公開日:2025-10-19 更新日:2025-10-21
ビルの建て替え・リノベーションに使える補助金情報まとめ|活用のポイントも解説
築年数が経って入居率や収益性が低下したビルは建て替えやリノベーションを検討するのが一般的ですが、まとまった費用がかかる点が大きなハードルになります。
そこで検討したいのが、ビルの建て替えやリノベーションで使える補助金制度。
ビルを対象とした補助金制度は複数あり、うまく活用すれば費用を抑えて建て替えやリノベーションで収益性や資産価値を向上させることができます。
この記事では、ビルの建て替えやリノベーションで使える補助金制度をピックアップし、対象要件や補助額について詳しく解説します。
スケジュールや採択率など、ビルの補助金活用で抑えるべきポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- ・補助金を活用することで、建て替えやリノベーションの費用を抑えつつ、資産価値や収益性を高められるのが大きなメリットです。
- ・ビルを対象とした補助金制度は複数あり、要件や補助額などが変わります。
- ・補助金は必ず採択されるわけではないため、採択率や補助額などのバランスを考えることが重要です。
目次
■ビルの建て替え・リノベーションは補助金活用を検討しよう
築年数が経ったビルの建て替えやリノベーションでは、国や自治体の補助金制度を活用するのがおすすめです。
※補助金を活用するメリット
- ・費用負担を軽減できる
- ・耐震改修や断熱改修でビルの資産価値向上
- ・補助金活用によるブランディングにつながる
ビルの建て替えやリノベーションを対象とした制度は補助額が大きいものが多く、基本的に返済の必要がないため費用負担を軽減できるのがメリットです。
また、ビル系の補助金は耐震改修や断熱改修が要件になっていることが多く、費用を抑えつつ資産価値を高められるのも魅力的なポイントです。
補助金を活用した事業をアピールすることで、物件や企業としてのブランディングにつながるのも意外なメリット。
実際にビルの建て替えやリノベーションを対象とした補助金制度は複数あるため、工事の規模や予算に合わせて選ぶことも可能です。
■ビルの建て替え・リノベーションに使える補助金制度
実際にビルの建て替えやリノベーションに使える、国や自治体の補助金制度をご紹介します。
2025年9月時点で公募が終了しているものもありますが、次年度に継続するケースもあるので参考にしてみてください。
中小企新業事業進出補助金(経済産業省)
中小企業新事業進出補助金は、「事業再構築補助金」の後継制度として2025年からスタートした制度です。
中小企業の新規事業への進出を支援するのが目的で、ビルの建て替えやリノベーションどちらにも活用できる可能性があります。
活用範囲 |
・新築orリノベーション |
主な基本要件 |
・資本金または常勤従業員数が一定以下である会社または個人であること ・新事業進出指針に示す「新事業進出」の定義に該当する事業であること ・補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、付加価値額の年平均成長率が4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定すること ・補助事業終了後3~5年の事業計画期間において、一定水準以上の賃上げを行うこと |
補助対象経費 |
・機械装置/システム構築費/建物費/運搬費/技術導入費/知的財産権等関連費/外注費/専門家経費/クラウドサービス利用費/広告宣伝・販売 促進費 |
補助率・上限 |
・補助率:対象経費の1/2 ・上限:従業員数で変動 従業員数20人以下 2,500万円 従業員数21~50人 4,000万円 従業員数51~100人 5,500万円 従業員数101人以上 7,000万円 ※一定の条件で上乗せあり |
公募期間 |
・2025年9月12日(金)~2025年12月19日(金) |
参照:中小企業新事業進出補助金
ただビルを建て替えたりリノベーションしたりするのではなく、新規分野に進出することが補助金の基本要件です。
対象経費は建物費だけでなく、新規事業に必要な設備やシステムの導入、広告宣伝まで含まれるのが特徴。
