中古住宅の売買でインスペクションは必要?費用や実施するタイミングを解説
中古住宅を安心して売買する上で「インスペクション(住宅診断)」はとても重要な意味を持っています。
howzlifeでも、中古マンションや戸建てを売買する際に、
- ・インスペクションの実施は義務なのか
- ・買主と売主、どちらが実施するのか
- ・費用はどれくらいかかるのか
- ・どのタイミングで実施すればよいのか
など、インスペクションについてのご質問をたくさんいただきます。
今回は、中古住宅のインスペクションについて詳しく解説します。
中古マンションや戸建ての購入・売却を検討中の方はぜひ参考にしてください。
・中古住宅のインスペクションは、買主・売主双方にとって安心して住宅の売買をするために役立ちます。
・インスペクションを実施することで、「既存住宅売買瑕疵保険」に加入でき、構造上の不具合や雨漏りなどがない住宅であることが保証され、入居後見つかった不具合に対して補償が受けられます。
・中古住宅のインスペクションは通常、売買契約前のタイミングで実施します。費用やかかる期間を見越して早めに依頼しましょう。
Contents
インスペクションとは?
事例を見る:case34「SQUARE -抜けるようなリビングを持つ家-」
インスペクションとは、中古住宅を安心して購入できるよう、住宅の設計・施工に詳しい建築士などの専門家が、住宅の劣化や不具合の状況について調査を行い、欠陥の有無や補修すべき箇所、その時期などを客観的に検査するものです。
住宅診断、ホームインスペクションとも呼ばれます。
インスペクションは義務化されたの?
2018年4月、宅地建物取引業法の改正により、不動産仲介会社は
- ・中古住宅の購入/売却の媒介契約締結時に、インスペクション業者のあっせんの可否を示し、買主/売主の意向に応じてインスペクション業者をあっせんする
- ・中古住宅の売買契約の重要事項説明時に、インスペクション結果を買主に対して説明する
- ・中古住宅の売買契約締結時に、基礎、外壁などの現況を買主/売主が相互に確認し、その内容を不動産会社から買主/売主に書面で交付する
などが義務付けられました。
参考:国土交通省「宅地建物取引業法の改正について」
画像引用元:(一社)住宅瑕疵担保責任保険協会「既存住宅状況調査(建物状況調査)とは?」
法改正によって、中古住宅の売買時にインスペクションの活用がしやすくなり、買主/売主がより安心して取引できるようになりました。
中古住宅の売買時のインスペクション実施自体が義務化されたわけではなく、あくまで実施は任意となります。
不動産会社が、買主/売主にインスペクションについて情報提供することが義務化されたということです。
インスペクションを活用するメリット
買主のメリット
・購入にあたっての判断材料になる
購入を検討している中古住宅がインスペクションを実施していれば、住宅の基礎・外壁、内装、設備の状態をより正確に知れるため、安心して購入できます。
また、2018年4月に始まった、一定の品質をもつ中古住宅の認定制度「安心R住宅」への登録には、インスペクションの結果、構造上の不具合や雨漏りがないか確認することが最低条件になっています。
参考:国土交通省「安心R住宅」
・既存住宅売買瑕疵(かし)保険に加入できる
中古住宅を購入して引渡しされた後、その住宅の劣化や不具合等(瑕疵・かし)が発見されても、その住宅に保証がなければ、修理費用などは買主が負担しなければなりません。
特に、売主が不動産会社(宅建業者)以外の個人・法人の場合、売主が保証をせずに現状渡しとする売買契約が多く、引渡し後の瑕疵によるトラブルが起きるケースがあります。
また、売主が不動産会社の場合は、宅地建物取引業法で住宅の保証責任を負うことが義務付けられていますが、保証期間は最低でも2年間と比較的短いため、入居後、保証期間を過ぎた後の不具合には対応できないという問題があります。
このような中古住宅特有の売買条件や売買トラブルに対応するための保険が「既存住宅売買瑕疵保険」です。
既存住宅売買瑕疵保険は、主要構造部分や雨水の浸入を防止する部分の欠陥に関する保証を目的としており、
保険への加入は、国土交通大臣により指定された住宅瑕疵担保責任保険法人へ登録された事業者によるインスペクションに合格することが条件になっています。
インスペクションを実施して既存住宅売買瑕疵保険に加入することで、構造上の不具合や雨漏りなどがない住宅であることが保証され、入居後見つかった不具合に対して補償が受けられるため、より安心して中古住宅を購入できます。
参考:
(一社)住宅瑕疵担保責任保険協会「既存住宅購入をお考えの方」
国土交通省「既存住宅売買瑕疵保険について」
売主のメリット
・物件引渡し後のトラブルを防げる
2020年の民法改正により、不動産の売主にはこれまでの「瑕疵担保責任」に代わり、新たに「契約不適合責任」が求められるようになりました。
契約不適合責任の特徴は、これまで買主が売主に責任を問えるのは「住み始めてから発見された隠れた瑕疵」だけだったのに対し、
隠れていない不具合でも「契約内容に適合していない不具合」について責任を追及できるようになったことです。
売主側にとっては、瑕疵があることが問題なのではなく、物件にどのような不具合があり、その不具合に対して責任を負わない旨を売買契約書に詳しく記載することが、トラブル防止にとても重要になります。
インスペクションを活用することで、物件の現状を細部まで把握でき、隠れた瑕疵の見逃しを防げます。
インスペクションの費用は買主・売主どちらが負担する?
