公開日:2024-09-25
マンションオーナーの固定資産税減税ポイント2024年度版|軽減措置の延長や税額の目安、申請方法を徹底解説
分譲マンションなどの不動産を持っていると、毎年課税される固定資産税。
賃貸マンション経営では、将来の大規模改修に備えた資金の積み立てや、税金などを含むランニングコストの管理が欠かせません。
そこで今回は、2024年度(令和6年度)の税制改正による固定資産税の「軽減措置」延長に関する情報を詳しく解説していきます。
マンションの固定資産税の相場や減税申請の方法、またリノベーションで利用できる減税制度も紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
・固定資産税は、土地や建物などの不動産に対して毎年課税される税金で、マンション経営においても「軽減措置」(2026年3月31日まで延長)の活用がおすすめです。
・マンションの長期的な経営安定のためには、固定資産税減税のポイントや申請方法を押さえておくことが大切です。
・耐震、バリアフリー、省エネ、長期優良住宅化リフォーム・リノベーションする場合「リフォーム減税」が受けられる可能性もあります。
目次
■マンションの固定資産税は減税できる?
マンション一棟リノベーションの事例を見る:Case3「レ・ジェイドビオ船橋北習志野」
固定資産税は、所有する土地や建物といった不動産の他、事業のための工具や器具、備品などの償却資産に対して課せられる税金です。
マンションを建てる(所有する)と、翌年からその土地と建物の固定資産税を納付する義務が課せられます。
不動産の所有は、毎年1月1日時点で確認され、例えば、東京23区の場合は都税として東京都に固定資産税を納めます。
(参考)総務省「固定資産税」
固定資産税の計算方法
固定資産税は、地価の変動や建物の経年劣化などの評価を、3年ごとに見直す「固定資産税評価額」をもとに算出します。
自治体によって税率が変わる場合もありますが、「標準税率1.4%」を使った計算方法は、以下の通りです。
固定資産税=「固定資産税評価額」×1.4%(標準税率)
固定資産税評価額は、毎年送付される固定資産税納税通知書の「課税明細書」の欄でチェックできます。
土地と建物、それぞれの固定資産税額を合わせたものに加え、所有するマンションが市街化区域内に建つ場合は、「都市計画税」(目的税)も課されます。
都市計画税=「固定資産税評価額」×0.3%(標準税率)
固定資産税の「軽減措置」が2年延長
建物の固定資産税の減税制度は、2022年度(令和4年度)の税制改正により、2024年3月31日までの期限から、2年延長されました。
そのため、2024年4月1日から2026年3月31日までの期間も引き続き、固定資産税の「軽減措置」が受けられます。
軽減措置は、「新築住宅特例」に基づくもので、「住宅部分の床面積が50㎡以上280㎡以下(一戸建て以外の賃貸住宅では40㎡以上)」などの条件があります。
【新築「一般住宅」】
- ・戸建て: 新築課税から3年間の1/2減額
- ・マンション(3階建て以上の準耐火構造および耐火構造): 新築課税から5年間の1/2減額
【新築「長期優良住宅」】
- ・戸建て: 新築課税から5年間の1/2減額
- ・マンション(3階建て以上の準耐火構造および耐火構造): 課税から7年間の1/2減額
一般住宅・長期優良住宅の減額範囲は、居住部分となる床面積の120㎡までです。
なお、この減税制度は、固定資産税のみを対象とし、都市計画税は対象外であることを押さえておきましょう。
マンションを経営している方やこれから始めようとお考えの方にとって、税金の管理や軽減措置の利用は、安定した資金計画を立てる上でも重要なポイントです。
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■【2024年度版】マンションの固定資産税「軽減措置」とは
マンション一棟リノベーションの事例を見る:Case4「リノア西葛西」
土地や建物を所有すると、毎年それぞれに固定資産税がかかります。