周辺環境の変化によってビルの入居率や収益性が低下している場合、新たな事業展開のために活用するのがおすすめです。
中小企業成長加速化補助金(経済産業省)
中小企業成長加速化補助金は、売上高100億円を目指す企業を対象とした制度で、新築・リノベーション両方に活用できる可能性があります。
活用範囲 |
・新築orリノベーション |
主な基本要件 |
・売上高100億円を目指す成長計画を立て100億宣言をすること ・売上高10億円以上100億円未満 ・1億円以上の投資をすること ・一定の賃上げ要件を満たす5年程度の事業計画を策定すること |
補助対象経費 |
・建物費(新築・改修)/設計費/外注費/機械装置費/ソフトウェア費/専門家経費 |
補助率・上限 |
・補助率:1/2以内 ・上限:5億円 |
公募期間 |
・第1回公募:2025年3月17日(月)~2025年6月9日(月) ※第2回はスケジュールが確定次第公表 |
参照:100億企業成長ポータル
基本要件は売上高100億円超を目指し、1億円以上の設備投資をすることです。
補助上限が5億円と大きいため、オフィスビルやテナントビルなどのフルリニューアルで事業や売上高の拡大を目指す場合に向いている制度です。
ZEB実証事業(環境省)
ZEB実証事業は、ビルの建て替え・リノベーションどちらにも使える補助金制度です。
建物全体のエネルギー収支をゼロにする「Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」化を図ることを目的としています。
活用範囲 |
・新築orリノベーション |
主な基本要件 |
・新築:延床面積10,000㎡以上 ・既存建築物:延床面積2,000㎡以上 ・高性能建材や設備機器の導入によりZEB化を図ること |
補助対象経費 |
・設計費/設備費/工事費 |
補助率・上限 |
・補助率:2/3以内 ・上限:5億円/年 |
公募期間 |
・二次公募:2025年9月5日(金)~2025年9月26日(金) |
参照:令和7年度 ネット・ゼロ・エネルギー・ビル(ZEB)実証事業
補助対象経費は設計費・設備費・工事費と幅広く、上限も1年あたり5億円、複数年度事業の場合は10億円と高額です。
建て替え・リノベーションどちらも最低延床面積が設定されているため、規模が大きいビルのフルリニューアルに向いています。
既存建築物省エネ化推進事業(国土交通省)
既存建築物省エネ化推進事業は、ビルのリノベーションに使える補助金制度です。
活用範囲 |
・リノベーションのみ |
主な基本要件 |
・既存のオフィスビル等の建築物の躯体(外皮)や建築設備の省エネルギー改修・バリアフリー改修 |
補助対象経費 |
・省エネルギー改修工事に要する費用 ・エネルギー使用量の計測等に要する費用 ・バリアフリー改修工事に要する費用(省エネルギー改修工事と併せて行う場合に限る) |
補助率・上限 |
・補助率:1/3 ・上限:5,000万円/件 (設備改修に係る補助限度額は2,500万円まで) |
公募期間 |
・2025年4月18日(金)~ 2025年5月23日(金) |
既存のオフィスビルや商業ビルなどの省エネルギー改修が基本要件となり、躯体(外皮)の断熱性能向上や省エネ設備の導入が対象です。
築年数が古いビルのリノベーションと同時に断熱改修を行い、入居率アップや運営コストの削減を狙いたい場合に向いています。
高機能オフィスビル建築促進事業(千葉県千葉市)
最後に、自治体独自の補助金制度の例として、千葉市の高機能オフィスビル建築促進事業をご紹介します。
高機能オフィスビル建築促進事業は、千葉駅・海浜幕張駅・蘇我駅周辺の特定エリア内でのオフィスビル建て替えに活用できます。
活用範囲 |
建て替えのみ |
主な基本要件 |
・対象地区内でオフィスビルを新築または建て替えすること ・オフィスとして賃貸する床面積が5,000~20,000㎡以上であること(建て替え地区によって変動) ・環境負荷を軽減する措置や高機能オフィスの設備整備を行うこと |
補助対象経費 |
家屋・償却資産の固定資産税課税標準額(オフィス床分÷全体床面積) |
補助率・上限 |
・補助率:10~20% ・上限:10~20億円 |
対象期間 |
・2023年4月1日から2028年3月31日までの間に工事契約を締結 |
