公開日:2023-05-07 更新日:2024-11-02
一棟まるごと空室対策|賃貸リノベーションで満室経営を
賃貸アパートを経営しているオーナー様にとって、家賃収入に直結する空室対策は重要度の高い取り組みの一つです。
築年数が建つと賃貸ニーズが変化し、設備や内装も古くなるため入居率が低下していきます。
一棟まるごと適切な空室対策を行うことで、入居率をキープし安定した家賃収入を得るキャッシュフロー対策が可能になります。
今回は令和時代の賃貸アパート経営で行うべき必須の「一棟リノベーション」による空室対策について、基本的な考え方、マーケティング戦略の立て方、具体的な成功例までしっかりチェックしていきましょう。
・効果的に空室対策「一棟リノベーション」について解説します。
目次
■空室対策の重要性:早期のキャッシュフローの改善のために
賃貸経営において、空室対策は大変重要度の高い取り組みの一つです。
入居率が低下した状態が長く続くと、家賃収入が減少しキャッシュフローが悪化していきます。
キャッシュフローが悪化すると、空室対策の際に資金調達が必要になり、対策の実行スピードに欠け、競合より後手に回ると選択肢も狭まります。
アパートの築年数が経ち空室が増えてきたと感じたら、早めに空室対策をすることが大切です。
■空室対策の基本
具体的に空室対策を検討する前に、基本的な考え方・戦略を押さえておくことで大きな効果を引き出すことができます。
物件の魅力を引き出すこと
空室対策は、入居者の目線に立って物件の魅力を引き出すことが基本的な考え方です。
まずはターゲットユーザーを明確にして、「この物件に住みたい!」と感じてもらえる対策を考えましょう。
マーケティング戦略の策定
入居者にとって魅力的な物件をつくるためには、マーケティング戦略の策定と、具体的なエリアマーケティング施策が欠かせません。
- 地域の特徴を把握する
- 商圏人口を調査
(地図で見る統計jSTAT MAP) - 人流データを調査
(国土交通省:全国の人流オープンデータ(1kmメッシュ、市区町村単位発地別) - 競合物件調査
エリアマーケティングは賃貸物件取得時にも実施しているはずですが、時間とともに状況が変化し、入居率低下の原因になっている可能性も高いです。
地域の特徴や賃貸ニーズの変化を管理会社や不動産会社に聞き取り調査したり、統計情報などのデータから商圏人口・人流データをチェックしましょう。
また競合物件の増加によって需要が流れているケースもありますので、ユーザー目線で地域の賃貸物件を調査することも大切です。
顧客満足度経営と潜在顧客への効果的なアプローチ手法
空室対策では、入居者の満足度をさらに向上させる賃貸サービスの強化と、これまで情報を届けられていなかった潜在顧客にアプローチし、見込み客を増やすことも重要になります。
例えばコロナ禍では不動産会社への来店を控えるユーザーが増え、オンライン内見の普及が進みました。
内見から重要事項説明を含めた契約、鍵の受け渡しまでオンラインや郵送で完結することも可能になっています。
また若い世代を中心に、InstagramなどのSNSでおしゃれな賃貸アパートを探す方も増えています。
令和時代の空室対策は、ユーザー行動の変化に合わせて、今まで潜在顧客へのアプローチを増やすことが重要です。
■効果的な空室対策の具体例
①募集条件を見直す
地域の賃貸ニーズは年数とともに変化しますので、募集条件を見直して空室対策をしましょう。
- ガーデニング・家庭菜園付きアパートにする
- 高齢者・外国人を受け入れる
- シェアハウス対応する
- ペット可にする
- 楽器演奏相談可能にする
- 敷金・礼金を下げる
- フリーレント制の導入
- 賃料を見直す
近年は、賃貸でも家庭菜園やレンタル農園を併設する物件も増えてきました。敷地に余裕があれば専用のガーデニングスペースが確保できますが、レンタル制にすれば、賃料収入も補填できます。
現代の日本では高齢者・外国人労働者の方が増えていますので、募集条件を緩和するのも効果的なアイデアです。
ペット飼育・楽器演奏相談可能にするのも、少しハードルが高いですが、競合が少なければ空室対策効果は高いです。
敷金・礼金を下げたり、フリーレント期間を設けたりして、初期費用を抑えるのも入居率アップにつながる取り組みの一つ。
