公開日:2023-08-23 更新日:2024-07-04
一棟売りマンション・アパートはいくらで買える?初めての投資は一棟売り・区分どっちが良い?
これから不動産投資を始めようと考えたとき、マンション・アパートの一棟売り物件か、一部屋の区分物件どちらを購入すべきか迷う方は多いのではないでしょうか。
大きな家賃収入が期待できる一棟売り物件は魅力的ですが、数千万円~1億円前後の初期費用がかかるため、不安もありますよね。
そこで今回は、一棟売りマンション・アパートを購入するメリット・デメリット、実際の費用相場を詳しく解説します。
一棟売り・区分売りどちらが向いているのか判断するための情報をまとめますので、ぜひ物件選び・経営計画の参考にしてください。
・80坪の中古一棟マンション・アパートの価格目安を、東京・埼玉・千葉のエリア別にまとめて紹介します。
■一棟売り物件とは?
アパートやマンションを全戸丸ごと販売している物件を「一棟売り」と呼びます。
逆に、マンション・アパートの一部屋、または一部のみで販売している物件は「区分売り」と呼ばれます。
一般的には、初期費用とリスクが少ない区分物件から不動産投資を始める方が多いでしょう。
しかし、複数戸を一度に所有できる一棟物件にも、さまざまなメリットがあります。
一棟売り物件のメリット
- 満室稼働時の家賃収入が大きい
- 空室リスクを分散できる
- 経営の自由度が高い
- レバレッジが効く
- 土地と建物を所有できる
一棟売り物件は戸数が多いほど満室稼働時の家賃収入が大きくなり、空室リスクを分散できるのもメリット。
一戸しかない区分物件は空室期間中の家賃収入がゼロになりますが、一棟物件ならすべての部屋が同時に空室になる可能性が低く、収入が途絶えません。
またマンション・アパート一棟丸ごと所有するので、経営方針や建物の維持管理の自由度が高いのも特徴です。
区分物件を購入した場合は管理組合の一員になるため、メンテナンスや建て替えなどの決定権がありません。
しかし、一棟物件を購入すれば建物全体のオーナーになるため、自分の意思でメンテナンスやリノベーションが可能です。
また一棟物件は建物と一緒に土地も手に入るため、老朽化したときの建て替え・売却も自分で選択できます。
また、共用廊下やエレベータなども含めて自由に一棟リノベーションできるため、効果の高い空室対策も視野に入ります。
〈関連コラム〉
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需要の変化に合わせて、賃貸・宿泊施設・テナントなど用途を変更するなど、物件の収益性を高める施策も考えられます。
また一棟マンション・アパートの経営がうまくいけば、金融機関から融資を引きやすくなり、ステップアップしてより大きな利益を得やすくなります。
土地を担保に金融機関から融資を受けやすく、追加の資金調達ができるのもメリット。
一棟売り物件のデメリット
- 初期費用が多くかかる
- メンテナンスや運営コストがかさむ
- 空室率が上昇時の経営が厳しくなる
- 売却に時間がかかる
一棟売り物件は、新築・中古のオーナーチェンジどちらの場合でも、区分物件より多くの初期費用が必要になります。
ある程度の自己資金が必要になりますし、一軒目の不動産物件だとローン審査が通りにくい可能性も考えられます。
また建物全体の維持管理が必要になるため固定費が多めにかかり、空室率が上昇するとキャッシュフローが悪化し経営が厳しくなるのも注意すべきポイント。
価格が高いので区分物件より買い手を見つけにくく、赤字になったからと言ってすぐ手放すのも難しいでしょう。
得られる収入が大きい分リスクがあることも理解し、どのような状況でもムリなくローン返済できる経営計画を立てることが大切です。
■一棟売りマンション・アパートはいくらで買える?
