公開日:2022-12-04 更新日:2024-07-04
一戸建て住宅リノベーションにかかる費用の相場は?築年数との関係性についても
“夢のマイホーム=新築一軒家”という考え方が一般的だったひと昔とは違い、最近は中古の一戸建て住宅をリノベーションして、コスパ良く理想の住まいを手に入れたいという人が増えています。
しかし、リノベーションは住宅ごとに正解が違い、また完成と全く同じモデルルームがある訳ではありません。
ですから、どうしても費用面で一体どのくらいかかるのかが分かりづらく、踏み切れない人も多いはず。
特に、一戸建て住宅の場合は、メンテナンスしなくてはいけない場所が屋外にも及ぶため、住み始めてからのメンテナンス費用も気になります。
そこで、今回は一戸建て住宅のリノベーションについて、費用の目安や築年数との関係についてお話しします。
今お住まいの家をリノベーションしたい人はもちろん、中古の戸建て住宅の購入を検討中の人も、是非参考にしてください。
・戸建住宅は、その築年数によって必要となるリノベーション工事は異なります。
・“SHUKEN Re”では、物件探しからローン相談、リノベーションの設計・施工、アフターメンテナンスまでをまとめてお任せいただける「ワンストップリノベーション」をご用意しています。
目次
■ 中古住宅のリノベーションは国が掲げる“新成長戦略”のひとつ
中古住宅、いわゆるストック住宅の活用は、国が“新成長戦略”のうちの一つとして掲げている課題であり、特にリノベーションはSDGsの観点でも意義があるため、補助事業を設けるなどの取り組みを行なっています。
~ストック重視の住宅政策への転換~ (中古住宅の流通市場、リフォーム市場等の環境整備)
数世代にわたり利用できる長期優良住宅の建設、適切な維持管理、流通に至るシステムを構築するとともに、消費者が安心して適切なリフォームを行える市場環境の整備を図る。
(中略)
《21世紀の日本の復活に向けた21の国家戦略プロジェクト》
・中古住宅・リフォーム市場の倍増等内需の要である住宅投資の活性化を促す。具体的には、これまでの新築重視の住宅政策からストック重視の住宅政策への転換を促進するため、建物検査・保証、住宅履歴情報の普及促進等の市場環境整備・規制改革、老朽化マンションの再生等を盛り込んだ中古・リフォーム市場整備のためのトータルプランを策定する。(中略)これにより、中古住宅流通市場・リフォーム市場を20兆円まで倍増を図るとともに、ネット・ゼロ・エネルギー住宅を標準的な新築住宅とすることを目指す。
というのも、年々日本のストック住宅は増え続ける一方で、2018年のデータによると、総世帯数が「約5,400万世帯」なのに対して、住宅ストック数は「約6,200万戸」と、約16%もの住宅が“余ってしまう”状況であることが分かっています。
特に、戸建住宅の“空き家問題”は深刻で、相続されたものの、誰も住んでおらずメンテナンスが行き届いていない家も少なくありません。
(引用:国土交通省|住宅事情の変化と現状)
ここで注目すべきなのが、先ほど国の掲げる戦略でも出てきた「長期優良住宅」。
これは、“長期に渡り良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅”を差し、2008(平成20)年に制定された「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に基づき認定されます。
認定された住宅は“長寿命に配慮している”ということが公的に認められることとなり、住宅ローンの金利引き下げや税軽減措置の対象となります。
制定当初は新築住宅のみでしたが、2016(平成28)年からは既存住宅の増築・改築も認定の対象となり、さらに、2022(令和4)年 10月1日からは、既存住宅で建築行為(リノベーション)を行わない場合でも、規定をクリアすれば長期優良住宅として認められるようになりました。
マンションの場合は、一棟丸ごとで認定を受けなくてはいけませんが、戸建住宅は一軒ごとでの申請が可能です。
このように、国はサスティナブル(持続可能な)社会の実現に向けて、昨今増え続けている既存住宅ストック、特に空き家となっている戸建住宅の再生を重要視しており、活用がより促進されるように、法整備を行うなどの取り組みを行なっているのです。
それに追随するように、住宅・建築業界だけではなく消費者の考えも変化してきており、新築戸建て住宅の建設棟数に追いつく勢いで中古一戸建て住宅のリノベーション件数が増えています。
〈関連コラム〉
【2022年】リノベーション関連の補助金は?2023年以降はどうなる?
〈参考ページ〉
国土交通省|長期優良住宅 認定制度の概要について(増築・改築版)
■ 一戸建て住宅のリノベーションにかかる費用の相場は?
では、戸建て住宅のリノベーションを検討する際に、どれほどの予算を立てておけばよいのでしょうか?
