公開日:2024-05-29 更新日:2024-07-04
マンションを名義変更する場合の親子間での費用や手続きはどうなる?名義変更の理由と節税方法も解説
親のマンションを子が譲り受ける場合、自分でマンションを購入して不動産登記するのと同様の手続きが必要になります。
今回は、親からマンションを引き継ぐ予定がある方や、実家リフォーム・リノベーションをお考えの方向けに、名義変更が必要なケースや手続きの手順・必要書類について解説します。
最後に、名義変更にかかる税金の節税対策に関する情報もお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてください。
・マンションの名義変更は、生前贈与や相続があった場合に必要となる手続きです。
・生前贈与のケースと相続のケース、それぞれ手順や必要書類が異なります。
・名義変更に関わる税金には不動産取得税や贈与税などがあり、節税方法も押さえておきたいポイントです。
目次
■親から子にマンションの名義変更が必要なケース
リフォーム&リノベーション事例を見る:Case121「「温」を感じる家」
土地や建物、マンションなどの不動産を取得した場合、法務局にて「不動産登記」の手続きをします。この不動産登記により、その不動産が自分のものであることが証明できるようになります。
そして例えば、マンションの売買や財産分与による所有者の変更時には、登記簿の住所や氏名等の変更手続きをする必要があり、これを「名義変更」と言います。
親から子へマンションの贈与があった場合や、相続が発生した場合も同様に名義変更が必要で、所有権や固定資産税などの納税義務を移行する必要があります。
【親から子に不動産の名義変更が必要なケース】
- ・「生前贈与」: 親から実家を譲り受けたとき
- ・「相続」: 親から実家を相続したとき
■親から子に「生前贈与」する場合の手続き
親から子や孫が、金銭や不動産などの財産を譲り受けることを「生前贈与」と言い、贈与を受けた子や孫は贈与税を納めなければいけません。
生前贈与は、相続税対策として行われるケースが多いですが、後に紹介する節税対策をするためには「名義変更」の手続きが必要です。
①名義変更の手順と必要書類
生前贈与による「名義変更」の手続きには、以下のような書類が必要になります。
【法務局にて】
- ・登記申請書
- ・登記事項証明書(登記簿謄本)
- ・登記済権利証 または 登記識別情報通知
【市区町村の役所にて】
- ・固定資産評価証明書 または 固定資産税評価通知書(名義変更する年のもの)
- ・親の「印鑑証明」
- ・子の「住民票」
また、親子間の贈与では口頭でも契約は成立しますが、登記の必要書類には、それを証明するための「贈与契約書」が含まれます。
②「贈与契約」を交わす
「贈与契約書」は、贈与する側の親と贈与される側の子の意思を明確にするための契約書類です。
贈与契約書の書式に決まりはありませんが、贈与の内容や日付、親子の住所・氏名、物件情報などを明記します。
③登記申請と注意ポイント
「贈与契約書」を作成して必要書類を揃えたら、法務局にて登記の手続きをします。
この「生前贈与」による名義変更には、この後解説する「相続」による名義変更とは違い、法的義務はありません。
しかし、贈与の登記がないことによる「相続開始後の他の相続人とのトラブル」や「税務調査による生前贈与の否認」などの可能性が考えられるため、スムーズに手続きを完了させることがおすすめです。
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■親から子に「相続」が発生した場合の手続き
祖父母や親が所有していた不動産を遺産相続することになった場合には、相続登記として「名義変更」が必要で、相続した不動産の評価額に応じて相続税が課されます。
①相続人の決定と期限
相続が発生した場合、まずは被相続人である親の遺言書を確認します。遺言書がない場合や相続人が示されていない場合は、遺産分割協議にて誰が相続するのかを相続人全員で決めていきます。
2024年4月1日から「相続を知った日から3年以内の登記」の義務化が開始され、これに正当な理由なく違反した場合は10万円の罰金が求められる可能性があるため注意が必要です。
遺産分割協議が長引きそうな場合には「相続人申告登記」制度を利用する方法もあります。
参考:法務省「相続人申告登記について」
②名義変更の必要書類と登記申請
相続による「名義変更」の手続きには、以下のような書類が必要です。
【市区町村の役所にて】
- ・戸籍謄本・除籍謄本・親の改製原戸籍
- ・親の「住民票の除票」 または 戸籍の附票
- ・子の「戸籍謄本」
- ・子の「印鑑証明」
- ・子の「住民票」
登記申請は、相続不動産の管轄地の法務局に必要書類を提出する方法の他、オンライン申請も可能になっています。
参考:法務局「不動産の所有者が亡くなった(相続の登記をオンライン申請したい方)」
また、相続には法的な手続きや複雑な法律が多く関わるため、専門家のサポートを得ながら進めていくのがおすすめです。
参考:法務局「相続登記・遺贈の登記の申請をされる相続人の方へ(登記手続ハンドブック)」
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■名義変更にかかる税金は?