実際に一棟売りのマンション・アパートを購入する場合、どれくらいの資金が必要になるのか目安を考えてみましょう。
マンション・アパートを1から新築する場合、中古の収益物件をオーナーチェンジで手に入れる場合の相場をチェックしてみます。
新築一棟物件の建築費用相場
マンション・アパート一棟の新築にかかる費用は、建物の構造によって大きく変わります。
国土交通省がまとめている建築着工統計調査で、構造別の坪単価を見てみましょう。
建物の構造 | 床面積の合計 | 工事費予定額 | 坪単価 |
木造 | 44,509,508㎡ | 787,365,029円 | 約58万円 |
鉄骨造 | 8,963,968㎡ | 242,947,017円 | 約89万円 |
鉄筋コンクリート造 | 12,466,701㎡ | 345,203,608円 | 約91万円 |
出典:2022年度建築着工統計調査を基に弊社集計
これは一般住宅も含まれるデータの平均ですが、基本的に木造が一番坪単価は安く、鉄骨造・鉄筋コンクリート造の順に高くなっていきます。
この坪単価から、木造・鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造それぞれの建築費用相場を求めてみましょう。
※1LDK×10室 80坪一棟物件の新築費用相場
木造 | 80坪 × 58万円 = 4,640万円 |
鉄骨造 | 80坪 × 89万円 = 7,120万円 |
鉄筋コンクリート造 | 80坪 × 91万円 = 7,280万円 |
同じ床面積の一棟物件でも、構造が違うだけで一千万円単位の価格差がありますね。
新築で一棟マンション・アパートを建てる場合、初期費用・期待できる家賃収入・耐用年数などを踏まえて構造を考える必要がありそうです。
既に土地をお持ちの方以外は、建築費用に加えてさらに土地取得費用も必要となります。
中古一棟物件の価格相場
中古の一棟売り物件価格は、国土交通省の土地総合情報システムで、2022年に取引された物件のデータを参照してみましょう。
用途を「共同住宅」、延床面積を先ほどの新築で試算した80坪(約264㎡)に近い250~270㎡の範囲に絞り込み、東京都・埼玉県・千葉県の3つのエリアを比較してみました。
木造 | 鉄骨造 | 鉄筋コンクリート造 | |
東京都 | 1億2,804万円 | 1億6,180万円 | 3億5,687万円 |
埼玉県 | 1億372万円 | 8,300万円 | 9,700万円 |
千葉県 | 5,020万円 | 4,600万円 | データなし |
出典:国土交通省 土地総合情報システムを基に弊社集計 千円以下切り捨て
地価が高い東京都はどの構造も平均価格1億円越えで、23区内は平均より高い物件が多いです。
埼玉県も比較的高価格帯の一棟物件が多いようですが、鉄骨造・鉄筋コンクリート造は比較的リーズナブルな物件も見受けられます。
千葉県の一棟売り物件は松戸・流山・幕張など東京方面が多いですが、2,000~3,000万円台のものもありました。
一棟マンション・アパートは一般住宅より敷地面積が広いため、土地相場の影響を大きく受ける可能性がありそうです。
■一棟マンション・アパートの経営が失敗する原因
一棟投資は数千万円~1億円前後の初期費用がかかるため、失敗したときの損失は大きいです。
また戸数が多い分、経営中のランニングコスト・トラブルによる失敗リスクも考えられます。
※一棟マンション・アパートの経営が失敗する原因例
- ギリギリの経営計画でローン返済が厳しくなる
- 賃料相場が下がって収入減少
- 需要の変化による空室率の上昇
- 原状回復・リフォーム費用で赤字
- 入居者トラブルや家賃滞納による損失
一棟マンション・アパートは満室時の家賃収入は大きいですが、空室率上昇・賃料相場低下などの影響を受けやすいので要注意。
例えば1戸あたりの賃料が5,000円減少した場合、10戸の一棟物件だと毎月5万円のマイナスになるのです。
地域全体の需要が変化した場合なども、家賃収入が一気に減少する可能性があります。
管理会社への委託費用、外壁屋根塗装や原状回復費用などの固定費が大きいので、確実な経営計画を立てる必要があります。
また戸数が多い分、入居者同士の騒音トラブルや家賃滞納といったリスクも大きく、管理スキルの高い会社に相談することが重要です。
特にはじめての不動産投資で一棟売り物件を検討する際は、上記のようなデメリット・リスクもしっかり把握してから決断してください。
■【結論】初めての不動産投資は一棟売り・区分どちらがおすすめ?
最後に、これから不動産投資を始めるにあたり、一棟売り・区分売りそれぞれに向いている人の傾向をまとめておきましょう。
一棟売り物件への投資が向いている人
- ある程度の収入・貯蓄があり自己資金を用意できる人
- レバレッジを効かせてどんどんステップアップしたい人
- 長期所有で安定した家賃収入を形成したい人
一棟投資は初期費用・維持管理コストが多めにかかりますので、収入・貯蓄に余裕があり、ある程度自己資金を用意できる方に向いています。
一軒目の経営が軌道に乗れば金融機関から融資を受けやすくなるため、どんどん物件を増やして収入を増やしたい方にも一棟投資がおすすめです。
また一棟物件は売却に時間がかかる傾向があるため、長期所有で確実に家賃収入を得る経営スタイルに向いています。
区分物件への投資が向いている人
- 少ない初期費用とリスクで投資を始めたい人
- ライフスタイルや経営方針が大きく変化する可能性がある人
- 複数の物件に分散投資したい人
部屋単位で購入できる区分投資は、初期費用と万が一失敗したときのリスクを抑えられるのがメリット。
売却もしやすいので、これから仕事やライフスタイル、経営方針が変化する可能性が高い方にも向いていると言えるでしょう。
複数の区分物件を購入して、大きな災害や需要の変化といったリスクを分散したい方にも向いています。
■まとめ
一棟売り物件は価格が高いものの、確実な資金・経営計画を立てられれば、大きな収益とレバレッジ効果を得られる可能性があります。
不動産投資をどんどん拡大していきたい方は、一つの選択肢として検討してみる価値はあるでしょう。
中古の一棟売り物件を購入する場合は、一棟リノベーションで集客力の高い物件をつくるのもおすすめです。
専有部分だけでなく、外観・共用廊下なども含めた一棟リノベーションができれば、費用を抑えて新築のような収益性の物件が手に入るケースも。
私たちSHUKEN Reは、東京・千葉エリアで培ってきた住宅改修ノウハウを基に、一棟リノベーションをお手伝いしている会社です。
物件のこと、リノベーションのこと、なんでもお気軽にご相談ください。