公開日:2024-05-12  更新日:2024-07-04

【相続したマンションの名義変更が義務化】必要書類、登記手続き、費用、期限などを解説

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【相続したマンションの名義変更が義務化】登記の方法と必要書類、期限、費用目安について解説

 

2024年4月より、今まで任意であった相続に伴う所有者移転登記、つまり「名義変更」が義務化されました。

 

将来、マンションなどの不動産を相続する予定の方は、手順や手続きにかかる費用が気になる方も多いでしょう。

 

そこで今回は、マンションを相続した時に必須の名義変更について、方法と司法書士に代行してもらう場合と自分でする場合の費用、そのほか、火災保険の名義変更や費用を支払うタイミングなど、多くの方が疑問に感じる点を解説します。

 

「早めに相続について知っておきたい」「家族と不動産の名義変更について話し合っておきたい」という方は、ぜひ参考にしてください。

 

この記事のポイント
・マンションなど不動産を相続した場合、名義変更を期限までに必ず済ませなくてはいけません。
・不動産の名義変更(所有者変更登記)は、司法書士に依頼する方法と自分でする方法があります。
・マンションの相続対策なら、資金計画、リノベーション、売却までワンストップで相談できるSHUKEN Reにご相談ください。

 

 

 

■【法改正で2024年から義務化】不動産の「相続登記」はいつまでにやる?申請期限と手順

 

【法改正で2024年から義務化】不動産の「遺贈による所有者移転登記」はいつまでにやる?申請の流れと期限

 

2024(令和6)年4月1日から、「相続登記(=名義変更)の申請」が義務化されました。

 

相続登記の正式名称は「遺贈による所有者移転登記」といい、マンションなど不動産の所有者がなくなり親族へ相続された場合、所有者を公的に変更する手続きを指します。

 

「これまではやらなくてもよかったの?」と驚く方も多いでしょう。

 

実は、2024年3月末までは期限や罰則がなく義務ではありませんでした。

 

ところが、不動産所有者が亡くなった後に名義変更されないことで、登記簿を見ても所有者が分からない「所有者不明物件」が増え、周辺の環境や住民に悪影響を及ぼすなどの不都合が問題視されてきたのです。

 

【「相続登記義務化」のポイント】

  • ・相続人は、被相続人が亡くなったことを知った日(不動産を相続することを知った日)から3年以内に相続登記しなくてはいけない。
  • ・正当な理由なく登記しない場合は、10万円以下の過料が科される。
  • ・2024年3月末までに相続した不動産も、相続登記義務化の対象になる。(この場合は2027年3月末日が期限)

(参考:法務局|相続登記の申請義務化に関するQ&A

 

ちなみに、相続登記をして名義変更しない限り、その物件を売却したり賃貸に出したりできません。

 

では、不動産を相続して名義変更するまでの流れを見てみましょう。

 

 

ステップ①「相続財産・相続人をリストアップする」

 

被相続人が亡くなった直後、もしくは生前のうちから、相続財産と相続人をリストアップしておきましょう。

 

相続財産は、不動産だけではなく現金や預貯金、証券などの有価証券、貴金属など、多岐に渡ります。

 

査定が必要なものもありますので、ご家族などで手分けして情報を集めるのが基本的なやり方です。

 

相続人は、法定相続人である配偶者・子供・父母・兄弟姉妹以外に、公的な遺言書に書かれた第三者が含まれる可能性もあります。

 

 

ステップ②「相続人で遺産分割の話し合いをする」

 

相続財産の総額を把握できたら、相続人全員で「誰がどの遺産をどれくらい相続するのか」話し合います。

 

これを遺産分割協議と呼びます。

 

法定相続人が法定相続割合で分けるのが一般的です。

 

相続人 法定相続分割合
子がいる場合 配偶者 1/2
1/2を子供の人数で分配
(例:2人兄弟は1/4ずつ)
子がいない場合 配偶者 2/3
父母 1/3を親の数で分配
(例:両親いる場合は1/6ずつ)
子・父母

どちらもいない場合

配偶者 3/4
兄弟姉妹 1/4
(例:被相続人に2人兄弟がいる場合は1/8ずつ)

(参考:国税庁|財産を相続したとき

 

遺産分割について全相続人が納得したら、「遺産分割協議書」を作成し、そこに相続人が印鑑証明を添えて実印で押印します。

 

