公開日:2024-12-25
二重窓(内窓)で後悔しやすいポイントと対策|最適なガラス・サッシや施工方法を選ぶコツ
このコラムでは、二重窓リフォームで後悔しやすいポイントと、失敗を防ぐための対策について解説します。
戸建てやマンションで、内窓(インナーサッシ)の設置を検討している方や、冬暖かく夏は涼しい、健康的で快適に暮らし続けられる家づくりをしたい方は参考にしてくださいね。
・二重窓リフォームで後悔を防ぐには、使い勝手や見た目がどう変わるかを事前にチェックし、期待する効果が得られる内窓製品や設置個所を適切に選択することがポイントです。
・二重窓の効果を正しく発揮させるためには、現在の住まい全体の断熱性能や防音性能を踏まえて、適切なリフォーム方法で正確に施工する技術も重要になります。
・現在の住まいの改善したい部分を施工会社に伝えて、最適な二重窓の設置方法や、補助金制度を有効活用できる断熱リフォーム方法を提案してもらうのがおすすめです。
■二重窓リフォームとはどんなもの?
マンションの二重窓リフォーム事例を見る:Case125「北欧ブルーのくつろぎ空間」
「二重窓」とは、今ある窓の内側にもう1枚窓を設置して、住まいの断熱性能や省エネ性能を向上させるリフォーム方法です。
二重サッシと呼ばれることもあります。
「内窓」や「インナーサッシ」は、二重窓の室内側の窓を指します。
1か所あたり数時間で設置でき、窓サッシ交換と比べて費用を抑えて窓の断熱性を高められるため、コストパフォーマンスの高い断熱リフォーム方法です。
また、既存の窓を壊さずに設置できるため、戸建てはもちろん、マンションでも施工しやすい点もメリット。
ちなみに「ペアガラス」とは、複層ガラスと呼ばれる二枚重なったガラスを使った窓のことです。
二重窓は、ガラスではなく窓・サッシ自体を二重にする方法のため、ペアガラスとは異なります。
■二重窓(内窓)の主な効果
マンションの二重窓リフォーム事例を見る:Case80「Dogs First」
内窓を設置して二重窓にするリフォームの主な効果・メリットは以下のようなものがあります。
断熱効果
二重窓によって外窓と内窓の間に空気の層を作ることで、夏の暑い外気や冬の冷たい外気が室内に伝わりにくくなり、高い断熱効果が発揮されます。
1年を通して室内の温度が変化しにくくなるため、快適な温熱環境を実現できます。
さらに、内窓を複層ガラスにすることで、空気の層がもう1層増えるためさらに断熱効果が高まります。
結露抑制効果
二重窓は、内窓の表面と室内の温度差が少なくなるため、結露の発生を抑制する効果もあります。
結露の発生が軽減されることで、サッシや周辺の床、壁の傷みや、カビの発生を防げます。
防音効果
二重窓によってできる空気の層は防音壁としても機能します。
内窓設置によって外の騒音が聞こえにくくなったり、中の音が外に漏れにくくなったりする効果が期待できます。
防犯対策
二重窓にすると、外窓と内窓で2ロックになり防犯性能が高まります。
また、窓が2つになることで侵入に時間がかかるため、泥棒に侵入を諦めさせる心理的効果も期待できます。
省エネ効果
二重窓によって夏場のエアコンで冷やした空気や冬の暖房で暖めた空気が外に逃げにくくなるため、冷暖房効率がアップし、省エネ、節電につながります。
二重窓にすることで光熱費削減効果はずっと続くため、長い目で見ればリフォーム代の元が取れることになります。
内窓リフォームに対する国や自治体の補助金・助成制度を活用できれば、さらにお得に住まいの快適性・省エネ性能をアップできます。
■二重窓(内窓)リフォームで後悔しやすいポイントと対策
戸建ての二重窓リフォーム事例を見る:Case181「Backyard」
二重窓リフォームで後悔しやすいポイントと対策方法をまとめます。
二重窓(内窓)のデメリットや選び方のポイントを知っておくことで失敗を防げますので参考にしてください。
①掃除・開閉の手間で後悔
二重窓は換気や出入りのために窓を2回開けなければならない点がデメリットです。
特に、掃き出し窓のような大きい窓で、厚みのあるガラスにすると窓全体がかなり重くなるため、開け閉めが大変になります。
また、二重窓はレールが2つになるのはもちろん、外窓と内窓の間隔によってはガラス面が掃除しにくくお手入れの手間が増える点も後悔しやすいポイントです。
特に既存の窓が古く気密性が低い場合、隙間風で二重窓の間のレールにススやホコリが溜まりやすく、掃除の頻度や手間が増えやすいので注意が必要です。
