公開日:2026-04-08
マンション選びで断熱性能をチェックすべき理由|断熱リノベーションの方法と費用相場、物件選びのポイントまで解説

「マンションなのに冬の朝が冷え込む」「窓の結露がひどくてカビが心配」。
ご自宅マンションでのこのようなお悩みをお持ちの方や、これから中古マンションの購入を検討している方は、断熱性能のチェックとリノベーションでの対策が重要です。
2025年4月の省エネ基準適合義務化により、新築・中古マンションの断熱性能の重要性が高まっています。
新築マンションは断熱等級4以上への適合が必須で、さらに2030年までにはZEH水準(等級5以上)に引き上げられる予定です。
こうした背景から、今後は新築・中古どちらの場合でも、マンションの断熱性能が資産価値を大きく左右する重要な指標となります。
そこでこの記事では、マンションの断熱性能が暮らしに与える影響や、物件の断熱レベルを見極める方法、さらにはリノベーションによる改善手法から費用相場まで詳しく解説します。
これからマンション購入を検討している方はもちろん、今のお住まいの寒さを解消したい方も、ぜひ後悔しない住まいづくりの参考にしてください。
- ・中古マンションは断熱等級3以下の物件が多いため、リノベーションで断熱性能をアップする重要性が高いです。
- ・窓と壁・床・天井の断熱施工を組み合わせることで、築年数が古いマンションでも新築レベルの断熱性能を実現できます。
- ・物件選びや内見の際に使える、マンションの断熱性能をチェックするポイントをご紹介します。
目次
■マンションの断熱性能が暮らしに与える3つの影響

「マンションは気密性が高いから、戸建てより暖かいはず」と思われがちですが、実は断熱性能の差によって暮らしの質や資産価値が変わります。
具体的にどのような影響があるのか、3つのポイントで解説します。
① 光熱費に差が出る
マンションの断熱性能は冷暖房効率に直結し、月々の光熱費の差となって現れます。
断熱性が低いと、冬は窓や壁から熱が逃げ、夏は暑い外気が入り込むため、冷暖房効率が低下してしまいます。
結果的にエアコンや暖房機の消費電力が高くなり、光熱費が高騰する原因になるのです。
断熱性能が高いマンションは少ないエネルギーで室温をキープでき、冷暖房にかかる光熱費を節約できます。
光熱費は毎月かかるランニングコストですから、マンションに長く暮らすほど金額の差も大きくなります。
② 健康・快適性に差が出る
マンションの断熱性能は、住む人の健康状態や快適性、日々の生活の質にも大きな影響を与えます。
断熱性が低いと部屋ごとの温度差が大きくなり、冬場の浴室やトイレなどで「ヒートショック」を引き起こすリスクが高まります。
また、冷えた窓や壁と室内の温度差が大きいと結露が発生し、カビやダニの温床となり、喘息やアトピーなどのアレルギー疾患の原因にもなりかねません。
〈関連コラム〉
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断熱性能が高いマンションは家全体の温度が一定に保たれやすく、ヒートショックのリスクを軽減できるだけでなく、冬の朝や夏の日中などの快適性も高くなります。
さらに、温度差を減らすことで結露の発生を抑えることにもつながるため、空気がクリーンで衛生的な住環境を維持できるのも大きなメリットです。
③ 資産価値に差が出る
マンションの断熱性能は、住み替えなどで将来売却する際の資産価値にも影響を与えます。
2025年4月からの省エネ基準適合義務化により、原則マンションを含むすべての新築建築物は断熱等級4への適合が義務付けられました。
高断熱のマンションが市場のスタンダードになることで、断熱性が低い物件は資産価値が低くなり、買い手が付きにくくなったり、将来の売却価格が下落したりするリスクが高くなります。
さらに、中古マンションでも「省エネ基準適合住宅」の証明(増改築等工事証明書など)があれば、住宅ローン控除の借入限度額が一般の中古住宅(2,000万円)から3,000万円に引き上げられるメリットがあります。
断熱性能が高い新築マンションを選ぶことはもちろん、中古物件の場合でも、リノベーションによって断熱性能を現行基準以上に高めておくことは重要です。
単なる修繕ではなく、マンションの資産価値への「投資」として断熱性能を高めることで、将来売却や賃貸する際のリスクを回避しやすくなります。
■新築と中古マンションの断熱性能の違い