ポイント
法定相続分通りもしくは遺言書に従って遺産を分ける場合、相続税申告や相続登記の際に遺産分割協議書の提出は求められません。
ただし、「法定相続分で遺産分割するか」「誰がどの遺産を相続するか」を公的に記録すると、後のトラブル防止になるため、まとまった額を相続する場合は作成するのが一般的です。

 

 

ステップ③「相続税の申告と納付を済ませる」

 

遺産分割協議書の内容を踏まえて、相続税の申告と納税を済ませます。

 

相続税の計算には様々な条件や控除に関する知識が必要なので、遺産が多岐に渡り高額になる場合は、税理士へ相談するのがおすすめです。

 

相続税の申告・納付期限は、被相続人が亡くなった日(被相続人が亡くなったことを知った日)の翌日から10ヶ月以内です。

 

 

ステップ④「相続登記(名義変更)の必要書類を準備する」

 

遺産分割協議書によって不動産を相続することになった方は、速やかに相続登記の必要書類を準備しましょう。

 

登記に必要となる書類は、相続の方法によって異なります。

 

(相続の方式) (必要書類)
法定相続 ・被相続人の戸籍謄本(出生から亡くなるまで全て)
・被相続人の住民票(除票が分かるもの)
・全相続人の戸籍謄本
・全相続人の住民票
・固定資産税評価証明書(課税明細書)
遺産分割相続

(法定相続割合と異なる場合)

・被相続人の戸籍謄本(出生から亡くなるまで全て)
・被相続人の住民票(除票が分かるもの)
・全相続人の戸籍謄本
・相続人の住民票(不動産を相続する方のみ)
・固定資産税評価証明書(課税明細書)
・遺産分割協議書
・全相続人の印鑑証明(遺産協議書に添付)
遺言相続 ・被相続人の戸籍謄本(亡くなった時のみで良い場合も)
・被相続人の住民票(除票が分かるもの)
・相続人の戸籍謄本(不動産を相続する方のみ)
・相続人の住民票(不動産を相続する方のみ)
・固定資産税評価証明書(課税明細書)
・公的な遺言書

 

相続登記申請書に公的な不動産情報を記入する際、対象不動産の権利書(登記事項証明書)が必要です。

 

現物が見つからない場合でも再発行はできませんが、記入に必要な情報は、管轄の法務局やオンラインにて確認できます。

 

固定資産税評価証明書は、対象の不動産がある市区町村の役所で発行してもらえますので、早めに準備しておきましょう。

 

必要書類の中でも特に入手に手間がかかるのが「被相続人の戸籍謄本」です。

 

亡くなった方が生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本を全て揃える必要があるため、本籍地が途中で変更されている場合は、いくつもの自治体へ請求しなくてはいけません。

 

戸籍謄本の取り寄せは司法書士に代行してもらうこともできますので、忙しい方は必要書類の準備から申請までまとめて依頼するのがおすすめです。

 

 

ステップ⑤「法務局へ届け出る」

 

必要書類が揃ったら、相続登記申請書を作成して一式を法務局へ提出します。

 

相続登記申請書の記入項目 ・登記の目的(=所有権移転)

・原因(被相続人が亡くなった年月日)

・相続人および被相続人氏名

・申請人の氏名と連絡先(司法書士もしくはご自身や親族など)

・対象の不動産情報

(参考:法務局|不動産登記の申請書様式について

 

相続登記申請書は、手続きを司法書士へ依頼した場合は司法書士が、自分で手続きする場合は自らで作成します。

 

届け出が無事受理されると、1〜2週間程度で登記が完了します。

 

ポイント
被相続人の本籍移転があったり、相続人が多かったりすると、相続登記の準備から完了まで2〜3ヶ月程度かかるのが一般的です。
そのため、スムーズに手続きが進むように専門家に相談しておくのも良いでしょう。

 

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■相続登記は司法書士に代行してもらうべき?自分でするべき?

