公開日:2024-07-03 更新日:2024-07-05
蓄電池導入で後悔しないポイント「やめたほうがいい・つけてよかった」それぞれの理由
カーボンニュートラル実現に向け、住宅用太陽光発電や電気自動車の導入が推進されていますが、合わせて家庭用蓄電池を設置するご家庭も増えています。
ところが、ブログやSNSを見ると「つけてよかった」「やめたほうがいい」と両極端な口コミが見受けられます。
そこで今回は、家庭用蓄電池を「やめたほうがいい・つけてよかった」と思われる理由とメリット・デメリットを解説します。
家庭用蓄電池を後悔しないための選び方ポイントも紹介しますので、リフォーム・リノベーションを検討中の方は、ぜひ参考にしてください。
・蓄電池の導入を後悔しないためには、月々の電気使用量と住宅の断熱性・諸エネ性を考慮して適切な蓄電池を選ぶことが重要です。
・1998年創業以来、東京・千葉・神奈川で8,000件を超えるリノベーション実績のあるSHUKEN Reへご相談ください。
目次
■ブログ・SNSで「蓄電池はやめたほうがいい」と言われる理由|デメリットと対策
家庭用蓄電池はオール電化住宅や太陽光発電住宅への採用が増えていますが、ブログやSNS上では、実際に設置してみて後悔している方の声も見かけます。
では、「やめたほうがいい」と思われている理由とその対策方法を紹介します。
「電気代が思ったより下がらなかった」
蓄電池を導入すると電気代が安くなる仕組みは、電気代の安い夜間電力(深夜電力)を溜め込み、それを電気代の高い日中に使えるからです。
ただし、これは全ての住宅に当てはまる訳ではありません。
なぜなら、全ての電気プランにおいて夜間電力が割引されるとは限らず、電力会社によってはそもそも夜間電力プランがないところもあるからです。
また、単身世帯や日中ほとんど在宅しない世帯では、もともと消費電力量が少なく、蓄電池設置の前後でそれほど電気代が変わらなかったと感じる方は珍しくありません。
1年間の電気使用量と電気料金のデータを揃え、施工会社とじっくり効果をシミュレーションしてください。
電気代削減効果を最大限に得るためには、家全体の断熱性・省エネ性を高め、消費エネルギー量を減らすことも欠かせません。
「なかなか初期コストを回収できない」
家庭用蓄電池の導入には、一般的に「90〜200万円」程度の費用がかかります。
経済産業省のデータでも、家庭用蓄電池の平均価格(材料費+工事費)は、2022年時点で「13.9万円/kWh」ほどです。(参考:資源エネルギー庁|定置用蓄電システムの普及拡大策の検討に向けた調査)
近年は、世界的なEV普及が急速に進んだことでリチウムバッテリーが品薄なため、家庭用蓄電池の価格が今後上昇する可能性も否定できません。
これだけのコストをかけても電気代削減効果が少ないと、なかなか初期費用を回収できないと後悔を感じる方もいるかもしれません。
初期費用の回収期間は平均で10〜15年と言われていますが、蓄電池に付随して設置するパワーコンディショナー(※)の寿命も10〜15年程度なので、着実に電気代を削減できないとコストがどんどんと増えていきます。
※パワーコンディショナー:蓄電池で溜めた直流電力を家庭で使えるように交流電力へ変換する設備
費用と効果のバランスが良いコスパに優れた蓄電池を選ぶことが重要です。
「維持費・メンテナンス費用がかかる」
家庭用蓄電池の保守点検は義務ではありませんが、太陽光発電システムはFIT法によって定期的に機器・部材・電圧・絶縁抵抗に関する点検が義務付けられています。
点検は専門家が行うため、1回につき2〜3万円ほどの費用がかかります。
そのほか、蓄電池のメリットを維持するためには、以下のコストも想定しておかなくてはいけません。
(設備機器) | (交換頻度) | (費用目安) |
パワーコンディショナー | 10〜15年に一度 | 30〜40万円 |
蓄電池本体 | 15〜20年に一度 | 70〜180万円 |