マイホームとしてマンションを購入する場合、新築・中古どちらを選ぶとしても断熱性能をチェックすることが重要です。
マンションの断熱性能は、断熱等級(断熱等性能等級)という基準であらわされるのが一般的です。
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断熱等級 |
基準の名称 |
内容 |
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等級7 |
HEAT20 G3相当 |
2022年10月に追加。現状の最高等級。 |
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等級6 |
HEAT20 G2相当 |
2022年10月に追加。理想的なリノベ基準。 |
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等級5 |
ZEH水準 |
2022年4月に追加。2030年の義務化目標となっており資産価値を守るために満たしたいライン。 |
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等級4 |
次世代省エネ基準 |
2025年4月から義務化(最低基準)。 現代のスタンダード。 |
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等級3以下 |
旧省エネ基準以前 |
「性能不足」。多くの中古マンションが該当。 |
断熱等級は1~7の段階に分かれていて、数字が大きいほど断熱性能が高くなります。
2025年4月からは、マンション・戸建てを含むすべての新築住宅に断熱等級4以上への適合が義務化されました。
一方、省エネ基準適合義務化以前に建てられた中古マンションは、物件によって断熱性能が異なり、現在の基準である断熱等級4を下回る物件も多いです。
「マンションは鉄筋コンクリート造(RC造)だから暖かい」というイメージがあるかもしれませんが、実はコンクリート自体は熱を通しやすい素材です。
特に築年数が古いマンションは、断熱材が薄い、または入っていない、さらに熱を通しやすいアルミサッシや単板ガラスが使われていて、省エネ性や快適性が低いケースが少なくありません。
こちらのコラムで、中古マンションの断熱等級や断熱材の有無について詳しく解説しています。
〈関連コラム〉
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このように、省エネ基準適合義務化以前に建てられたマンションは、新築物件と比べて断熱性能が低い物件が多いです。
そこで重要になるのが、リノベーションによる断熱性能の向上です。
築年数が古く断熱等級が低いマンションでも、断熱リノベで省エネ性や快適性を向上させることは可能です。
マンションで寒さや光熱費の高さを感じている方、中古マンションの購入を検討している方は、次の章で断熱リノベの具体的な方法をチェックしてみてください。
■マンションの断熱性能を高めるリノベーション方法と費用相場

築年数が古いマンションでも、リノベーションによって断熱性能を高めることが可能です。
鉄筋コンクリート造のマンションでできる断熱リノベーションは、大きく分けると窓と床・壁・天井の2種類です。
それぞれの具体的な方法と費用相場についてチェックしていきましょう。
① ペアガラス交換・内窓設置
マンションの中で特に熱の出入りが大きい窓は、費用対効果が高い代表的な断熱リノベーション方法です。
特に単板ガラスが使われているマンションの場合、ペアガラス(複層ガラス)への交換や内窓の設置の効果が大きいです。
窓のサッシやガラスは原則として共用部のため、基本的には個人の判断で交換することは難しい箇所です。
しかし、昨今の省エネ意識の高まりを受け、管理組合の承諾や細則の変更によってリノベーション(交換)が認められるケースも増えています。
万が一管理規約で窓ガラス交換できない場合でも、専有部内で完結する内窓の設置なら対応でき、断熱性能や結露防止効果も高くなります。
内窓設置の費用相場は窓のサイズや製品によって変わりますが、1か所あたり3~20万円前後が相場です。
窓の断熱リノベーションについてはこちらのコラムでも詳しく解説しています。
〈関連コラム〉
マンションの窓リフォームの種類と費用相場|内窓(二重窓)や室内窓の施工事例や補助金情報も
② 床・壁・天井の断熱
鉄筋コンクリート造のマンションは、個人で外壁側からの断熱リノベーションはできませんが、室内側から断熱材を入れて性能を高めることが可能です。
断熱材を入れることで、1階の部屋の床からの底冷えや、最上階の天井からの熱の出入りを防ぎやすくなります。
また、外壁に面した壁やコンクリートの耐力壁にも断熱材を入れることで、結露の原因となる熱橋(ヒートブリッジ)の軽減効果も期待できます。
マンションの床・壁・天井の断熱リノベーションの費用相場は、材料費と施工費で1㎡あたり1,000~6,000円が目安です。
ただしこれは断熱材の施工単価で、さらに内装(クロスや石膏ボード)の復旧費用が別途かかるため、壁や床をはがしてつくりなおすスケルトンリノベーションと同時に行うのが効率的です。
なお、2022年4月より、一定規模以上のリノベーション工事(解体・改修)を行う際は、アスベスト(石綿)の事前調査と労働基準監督署等への報告が義務付けられています。
断熱改修で壁を解体する場合、この調査費用(数万円〜)が別途発生する点に注意しましょう。
〈関連コラム〉
マンションでできる断熱リフォームの内容と費用相場|工事前に確認すべきポイントと補助金制度の種類
このように、マンションの断熱リノベーションは、一度内装を解体して復旧するまでの費用もかかるため、一概に相場を出すのは難しいです。
なるべくマンションの施工実績が豊富で、断熱リノベーションも含めた提案を得意とするプロに相談して正確な見積もりを出してもらいましょう。
SHUKEN Reは、マンションの断熱性能のアップも含めたリノベーション計画から施工までワンストップでお手伝いする専門店です。
これまで多くのマンションリノベーションを手掛けた実績をもとに、物件の状態に合わせた断熱方法と暮らしやすいプランをご提案しています。
ぜひお気軽にご相談ください。
■物件探し・内見でマンションの断熱性能を見極めるチェックポイント

