公開日:2023-09-27  更新日:2024-07-04

アパート築年数の限界は何年?寿命を過ぎたアパートのデメリットと対策

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築年数の寿命を迎えたアパート

 

アパート経営において、家賃収入と修繕費に大きく影響する築年数は非常に重要なポイントです。

 

築年数が経ったアパートは空室率の上昇や維持管理費用の増加といったデメリットがあるため、建て替えや一棟リノベーションなどを検討するのが一般的です。

 

その際、アパート築年数の限界は何年くらいなのか気になりますよね?

 

建物の限界が来る前に建て直すともったいないですし、一棟リノベーションしてすぐに使えなくなってしまっても意味がありません。

 

今回はアパート築年数の限界について、構造や耐震性、収益性などさまざまな観点から詳しくチェックしていきましょう。

 

この記事のポイント
・アパート築年数の限界は、軽微なメンテナンスで使い続ける場合は30年、一棟リノベーションすれば60~100年が目安です。
・築年数の限界を過ぎたアパートはさまざまなデメリットが発生するため、ちょうど良いタイミングで建て替えや一棟リノベーションをする必要があります。
・アパートを建て替えるのか、一棟リノベーションするのか、判断基準を解説します。

 

 

 

■築年数の限界を過ぎたアパートのデメリット

 

アパートの築年数が古くなり限界を超えると、次のようにさまざまなデメリットが発生します。

 

 

デメリット① 空室率の上昇

 

築古アパートの空室

 

賃貸ユーザーは基本的に築浅物件を好みますので、築年数が古くなるにつれて空室率は上昇していきます。

 

特に築40~50年頃のアパートは検討候補から外されてしまうことが多くなり、入居者を見つけるのが難しくなる傾向にあります。

 

 

デメリット② 家賃収入の低下

 

築年数の限界で家賃収入が減少するアパート

 

築年数の限界を超えると空室期間が長くなり、その分家賃収入が低下するのも大きなデメリット。

 

築年数が古くなるほど賃料を下げないと入居者を見つけにくくなり、さらに家賃収入は減少していきます。

 

 

デメリット③ 修繕費用が増加

 

築年数の限界で破損したアパート

 

どのような構造のアパートも、築年数の限界を超えると老朽化が進んでいくため、修繕費用が増加してキャッシュフローを圧迫してしまいます。

 

例えば外回りのメンテナンスは外壁・屋根塗装が基本ですが、構造によっては30~40年を超えると外壁・屋根材自体の交換が必要になり、多額の出費が発生します。

 

水回りや電気設備なども修理・交換頻度が増えていくため、必然的に修繕費用は増加していくのです。

 

 

デメリット④ 税金が高くなる

 

法定耐用年数を過ぎるとアパートの税金が増える

 

築年数の限界を超えたアパートは減価償却できなくなり、家賃収入に対する税金が高くなるのもデメリットです。

 

アパートの取得・建築にかかった費用は、法定耐用年数に応じて減価償却していきます。

 

法定耐用年数が残っているうちは、家賃収入から減価償却費を差し引けるため、税金を安く抑えられます。

 

しかし築年数が法定耐用年数を超えると減価償却がなくなり、家賃収入全額に課税されるので負担が大きくなるのです。

 

 

デメリット⑤ 売却が難しくなる

 

築年数の限界を過ぎたアパートの外観

 

ここまで見てきたように築年数の限界を超えたアパートにはさまざまなデメリットがあるため、買手が付きにくく売却の難易度が高くなります。

 

築古アパートは購入後に多額の費用がかかる可能性があるため、購入側の目線で見るとメリットよりデメリットの方が大きいのです。

 

土地の資産価値が高ければ売れる可能性はありますが、築年数を超えている場合、解体費用の分値引きされてしまうケースも。

 

 

■アパート築年数の限界

 

築年数の限界のアパートの廊下

 

 

築年数と法定耐用年数の関係

 

アパート築年数の限界を考えるとき、法定耐用年数の話が出てくることは多いです。

 

構造 法定耐用年数
木造 22年
鉄骨造(3mm以下のもの) 19年
鉄骨造(3mmを超え4mm以下のもの) 27年
鉄骨造(4mmを超えるもの) 34年

 

アパートは構造ごとに法定耐用年数が定められていますが、一般的な築年数よりかなり短い印象を受けますよね。

 

法定耐用年数はあくまで税法上定められた期間で、実際にアパートの寿命を決める数字ではありません。

 

法定耐用年数はアパートの建築費用・取得費用を減価償却する期間で、残存期間が無くなると節税効果を得られなくなります。

 

ただし、適切にメンテナンスすれば法定耐用年数より長い期間アパートを使うことは難しくないため、築年数の限界とは言えないでしょう。

 

 

耐震基準による築年数の限界

 

耐震性が低いアパートの外観

 

アパートの耐震基準も、資産価値や築年数の限界を左右する要素として挙げられることが多いです。

 

  • 旧耐震基準:震度5程度で倒壊しない
  • 新耐震基準:震度6強から7の地震でほとんど損傷しない

 

耐震基準は1981年5月31に大きく改正されていて、建築確認申請をしたタイミングによって上記のどちらかに分かれます。

 

1981年5月31日以前に建築確認申請をしたアパートは、旧耐震基準で建てられている可能性があり、大きな地震で損傷・倒壊するリスクが高くなります。

 

