公開日:2024-12-29
再建築不可物件は売却・買取どっちが良い?リフォーム・セットバックなど売れない場合の対策を解説
再建築不可は売却が難しいイメージがあり、どのように扱うべきか悩む方が少なくありません。
建て替えや大規模なリフォーム・リノベーションができない再建築不可の一戸建てやアパートは資産価値が低く見積もられるため、買主を見つける難易度は高いです。
また、再建築不可物件を手放す方法は不動産会社の仲介による売却、専門業者の買取の2パターンがあり、どちらがマッチするかは状況によって変わります。
そこでこの記事では、再建築不可物件の売却・買取のメリット・デメリットを比較し、どちらがご自身に合うのか判断できるように情報をまとめます。
また、売却や買取が難しい場合の対策も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
・時間に余裕がありなるべく高値で売りたい場合は仲介売却が向いています。
・なるべく早く現金化したい場合は買取が向いています。
・再建築不可物件が売れない場合は、リフォーム・リノベーション、隣地所有者に売却するなどの対策を検討しましょう。
■再建築不可物件とは?
建築基準法の条件を満たしておらず、建て替えができない建物のことを再建築不可物件と呼びます。
建築基準法上の接道義務を満たしていない物件が再建築不可になるケースが多いです。
(画像引用元)国土交通省|建築基準法制度概要集「敷地と道路(法第42~第44条)」
接道義務では、原則として「幅員4m以上の道路(公道または私道)に接する、建物の敷地の間口を2m以上確保する」ことが規定されています。
道路の幅が狭かったり、敷地の間口が2m以下だったりすると、接道義務を満たせず再建築不可となります。
こちらのコラムで再建築不可物件の概要についてさらに詳しく解説していますので、参考にしてください。
〈関連コラム〉
再建築不可とは?リフォームできる条件と内容を解説|2025年建築基準法改正後のスケルトンリノベーション活用法
■再建築不可物件が売れにくい理由
まずは、再建築不可物件が売れにくい理由をチェックして、効果的な対策を選び売却や買取を有利に進めましょう。
建て替えできない
再建築不可物件は建て替えができず、買主にとって将来のリスクが高くなるため売れにくい傾向があります。
老朽化や地震などで倒壊してしまったときに建て替えができないと、土地だけが残り運用の選択肢が少なくなってしまいます。
自宅として住む、投資用物件として購入するどちらの場合も、再建築不可物件はリスクが高いため避けられる傾向があるのです。
ローンを組みにくい
再建築不可物件は相場より資産価値が低く見積もられるため、住宅ローンや不動産投資ローンを組みにくいのも売れにくい理由の1つです。
住宅ローンや不動産投資ローンの審査では、物件の担保価値が評価されます。
再建築不可物件は担保価値が低いため、万が一返済が滞った際の担保として不十分と判断され、融資の条件が厳しくなるケースが多いです。
■再建築不可物件の売却・買取の違い
再建築不可物件を売る方法は、仲介売却、買取の2種類に分かれ、さまざまな違いがあります。
仲介売却 | 買取 | |
買主 | 個人 | 不動産会社や買取専門業者 |
売却価格 | 売主が決める | 査定により決まる |
売却にかかる期間の目安 | 数か月~ | 1週間前後 |
内覧対応 | 随時必要 | 査定時のみ |
仲介手数料 | あり | なし |
広告掲載 | あり | なし |
それぞれメリット・デメリットがありますので、詳しくチェックしていきましょう。
仲介売却:売却価格を設定できるのが魅力
仲介による再建築不可物件の売却は、不動産会社と媒介契約を結び、買主を探す方法です。
物件の売却価格を売主が決定することができ、問い合わせ状況や買主の要望に合わせて調整することも可能です。
再建築不可でも好立地な物件や、後述するセットバックなどで対応できるケースは、希望する価格で売却できる可能性もあります。
一方、買主が見つかるかは運しだいで、特に再建築不可物件は売却までに時間がかかる傾向があるのがデメリットです。
また、なかなか売れない場合は、不動産会社を替える、金額を調整する、内覧に立ち会うなど、やるべきことが多いのも負担になります。
再建築不可物件をすぐに現金化する必要がなく、なるべく高値で売りたい場合は、仲介売却が向いています。
買取:スピーディーに現金化できるのがメリット
再建築不可物件の買取とは、不動産会社や買取専門業者に直接物件を買い取ってもらう方法です。
仲介売却と違い買主を探す必要がなく、査定から現金化まで1週間前後とスピーディーなのが大きなメリットです。
内覧対応やポータルサイトへの掲載などが不要なため、売りに出していることを近隣の方に知られないのも買取の特徴。
一方、買取は査定によって売却金額が決まり、相場より安くなる傾向があるのがデメリットです。
また、再建築不可物件を扱っていない業者もあるため、確実に買い取ってもらえるとは限りません。
住み替えや投資物件の買い換えなどですぐに現金化したいときは、買取が向いていると言えるでしょう。
■再建築不可物件の売却・買取相場は?