マイホームとしてこれから中古マンションを購入する際は、立地や内装だけでなく断熱性能をチェックすることが大切です。
物件探しや内見の際にチェックすべきポイントをピックアップしました。
|
チェック項目 |
見極めのポイント |
断熱性能への影響 |
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① 窓の仕様 |
単板ガラスか、ペアガラスか? |
住まいの熱の多くは窓から逃げます。単板ガラスの断熱性は低く、リノベでの対策が必須です。 |
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② サッシの状態 |
アルミサッシに結露の跡はないか? |
サッシの隅に黒カビや腐食跡がある場合、日常的に激しい結露が発生している「断熱不足」のサインです。 |
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③ 北側の部屋 |
壁紙の浮きやカビ臭さはないか? |
日当たりが悪く冷え込みやすい北側の個室やクローゼット内は、断熱材の有無や厚みが結露やカビとなって現れることが多いです。 |
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④ 境界(角・上下) |
角部屋や最上階・1階ではないか? |
外気に触れる面が多い部屋は、中間に挟まれた部屋よりも、断熱対策の箇所が増える可能性が高いです。 |
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⑤ 売主へのヒアリング |
冬の光熱費やエアコンの使用状況は? |
「冬の電気代が異常に高い」「暖房の設定温度を上げても寒い」という場合は、断熱性能が低い可能性が高いです。 |
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⑥ 設計図書の確認 |
断熱材の種類と厚みは? |
不動産会社を通じて設計図書を確認し、「断熱材の厚み」や「過去の断熱改修履歴」をチェックできれば状態が分かります。 |
上記のようなポイントをチェックしてマンションの断熱性能が分かれば、リノベーション費用を正確に把握しやすくなります。
また、窓や壁などがすでに断熱リノベーションされている物件なら、さらに費用を抑えることが可能です。
ただし、リノベーションでは断熱性能だけでなく、暮らしやすい間取りや理想のデザインを実現できるかという視点での物件チェックも求められます。
リノベーション前提で中古マンションを探す場合は、なるべく施工実績が豊富なプロに物件をチェックしてもらうのが成功のポイントです。
マンションの構造やリノベーションに詳しいプロなら、物件の状態を詳しくチェックして最適なプランや見積もりをつくることができます。
SHUKEN Reは、リノベーション専門店として、マンション選びから施工までトータルサポートいたします。
これから中古マンションを探す方はもちろん、検討中の物件についてのご相談やアドバイスも可能です。
ぜひお気軽にご相談ください。
■マンションの断熱性能に関するよくある質問

最後に、東京・千葉・神奈川エリアで約25年にわたり8,000件超のリノベーション設計・施工実績があるSHUKEN Reが、マンションの断熱性能についてよくいただくご質問にお答えします。
■まとめ|中古マンションは断熱リノベーションが重要
2025年4月から省エネ基準への適合が義務化されたことで、新築だけでなく、中古マンション選びでも断熱性能の重要性が高まっています。
光熱費を抑えて快適に暮らせるマイホームを手に入れるためにも、物件選びや断熱リノベーションで対策をしましょう。
SHUKEN Reは、中古マンション選びから間取りづくり、断熱リノベーションまで含めてトータルサポートが可能な専門店です。
ご自宅の断熱リノベーションはもちろん、これから中古マンションを購入予定の方も、ぜひお気軽にご相談ください。
Q 住みながら断熱リノベーションできる?
工事の種類によっては仮住まいが必要です
窓ガラスの交換や内窓設置などの部分的な断熱リノベーションなら、マンションに住みながら工事をすることは可能です。
ただし、床・壁・天井を含めた全体の断熱リノベーションの場合、基本的には仮住まいが必要になります。
こちらのコラムで仮住まいの探し方について解説していますので、参考にしてみてください。
〈関連コラム〉
全面リフォーム・リノベは仮住まいでスムーズに|探し方のポイントも解説
Q マンション全体の断熱改修(外断熱化)を待つべき?
専有部(室内側)での対策を優先するのが現実的です。
マンション全体の外断熱改修は理想的ですが、多額の修繕積立金が必要になるため、管理組合での合意形成が難しく、実現までに時間がかかるケースが珍しくありません。
今の寒さをすぐに解消して快適な住環境を手に入れるなら、個人でリフォーム可能な専有部分(内窓の設置や内断熱施工)での対策をおすすめします。
特にリノベーション前提で中古マンションを購入する場合は、同時に断熱材を入れることで無駄な費用を抑えることができます。
Q 断熱リノベーションに補助金は使える?
国や自治体の補助金制度を使えるケースが多いです。
国や自治体は住宅の省エネ化を推進しているため、マンションの断熱リノベーションは補助金の対象になりやすいです。
先進的窓リノベ事業やみらいエコ住宅事業など、窓の断熱改修や内断熱で使える国の補助金制度は多いです。
また、自治体によって独自の補助金制度があり、断熱リノベーションに使えるケースもあります。
こちらのコラムでリノベーションで使える補助金制度を詳しく紹介しています。
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