太陽光パネル | 20〜30年に一度 | 面積によって変動 |
「段々と蓄電量が減ってきた」
家庭用蓄電池の寿命は、サイクル(※)の回数で決まります。
一般的な家庭用蓄電池にはリチウムイオンバッテリーが搭載されていますが、6,000〜12,000サイクル程度で劣化して蓄電できなくなります。
※サイクル:空の状態からフル充電して再び空になるまでの期間
ここで注意しなくてはいけないのが、寿命直前までフル蓄電できない点です。
寿命が近づくと蓄電容量は低下します。
そのため、蓄電池を設置してから15年も経てば、新品と比べて蓄電容量は20〜30%ほど減衰してしまうのです。
そのため、経年と共に電気代削減などの効果は少なくなります。
電気料金削減の効果をシミュレーションする際も同様です。
「蓄電池が邪魔」
家庭用蓄電池には、室内用と屋外用がありますが、どちらもエアコンの室外機と同じくらいのサイズです。
蓄電容量が10kW以上と大型のタイプでしたら、それ以上のサイズになるでしょう。
そのため、隣家との距離が狭い住宅や、既に何台もエアコンを設置している住宅ですと、蓄電池の置き場に困る可能性があります。
また、室内もしくは屋外の壁に設置するパワーコンディショナーも「50 × 30cm・厚さ15cm」と、決して小さくはありません。
まだ電気や水道、ガスメーターがスマートメーターに切り替わっておらず、検針員が毎月検針に来るご家庭は特に要注意です。
「太陽光発電の効率が下がった」
既に太陽発電を導入している家へ追加して蓄電池を設置する場合、蓄電池と太陽光発電のパワーコンディショナーを1台にまとめることができます。
ただし、既設の太陽光パネルとの相性が悪いと、発電効率を下げてしまう可能性があります。
既に太陽光発電を導入済みの場合は、相性などを確認できる知識豊富な施工会社へ相談しましょう。
「タイミングが悪く補助金を使えなかった」
家庭用蓄電池の導入には、いくつかの補助金が適用されます。
政府が主導で実施する子育てエコホーム支援事業やDR補助金、自治体が運営する災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業(東京都)、再生可能エネルギー・省エネルギー設備の支援情報(千葉県)が代表的です。
しかし、これらの補助金には全て予算額が設けられており、申請額がそれに達した時点で受付は終了されます。
そのため、補助金を受け取ることを前提に工事を進めても、タイミングによっては受け取れないケースは少なくありません。
■ブログ・SNSから抜粋「蓄電池をつけてよかった」理由|メリット
「蓄電池はやめたほうがいい」という方がいらっしゃる反面、「つけてよかった」と感じている方もいらっしゃいます。
では、家庭用蓄電池のメリットと併せて紹介します。
「太陽光発電を夜間や雨天時も活用できる」
太陽光発電システム自体には蓄電機能がないため、太陽の出ている時間にしか発電力は使えません。
近年は電力会社による買取価格が低下しているため、日中家にいないご家庭では、多くの発電力を無駄にしてしまう可能性があるのです。
しかし、蓄電池があれば、日中に溜めた電気を夜間や雨天時にも活用できて、太陽光発電のメリットをフル活用できます。
「災害時にも電気を使える」
過去の大型台風や大地震において、広い範囲で停電が起こっています。
近年は復旧までの時間が短縮化しており、ほとんどが50時間以内に再び電気が使えるようになっています。(参考:国土交通省|災害時の電源確保と電力安定供給への新しい流れ)
しかし、私たちの生活にはもはや電気は欠かせない存在です。
数時間でも停電すれば、日常生活に支障をきたす方は少なくないでしょう。
蓄電池と太陽光発電があれば、一定期間いつも通り電気を使い続けられます。
「省エネ化すると所得税・固定資産税の減額対象になる」
蓄電池と併せて太陽光発電をリフォームで導入すると、所得税や固定資産税の減税措置が適用される可能性があります。
