公開日:2023-04-18 更新日:2024-11-02
一棟リノベーションのメリット・デメリット|費用相場と事例も紹介
最近賃貸経営・不動産投資の選択肢として、アパート・マンションの一棟リノベーションが注目されています。
賃貸物件は一室ずつ原状回復・リフォ-ムするのが一般的ですが、一棟まるごとリノベーションすることでさまざまなメリットが生まれます。
今回は一棟リノベーションのメリット・デメリット両面を掘り下げ、実際の施工事例もチェックしてみましょう。
・分譲マンション・社員寮・民泊などの一棟リノベーション事例を紹介します。
■一棟リノベーションとは?
一棟リノベーションとは、アパート・マンションなどを一棟まるごと新しくすることです。
築年数が経ったアパートやマンションの専有部分・共有部分・外観をまとめて一新することで、新築同様に仕上げることができます。
不動産業者がマンションや社宅を一棟リノベーションして販売したり、賃貸オーナーが所有物件をリニューアルしたりするケースが多いです。
■一棟リノベーションのメリット
入居率アップが期待できる
マンションやアパートを一棟まるごとリノベーションすることで、新築同様の見た目と住み心地になり入居率アップが期待できるのが大きなメリット。
賃貸物件や中古マンション選びにおいて築年数は重要な要素であり、見た目や間取りが古くなるほど入居率が低くなり売却も難しくなります。
仮に室内をキレイにリフォ-ムしても、エレベーターや廊下などの共用部分と外観が古いと、印象が悪く避けられるケースも多いです。
一棟リノベーションなら外観・内装ともに新築同様の仕上がりを得られるため、築浅物件を好むユーザーにも検討してもらいやすくなります。
家賃を高く設定しやすい
一棟リノベーションで外観・内装をリフレッシュすると、家賃を新築と同じ水準で設定しやすいのも大きなメリットです。
総務省が発表しているデータでは、木造アパートは1%、非木造共同住宅は0.8%前後毎年家賃が低下すると推計しています。
参照元:借家家賃の経年変化について
新築時に家賃8万円だった木造アパートは、築20年になると6.4万円が相場になってしまうということです。
一棟リノベーションによって家賃を新築時の相場にリセットすることで、家賃収入を増やすことができます。
新築・建て替えより費用を抑えられる
既存の建物を活かす一棟リノベーションは、一度解体する手間がかからないため新築・建て替えより費用を抑えられるのも特徴です。
複数のお部屋をまとめて工事するため、一括仕入れや施工効率化でコストダウンできるのもメリット。
物件の寿命を延ばせる
今までは築40~50年前後で建て替えるのが一般的でしたが、一棟リノベーションで適切な補修・補強を行うことで寿命を延ばすことも可能です。
築年数が経つと必要なメンテナンスが増えてきますが、丸ごと新築同様に仕上げればその後の費用や手間を抑えることができます。
ターゲットに合わせてカスタマイズできる
一棟リノベーションは新築より細かくデザイン・間取りをカスタマイズできるため、ターゲットユーザーにマッチした物件をつくれるのもメリットです。
一人暮らし・ファミリーなど地域性に合わせてリノベーションできるため、競合と差別化できるのは大きな強みと言えるでしょう。
■一棟リノベーションのデメリットやリスク
入居者の退去に時間がかかる
現在進行形で賃貸経営中のマンション・アパートを一棟リノベーションする場合、入居者に退去してもらうまで時間がかかるのがデメリットです。
所有物件はもちろん、オーナーチェンジ物件を購入して一棟リノベーションする場合も入居者の退去が課題となります。
一棟リノベーションは大家都合と判断される可能性があり、「普通借家契約」を結んでいる入居者に退去してもらうハードルは高いでしょう。
立ち退き料が必要になり、交渉が長引けばそれだけ一棟リノベーションの着手も遅れてしまいます。
同じタイミングで退去してもらえない場合、家賃収入が減少する期間が長くなり機会損失は大きくなってしまいます。
なるべく早めに退去のお願いをして、交渉をスムーズに進める必要があるでしょう。
物件の需要を見極める必要がある
中古マンションや社宅などを購入して一棟リノベーションする場合、そのエリアの需要を見極めなければならないのもハードルが高いポイントです。
一棟リノベーションで魅力的な物件に生まれ変わっても、地域の賃貸ニーズが少なかったり、競合が強かったりすると安定した収益を生み出すのは難しいでしょう。