まず、リノベーションを計画する際に考えなくてはいけないのが、「工事規模」。
どこまでやりかえたいかによって、一軒家のリノベーション工事価格相場は全く異なります。
- ・土台や柱、梁、基礎などの構造躯体や、外壁、屋根などを残して、あとは戸建住宅の大半を改修する「フルリノベーション」
- ・キッチンや浴室などの設備機器取り替えと、内装工事だけする「部分リノベーション(表層リノベーション)」
- ・内部はそのままで外観だけきれいにする「外装リノベーション」
- ・耐震性能を上げるための「耐震リノベーション」
- ・断熱性能を上げるための「断熱リノベーション」
まずは、戸建住宅の現状を見て、どの程度まで改修したいかを検討してみてください。
戸建住宅のフルリノベーション価格目安
1㎡あたりの単価:15〜20万円
例えば、延べ床面積110㎡(約33坪)でフルリノベーションをした場合は、費用1,500万〜2,000万円程度になります。
ただし、この価格から大きく割増しになるケースもあります。
それが、以下のような物件の場合です。
- ・立地が住宅密集地で、駐車スペースや作業スペースが確保できず作業効率が極端に悪い場合
- ・狭小住宅でそれぞれの工事量が極端に少ない場合
- ・既存住宅の耐震性に大きな問題があり、そのままではリノベーションできない場合
- ・階段の位置を変える場合
- ・玄関を移動する場合
- ・増築もしくは減築をする場合
- ・吹き抜けやロフトなどを新設する場合
また、戸建住宅のリノベーションにかかせない耐震改修や断熱改修、屋根・外壁改修、エクステリア工事は別途費用がかかります。
つまり、上で紹介した相場は現状の劣化がそれほどひどくなく、さらに大幅な間取り変更を伴わない場合の価格であり、“劇的な変化”を要望する場合は、別途リノベーション会社へ問い合わせましょう。
戸建住宅の部分リノベーション価格相場
現状がそれほど痛んでおらず、設備機器や内装のやりかえで十分という場合は、戸建住宅ですと場所ごとにある程度の予算を立てることができます。
ちなみに、一般的に出回っている設備機器の寿命は10〜15年と言われているため、設置されて15年を超えている場合は、見た目がきれいでも内部のパーツがかなり劣化している可能性も否めません。
ですから、新築からもしくは前回のリノベーションから15年以上経過している場合、そろそろ取り替えを検討すると良いでしょう。
ただし、設備機器も内装材も年々進歩しているため、そのレパートリーやグレードは様々で、上を見たらキリがありません。
ですので、ここでは平均的なグレードにした場合の価格をご案内します。
戸建て住宅によっては、「これらを全て合算するとフルリノベーションの価格と大差なくなる」という可能性もありますが、同時に複数箇所やることで、設備工事や内装工事の施工単価を安くできたり、工事効率が上がって諸経費が圧縮できる可能性があります。
ですから、一軒家の部分リノベーションを検討する際は、できるだけまとめて一度に工事を依頼するのがおすすめです。
戸建住宅の外装リノベーション価格相場
多くの人は、リノベーションと聞くと家の内部をバージョンアップすることに意識が向いてしまいますが、実はそれよりも優先順位が高いのが「外装リノベーション」です。
一戸建て住宅において、屋根や外壁は家の構造体を雨から守るとても重要なパーツであり、これらが劣化すれば間違いなく家の寿命を縮めてしまいます。
外壁は12〜15年間隔で塗り替えなどのメンテナンスをするのが理想的です。
屋根の場合は、既存の材料にもよりますが、一般的なスレート瓦で15〜20年、高品質な金属系屋根材ですと30年以上の耐久性を持つものもあります。
※ただし、一度塗装すると10〜15年で継続して塗り替えが必要になります。
※上から重ねる屋根材によって、耐久年数が大きく変わります。
※新規の屋根材によって、耐久年数が大きく変わります。
※既存屋根材にアスベストが混入している場合は、処分費が別途かかります。
工事内容を見てみると、どれも必ず足場が必要になることがお分かりいただけますが、屋根と外壁の工事を同時に行う場合は、足場の設置解体費用が二重にかかる訳ではありません。
また、現場監理費もまとめられるため、合算するよりも価格は安くなるのが通常です。
戸建住宅の耐震リノベーション価格相場
一戸建て住宅の場合は、その建物の耐震性もリノベーションによってグレードアップさせられます。
改修の方法はいくつもありますが、主に建物の荷重を軽くして、耐力のある構造体を増やすことが主です。
そのため、屋根を軽量な材料に変える工事や、間仕切り壁を増やしたり移動させたりする工事も耐震改修として効果的とされています。
それ以外には、既存室内壁に筋交(すじかい)を追加する、梁・柱の接合部分に補強金物を設置するなどの方法があります。
耐震パネルへの取り替え(外壁に面した壁):50〜65万円/幅90cm
筋交の追加:15〜30万円/幅90cm