ただし、2024年6月時点では所得税減額は2025(令和7)年末、固定資産税減額は2026(令和8)年3月末までに住み始めるのが条件です。
(参考:国土交通省|リフォームにおける所得税の税額控除、国土交通省|リフォームにおける固定資産税軽減について)
また、申請期限より早く締め切られる補助事業も多いため、計画的なスケジュール組みも重要です。
耐震リフォームや断熱リフォーム、バリアフリーリフォームも減税対象なので、併せてご検討ください。
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■家庭用蓄電池を後悔しないための選び方ポイント
家庭用蓄電池の導入を後悔しないためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。
特にチェックしていただきたいポイントを紹介します。
「電気使用量の傾向を把握する」
蓄電池の必要性や設置後の効果、太陽光パネルの数などを正確にシミュレーションするためには、これまでそのご家庭がどのくらいの電気を使ってきたのか知る必要があります。
過去1年分の電気使用量が分かる資料を準備しましょう。
「太陽光発電・電気自動車も導入するのか検討する」
太陽光発電・電気自動車を併せて導入するかによって、蓄電池のタイプが変わります。
【単機能型】
太陽光発電を使う場合は別途太陽光発電用のパワーコンディショナーが必要なタイプです。
【ハイブリッド型】
蓄電池用と太陽光発電用のパワーコンディショナーが一体になっているタイプで、電力の変換ロスを抑えられ、機器の設置スペースも小さくできます。
【トライブリッド型】
蓄電池用と太陽光発電用、さらに電気自動車用のパワーコンディショナーまでが一体になっているタイプです。
「蓄電容量がどのくらい必要なのか検討する」
家庭用蓄電池は、商品によって蓄電できる容量が異なります。
基本的には、容量が少ないものほどリーズナブルで、多いほど価格は高くなります。
ただし、値段だけで決めても停電時などに満足できる量の電気を使えない可能性があるため注意しましょう。
オール電化住宅の月間平均消費電力400kWhを基準とすると、蓄電容量が5kWhの蓄電池は、12.5時間継続して電気が使える計算です。(参考:資源エネルギー庁|ひと月の電気代が10万円超え!?オール電化住宅の電気代を考える)
停電時に電気を使える時間をどれ位確保したいかを検討し、適切な蓄電容量の製品を選びましょう。
「停電時にどの範囲で電気を使いたいか決める」
「停電時には最低範囲で電気が使えればいい」「初期費用を抑えたい」という方には、特定の範囲にだけ蓄電池から電力を送れる“特定負荷型”がおすすめです。
設置時に決めた範囲にだけ電気を送れます。
対して、家全体に蓄電池から電気を送りたい場合は、“全負荷型”を選びましょう。
ただし、全負荷型の方が製品価格は高めです。
「内装・断熱リフォームも併せて検討する」
蓄電池やパワーコンディショナーの設置がない場合や、室内に電気配線を見せたくない場合は、内装リフォームと併せて蓄電池を導入しましょう。
また、現時点で「空調が効かない」「窓の結露がひどい」「室内の暑さ・寒さが気になる」という方は、ぜひ断熱リフォームも一緒にご検討ください。
空調効率を上げて消費電力を減らした上で蓄電池や太陽光発電を導入するのがおすすめです。
■まとめ
「蓄電池をやめたほうがいい」と言われる理由はいくつかに限られており、その原因を知ると導入後の後悔を避けられます。
蓄電池の導入は、蓄電池や太陽光発電だけではなく、家の断熱性や補助金なども相談できるリノベーション会社へ相談しましょう。
SHUKEN Reは、1998年創業以来、東京・千葉・神奈川で8,000件を超えるリノベーションを手がけてきた実績がありますので、どうぞお気軽にご相談ください。
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