また手間と費用を掛けて一棟リノベーションしたのに、以前と入居率や家賃設定が変わらなければ意味がありません。
地域の需要や競合状況、建物の状態などを総合的に分析し、一棟リノベーションで確実に効果が出るか判断する必要があるのです。
コストとクオリティのバランスが難しい
一棟リノベーションは工事内容によって費用が大きく変動するため、コストとクオリティのバランスが難しいのも注意すべきポイントです。
とことん費用をかけてクオリティの高いリノベーションをしても、比例して効果が上がるとは限りません。
逆にコストダウンしすぎてあまり代り映えしないリノベーションでは、入居率や家賃収入をアップするのは難しいでしょう。
購入や入居を検討するユーザーの属性に合わせて、適切な内容と費用の一棟リノベーションプランを考えなければならないのです。
プランを考える時間と労力がかかる
ここまで述べてきた要素を踏まえて一棟リノベーションのプランを考えることは、多くの時間と労力がかかることも把握しておきましょう。
逆に言えば、手間をかけず「とりあえず新しく・キレイにする」だけの一棟リノベーションでは、確実に効果を上げるのは難しいということです。
一棟リノベーションの施工実績が豊富で適切なアドバイスを得られる会社に相談し、費用対効果の大きいプランをじっくり考えましょう。
■一棟リノベーションの費用相場
専有部分の費用相場
マンション・アパートの専有部分は、内装貼り替えや水回り設備の交換、間取り変更が主な内容になります。
一般社団法人リノベーション協議会ポータルサイトの事例をチェックしてみると、下記の価格帯が多いようです。
※専有部分のリノベーション費用相場
- 賃貸住宅:1㎡あたり10~15万円
- 分譲住宅:1㎡あたり15~20万円
例えば50㎡の賃貸マンション・アパートなら、1室500~750万円が費用相場になります。
分譲住宅の場合は内装・水回り設備のグレードが高くなるケースが多く、60㎡のファミリー向け物件なら1室900~1,200万円前後が目安です。
ただし前述したように一棟リノベーションでは複数のお部屋を施工してコストダウンできるため、戸数が多いほど単価を下げられる可能性があります。
共用部分の費用相場
マンション・アパートの共用部分は、面積や設備の内容によって費用相場が大きく変わります。
一つの目安として、マンション共用部分専用のリフォームローンを見てみましょう。
※マンション共用部分専用リフォ-ムローンの融資上限
- 融資額:2億円以内
- 工事費の80%以内・住宅戸数×150万円以内のどちらか少ない方
参照元:肥後銀行
仮に30戸のマンション共用部分をリノベーションする場合、4,500万円まで借入できる可能性があるということですね。
エレベーターの有無など建物状況によって費用は変化しますが、一つの目安にしてみると良いかもしれません。
■一棟リノベーション事例
分譲マンションの一棟リノベーション事例
築30年弱の社員寮を、一棟リノベーションで分譲マンションとしてつくり変えた事例です。
開放感のあるLDKや可変間取りアイデアなど、現代のライフスタイルに合わせた暮らしやすい間取りに。
社員寮の一棟リノベーション事例
一棟リノベーション事例を見る:Case6「エコーレジデンス やまびこ社員寮」
46部屋の社員寮をリニューアルした一棟リノベーション事例です。
一棟リノベーション事例を見る:Case6「エコーレジデンス やまびこ社員寮」
共用部分にリモート用のブースを備えるなど、現代のワークスタイルに合わせたアップデートも盛り込んでいます。
宿泊施設の一棟リノベーション事例
一棟リノベーション事例を見る:Case1「パルテラス富士見」
19戸の鉄骨ALC物件を一棟リノベーションし、テーマパークを訪れる海外ゲストをターゲットにした民泊施設にリニューアル。
一棟リノベーション事例を見る:Case1「パルテラス富士見」
7種類のワクワクするような部屋づくりで、一般的なホテルでは味わえない宿泊体験を提供できるようになっています。
■まとめ
一棟リノベーションは不動産物件の価値を高め、売却益や家賃収入をアップできるおすすめの選択肢です。
ただし確実に効果を出すためには、一棟リノベーションの実績が多くサポート力の高い会社に設計・施工を相談することが重要となります。
私たちSHUKEN Reは、多くの住宅改修で培ったノウハウをベースに、一棟リノベーションもトータルサポートする設計施工会社です。
分譲・賃貸・社宅など幅広い一棟リノベーションをお手伝いしてきましたので、どのような物件のこともお気軽にご相談ください。