賃料の見直しは地域全体の相場や築年数のバランスを考え、最後に検討するのが良いでしょう。
②内見を増やす工夫をする
アパートの空室を確実に埋めるためには、内見数を増やす工夫も欠かせません。
- 写真を充実させる
- 内見しやすいカギの管理方法にする
- 集客力の高い会社に切り替える
- 広告料を支払う
室内写真は内見前の印象に大きく影響しますので、明るい時間に撮る・枚数を増やすなど工夫をしてみましょう。
またキーボックスなどでカギを管理しやすくしておくと、営業マンに内見案内してもらえる可能性がアップするかもしれません。
そもそも集客力が低い会社に仲介を頼んでも効果が期待できないので、違う会社に切り替えるのも一つの手です。
なるべく早めに空室を埋めたいときは、広告料をプラスして積極的に案内してもらえるようにしましょう。
③管理・清掃を徹底する
内見する室内はもちろん、共用廊下やお庭などアパート全体の管理・清掃を徹底することも大切な空室対策です。
お部屋が汚いのは問題外ですが、共用廊下やお庭にゴミ・雑草があると、大きなマイナスイメージになります。
オーナー様ご自身で管理するのが難しい場合は、管理会社との契約内容を見直して任せることも検討してみましょう。
④設備を充実させる
現代の賃貸ニーズに合わせて、人気の設備を導入するのも効果的な空室対策です。
- カメラ付きインターホン
- オートロック
- 無料インターネット
- 宅配ボックス
- エアコン
- 家具・インテリア
カメラ付きインターホンやオートロックなどのセキュリティ設備は、女性やファミリー層に人気が高いです。
無料インターネットは世代を問わず人気ですが、若い単身者やお子さんが居る家庭だとさらに需要が高いでしょう。
宅配ボックス・エアコン・家具インテリアなどの設備も、ユーザー属性や競合の状況に合わせて導入を検討してみてください。
⑤リフォーム・リノベーションする
築年数が古いアパートは、内装・外観をまるごと一棟リフォーム・リノベーションすることで空室対策になります。
- 畳をフローリングに
- 在来浴室をユニットバスに
- 対面のシステムキッチンに
- ホテルライクな内装に
- 追い炊きを設置
- ウォシュレットを設置
- 外壁・屋根塗装
- 太陽光発電を設置
若い世代の方が多い地域なら、畳をフローリングに、タイルの在来浴室をユニットバスにするのが効果的。
ファミリー層メインなら、お子さんを見守りやすい対面レイアウトのシステムキッチンの効果が高いでしょう。
若いご夫婦が多い地域であれば、シンプルながら高級感のある内装にするとおしゃれな物件としての訴求力が高まります。
追い炊きやウォシュレットなど、利便性が向上するリフォームも検討したい内容です。
外壁屋根塗装は外観イメージを一新できるので内見時の印象が良くなり、雨漏りを防いで建物の耐久性もアップします。
太陽光発電システムを導入すれば、入居者・管理費等の光熱費の低減により、入居者満足度を高めることもできます。
外観から内装まで一棟まるごとリノベーションすることで、よりインパクトのある対策を打つことが可能になります。
■オンラインでできる空室対策
①セミナーや相談会に参加する
不動産会社や賃貸管理会社が開催するオンラインセミナーや相談会は、空室対策のアイデアや情報を得る貴重なチャンスです。
賃貸ニーズやトレンドの変化など、専門家ならではの情報も得ることができるでしょう。
オンラインなら時間と手間を大幅に省略できるので、積極的に活用してみてください。
②オンライン内見/契約に対応する
前述したように最近はオンライン完結できる賃貸物件を求めるユーザーが増えているので、効果的な空室対策になる可能性が高いです。
賃貸物件のオンライン対応は特別な投資が不要で、ローコスト&手軽に対策でき大きな効果が期待できます。
③SNSで情報発信する
InstagramやLINEなどSNSで情報発信するのも、オンラインで手軽にできる空室対策の一つ。
LINE問い合わせはメールやWEBフォームよりハードルが低く、定期的に最新情報を発信できます。
Instagramもフォロワーに最新の空室情報などを発信できるので、問い合わせ率アップが期待できます。
■空室対策の成功事例
空室対策事例①
