公開日:2025-05-25
倉庫リノベーションでオフィスをつくるメリット|デメリットや注意点、費用相場も解説
最近、使われなくなった空き倉庫をリノベーションして、企業のオフィスとして活用する事例が増えています。
一般的な事務所や住居より広く天井が高い倉庫は、間取りやデザインの自由度が高く、オリジナリティのあるオフィスをつくれるのがメリットです。
しかし、倉庫は元々居住スペースとして設計されていないため、リノベーションの際に注意すべきポイントもあります。
そこでこの記事では、倉庫リノベーションのメリット・デメリット、注意すべきポイントや対策、費用相場などを詳しく解説します。
・倉庫リノベーションはオリジナリティのあるデザインをつくれるのが魅力で、オフィス・住居・店舗などさまざまな用途で活用されています。
・高い天井や壁のない大空間で、開放感のあるオフィスをつくれるのも倉庫リノベーションのメリットです。
・倉庫は事務所として設計されていないため、インフラ整備や窓の設置などの費用がかかるのがデメリットです。
目次
■倉庫リノベーションが人気?
最近は環境負荷軽減の観点から1つの建物を長く使うことが求められており、使われなくなった店舗や倉庫をリノベーションして活用するケースが増えています。
※倉庫リノベーションの用途例
- 住宅
- 飲食店やカフェ
- アパレルショップや小売店など
- オフィス
倉庫リノベーションの用途は幅広く、住宅や飲食店・小売店などの店舗、オフィスなど多岐にわたって活用されています。
元々品物や機材などを保管するためにつくられた倉庫は、一戸建てやマンション、商業ビルなどと構造が違うため、オリジナリティのある住居や店舗、オフィスをつくれるのが特徴です。
一味違ったおしゃれな店舗やオフィスをつくりたい方は、ぜひ倉庫リノベーションを検討してみてください。
■倉庫リノベーションでオフィスをつくるメリット
倉庫をリノベーションしてオフィスをつくる場合、どんなメリットがあるのか1つずつチェックしていきましょう。
間取りの自由度が高い
倉庫は一般的な住宅や事務所より柱や壁が少ない構造になっていることが多く、間取りの自由度が高いため、リノベーションで理想のオフィスをつくりやすいのがメリットです。
マンションやビルの一室をオフィスにリノベーションする場合、建物を支える壁や柱が移動できず理想の間取りを実現できないことも少なくありません。
一方、柱や壁が少ない倉庫は、大人数で仕事や打ち合わせができる大空間など、一般的なオフィスでは難しい間取りをつくることも可能です。
もちろん、間仕切り壁を追加して個室をつくるなど、事業規模やワークスタイルに合わせた間取りづくりもできます。
高い天井による開放感
倉庫は一般的な住宅やビルより天井が高いことが多く、開放感のあるオフィスをつくれるのも魅力的なポイントです。
建築基準法では居室の天井高は2.1メートル以上と定められていて、2.4~2.7メートル程度で作られていることが多いです。
一方、倉庫は5~6メートルと2倍以上の天井高が一般的で、かなり開放的な空間をつくることができます。
天井が高く開放的な空間を活かしたオフィスをリノベーションでつくれば、業務効率の向上や会社のイメージアップなどの効果も期待できます。
構造を活かしたオリジナリティのあるデザイン
倉庫の構造を活かし、リノベーションでオリジナリティのあるオフィスデザインをつくりやすいのもメリットです。
鉄骨造が多い倉庫は、柱や天井などの構造物をあえて露出させて、近年流行のインダストリアルな内装デザインをつくりやすいです。
〈関連コラム〉
インダストリアルをマンションリノベーションに!8つポイントと事例写真を紹介
また、物資の出入りのために大きな開口部が設けられていることが多く、オフィスに自然光を取り入れたり、外から内装が良く見えるようにしたりすることも可能です。
外観も、シャッターや屋根形状を活かすなど、倉庫ならではのおしゃれなデザインをつくることができます。
業態に合わせてレイアウトをアレンジしやすい
延床面積に余裕がある倉庫なら、リノベーションで業態に合わせたオフィスレイアウトをつくりやすいのもメリットです。
例えば、オフィスとショールームを併設したり、試作品などを製作する工房を直結させたり、一般的なビルや賃貸物件だと難しいレイアウトも倉庫なら実現しやすいです。
最近は、オフィスにカフェや飲食店などを併設して顧客と直接接点をつくり、認知度を高める企業も増えています。
物件購入費用を抑えやすい
中古の倉庫は新築物件やビルと比較すると物件価格が安い傾向があり、購入費用を抑えられるのも魅力的なポイントです。
立地や規模にもよりますが、オフィスづくりにちょうど良い小規模な倉庫なら、新築や区分オフィス購入より費用を抑えられる可能性が高いです。
環境負荷軽減につながる
