公開日:2023-01-19 更新日:2024-07-04
倉庫リノベーションの魅力と課題|費用と用途を考えよう
最近、既存の倉庫をおしゃれな店舗や住居にリノベーションする事例が増えています。
コンクリートや鉄骨などの構造体、高い天井といった倉庫特有の雰囲気は、一般の建物にはない魅力があります♪
今回は倉庫リノベーションの魅力や向いている用途、計画・工事の課題などを詳しく解説します。
・インフラ整備や用途変更の申請手続きなど、倉庫ならではの課題や注意点も把握しましょう。
■倉庫リノベーションとは?
倉庫の基本構造を活かしつつ内装や設備を作り替え、新しい価値を持つ素敵な建物に仕上げるのが倉庫リノベーションです。
建築基準法における建物用途では、倉庫は次の3種類に分類されます。
①倉庫業を営む倉庫
倉庫業法による「営業用倉庫」等で、他人の物品を保管、貯蔵することを業とする施設。
②倉庫業を営まない倉庫
自己の物品の保管、貯蔵に使用する施設。
③農産物の生産、集荷、処理又は貯蔵に供するもの
農作業小屋や農産物用倉庫等の施設。
参照:建築基準法施行規則別記様式による建築物用途一覧
倉庫リノベーションは、これらの建物を住居や店舗に作り替えることを意味します。「コンバージョン」と呼ばれることもありますね。
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■倉庫リノベーションの魅力・メリット
間取りの自由度が高い
床面積が広く間仕切りの少ない倉庫は、間取り自由度が高く思い通りの住まいや店舗をつくれるのが魅力です。
一般的な住宅をリノベーションする場合、移動できない壁や柱が間取りづくりの制限になることがあります。
倉庫は荷物の出し入れを考えた広い間取りになっていて、1から自由に間取り設計できるケースが多いです。
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オリジナリティを出しやすい
倉庫特有の構造や天井高を活かし、オリジナリティあふれる建物をつくれるのも大きなメリットです。
鉄骨の柱や折板屋根、ブレーシングなどの構造部をあえて露出するインダストリアルテイストは、倉庫リノベーションの定番♪
空調ダクトや配線をむき出しにするスケルトン天井など、一般住宅にはない雰囲気も演出しやすいです。
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物件価格が安い
倉庫は内装の仕上げや設備などが無い分、一般住宅より安い物件を見つけやすいのも意外なメリットです。
物件購入費用を抑えてその分リノベーションにお金を掛ければ、中古戸建てやマンションよりおしゃれ&暮らしやすく仕上げられるかもしれません。
断熱施工やインフラ整備などのお金は掛かりますが、うまく物件を選べばトータル費用を抑えるのも難しくないでしょう。
■倉庫リノベーションが向いている用途は?
住居・自宅
広い床面積や高い天井の物件が多い倉庫は、間取りの自由度も高くおしゃれで開放的な住居・自宅づくりに向いています。
倉庫は基本的に間仕切りや設備がほとんどないので1から間取りづくりができ、中古マンションや一戸建てより自由度が高いのがメリット♪
むき出しの鉄骨やコンクリートなどの構造を上手に活かせば、流行のインダストリアルなお部屋も作れちゃいます。
高い天井を活かしたロフトやスキップフロアなど、一般住宅では採用しにくい間取りも倉庫リノベーションなら実現できるかもしれません。
ご自宅はもちろん、おしゃれな賃貸住宅として運用するのも一つのアイデアですね。
オフィス
広々とした倉庫の室内空間は、オフィスや事務所としての用途にも向いています。
仕事スペースと倉庫を使い分けることもできますし、福利厚生の一環としてアクティビティスペースをつくるのも良いですね♪
広い駐車場のある倉庫物件も多いので、車通勤のスタッフに対応しやすいのもメリット。
オリジナリティのあるおしゃれなオフィスは来客に良い印象を与えますし、既存倉庫をリノベすることで環境問題への取り組みアピールにもなります。
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カフェ・飲食
カフェやバーなどの軽飲食からレストランまで、倉庫リノベーションでおしゃれな飲食店をつくるケースも多く見られます。
飲食店なら倉庫のコンクリートや鉄骨をアレンジして、リーズナブルにおしゃれな内装をつくれるのが魅力的♪
周囲の住宅が離れている倉庫物件も多いため、ニオイや騒音などの苦情が発生しにくいのも意外なメリットです。
倉庫の高い天井による開放感を上手に活かせば、滞在時間の長期化や客単価アップなどが期待できるかもしれません。
アパレル・小売り
洋服やバッグなどのアパレル、雑貨や家具販売などの小売系店舗にも、倉庫リノベーションはおすすめです。
倉庫は賃貸より広い物件が多いので、開放的な空間でゆっくりと品物を選べる店舗づくりが可能です。
広い店内で商品やサービスを充実させれば、競合との差別化にもつながるでしょう。
■倉庫リノベーションの課題・デメリット
倉庫は元々人が過ごすように設計されていないため、リノベーションにあたっての課題もいくつかあります。
事前に把握することで失敗・後悔を防ぎやすくなるので、どんな課題があるのかしっかり覚えておきましょう。
電気・水道・ガスのインフラ整備
倉庫は最小限の電源や水道しかないケースが多く、住居や店舗にリノベーションする場合インフラ整備が大きな課題となります。
インフラ整備を想定していない倉庫は、敷地内に水道やガス管が引き込まれていないケースも多く、プラスαの工事費用が掛かります。