テーマパークに近い立地を活かし、鉄骨造アパートを民泊施設にコンバージョンした空室対策事例です。
和風・インダストリアル・フレンチなど7種類のバリエーションがある客室で、何度でも泊まりたくなる宿泊施設に生まれ変わりました。
空室対策事例②
企業の借り上げ社宅需要が期待できるエリアなら、アパートから社宅にコンバージョンして空室対策するのも一つのアイデアです。
共用部のデザインや設備を充実させて、リモートワークなど新しい働き方にもしっかり対応。
■空室対策の注意点と失敗例
空室対策はただ費用をかければ効果が出るものではありません。
空室対策をしたのに効果が出ないときは、次のような失敗例に陥っていないか確認してみてください。
①ユーザー属性とニーズが曖昧
メインのユーザー属性や求められていることが分かっていない状態では、適切な空室対策を判断することができません。
例えば独身男性がメインユーザーのアパートに、高価なシステムキッチンを導入しても大きな効果は得られないかもしれません。
独身男性が多いアパートなら、無料インターネットの方が入居率アップが期待できるでしょう。
空室対策しても効果が出ないときは、ユーザー属性とニーズにマッチしているか再確認してみてください。
②競合と差別化できていない
市場調査をおこたり、競合と差別化できない空室対策を行っても大きな効果は期待できません。
例えばペット可物件は特定ユーザーの需要を狙えますが、周囲に同じような競合物件がたくさんあったら埋もれてしまう可能性が高いです。
空室対策を検討する際は必ず周辺の市場調査を行い、競合と差別化できる方法を選びましょう。
③賃料が相場と合っていない
間取り・築年数が地域の賃料相場と合っていない場合、空室対策をしても効果が上がらない可能性があります。
一般的に木造アパートの賃料相場は、築年数が1年経つごとに1%低下すると言われています。
新築時に家賃6万円のアパートは、築20年になると4.8万円まで相場が下がってしまうということです。
参照元:借家家賃の経年変化について
家賃設定は収益に直結するためむやみに下げるわけにはいきませんが、長期間変更していないなら見直してみる必要があるかもしれません。
④そもそもユーザーに見られていない
適切な空室対策を行っても、ユーザーに見てもらう機会が少ないと効果を上げるのは難しいです。
例えばリフォームで設備を充実させても、仲介会社に伝わらなければ積極的に紹介してもらえません。
また管理や客付けを任せている会社の集客力が低い場合、母数が少ないので内見率・契約率も上がらないでしょう。
賃料設定や内装・設備に問題がない場合、広告・集客体制を変えるだけで空室対策になる場合もあります。
⑤設備や間取りが古い
極端に設備や間取りが古いアパートは入居者に敬遠されてしまうことが多く、空室対策をしても効果が期待できません。
和室やバランス釜の古いアパートは、最初の条件設定で候補から外されてしまう可能性が高いです。
リフォームをして専有部分をキレイにしても、外観や共用部分が古いと内見時の印象が悪く契約に至らないケースも。
築年数が古くほかの空室対策をしても効果が出ないときは、後述する一棟リノベーションも検討してみてください。
■まとめ:最強の空室対策「一棟リノベーション」とは
ここまでご紹介した空室対策を適切に実施しても効果が出ないときは、外観から内装までアパート全体の一棟リノベーションを検討してみましょう。
一棟リノベーションとは、アパートの専有部分から共有部分まで全体を一新することです。
一部屋ごとのリノベーションでは難しい部分まで一新することで、新築同様の仕上がりと耐久性にリフレッシュできるのが大きなメリット。
建て替えより費用を抑えつつ新築当時の入居率・家賃設定にリセットできるので、築年数が経ったアパートでも効果性の高い空室対策になります。
一般的な賃貸アパートだけでなく、民泊・借上げ社宅など、現代のニーズに合わせて経営方針を変更できるのも一棟リノベーションのメリット。
一棟リノベーションによる空室対策によって、入居者の募集プロモーション戦略も明確になります。
内見者への訴求力も格段に高まり、SNSなどでの販売促進の効率もアップするため、効果的な空室対策が可能になります。
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