空き倉庫をオフィスにリノベーションすることで環境負荷の軽減になり、SDGs活動として企業のイメージアップにつながるのもメリットです。
近年は利益を追求するだけでなく、社会的責任の一環として環境保護をはじめとする持続可能な社会づくりへの取り組みが企業にも求められています。
倉庫をリノベーションしたオフィスを構えることで、取引先に対し好印象を与えることができ、採用面にも有利に働く可能性があります。
■倉庫リノベーションでオフィスをつくるデメリット
さまざまなメリットがある反面、倉庫をオフィスにリノベーションするためにはクリアすべきポイントやデメリットもあります。
対策は次の章で解説しますので、ここではまずどんなデメリットがあるのか把握しておきましょう。
インフラ整備の費用がかかる
倉庫は居住目的でつくられていないため、電気・水道・ガスといったインフラが引き込まれていないことが多く、新設するための費用がかかるのがデメリットです。
例えば、倉庫内にトイレを新設する場合、新たに水道管を引き込むための工事費がかかります。
元々住居や事務所としての利用を想定されていない倉庫の場合、水道やガスの本管までの距離が遠く、引き込み費用が多めにかかる可能性もあります。
建物自体の断熱性や防音性が低い
製品や機械などを保管する目的の倉庫は、断熱性や防音性について考えられていない点も注意すべきデメリットです。
倉庫をそのままオフィス化すると、快適性が低く光熱費が余計にかかり、周囲の音で業務に集中できない可能性が高いです。
窓や開口部が少ない
倉庫は事務所や住居としての要件を満たしていないため、窓や開口部が少なく、そのままオフィス化すると閉塞感を覚える可能性もあります。
窓が少ないと室内が暗くなり、実際の床面積より狭く見えるためオフィスの快適性や効率が低下するリスクが考えられます。
窓や出入り口はリノベーションで追加することも可能ですが、その分費用がかかるのはデメリットです。
立地条件が良い物件が少ない
倉庫は郊外など広い敷地や床面積を確保しやすい場所に建っていることが多く、立地が良い物件を見つけにくいにもデメリットの1つです。
周囲に高い建物が少なく広々とした郊外の環境はメリットですが、電車やバスなど公共交通機関でのアクセス性は低いケースが多いです。
用途変更が必要なケースもある
倉庫をリノベーションでオフィスにつくり変える場合、条件によっては用途変更が必要になることもあります。
- 特殊建築物に変更する
- 延床面積が200㎡を超える
具体的には、上記の2点に当てはまる場合は用途変更が必要です。
特殊建築物とは不特定多数の人が利用する建物のことで、飲食店や店舗、宿泊施設などが当てはまります。
単純なオフィスへのリノベーションなら用途変更は不要ですが、カフェや店舗などを併設する場合は、規模によって用途変更が必要となり費用が発生します。
コンパクトオフィスには対応しにくい
中古の倉庫はある程度延床面積が広い物件が多いため、コンパクトなオフィスはつくりにくい点もデメリットの1つです。
個人事業や小人数のオフィスをつくる場合、倉庫だとちょうど良い広さの物件が見つからない可能性があります。
住居や店舗を兼ねるなら広めのスペースがマッチすることもありますが、コンパクトなオフィスのみつくる場合はほかの選択肢も検討してみましょう。
■倉庫⇒オフィスリノベーションの失敗を避けるポイント
前述したデメリットに対策し、倉庫⇒オフィスリノベーションの失敗を避けるためのポイントは大きく分けると次の2つです。
物件探しの段階からリノベーションのプロに相談する
倉庫からオフィスへのリノベーションで失敗を避けるためには、物件を契約する前にプロに相談することが大切です。
前述したように、インフラ整備や窓の追加・変更など、倉庫リノベーションでは一般的な建物とは異なる工事が必要なケースが多いです。
物件を先に決めてしまうと、建物の構造で理想のオフィスをつくれなかったり、思ったより費用がかかり予算オーバーしたりするリスクがあります。
物件探しの段階でリノベーションのプロに相談することで、このようなリスクを回避できます。
予算内で理想のオフィスをつくるために、物件を購入する前にプロに相談してリノベーションプランづくりも同時進行しましょう。
デザインだけでなく性能や快適性にもこだわる
倉庫をオフィスにリノベーションする際は、おしゃれなデザイン性だけでなく、実際に働くことを考えて性能や快適性にもこだわりましょう。
内装や外観のデザインだけでリノベーションを進めてしまうと、冬の底冷えや夏の暑さで快適に仕事に取り組めない可能性があります。
オフィス全体に断熱材を入れたり、ペアガラスやトリプルガラスなどを選んだり、快適な環境づくりにもコストをかけることが大切です。
また、倉庫の天井高を活かした開放的なオフィスをつくる場合は、シーリングファンを導入するなど冷暖房効率にもこだわりましょう。
■倉庫⇒オフィスリノベーションの費用相場は?