ここでは、住宅用地の特例と新築建物(2024年度版)の固定資産の減税制度についてまとめてみましょう。
住宅用地の軽減措置
居住用マンションの土地は、「住宅用地」の固定資産税・都市計画税の軽減対象です。
「固定資産税」課税標準 | 「都市計画税」課税標準 | |
200㎡以下の部分(小規模住宅用地) | 1/6 | 1/3 |
200㎡超の部分(一般住宅用地) | 1/3 | 2/3 |
これにより、大規模マンションであっても、土地の広さに応じた固定資産税の軽減措置が適用されます。
なお、マンションやアパートなどの場合、戸数×200㎡以下の部分が小規模住宅用地、戸数×200㎡超えの部分が一般住宅用地となります。
新築マンション5年間の軽減措置
一般的な新築戸建ての場合、固定資産税は3年間1/2に減額されますが、新築マンションの場合は5年間の適用となります。
これにより、初期の税負担を大幅に抑えられますが、6年目からは本来の固定資産税額に戻る点に注意しておきましょう。
また都市計画税は、この特例の対象外です。
長期優良住宅の場合は7年まで延長
長期優良住宅に認定された新築マンションは、さらに固定資産税の軽減期間が7年間まで優遇されます。
耐久性や耐震性、省エネ性に優れた、長期優良住宅は、一般的な住宅よりも維持管理がしやすく長寿命であることから、建築コストも高額になりますが、税優遇が大きいのも特徴です。
減税を受けるためには、「認定長期優良住宅に係る固定資産税減額適用申告書」などの書類が必要で、こちらも都市計画税は特例の対象外となります。
中古マンションでも固定資産税の軽減措置は受けられる?
中古マンションを一棟まるごと購入(オーナーチェンジ)した場合でも、新築マンションと同様に「住宅用地」の軽減措置は受けられます。
築浅マンションでは「一般住宅5年の軽減措置」や「長期優良住宅7年の軽減措置」に対する未経過期間分の優遇が適用される可能性もあります。
また、中古マンション購入後は、一定のリフォーム・リノベーションに対して固定資産税が減税される制度も押さえておきましょう。
- ・耐震リフォーム
- ・バリアフリーリフォーム
- ・省エネリフォーム
- ・長期優良住宅化リフォーム
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リノベーションと“固定資産税”の関係は?金額が上下する工事について解説
■マンション固定資産税の相場と申請ポイント
マンション一棟リノベーションの事例を見る:Case5「リノア北赤羽」
マンション固定資産税の税額目安
マンションの固定資産税は、専有部分の面積約75㎡で、新築10~30万円、中古10~20万円程度が相場と言われています。
実際は、マンションが建つ地域や建物の状態によって変動があるため、詳しくは不動産会社への確認が必要です。
例として、新築マンションの軽減措置を受ける場合、居住部分の課税床面積「50㎡以上280㎡以下」で、1戸あたり120㎡相当分まで、5年間は固定資産税が1/2軽減されます。
- ・土地(評価額):3,500万円
- ・建物(評価額):1,200万円
- ・専有部分:75㎡
上記の条件でシミュレーションした場合、築5年以内のマンションの固定資産税の目安は以下のようになります。
3,500万円×1.4%(標準税率)×1/6(「小規模住宅用地」の軽減措置)=約81,667円
1,200万円×1.4%(標準税率)×1/2(新築から5年間の軽減措置)=84,000円
→固定資産税合計額は、約165,667円
なお、6年目以降は、建物の固定資産税評価額に対する、1/2の軽減措置は適用されませんが、「経年減価補正率表」に応じた数値をもとに、固定資産税額が計算されます。
(参考)東京法務局「経年減価補正率表」
減税申請の方法
固定資産税の軽減措置を受けるためには、以下2つの点に注意が必要です。
「自治体の窓口に申請書を提出する」
固定資産税の軽減措置を受けるためには、マンションなどの不動産を取得した翌年1月31日までに、各市区町村の窓口に申請書を提出する必要があります。
必要書類は、以下の通りです。
- ・「固定資産税住宅用地申告書」