対策:使い勝手やお手入れ方法も考慮して選ぶ
開け閉めしにくい二重窓は、頻繁に使う場所ほど後悔しやすいため、効果と使い勝手のバランスが取れたものを選びましょう。
また、戸建てで既存の窓が古く、開閉や掃除の手間が気になる場合は、窓交換リフォーム(カバー工法やはつり工法によるサッシ交換)を検討するのも1つの方法です。
※マンションではサッシ交換は個人では原則できないため、適宜管理組合への確認が必要になります。
②デザインの後悔
二重窓は室内側に窓枠が増えるため、圧迫感を感じたり、部屋が狭くなったように感じたりするケースがあります。
また、窓枠の内側を利用して小物などを置いていた場合、二重窓にすることで出っ張りがなくなり、物が置けなくなる場合があります。
対策:リフォーム後の室内の見え方をチェックする
内窓のデザインや色、性能によってリフォーム後の室内の見え方は変わってきます。
また、既存の窓枠の出幅次第ではふかし枠を設置する必要があるため、リフォーム後に窓枠が目立って見える場合もあります。
事前に施工業者にリフォーム後のイメージを確認し、納得した上で選ぶことで後悔を防げます。
③価格の安さだけを重視して後悔
内窓選びで価格の安さを優先したために、二重窓の効果をあまり感じられずに後悔するケースもあります。
内窓製品はメーカー・製品によって価格や性能、カラーバリエーション、デザインが異なります。
さらに、断熱性能によって補助金の額が変わる場合もあります。
基本的に高性能なほど補助金は高くなるため、「補助金がたくさん出るならもっと良い製品にすればよかった」、逆に「高いグレードは必要なかった」など後悔してしまう可能性があります。
対策:補助金も考慮し目的に合ったサッシ・ガラスを選ぶ
内窓を選ぶ際は、設置する目的や場所に合わせて、期待する効果を発揮できるサッシの材質や窓ガラスの種類を選ぶことが重要です。
大手サッシメーカーのYKKAPやLIXILの内窓製品は、全て断熱性能の高い樹脂サッシが採用されています。
さらに、設置箇所の環境に適したガラスを選択することで、より快適な室内空間が実現できます。
内窓のガラスの種類と特徴
単板ガラス | 1枚ガラスとも言われる、いわゆる普通のガラス。断熱・結露抑制効果は限定的になる。 プライバシーを守るために模様を付けた型板ガラスや、割れた時に飛散しにくい網入りガラスなどもある。 |
複層ガラス | 2枚以上のガラスを組み合わせて、間に乾燥空気や質量が重いガスを封入した中空層を設けたガラス。ガラスが2枚の場合「ペアガラス」、ガラスが3枚の場合「トリプルガラス」と呼ばれる。 室内の空気を逃がさず外気の熱さ・冷たさが伝わるのを防ぐため、断熱・結露抑制効果に優れる。 |
Low-E複層ガラス | 複層ガラスの中空層に接する面に、Low-E膜という熱の伝わりを抑える特殊な金属膜をコーティングしたガラス。 夏は日射熱の流入を防ぎ、冬は暖房輻射熱の流出を防ぐため、冷暖房効率を高める効果がある。 Low-E膜が室内側にある断熱タイプと室外側にある遮熱タイプがあり、目的や窓の場所で使い分けができる。 |
活用できる補助金や助成制度も考慮した上で、予算と期待する効果のバランスが取れた製品を選ぶことがポイントです。
④施工不良による後悔
二重窓リフォームは、既存の額縁サイズに合わせた内窓サッシを製作し、隙間なく施工することがポイントになります。
そのため、窓周辺の事前調査や正確な採寸・施工技術がとても重要です。
DIYで設置したために隙間ができるなどの施工不良で内窓の性能が十分に発揮されずに後悔するケースがあります。
対策:実績のあるプロに依頼する
施工不良の内窓を設置し直す場合、取り外したり再度内窓を購入したりしなければならず、費用も手間もかかります。
また、メーカーの内窓製品はDIYを推奨していないケースも多いため、施工は実績のある業者に依頼することをおすすめします。
また、家全体の性能向上やデザイン・間取りの変更もしたい場合は、フルリノベーションに対応できる会社に相談するのがおすすめです。
現状の住まいの状態を把握した上で、二重窓をはじめとする適切な性能向上リフォームの提案や、希望をかなえ、悩みを解決するリノベーションプランを提案してもらえます。
東京・千葉・神奈川エリアで約20年にわたり、8,000件超のリノベーション施工実績があるSHUKEN Reでは、戸建て・マンションの断熱リフォーム・リノベーションの相談を実施しています。
