公開日:2025-02-26
タワマン一棟買いは不動産投資としてあり?メリット・デメリットと価格相場を紹介
近年、東京都を中心とした首都圏では不動産価格の上昇が続き、投資の選択肢としてタワーマンション人気が高まっています。
タワーマンションは近隣の不動産相場より資産価値が高く、賃貸経営による家賃収入や売却益が期待できるのが人気のポイント。
すでに不動産投資である程度の資産を築いている投資家の中には、区分購入ではなくタワーマンション一棟買いを検討している方も居るようです。
そこで今回は、タワマン一棟買い投資のメリット・デメリット、具体的な購入方法や価格相場について詳しく解説します。
・高額な初期費用や災害時のリスクなど、タワマン一棟買い投資で注意すべきデメリットも把握しておきましょう。
・タワマン一棟買いは中古では難しく自らが建築主となり新築する方法が考えられ、建築費用と土地取得費用で数十億円~の初期費用がかかります。
・一棟まるごと新築の初期費用を調達するのが難しい場合は、「中古タワマン区分購入+リノベーション」や「一般的なマンションの一棟買い」もおすすめです。
■タワーマンション投資とは?
具体的にタワマン一棟買い投資について掘り下げる前に、一般的な区分マンションとの違いを把握しておきましょう。
タワーマンションと区分マンション投資の違い
タワーマンションについて明確な基準はなく、一般的には20階以上の物件を指すことが多いです。
建築基準法では高さ60mを超える建物のことを「超高層建築物」として規定しており、20階相当のマンションがこれに該当するため、タワーマンションと呼ばれるようになったのです。
タワーマンション | 区分マンション | |
階数 | 20階以上 | 物件による |
立地 | 好条件な物件が多い | 駅前から郊外まで幅広い |
セキュリティや設備 | 充実している | 物件による |
価格帯 | 相場より高め | 立地環境による |
入居者の属性 | 富裕層や著名人など | ファミリーや単身者など幅広い |
タワーマンションと区分マンションには、上記のような違いがあります。
眺望が良く設備が充実していることが多いタワーマンションは、居住・所有すること自体がステータスになり、一般的な区分マンションより販売価格や家賃相場が高いのが特徴です。
一般的なファミリー向けから高所得層向けまでターゲットが幅広い区分マンションと比べて、タワーマンションの高層階は富裕層や著名人といった資産に余裕がある方が主な購買層になります。
タワマン投資が注目を集めている理由
都心部を中心に、タワーマンションは投資物件として人気が高まっています。
近年増えているのは、駅前の再開発計画の一部としてタワーマンションが建設されるケースです。
利用者数が多いターミナル駅周辺はもともとタワーマンションの建築が多い傾向にありました。
しかし、最近は古い住宅地や商店街などが広がる駅前の再開発計画に合わせて街づくりの一環としてタワーマンションを建設し、地域全体を活性化するケースが目立っています。
エリア全体の再開発によって駅の利用者数が増え、タワーマンションの資産価値も高まる相乗効果が期待でき、投資物件として人気が高まっているのです。
また、1980~90年代に建てられたタワーマンションは築30~40年を迎えており、リノベーションによって資産価値を高める動きも見られます。
■タワマン投資のメリット
一般的な区分マンション投資に比べて、タワーマンション投資には数々のメリットがあります。
希少価値があり需要が高い
タワーマンションは建設できる場所が限られているため希少価値が高く、賃貸や売買の需要が期待できるのがメリットです。