自治体や運営会社によっては、インフラの開通・契約手続きにも各種費用が掛かることも。
倉庫の状況によってインフラ整備費用が変動するので、物件選びの段階で必ず確認すべきポイントです。
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採光・換気計画
倉庫は最低限の窓や開口部しか設けられていないことが多く、住居や店舗にする場合採光・換気計画も重要な課題です。
住居はもちろん、オフィスや飲食店などでも窓が少ないと圧迫感がマイナスイメージを生み出してしまいます。
倉庫の構造によっては壁に窓を増やせないケースも考えられるので、天窓や室内窓など採光を確保するアイデアを活用してみましょう。
また建築基準法で非居室とみなされる倉庫には換気設備が必須ではありませんが、住宅やオフィスは換気回数の基準が決まっています。
居心地の良い空間づくりにもつながりますので、換気扇・換気口なども含めた換気計画もしっかり考えましょう。
断熱性・気密性の確保
商品や材料を保管するための倉庫には断熱材が使われていないことがほとんどで、断熱性と気密性の確保も重要課題となります。
断熱性・気密性を考えず内装だけリノベーションすると、暑さ寒さが厳しく省エネ性能も低い建物になってしまいます。
壁・天井に断熱材を入れたり、気密性の高いサッシに交換したり、建物全体で対策をしてみてください。
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建物の補強とメンテナンス
倉庫をほかの用途にリノベーションする場合、建物補強やメンテナンスもしっかり考えるべきポイントです。
例えば倉庫だと見逃しがちなポタポタ雨漏りも、住居や飲食店だったら大問題ですよね。
1981年以前に確認申請を受けている倉庫は、耐震性が不足していて補強が必要になるケースもあります。
耐震基準についてはこちらのコラムもご覧ください。
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立地と周辺環境
倉庫は一般的に商業・工業地域にある事が多いため、リノベーション後の用途にマッチする立地や周辺環境を選ぶ事も大切です。
おしゃれな飲食店を作っても、一般消費者が来ない工業地域だと安定した集客は望めないでしょう。
また倉庫を自宅や賃貸住宅にリノベーションする場合は、周囲の騒音・ニオイなどの環境面にも注意が必要です。
例えば近くに建材工場などがあると、風で粉塵が舞って洗濯物に付いたり車に積もったりすることがあります。
平日・土日で街の雰囲気がガラッと変わることもあるため、倉庫物件選びの際は時間や曜日を変えて訪れてみるのもおすすめです。
用途変更などの手続き
倉庫を飲食などの店舗に改装する場合、確認申請の用途変更手続きが必要になるケースがあります。
※用途変更手続きが必要になる条件
- 倉庫から「特殊建築物」に用途変更する
- 用途変更する床面積が200㎡を超える
特殊建築物には飲食店やスポーツ施設などが含まれるため、200㎡以上の店舗はほぼ対象になると考えたほうが良いでしょう。
店舗部分の床面積が200㎡以内の場合は、用途変更手続きは必要ありません。
ただし手続きが不要なだけで、新しい用途に適した建築基準法・消防法・食品衛生法といった 法令への対応は必要になります。
手続き不要の場合、知らないうちに法令違反となって罰金などのペナルティを受ける可能性もあるので要注意。
建物用途や法令関係を一般の方が漏れなくチェックするのは難しいため、物件選びの段階から私たち施工店と一緒に計画を立てる「ワンストップリノベーション」がおすすめです。
■倉庫リノベーションの費用相場
倉庫⇒住宅リノベーションの場合
倉庫を自宅や賃貸住宅などにリノベーションする場合、費用相場は1,000~2,000万円前後が目安です。
インフラや断熱性能が整っている倉庫なら、一般住宅と同じくらいの1,000万円前後でリノベーションするのは難しくないでしょう。
逆に住宅としての設備や性能を1から作りなおす場合は、一般住宅より多めに費用が掛かる可能性が高いです。
耐震補強や補修などが必要な倉庫はさらに別途費用が掛かることもあるため、契約する前に建物を診断するのがおすすめです。
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ワンストップリノベーションの費用は?60㎡ 80㎡の事例をご紹介
倉庫⇒店舗リノベーションの場合
お風呂やキッチンなどの水回り設備が不要な倉庫⇒店舗リノベーションの場合は、500~1,500万円前後が費用相場となります。
オフィスや小売りなどの店舗なら、水回りはトイレと洗面台、あとは内装を仕上げれば良いので1,000万円以内に抑えるのも難しくないでしょう。
厨房や機材が必要になるレストランなどの店舗は、規模や席数によって費用が変動します。
■まとめ
倉庫リノベーションは住宅・店舗どちらの用途の場合でも、さまざまな魅力やメリットがあります。
中古住宅や賃貸物件のリノベーション計画がしっくりこないときは、倉庫も選択肢の一つとして検討してみてください。
ただし倉庫は人が過ごす前提で設計されていないため、物件探しの段階で建物の状態や構造をしっかり確認することが大切です。
私たち施工店と一緒に物件を探す「ワンストップリノベーション」なら、工事しやすい倉庫を見極めて費用や失敗リスクを抑えることができます。
SHUKEN Reでは東京・神奈川・千葉エリアを中心に、物件探しからのリノベーション計画をお手伝いしています。
おしゃれなデザインや間取りづくりはもちろん、資金計画・物件探しもサポートできますので、どんなこともお気軽にご相談ください。