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⑤内窓を設置する箇所で後悔
マンションの窓リフォーム事例を見る:Case124「“社宅”をアップグレード」
部屋や家の一部にしか内窓を取り付けなかったために、期待するよりも効果が薄かったと後悔するケースもあります。
例えば、窓が複数ある部屋の1か所だけに二重窓を設置した場合、他の窓が欠点となって十分な断熱・防音効果が得られない場合があります。
対策:効果的な設置方法を検討する
二重窓リフォームは、現状の悩みや周辺環境を考慮した上で、最も効果的な設置方法を検討することがポイントです。
また、必ず部屋や家の全ての窓に内窓を設置しなければならないわけではありません。
日常的に長い時間を過ごす場所や、身体への健康リスクの高い水回りや廊下などを優先的に二重窓にすることで一定の効果は得られます。
日常生活で具体的に困っていることや改善したい部分を施工会社に伝えて、最適な二重窓の設置箇所や方法を提案してもらうのがおすすめです。
⑥窓以外の断熱性能による後悔
壁や天井など、窓以外の断熱性能が原因で、二重窓の効果をあまり感じられなかったと後悔してしまうケースです。
開口部である窓の断熱性能を上げることで、温熱環境はかなり改善できます。
しかし、壁や床、天井、玄関などの断熱性能が低いままだと、二重窓の効果がフルに生かせない可能性があります。
対策:住まい全体の断熱性能を考慮してリフォーム方法を選択する
特に築年数が古く断熱性が低い住宅の場合は、壁内や天井、床下に断熱材を追加するリフォームを同時に実施するのがおすすめです。
また、マンションの開口部断熱リフォームは二重窓が基本ですが、戸建ての場合は窓や玄関ドア自体を取り替える方法も可能になります。
開閉や掃除の手間が変わらず、二重窓より見た目もすっきりとする点がメリット。
断熱材の追加や窓・玄関ドアの交換も補助金が利用できる可能性があるため、予算やメリットを比較して総合的に検討することをおすすめします。
国が実施している断熱リフォームの補助金制度と対象となる工事内容(2024年11月時点)
補助金制度 | 対象リフォーム | 上限額 |
---|---|---|
子育てエコホーム支援事業 | 開口部・外壁・屋根・天井・床下等の断熱改修
※2024年11月30日で交付申請の予約受付終了。 |
最大30万円 |
先進的窓リノベ2024事業 | 窓・ドアの断熱改修
※2024年11月30日で交付申請の予約受付終了。 |
最大200万円 |
既存住宅の断熱リフォーム支援事業 | 高性能建材を使用した断熱改修 | 最大120万円(戸建て) 最大15万円(集合住宅 |
次世代省エネ建材の実証支援事業 | 外張り断熱・内張り断熱等のリフォーム | 最大400万円 |
長期優良住宅化リフォーム推進事業 | 長期優良住宅化リフォーム
※申請額が予算上限に達した段階で今年度の交付申請を終了 |
最大210万円 |
また、国の補助金制度以外にも、都道府県や市区町村が独自に断熱リフォームに対する助成制度を実施している場合があります。
(例)東京都|(令和6年度) 既存住宅における省エネ改修促進事業(高断熱窓・ドア・断熱材・浴槽)
各自治体が実施する補助金事業を確認する場合は、「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト」などをチェックしましょう。
お住まいの市区町村を選択して、支援の分類や方法を選ぶことで、ご希望のリノベーションプランに合った補助金制度が探せます。
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■まとめ
二重窓リフォームで後悔を防ぐには、使い勝手や見た目がどう変わるかを事前にチェックし、期待する効果が得られる内窓製品や設置個所を適切に選択することがポイントです。
また、二重窓の効果を正しく発揮させるためには、現在の住まい全体の断熱性能や防音性能を踏まえて、適切なリフォーム方法で正確に施工する技術も重要になります。
現在の住まいの改善したい部分を施工会社に伝えて、最適な二重窓の設置方法や、補助金制度を有効活用できる断熱リフォーム方法を提案してもらうのがおすすめです。
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