- ・「固定資産税減額申請書(新築住宅用)あるいは(長期優良住宅用)」
- ・長期優良住宅の場合は、「長期優良住宅の認定通知書の写し」
「納税通知書の内容を確認する」
固定資産税の納付後に送付される納税通知書の「課税明細書」内容に誤りがないかの確認も大切です。
- ・「地目」(土地の用途)が正しい
- ・土地の軽減措置が適用されている
- ・建物の軽減措置が適用されている
「固定資産税評価額」は、地目によって異なるため、正しく申請できているか注意して見ておきましょう。
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■リフォーム・リノベーションで利用できる「減税措置」
一定のリフォーム・リノベーションで利用できる固定資産税の減税制度も、2024年4月1日~2026年3月31日まで延長される方針です。
(参考)国土交通省「令和6年度 国土交通省税制改正概要」令和5年12月
また、屋根や床の防水、外壁塗装など、マンションの長寿命化にかかる工事の翌年の固定資産税が減額される「マンションの長寿命化促進税制」が2023年度の税制改正で決まっています。
減税対象は、工事翌年の「建物」の固定資産税のみで、減額割合は各市町村で定められています。
【対象マンションおよび工事要件】
- ・築20年以上かつ10戸以上で長寿命化工事を過去に最低1回実施している。
- ・管理計画認定を取得したマンションに限る。
- ・長寿命化に資する工事完了後3カ月以内に、マンションの管理組合などの管理者が市町村に申告。
- ・2023年4月1日~2025年3月31日の間に完了した長寿命化工事に限る。
(参考)国土交通省「マンションの長寿命化促進税制(固定資産税の特例措置)」
耐震リフォーム
マンションのリノベーション事例を見る:Case168「Paws」
1982年1月1日以前に建てられた住宅で、現行基準の耐震性に適合させるための耐震リフォーム・リノベーションをした場合、120㎡相当分の固定資産税が、翌年1年間1/2減額されます。
減額条件は、耐震改修にかかる費用が50万円を超える場合となります。
バリアフリーリフォーム
マンションのリフォーム・リノベーション事例を見る:Case160「WIDE & OPEN!」
バリアフリーリフォームでは、100㎡相当分の固定資産税が、翌年1年間1/3減額されます。
- ・築10年以上の住宅である
- ・改修後の床面積が50㎡以上280㎡以下
- ・65歳以上の人や要介護・要支援認定を受けている人、障がいがある人が住む場合
- ・改修費用が50万円を超える場合
などが条件です。
省エネリフォーム
マンションのリフォーム・リノベーション事例を見る:Case192「nook」
省エネリフォームの場合、120㎡相当分の固定資産税が翌年度分1/3減額されます。
- ・改修後の床面積が50㎡以上280㎡以下
- ・2016年省エネ基準に適合する断熱改修を行った場合
- ・改修費用が60万円を超える場合
などが条件です。
長期優良住宅化リフォーム
マンションのリフォーム・リノベーション事例を見る:Case196「Partnership」
市町村に「長期優良住宅化リフォーム」の計画書提出&認定を受けた上で、耐震性や省エネ性、耐久性の向上をはかる改修を行った場合、固定資産税が翌年度分2/3減額されます。
長期優良住宅に対しては、補助金や減税の他、住宅ローン利用時のフラット35の金利優遇などが設けられています。
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一棟リノベーションのメリット・デメリット|費用相場と事例も紹介
■まとめ:固定資産税の減税ポイントを活かしたマンション経営
固定資産税の減税ポイントを押さえた資金計画は、マンション経営の節税対策にもつながります。
中古マンションの購入やリノベーションをお考えの際は、軽減措置を最大限に活用し、資産価値の向上や安定した維持管理対策に努めましょう。
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