公開日:2023-02-21 更新日:2024-12-19
中古住宅の手付金はフルローンに組み込める?払えない場合の対処法も解説
中古住宅の不動産売買契約時には、契約が成立した証として、買主から売主に「手付金」を支払います。
手付金は、物件価格の一部を先に支払うものですが、条件によっては高額になる場合もあるため、頭金としてフルローンに組み込めないの?と気になっている方もいるかもしれません。
今回は、気になる中古住宅の手付金の仕組みと、フルローンに組み込めるかどうかについて詳しく解説しますので、中古住宅の購入を検討中の方は参考にしてくださいね。
・中古住宅の売買契約時に必要な手付金は、契約締結の証に前もって支払う物件代金の一部で、売買契約日に買主が原則として現金で支払う必要があります。
・手付金は、ある程度まとまった金額を契約時に現金で支払うことで、不動産売買契約のトラブルを防止することが期待できるなどの法的な意味合いがあるため、フルローンや諸費用ローンに組み込むことはできません。
・手付金が支払えない場合、ある程度初期費用を用意できるまでタイミングを待つ、両親から住宅資金の贈与を受けるなど、より将来のリスクが少ない方法も検討してみましょう。
目次
手付金とは?
手付金とは、不動産売買契約時に、契約が成立した証として買主側が売主側に前もって支払うお金(物件価格の一部)を指します。
大きな金額が動く不動産売買では、手付金で物件価格の一部を支払うことによって、契約当事者の一方が簡単に解約をしてしまうことがないようにするという意味合いがあります。
手付金の支払いタイミングや、契約をキャンセルした場合に手付金が返ってくるケースについては、過去のコラムで詳しく解説していますので、合わせてチェックしてみてください。
手付金の相場
手付金の目的や金額は、売主と買主が協議した上で決定し、その内容によって手付金の額は異なりますが、一般的に相場は物件価格の5~10%とされています。
物件価格が3,000万円なら、手付金の相場は150万~300万円ということになりますね。
また、売主が宅建業者の場合は、手付金の上限は物件価格の20%までと宅建業法で定められています。
なお、手付金は物件価格の一部を先に支払うものなので、支払った分は最終的に物件価格から差し引かれます。
手付金と申込金・内金との違い
手付金と混同されやすい「申込金」「内金」についても意味をチェックしておきましょう。
・申込金
正確には「申込証拠金」という名前で、物件に契約を申し込む際に必要になるお金です。予約金と言われることもあります。
申込金は法的な定めがあるものではありませんが、金額は物件価格にかかわらず1万~10万円程度の場合が多く、支払うことで優先的に購入できる権利が得られます。
契約成立の場合は手付金などに充てられ、もしも契約に至らなかった場合は原則として全額返却されます。
・内金
内金は、「代金の一部を前払いした時のお金」という意味で、手付金と似ていますが法的な定めはなく、手付金とは別に売主側が契約時に設定します。
ただし、契約書に内金が解約手付としての意味合いを持つと記載されている場合もあるので、内金を支払う場合はその趣旨について契約書でしっかり確認しましょう。
中古住宅の手付金はフルローンに組み込める?
手付金は物件価格や契約内容によっては大きな金額になるため、その分初期費用の負担も大きくなります。
そこで、中古住宅の購入でフルローンを利用し、手付金も諸費用としてローンに組み込むことはできるのでしょうか?
結論から言うと、「手付金はフルローンには組み込めない」のが答えです。
手付金をフルローンに組み込めない理由
手付金は、中古住宅購入における自己資金として、原則「現金」で必要になるお金になります。
手付金は、ある程度まとまった金額を契約時に現金で支払うことで、不動産売買契約のトラブルを防止することが期待できるなどの法的な意味合いがあるため、フルローンや諸費用ローンに組み込むことはできないのです。
このように、中古住宅購入時にかかる費用は、フルローンに組み込めるものと組み込めないものがあるので、事前に理解した上で資金計画を立てることが重要です。
中古住宅購入でフルローンに組み込める費用
- ・売買契約時の印紙税(売買契約、建築請負契約、住宅ローン契約)
- ・住宅ローン借入時の諸費用(住宅ローン保証料、融資事務手数料)
- ・登録免許税や司法書士報酬
- ・火災保険料
- ・仲介手数料
- ・ホームインスペクション(住宅診断)費用 など
中古住宅購入でフルローンに組み込めない費用
- ・手付金
- ・不動産取得税
- ・固定資産税
- ・都市計画税
- ・引っ越し費用や家具家電代 など
また、フルローン・諸費用ローンに組み込める費用は金融機関やローン商品によっても変わってきます。
なお、引渡し日にローンの融資が実行されれば、支払った手付金を除いた残りの物件代金を売主に支払い、手元に手付金が戻ってくることになります。
手付金が払えない場合はどうすればいい?
手付金のようなまとまった現金を初期費用で用意できない場合の対策はあるのでしょうか?
手付金の減額を交渉する
手付金の一般的な相場はありますが、法律で金額が決められているわけではないため、不動産会社に対して手付金の減額交渉をすることは可能です。
ただし、手付金の額が小さくなればなるほど売主のリスクが高くなるため、人気の物件で買主に競合がいる場合は、不利になってしまいます。
両親や親族から一時的に借りる・住宅資金の贈与を受ける
この他、両親や親族に一時的に借りる方法もあります。
この場合、手付金の金額を売買契約の締結前に借りて、フルローンで住宅を購入し、引渡し完了後に返済するようにします。
また、親族からの借入であっても、必ず借用書を作成するようにしましょう。
なお、父母・祖父母から住宅資金の援助が受けられそうなら、贈与税が非課税となる特例を利用できる場合があります。
(参考)国税庁「No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税」
まとめ|手付金はフルローンに組み込めない!余裕のある資金計画を
中古住宅の売買契約時に必要な手付金は、契約締結の証に前もって支払う物件代金の一部で、売買契約日に買主が原則として現金で支払う必要があります。
手付金の相場は物件価格の5~10%が一般的ですが、不動産会社や物件によって変わってきます。
手付金は、ある程度まとまった金額を契約時に現金で支払うことで、不動産売買契約のトラブルを防止することが期待できるなどの法的な意味合いがあるため、住宅購入時の諸費用として、フルローンや諸費用ローンに組み込むことはできません。
また、フルローンや諸費用ローンは物件価格以上の金額を借り入れることになり、毎月の支払い負担も増えることになります。
手付金が支払えない場合、ある程度初期費用を用意できるまでタイミングを待つ、両親から住宅資金の贈与を受けるなど、より将来のリスクが少ない資金計画を立てましょう。
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