インスペクションにかかる費用を売主・買主のどちらが負担するかはケースバイケースになります。
売主が、買主に安心して購入してもらい、トラブルを防ぐためにインスペクションを実施する場合は、費用は売主が負担することになります。
また、買主がインスペクションを実施するには売主の同意が必要です。
インスペクションを実施するタイミングは?
事例を見る:case3「ラフ&シンプル ベスト・オブ・ハウズ2016 デザイン賞受賞!!」
インスペクションは、売買契約前に実施し、購入申し込み後すぐに手配するのが通常です。
インスペクションの利用タイミングが契約前であれば、購入しなかったとしても原則として違約金などのペナルティは生じません。
もし、売買契約を締結してからインスペクションを利用し、調査結果を受けて購入を中止(キャンセル)する場合は、売買契約を解約することになります。
その場合、支払い済みの手付金が返金されなかったり、キャンセルのタイミングなどによってはペナルティが生じたりする可能性もあります。
インスペクションは契約前に余裕を持って依頼しよう
インスペクションの調査には最低1〜3日程度かかり、調査報告書の作成は調査後に1週間〜10日程度かかるため、契約日が迫っている場合や、日程が変更できない場合には注意しましょう。
また、説明義務化に伴って調査が立て込むこともあるため、調査日の設定はできるだけ余裕を持たせるようにしましょう。
中古住宅のインスペクションにかかる費用相場
インスペクションの費用は診断方法や内容によって異なります。
インスペクションは、目視を中心とした非破壊検査(一次的インスペクション)と、不具合や劣化の範囲・原因を把握するための詳細な検査(二次的インスペクション)の2種類に分かれます。
また、リフォーム工事の実施時などには、「性能向上インスペクション」を行うこともあります。
不動産会社が説明を義務付けられている「建物状況調査」は、一次的インスペクションにあたります。
<インスペクションの種類と費用目安>
インスペクション費用目安 | ||
戸建て | マンション | |
一次的インスペクション | 5~7万円 | 4~6万円 |
二次的インスペクション | 6~12万円 | マンションは破壊調査が難しいため一次的インスペクションがメインとなる |
戸建て住宅の場合は屋根・外壁やエクステリアの劣化状態も重要になるため、精密な診断(二次的インスペクション)まで行うのがおすすめです。
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インスペクションの検査項目
インスペクションの検査項目は、床、壁、柱、基礎などの検査対象となる部位と、検査する不具合で構成されています。
<インスペクションの主な検査項目>
- ① 構造耐力上の安全性に問題のある可能性が高いもの
(例)床、壁、柱、基礎などの蟻害、腐朽・腐食や傾斜、躯体のひび割れ・欠損など - ② 雨漏り・水漏れが発生している、又は発生する可能性が高いもの
(例)屋根、外壁、天井などの雨漏りや漏水など - ③ 設備配管に日常生活上支障のある劣化等が生じているもの
(例)給排水管、給湯管、換気ダクトの漏れや詰まりなど
参考・画像引用元:国土交通省「既存住宅インスペクション・ガイドライン」
まとめ
中古住宅の購入・売却は、インスペクションを活用することで安心して売買ができ、交渉もスムーズに進められます。
また、中古住宅のインスペクションは既存住宅売買瑕疵保険への加入条件となっているため、
個人間の売買・不動産会社との売買のどちらの場合でも、保険加入のためにインスペクションを検討するのがおすすめです。
今回解説した、インスペクションのメリットや実施する上でのポイントを押さえておくと、中古住宅の売買におけるトラブルを防げますので、参考にしてくださいね。
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