェックしてみましょう。
※各金融機関の情報は2023年9月時点のものです。
①住宅金融支援機構(住宅セーフティネット)
金利タイプ | 全期間固定金利 |
融資限度額 | 対象工事費の80%(10万円単位) |
融資期間 | 20年以内(1年単位) |
保証人 | 不要 |
担保 | 融資額300以下の場合不要 |
国が運営する「住宅セーフティネット制度」に登録することを条件に、アパートのリフォームに使えるローンです。
セーフティネットとは、低所得者・高齢者・外国人など「住宅確保用配慮者」に指定されている方の受け入れ先となる住宅のことです。
アパートをセーフティネットに登録することで、リフォーム費用の補助金を受けることができるケースもあります。
リフォーム費用を全額借り入れできないのが難点ですが、全期間固定金利なので支払い額が増加する可能性がないのがメリット。
金利は返済期間で変動し、10年以下なら1.4%、11年以上なら2.07%と民間金融機関のリフォームローンより低めです。
②日本政策金融公庫
金利タイプ | 変動金利 |
融資限度額 | 4,800万円(運転資金・設備資金) 7,200万円(特定設備資金) |
融資期間 | 5年以内(運転資金) 10年以内(設備資金) 20年以内(特定設備資金) |
保証人 | 要相談 |
担保 | 要相談 |
政府系の金融機関である日本政策金融公庫も、アパートのリフォーム資金に使えるローンの選択肢です。
日本政策金融公庫は中小企業や個人事業主を育てるのが主な目的で、担保の有無や返済期間によって変わりますが、金利は1~3%前後となっています。
民間金融機関と審査基準が異なるため、比較的審査に通りやすい傾向もあるようです。
一方、保証人が必要となることが多く、融資が実行されるまでの期間が長いのがデメリット。
③民間金融機関
金利タイプ | 変動金利・固定金利 |
融資限度額 | 10万円以上1,000万円以内(1万円単位) |
融資期間 | 6ヵ月以上15年以内 |
保証人 | 原則不要 |
担保 | 不要 |
民間の金融機関のアパートリフォームローンは、担保・保証人不要でスピーディーに借り入れしやすいのが特徴です。
例えば東京シティ信用金庫のアパート向けリフォームローンは、保証人・担保が不要で1,000万円まで借入可能です。
専有部分だけでなく、増改築などの工事も対象になるため、さまざまな空室対策リフォームに活用しやすいでしょう。
金融機関によって多少の差はありますが、無担保型のアパートリフォームローンはこのような条件が多いです。
■賃貸アパートのリフォームローン選びのポイント
さきほどご紹介したように、賃貸アパートのリフォームローンを扱う金融機関はたくさんあり、それぞれ条件が異なります。
実際にリフォームローンを比較検討する際は次のポイントに注目して、経営計画に合うものを選びましょう。
金利
支払利息に影響する金利は、リフォームローン選びの際重要ポイントと言っても過言ではありません。
※借入額1,000万円・返済期間20年の返済額
金利 | 総返済額 | 月返済額 |
2.0% | 12,141,072円 | 50,588円 |
2.5% | 12,717,528円 | 52,990円 |
1,000万円を20年間借り入れた場合、金利が0.5%変わるだけで返済額が60万円弱変わります。
変動金利の方が低くなる傾向がありますが、返済計画を立てやすい固定金利のメリットも捨てがたいところ。
政策金利の動向やアパートのキャッシュフローも踏まえて、確実に返済でき利益を圧迫しない金利タイプを選びましょう。
申し込み・審査基準
申込条件や審査基準は金融機関によって異なるため、前述した金利や借入期間とのバランスも踏まえて考える必要があります。
日本政策金融公庫のように、保証人や担保を用意すると金利が低くなるケースもあり、融資上限額も高くなる傾向があります。
また住宅金融支援機構のセーフティネットのように、建物側の基準がありハードルが高いケースも。
リフォームローン比較の際は申込基準を確認して、審査が通るかという視点もチェックしましょう。
■アパート改修はリフォーム会社選びも重要
アパートローンを組む金融機関選びも大切ですが、リフォーム・リノベーションを任せる施工会社選びも大変重要です。
資金調達できても、肝心のリフォームが失敗しては意味がありません。
アパートの価値や収益性を高めるためには、投資物件のリフォーム・リノベーション実績が多い会社に依頼する必要があります。
ただ内装や設備を新しくしただけでは、入居率や家賃収入を回復するのは難しいでしょう。
地域の賃貸需要にマッチする間取りや設備、入居希望者の印象を良くするための共用部分リノベーションなど、効果の高いポイントに資金をかけることが大切です。
アパートの築年数や間取り・設備の状況によっては、一棟リノベーションで集客力を大きく回復する必要があるかもしれません。
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