オフィスとして賃貸する部分の床面積の基準や補助額が大きいため、大規模なビルの建て替えに向いている制度です。
このように、自治体独自の補助金制度をビルの建て替えやリノベーションに活用できるケースもあるため、計画時に探してみましょう。
■ビル建て替え・リノベーションの補助金活用のポイント
実際に補助金を活用してビルの建て替えやリノベーションをする際は、次のポイントを押さえて計画を進めましょう。
目的や工事内容に合わせて制度を選ぶ
まずはビルを建て替え・リノベーションする目的を明確にして、工事内容にマッチする補助金制度を選びましょう。
先ほどご紹介したように、ビルを対象とする補助金制度は複数あり、要件やスケジュールなどが変わります。
また、老朽化したビルの単なる建て替えやリノベーションだと、要件を満たせず利用できない補助金制度などもあります。
補助金を使うために余計な工事をするのは本末転倒ですから、まずは今のビルで解決したい課題を明確にして、建て替えやリノベーション計画と制度探しを同時に進めるのがポイントです。
補助額と採択率のバランスを考える
補助金は必ず受け取れるわけではないため、補助額と採択率のバランスを考えて制度を選ぶことも大切です。
補助額が大きく使い勝手の良い制度は人気が高く、採択率が低い傾向があります。
また、補助額が大きいほど要件のハードルが高いことが多く、事業計画を立てるのにも手間や時間がかかります。
補助金で費用負担を軽減できるのは大きなメリットですが、準備に時間をかけても採択されない可能性もあるのです。
以上のことも踏まえて、補助額や採択率のバランスも考慮したうえで、どの制度を活用するのか検討しましょう。
綿密な事業計画と資金計画を立てる
ビルの建て替えやリノベーションで補助金を使うためには、なるべく早い段階から綿密な事業計画や資金計画を立てるのも重要なポイントです。
補助金の審査では事業の確実性などがチェックされるため、事業計画の精度は採択率を左右します。
また、補助金は基本的に工事完了後に支給されるため、いったん費用全額を用意する必要があります。
ビルの建て替えやリノベーションでは事業計画や資金計画が必須ですが、補助金を使う場合はさらに綿密な計画を立てましょう。
■ビル建て替え・リノベーションの補助金に関するQ&A
補助金を活用してビルの建て替えやリノベーションをする際、よくある質問をまとめました。
Q.ビルは建て替えとリノベーションどちらが良い?
A.築年数や予算など状況によって異なります
補助金を活用したビルの建て替え・リノベーションどちらが良いかは、状況によって異なります。
一般的には建て替えよりリノベーションの方が費用を抑えられますが、極端に築年数が古い場合や建物が劣化している場合は建て替えの方が向いていることもあります。
また、建て替えとリノベーションで使える補助金も異なるため、かかる費用や目的とのバランスを取ることも重要です。
こちらのコラムでビルの建て替えとリノベーションについて比較していますので、参考にしてください。
〈関連コラム〉
ビルの建て替え年数はどれくらい?耐用年数を過ぎたビルの建て替え・リノベーション費用相場
Q.ビルの建て替えやリノベーションの補助金の申請は誰がやる?
A.施工会社にサポートしてもらうのが一般的です
ビルの建て替えやリノベーションの補助金申請は、お施主様ご自身だけでなく施工会社と連携・サポートしてもらうのが一般的です。
要件を満たすプラン内容の作成、期限に間に合わせるためのスケジュール調整など、さまざまな面でお施主様と施工会社の連携が必要となります。
なるべくビルの施工実績が豊富な会社に相談し、補助金を使いたい旨を早めに伝えて連携を取りながら進めましょう。
■まとめ
ビルの建て替えやリノベーションでは、国や自治体の補助金を活用して費用負担を軽減できる可能性があります。
建て替え・リノベーションどちらも使える補助金制度が複数ありますので、いろいろな要素を踏まえて検討してみましょう。
また、実際にビルの施工実績が豊富な会社に相談し、適切なサポートを受けることも大切です。
SHUKEN Reは、東京・千葉・神奈川の首都圏を中心に、ビルの一棟リノベーションをお手伝いする施工会社です。
補助金の要件を満たすためのプラン内容の作成から、実際の施工までトータルサポートいたします。
ぜひお気軽にご相談ください。