区分マンションより競合物件が少ないため検討者の目に留まりやすく、相場より高い家賃収入や入居率が期待できます。
資産価値が下がりにくい
タワーマンションは区分マンションと比較して資産価値が下がりにくく、年数が経っても安定した家賃収入や売却益が期待できるのも大きなメリットです。
前述したようにタワーマンションは供給量が限られているため、競合物件の林立によって資産価値が大きく低下するリスクが少ないです。
また、立地が良い場所に建てられており、高層階からの眺望やステータスなどのプレミアが付いているため、築年数が経っても資産価値が低下しにくい傾向があります。
例えば、1988年の豊洲駅開業をきっかけに、1990年代からタワーマンションが数多く建てられた豊洲エリアは、当時の物件が築30~40年を迎えています。
しかし、エリア全体の地価が上昇したことにくわえ、タワーマンション自体の資産価値が低下しにくいことから、当時より資産価値が高まっているケースも多いです。
売却益(キャピタルゲイン)が期待できる
資産価値が低下しにくいタワーマンションは売却損が発生しにくく、区分マンションより大きな収益が期待できるのもメリットの1つです。
一般的な区分マンションは、資産価値の低下を見越して家賃収入(インカムゲイン)と売却益(キャピタルゲイン)のバランスを取り、売却タイミングを慎重に検討する必要があります。
タワーマンションは築年数による資産価値の低下がゆるやかなため、経営状況に合わせて現金化するなど選択肢が広がります。
■タワマン投資のデメリット
大きな収益が期待できる一方、タワマン投資には次のようなデメリットもあるため注意が必要です。
初期費用が高額
前述したようにタワーマンションは相場より価格が高く、投資の初期費用は区分マンションより多めにかかります。
一戸あたりの価格が相場より高く、一棟買いの場合はさらに価格差が大きくなるため、初期費用のハードルとリスクも高くなります。
タワマン一棟買いの費用相場は次の章で解説していますので、そちらも参考にしてください。
維持管理費も高い
タワーマンションは、一般的な区分マンションより管理費用や修繕積立金が高くなる傾向があります。
高層階の維持管理には特別な技術や設備が必要なため、通常のコストに上乗せされて費用負担が大きくなります。
災害時に被害を受けるリスクがある
タワーマンションは地震や台風などの災害時に被害を受けやすいというリスクがあり、対策を考えなければならない点もデメリットの1つです。
2019年の台風19号では、東京都武蔵小杉のタワーマンションに多摩川の水が逆流し、エレベーターや電気・上下水道が使えなくなるなど大きな被害をもたらし話題になりました。
仮に災害によってタワーマンションに大きな被害が発生した場合、資産価値の低下や修繕費用の発生といったリスクが考えられます。
災害による被害を軽減するためには、ハザードマップを確認して災害リスクが高いエリアのタワマンを避けることが大切です。
ハザードマップポータルサイトや自治体の情報などをチェックし、災害リスクが高い場所のタワマン購入は控えるようにしましょう。
入居者が決まるまで時間がかかりやすい
タワーマンションは高級感がある反面、家賃も高額になるため、入居者が決まるまで時間がかかる傾向があるのもデメリットです。
空室期間が長引くと、その間の収入が途絶えるため、資金繰りが悪化するリスクが考えられます。
後述するタワマン一棟買いなら多くの戸数を保有できるため、空室リスクを分散するのに効果的です。
■タワマン一棟買いする方法と価格相場は?