倉庫をオフィスにリノベーションする場合の費用相場は、工事内容によって変動します。
一般住宅のリノベーションは1㎡あたり15~20万円前後と言われています。
仮に100㎡の倉庫をオフィスにフルリノベーションする場合、1,500~2,000万円が相場ということですね。
ただし、倉庫をオフィスに変える場合はもう少し費用がかかる可能性が高いです。
電気・ガス・水道などのインフラ整備、窓の追加、断熱改修など、オフィスとして使えるようにするための追加費用がかかるためです。
また、コンクリートの床をそのまま活かす場合と、新たに床を組む場合では、必要な材料や工事費も変わってきます。
実際の費用は建物の状態やリノベーション内容によって大きく変動しますので、プロに相談して正確な金額を見積もりしてもらいましょう。
■倉庫⇒オフィスリノベーションの参考になる施工事例
最後に、倉庫リノベーションでオフィスをつくる際の参考になる施工事例をご紹介します。
こちらは社員寮のリノベーション施工事例ですが、現代的なオフィスづくりの工夫がたくさんあり参考になります。
1つの大空間に打ち合わせに使える大きなデスクを設置し、フリーアドレス制にも対応できる現代的なオフィスレイアウトです。
延床面積が広い物件が多い倉庫なら、このような開放的なオフィスレイアウトもつくりやすいですね。
WEB会議や集中したい作業に活用できる個室ブースも設置し、さまざまな働き方に対応できるようになっています。
オフィスと併設して、従業員がリフレッシュできるスペースも設けています。
■倉庫リノベーションのDIYは可能?
最近は建築資材や工具が入手しやすくなったこともあり、倉庫をDIYでリノベーションする方も増えているようです。
結論からお伝えすると、倉庫を本格的なオフィスにつくり変える場合は、DIYは基本的におすすめできません。
DIYは費用を抑えられるイメージが強いですが、建物を丸ごとリノベーションするには多くの工具が必要になり、一式そろえるだけでも費用がかかります。
また、一般の方によるDIYは多くの時間がかかるため、ご自身や従業員の方の人件費を考えるとあまり安くならない可能性もあります。
電気配線や水道工事など、一般の方ではDIYできない部分もあり、無許可で作業すると漏電や漏水など重大なトラブルになるリスクも高いです。
DIYが得意で既に工具をお持ちの方や、作業自体を楽しみたい場合はありですが、基本的にはプロにリノベーションを依頼しましょう。
■まとめ
開放感やデザイン性にこだわり、オリジナリティがあるオフィス空間を求める方には、倉庫リノベーションがおすすめです。
ただし、倉庫は元々事務所として設計されていないため、リノベーション時の注意点やデメリットもあります。
物件探しの段階からリノベーションのプロに相談して、理想のオフィスづくりにピッタリな倉庫やプランを見つけましょう。
SHUKEN Reは、多くの住宅改修で培ったノウハウを活かし、倉庫リノベーションやオフィスづくりをサポートする専門店です。
建物まるごとの一棟リノベーションも得意としていますので、倉庫の構造を活かしたおしゃれなオフィスづくりもお気軽にご相談ください。