前述したように、再建築不可物件は買主にとってリスクがあるため、一般的な売却・買取相場より安くなる傾向があります。
建物の状態や土地自体の資産価値など条件によって変動しますが、周辺相場の5~7割程度が相場と言われています。
仲介売却の場合自分で価格を設定できますが、高すぎると買主を見つけるのが難しいです。
希望する金額での売却が難しい場合は、次の章で紹介する対策を検討してみてください。
■再建築不可物件が売れない場合の対策
再建築不可物件の買主が見つからない、または希望する金額で売れないときは、次のような対策を検討してみましょう。
リフォーム・リノベーションで売りやすい状態にする
再建築不可物件でも建築確認申請が不要な工事はできるため、リフォーム・リノベーションすることで売れやすくなる可能性があります。
リフォーム済みなら購入後の出費を抑えられるため、そのままの状態より高値で売却できる可能性が高いです。
また、リノベーションでおしゃれな間取りや内装につくりかえれば、検討者の目に留まりやすくなり、問い合わせや成約率アップも期待できます。
ただし、アップした売却金額より、リフォーム・リノベーション費用の方が高額になってしまうケースもあるため、バランスについて慎重に考える必要があります。
こちらで一戸建てやアパートのリノベーション費用について解説していますので、参考にしてください。
〈関連コラム〉
リノベーション費用の相場は?プロが教える業者選びと費用を抑えるコツを徹底解説!
隣地所有者に売却する
再建築不可物件に隣接する土地の所有者に売却するのも対策の1つです。
隣地所有者にとって、隣の物件を購入すれば土地が広くなるメリットがあるため、直接売却できるケースがあるのです。
また、土地の間口が狭く接道義務を満たしていない場合、隣の土地を合わせることで再建築可能になるケースもあります。
再建築可能にする
周囲の状況によっては、接道義務を満たして再建築可能にしてから売却するのも対策の1つです。
再建築可能になれば買主を見つけやすくなり、相場に近い金額で売却できる可能性も高くなります。
※再建築可能にする方法の例
- セットバックで道路の幅員を4m以上にする
- 隣の土地を一部購入し間口を2m以上にする
- 位置指定道路の申請をする
接地道路の幅や土地の間口が狭く接道義務を満たしていない場合、セットバックや隣の土地の一部購入で再建築可能にできるケースがあります。
また、道路が建築基準法上の道路ではない場合、位置指定道路として認めてもらうことで条件を満たせるケースも。
ややハードルは高いですが、再建築不可物件を売却する1つの選択肢として検討してみましょう。
住宅や店舗として賃貸経営する
前述した対策が難しく、なかなか売れない場合は、再建築不可物件を一棟リノベーションして賃貸経営し、家賃収入を得るのも1つの対策です。
売却は難しくても、リフォームやリノベーションをすれば、入居者が見つかり定期的な家賃収入を得られる可能性があります。
また、入居者が居る状態ならオーナーチェンジ物件として売りに出せるため、経営が安定してから売却するのも1つの考え方です。
オーナーチェンジ物件についてはこちらのコラムでも詳しく解説していますので、参考にどうぞ。
〈関連コラム〉
【東京で投資用オーナーチェンジ物件を買う】価格推移や相場、メリット・デメリットを徹底解説
駐車場や貸しコンテナにする
売却が難しく、建物の状態が良くない再建築不可物件は、解体して駐車場や貸しコンテナとして運用する方法もあります。
賃貸経営より収益性は低くなりますが、初期費用やメンテナンスコストを抑えて収入を得られるのがメリットです。
■まとめ
再建築不可物件は売却や買取の難易度が高く、査定金額も相場より安くなる傾向があります。
買手が見つからない、希望金額での売却が難しい場合は、リフォーム・リノベーションも検討してみてください。
私たちSHUKEN Reは、一戸建てやアパートなどのリノベーションを得意とする専門店です。
売却しやすくするためのリフォーム、収益を得るためのリノベーションなど、再建築不可物件の状況に合わせたプランをご提案可能です。
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