タワマン投資は前述したように賃貸物件としての家賃収入と売却益が期待でき、さらに収益性を高めるために一棟買いを検討する投資家もいます。
しかし、タワーマンションは大手デベロッパーが建設・分譲するケースが一般的で、中古物件を一棟買いすることは基本的に不可能です。
タワマン一棟投資の選択肢としては、自らが建築主として新築する方法が考えられます。
実際に20階建て、総戸数80戸のタワーマンションを新築する場合、どれくらいの費用がかかるのか相場を考えてみましょう。
2023年建築着工統計調査によると、鉄筋コンクリート造(RC造)の1㎡あたり工事費予定額は30万円です。
仮に1戸70㎡のファミリータイプの間取りで、ワンフロア4戸、総戸数80戸のタワーマンションを想定すると、70㎡×80戸で延床面積は5,600㎡です。
実際はロビーや廊下などの共用部も必要ですが、単純計算すると専有部分だけでも5,600㎡×30万円=16億8,000万円の建設費用がかかります。
共用部の面積やセキュリティなどを充実させることを考えると、20億円前後の建設費用がかかると考えられます。
さらに、前述したようにタワーマンションは好立地な駅前などに建てるのが一般的なため、土地取得費用も高額になる可能性が高いです。
土地取得費用は敷地面積やエリアによって大きく変動しますが、タワーマンションの新築に対応できる物件となると数十億円は必要になってくるでしょう。
また、タワマン建設は前述したように街づくりの一環として計画されることが多く、実際は多くの工程があり、実際に収益を生むまでは数年間の時間がかかります。
初期費用のリスクや時間のハードルを下げて収益を狙いたい場合は、次の章で紹介する中古タワマンの区分購入+リノベーションや、マンション一棟買いも検討してみましょう。
■タワマン区分所有orマンション一棟買いの選択肢も
タワーマンションの一棟買い(新築)は大きな収益が期待できるものの、前述したように数十億円~の初期費用と長い時間が必要となり投資のハードルは高めです。
初期費用を調達するのが難しい場合は、中古のタワーマンションを区分購入してリノベーションする、または一般的なマンションを一棟買いするのも1つの選択肢です。
タワマン中古購入+リノベーション
タワーマンションの高層階はプレミアが付いているため資産価値が低下しにくいものの、区分購入なら数千万円程度の中古物件も多数見つかります。
築年数がある程度経っている狙い目の中古タワマンを購入し、フルリノベーションで新築同様に仕上げて付加価値を追加すれば、相場より高い家賃収入や売却益も十分期待できます。
マンションのフルリノベーション相場は1㎡あたり15~20万円で、70㎡のタワマンなら1,050~1,400万円が目安です。
マンションのフルリノベーション費用相場についてはこちらのコラムで詳しく解説しています。
〈関連コラム〉
マンションフルリノベーションの費用相場&事例|安くリノベするポイントも
仮に5,000万円の中古タワマンを区分購入して、フルリノベーションしても費用総額は6,000万円~と、一棟買いに比べるとかなりハードルは低くなります。
また、購入からフルリノベーション、入居者探しまでスムーズに進めれば、数か月で収益を生み出すことも不可能ではありません。
区分購入の場合分散投資できるため、災害の被害や空室リスクを軽減できるのもメリットです。
タワマン区分投資で実績と資産を積み重ねれば、一棟買いのハードルも低くなり、より大きな収益を狙いやすくなります。
マンション一棟買い
一般的な分譲マンションは、タワーマンションより一戸当たりの価格が低く、規模もさまざまなため、一棟買いの初期費用を抑えることができます。
一戸当たりの家賃収入はタワマンより少ないですが、戸数が多いマンションなら十分な収益を狙える可能性もあります。
戸数が多い方が空室時のリスクを分散でき、一棟買いなら土地の所有権があるため建て替えなどの選択肢が広がるのもメリットです。
予算内のマンションを一棟買いして経営が軌道に乗れば、レバレッジを効かせてタワマン投資へのステップアップも狙いやすいです。
こちらのコラムでマンション一棟買いのメリット・デメリットなどを詳しく解説しています。
〈関連コラム〉
マンション一棟買いのメリット・デメリット|区分投資とどっちが狙い目?
マンション一棟買いの失敗リスクと対策!空室・災害・利回り・金利などをチェックしよう
■まとめ
タワマン投資には区分マンション投資にはないさまざまなメリットがあり、不動産投資の選択肢として人気が高まっています。
初期費用のハードルは高めですが、より大きな収益を狙うならタワマン投資や一棟買いも検討してみましょう。
SHUKEN Reは、これまで培ってきた住宅改修のノウハウを活かし、タワマン投資におけるリノベーションをお手伝いしています。
物件探しから具体的なリノベーション計画のご提案、お見積もりや施工までワンストップでサポートいたしますので、どんなこともお気軽にご相談ください。