ただし、旧耐震基準の時期に建てられていても新耐震基準を満たしているアパートも。

 

また耐震補強で対応できることもあるので、1981年以前に建築されたアパートでも経営を続けることは可能です。

 

 

構造・建材の限界

 

アパートはさまざまな構造体や建材でできていて、築年数の限界は部位ごとに異なります。

 

アパートの構造/部位 築年数の限界
構造体(柱・梁・土台など) 60~100年
外壁/屋根 30~40年
水回り設備/給排水管 30年

 

木造・鉄骨造どちらのアパートも、建物本体の構造体は適切にメンテナンスすれば60~100年使うのは難しくありません。

 

しかし外壁、屋根や水回り設備は30年を超えると寿命を迎えるため、交換やリノベーションが必要になります。

 

つまり、内装リフォームや外壁塗装などの基本メンテナンスだけで使い続けるなら、アパート築年数の限界は30年ということです。

 

しかし逆に言えば、築30年前後のタイミングで外壁屋根や水回り設備を交換すれば、構造体の寿命である60~100年近く使うことも可能です。

 

 

■老朽化したアパートの対策は?

 

前述したように築年数の限界を超えたアパートはさまざまなデメリットが生じるため、そのままの状態で経営し続けることはできません。

 

老朽化したアパートがとるべき対策は、大きく分けると次の3パターンです。

 

 

①売却

 

古いアパートの売却

 

既に初期投資を回収できている、または売却益で回収できる見込みがあるなら、アパートを売却するのはお手軽な選択肢と言えるでしょう。

 

築古アパートの売却難易度は高めですが、立地が良いなら土地の資産価値で売れる可能性はあります。

 

ただし、売却するとその後の家賃収入は無くなってしまうので、立地の良いアパートは後述する建て替えや一棟リノベーションで経営を続けたほうがオトクなケースも。

 

 

②建て替え

 

アパートの建て替えによる解体作業

 

築年数の限界を超えて状態が悪いアパートは、建て替えで新築アパートとして経営を続けるのも一つの選択肢です。

 

建て替えは新築と同じ扱いなので融資を受けやすく、法定耐用年数もリセットされるので節税効果も得ることができます。

 

また、それまでの経営で得たノウハウを基に間取りや設備を考えれば、より収益性の高いアパートを建てられる可能性も高いでしょう。

 

ただし、建て替えは解体費用が発生するので、単純な新築より費用は多めにかかります。

 

また建蔽率・容積率の変更、要セットバックの土地で建て替える場合、今までのアパートより床面積が小さくなってしまうケースも。

 

建物の状況や条件によっては後述する一棟リノベーションの方が適しているケースもあるので、両方比較検討するのがおすすめです。

 

 

③一棟リノベーション

 

築年数の限界を迎えたアパートの一棟リノベーション

 

アパートの室内だけでなく、外観・共用部分も含めて一棟丸ごとリノベーションするケースも増えています。

 

一棟リノベーションは建て替えより費用を抑えつつ、新築同様の間取りやデザインで入居率や家賃収入を回復できるのがメリット。

 

ただし雨漏りやシロアリ被害、耐震性不足などの問題を抱えているアパートは、費用が多めにかかるケースもあります。

 

〈関連コラム〉

一棟リノベーションのメリット・デメリット|費用相場と事例も紹介

 

 

■アパートの建て替え・一棟リノベーションの判断基準は?

 

先ほどご紹介した3つの対策のうち、売却せずアパートの経営を続けるなら、建て替えか一棟リノベーションどちらかを選ぶことになります。

 

建て替えと一棟リノベーションどちらが適しているかの判断は、建物の状態によって変わります。

 

築年数の限界を過ぎ状態の悪いアパート

 

適切にメンテナンスされておらず状態が悪いアパートは、リノベーション以外に多額の修繕費用がかかる可能性が高いため、建て替えの方が向いているでしょう。

 

一棟リノベーションしたアパート

 

逆に、しっかりメンテナンスしていて建物の状態が良いアパートは、費用を抑えられる一棟リノベーションが向いています。

 

例えば、30㎡×8室の木造アパートの平均費用相場で考えると、建て替えより一棟リノベーションの方が1,000万円以上安く抑えられる可能性が高いです。

 

〈関連コラム〉

アパートリノベーションの費用相場|建て替えとどっちがお得?

 

実際には、アパートの規模や収益性、自己資金額や融資のハードルなど、さまざまな要素が判断基準となります。

 

しかし、補修やメンテナンスをすればまだ使える状態のアパートなら、費用面で有利な一棟リノベーションを検討してみてください。

 

 

■まとめ

 

アパートの築年数の限界は、法定耐用年数・構造・耐震性・収益性などさまざまな要素が影響します。

 

築年数が古くなるほど収益性が低下し資金繰りが厳しくなるので、身動きが取れなくなる前に対策を取ることが大切です。

 

今までは、築年数の限界を超えたアパートは建て替える「ビルド&スクラップ」の考え方が一般的でした。

 

しかし最近は、環境負荷が低く費用も抑えられるなど、メリットが多い一棟リノベーションを選ぶ大家様も増えています。

 

それぞれのメリット・デメリットを踏まえて、所有するアパートの状態や経営方針に合う選択をしてください。

 

東京・千葉・神奈川エリアの築年数が経ったアパートをお持ちの方は、リノベーション専門店のSHUKEN Reにご相談ください。

 

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    SHUKEN Re 編集部

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