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親の不動産を子が、生前に譲り受けたり相続したりした場合には、贈与税や相続税の他に、不動産の取得や「名義変更」登録にかかる税金が必要になります。
そのため、親のマンションを贈与・相続後にリノベーションして住み継ぐ予定がある場合も、事前にそれぞれの税金の内容を把握しておくといいでしょう。
不動産取得税
不動産を取得した場合にかかる税金です。
不動産取得税は、原則4%の税率ですが、軽減措置として住宅では3%の税率が適用されます。この特例は、2024年3月末まででしたが、2027年3月末まで延長されています。
贈与を受けた場合の納税額は、不動産の評価額と税率を掛け合わせた額になりますが、相続の場合は非課税になります。
参考:国土交通省「令和6年度 国土交通省税制改正概要」
登録免許税
マンションなどの不動産を「名義変更」する際にかかる税金です。
親からの贈与がある場合の登録免許税額は、不動産価格(固定資産税評価額)の2%で計算します。
また、相続の場合は不動産価格の0.4%で計算します。
【登録免許税】
- ・生前贈与: (不動産価格2,000万円)の場合→ 2,000万円×2%=40万円
- ・相続: (不動産価格2,000万円)の場合→ 2,000万円×0.4%=8万円
「生前贈与」にかかる贈与税
「生前贈与」など、贈与を受けた人にかかる税金です。
贈与税の計算は、後に解説する「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つの方法があります。
マンションの贈与を受けた場合は、まず固定資産税納税通知書や固定資産評価証明書などの家屋の項目の「固定課税標準額」を使って、評価額を計算します。
固定資産税評価額(「固定課税標準額」)×1.0=評価額
「相続」発生時の相続税
「相続」により遺産を受けた人にかかる税金です。
相続税は、相続財産の評価額に応じて算出されますが、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」の基礎控除があります。
相続財産が基礎控除額以下の場合は、相続税の申告及び納税の義務はありません。
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■贈与税や相続税の節税方法
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最後に、贈与や相続による「名義変更」の際の税金対策について解説します。
「暦年贈与制度」の活用
贈与税の「暦年課税方式」では、親から子への贈与に対して、「基礎控除110万円」を超える財産に税率を適用し、贈与税を算出します。
令和6年度の税制改正により、暦年課税の生前贈与の加算期間は7年に延長されました。この4年間の期間に受け取った財産の合計が100万円を超えていても、相続財産には加算されません。
また、この改正は令和6年1月1日以降に受け取った贈与に適用されます。
参考:国税庁「贈与税の計算と税率(暦年課税)」
「相続時精算課税制度」の利用
「相続時精算課税方式」では、受け取った財産の合計から特別控除額の2,500万円を差し引いた額に対して贈与税が課されます。
この財産は、将来的に相続が発生した場合には相続税の対象となることに注意が必要です。
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■まとめ:マンションの親から子への名義変更と節税対策
マンションの名義変更は、親から子への贈与や相続があった場合に、その物件を所有する法的な権利を第三者に証明できるようにするための手続きです。
贈与や相続によって譲り受けた実家をリフォーム・リノベーションして、住み継ぐためにも必要ですので、場合によってはプロのサポートを受けながらスムーズに進めていきましょう。
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