 

マンションの相続税はかからない?3,000・4,000・5,000万円の場合

 

相続登記の手順や必要書類は、司法書士へ依頼した場合と自分で手続きした場合で大きく変わりません。

 

ただし、ケースによって司法書士に依頼するか自分でするかどうかどちらが良いかは異なります。

 

【相続登記を司法書士に依頼した方が良いケース】

  • ・対象不動産が長期間放置されていて現状を把握できない場合
  • ・相続する不動産が複数あり、手続きが煩雑になりそうな場合
  • ・相続人が複数いて、遺産分割協議書の作成が必要な場合
  • ・対象不動産が遠方にあり、郵送オンラインで登記申請しなくてはいけない場合
  • ・相続人の中に「行方不明者・未成年・前妻(前夫)との間の子供・その他自ら意思表示できない方」がいる場合など、専門的な知識が必要な場合
  • ・短期間で登記を済ませたい場合
  • ・忙しくて必要書類を揃える時間や申請する時間が確保できない場合

 

【相続登記を自分でやってもいいケース】

  • ・対象不動産が、実家など現状をしっかり把握できている場合
  • ・相続する不動産が1軒だけの場合
  • ・相続人が1人だけの場合
  • ・被相続人の本籍があまり変更されておらず、必要書類の入手が大変ではない場合
  • ・対象不動産が近所で、法務局へ出向いて申請できる場合
  • ・相続登記まで時間の猶予がある場合や急いでいない場合

 

ポイント
相続登記は10ヶ月以内に所有者を変更しなければなりません。
その間は、誰も住んでいなかったとしても固定資産税などが被相続人宛に送られ、相続人のうちの誰かが立て替えなくてはいけないなど、面倒な事態になる可能性があります。
そのため、相続関係が複雑なケースほど、迅速に手続きできる司法書士へ任せる方法をおすすめします。

 

▶︎相続したマンションのリノベーションや資産計画を相談したい方はこちらから

 

 

■土地・家屋の相続登記費用はいくら?マンション価格2,000・3,000・4,000万円の費用シミュレーション

 

マンションの相続税に関するFAQ|妻・子供の違いや分割払い・延納について

 

「相続登記の流れは分かったが、結局いくらかかるのか知りたい」という方のために、マンションの物件価格に応じた登記費用の目安を紹介します。

 

相続登記にかかる費用は、以下の通りです。

 

  • ・相続による所有権移転登記の登録免許税「税率0.4%」
  • ・抵当権抹消登記の登録免許税「不動産1個につき1,000円」※住宅ローンが残っている場合
  • ・司法書士の報酬
  • ・必要書類(戸籍謄本や住民票、印鑑証書など)の発行手数料 ※一通300〜750円で自治体によって異なる

 

(参考:国税庁|No.7191 登録免許税の税額表法務局|抵当権の抹消登記に必要な書類と登録免許税

 

ポイント
司法書士へ相続登記を依頼した場合の報酬は、不動産評価額や物件数、相続人数によって変わりますが、相場は「5〜8万円/件」程度です。
ただし、戸籍謄本の収集代行や遺産分割協議書の作成など、登記に係る諸々の手続きまで依頼すると、「トータル7〜15万円/件」程度かかる場合もあります。
※交通費など業務に関わる経費が別途請求されます。

 

相続する不動産の物件価格ごとの相続登記(名義変更)にかかる費用は以下の通りです。

 

※課税標準となる物件価格は、固定資産税と同等になります。(シミュレーションで市場価格の70%に設定)

 

 

物件価格が2,000万円の場合

 

登録免許税

(土地・家屋の所有者移転登記)

5.6万円

(2,000万円 × 70% × 0.4%)

登録免許税

(抵当権抹消)

1,000円
司法書士報酬

(関連業務全てを依頼した場合の中央値)

11万円
必要書類の発行手数料 5,000円に設定
【合計】 17.2万円

※司法書士の実費経費と公的書類発行手数料除く

※上記費用は目安です。実際の費用と異なる可能性もありますのでご了承ください。

 

 

物件価格が3,000万円の場合

 

登録免許税

(土地・家屋の所有者移転登記)

8.4万円

(3,000万円 × 70% × 0.4%)

登録免許税

(抵当権抹消)

1,000円
司法書士報酬

(関連業務全てを依頼した場合の中央値)

11万円
必要書類の発行手数料 5,000円に設定
【合計】 20万円

※司法書士の実費経費と公的書類発行手数料除く

※上記費用は目安です。実際の費用と異なる可能性もありますのでご了承ください。

 

 

物件価格が4,000万円の場合

 

登録免許税

(土地・家屋の所有者移転登記)

11.2万円

(4,000万円 × 70% × 0.4%)

登録免許税

(抵当権抹消)

1,000円
司法書士報酬

(関連業務全てを依頼した場合の中央値)

11万円
必要書類の発行手数料 5,000円に設定
【合計】 22.8万円

※司法書士の実費経費と公的書類発行手数料除く

※上記費用は目安です。実際の費用と異なる可能性もありますのでご了承ください。

 