※壁の仕上げ工事は別途かかります。
※壁や天井、床の解体及び復旧は別途かかります。
ちなみに、日本木造住宅 耐震補強事業者協同組合の調査結果を見てみると、耐震改修にかかったリノベーション費用は200万円未満と回答した人が約70%で、100万円以上200万円未満の人は全体の約40%を占めています。
(引用:日本木造住宅 耐震補強事業者協同組合|耐震補強工事は「100万円台」がカギ)
建築基準法の改正によって、「旧耐震」と「新耐震」ではその耐震性能に大きな違いがあるため、戸建住宅についても「旧耐震」の場合は、早めに耐震改修を検討しましょう。
戸建住宅の断熱リノベーション価格相場
家の断熱性が低いと、あちこちに結露が発生し、構造体を腐食させたりカビの原因になってしまいます。
そのため、一戸建て住宅を長持ちさせるためには断熱リノベーションは欠かせません。
主に、小屋裏や床下、壁内に断熱材を充填したり、玄関ドアや窓サッシを高性能のものに取り替える方法が一般的です。
断熱サッシへの取り替え:25〜60万円/カ所
断熱玄関ドアへの取り替え(カバー工法):20〜35万円/カ所(既存ドア枠は残し、その上から新規ドア枠を被せる)
断熱玄関ドアへの取り替え:25〜40万円/カ所
※それぞれ内装補修工事などは別途かかります。
天井:0.5〜1万円/ ㎡
床下:0.5〜1万円/ ㎡
※それぞれ内装補修工事などは別途かかります。
ただし、断熱リノベーションをする場合に気をつけなくてはいけないのが、「部分的では意味がない」という点です。
部分的に断熱改修を行うと、手をつけていない部分に熱の移動が集中し、余計に結露がひどくなる可能性があります。
ですから、一軒家の断熱性を高めたいという場合は、予算をかけてある程度家全体を施工範囲にするのがおすすめです。
■ 一戸建て住宅の築年数によってリノベーション費用は変わる?
ここまで一戸建て住宅のリノベーション費用の相場についてお話ししましたが、実は築年数によって必要な予算は異なります。
築年数によって工事費が変わるといいうよりも、必要となる工事内容が変わるからです。
ちなみに、日本に現存しているストック住宅(戸建住宅)のうち、最も多いのが「築20〜30年」のもの。
また、注目すべきなのが、「旧耐震」と呼ばれる現在の建築基準法の耐震基準を満たしていない物件も多数存在するという点です。
(引用:国土交通省|建築年代別の住宅ストック総数)
つまり、中古の一戸建て住宅の購入を検討している場合も、それなりのリノベーション費用を見込んでおかなくてはいけないということです。
物件を購入する際は、その物件価格とリノベーション費用のトータルで予算組みをする必要があり、それを実現するには不動産的知識と建築的知識の両方を兼ね備えた会社に相談しなくてはいけません。
そのため、リノベーション費用を見込んだ物件探しや、理想の間取りを実現できる物件探しが可能です。
■ 一戸建て住宅のリノベーションはオーダーメイドなプランニングが“成功のカギ”
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■ 一戸建て住宅のリノベーションには補助金が活用できるケースも!
一戸建て住宅のリノベーションを検討する際に、忘れてはいけないのが「補助金」です。
国や自治体の予算によって実施される補助制度は異なりますが、以下の工事をする場合は支給対象となる可能性もありますので、必ず施工会社や管轄の自治体に詳細を確認しましょう。
〈補助金の対象となる可能性がある工事〉
- ・開口部の断熱工事
- ・外壁や屋根・天井または床、基礎などの断熱改修工事
- ・エコ住宅設備の設置工事
- ・太陽光発電システムの導入工事
- ・耐震改修工事
- ・バリアフリー改修工事
- ・子育て対応改修(「家事負担の軽減に資する設備を設置する工事」、「防犯性の向上に資する開口部の改修工事」、「生活騒音への配慮に資する開口部の改修工事」など)
- ・三世帯同居対応改修工事(キッチン・浴室・トイレ・玄関などの増設)
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■まとめ:一戸建て住宅を長持ちさせるためには築年数に合わせた適切なリノベーションが重要
戸建て住宅を長く維持管理するためには、築年数に合わせた適切なリノベーションをしなくてはいけません。
また、中古物件を購入する際には、室内だけではなく外装や性能に関わる改修費用も念頭に置いた予算立てが重要です。
そのためには、戸建て住宅のリノベーション費用について目安をある程度把握することも大切ですし、物件選びからそれらを踏まえた提案をしてくれる会社に相談することもポイントになります。
私たちSHUKEN Reは、常に最新の情報に耳を傾け、お客様にとって最善のリノベーションを実現すべく努めています。
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