 

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■相続登記に関するFAQ

 

マンションリノベの相場

 

ここでは、マンションなど不動産を相続予定の方からいただくよくある質問を紹介します。

 

 

Q.「マンションの相続登記は夫婦の場合と親子の場合で違いはある?」

 

A.「手続きに違いはありませんが、法定相続割合によっては“代償分割”が必要な可能性もあります。」

 

不動産を名義変更する手続きは、相続人が配偶者である場合と子供の場合で違いはありません。

 

ただし、法定相続割合は配偶者(子供がいる場合)は1/2なのに対して、子供は残り1/2を兄弟で分けなくてはいけないケースもあります。

 

例えば、子供が2人いる場合は法定相続分が1/4ずつとなり、不動産が遺産の大半だと、法定相続分が不動産価格を下回る可能性もあるのです。

 

その場合に子供のうちの1人が不動産を相続するには、他の相続人に不足分を現金で支払うなどの「代償分割」という方法を取る必要があります。

 

「代償分割」とは、共同相続人又は包括受遺者のうち1人又は数人が相続又は包括遺贈により取得した財産の現物を取得し、その現物を取得した者が他の共同相続人又は包括受遺者に対して債務を負担する分割の方法。

(引用:国税庁|第11条の2《相続税の課税価格》関係

 

 

Q.「マンションを相続したらその物件の火災保険はどうなる?」

 

A.「相続登記後は速やかに火災保険も名義変更しましょう。」

 

相続登記が終わりマンションの所有者が正式に変わったら、速やかに火災保険の契約者と被保険者の名義を変更しましょう。

 

「火災保険契約内容変更届出書」を記入して提出するだけなので、手間も費用もかかりません。

 

ただし、契約している火災保険が積立型で満期時に返戻金が支払われるタイプですと、遺産の一部とみなされるケースもあり、名義変更に相続人全員の承諾が必要な可能性もあります。

 

どのタイプの火災保険も、変更届を出しておかないと、万が一、火災に遭った時に保険金がでない可能性もありますので、注意してください。

 

 

Q.「登記にかかる費用はいつのタイミングで支払う?」

 

A.「登録免許税は手続き申請時に、司法書士に頼む場合は、報酬と合わせて全ての経費を手続き完了時に支払います。」

 

まず、登録免許税は法務局で申請書を提出する際、収入印紙として貼付して納付します。

 

司法書士へ依頼する場合は、登録免許税・報酬・その他経費を、登記が完了した後に一括で支払うのが一般的です。

 

ただし、登記する不動産の件数が多い場合など、請求額が高額になる場合は、一部を前払いするケースもあります。

 

 

Q.「自宅の近所にある法務局でも手続きできる?」

 

A.「相続するマンションの所在地を管轄する法務局に行かなくてはいけません。」

 

法務局は全国に多数ありますが、どこでも名義変更できる訳ではありません。

 

手続きできる法務局は、不動産所在地を管轄している法務局のみです。

 

親御さんとご自身が離れているエリアに住んでいる場合は注意しましょう。

 

 

Q.「名義変更完了までの期間は短縮できる?」

 

A.「相続登記を早く済ませたい方は、被相続人と相続人で協力して早めに準備しておきましょう。」

 

マンションを相続したら「すぐに売却処分したい」「すぐに賃貸として貸し出したい」という方もいるかもしれません。

 

その場合は、少しでも早く名義変更したいですよね。

 

一般的には、相続登記する場合、準備期間から完了まで2〜3ヶ月程度かかりますが、以下の方法を知っておくと、この期間を短縮できるかもしれません。

 

  • ・被相続人が元気なうちから、対象不動産の相続人を決めておく(全相続人の承諾を得ておく)=遺産分割協議の期間を短縮できる
  • ・相続登記の必要書類の収集を早めに始める(被相続人の戸籍謄本や固定資産税評価証明書、不動産登記事項証明書など)=必要書類の収集期間を短縮できる
  • ・司法書士に依頼する=ノウハウを知っているため、書類作成や申請がスムーズでやり直しや修正がない

 

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■まとめ

 

マンションを相続する場合、名義変更は必須です。

 

名義変更(相続登記)を済ませない限り、その物件を売却したり賃貸に出したりできません。

 

不動産の相続登記には、申請書類を揃えて手続き費用を支払う必要があるため、事前に手順などを知っておくと安心です。

 

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