公開日:2022-06-05 更新日:2024-07-04
古い中古マンションをリノベーションする際には要注意|アスベストが見つかった時にはどうなる?いつまで使われていた?
皆さんは「アスベスト」という素材を知っていますか?
何年も前に使用が禁止されて大々的なニュースになったことは記憶に新しいかもしれません。
既に全面使用禁止になっているものの、実は古いマンションの場合はまだアスベストを含んだ建材が残っている可能性があります。
そこで今回は、アスベストについての基礎知識から万が一リノベーションで見つかった場合の対応などについて詳しく解説します。
築年数の古いマンションにお住まいの方や、中古マンション購入を検討してる方は、ぜひ参考にしてください。
目次
■ アスベストとは?どうして使用が禁止されているの?
アスベストとは石綿(せきめん・いしわた)とも呼ばれ、繊維状ケイ酸塩鉱物の総称です。
その材質ゆえに耐熱性・耐摩耗性・耐薬品性・耐腐食性など性質を持ち、繊維状なので引っ張り力にも強い優れた素材です。
そのため、古くから保温材や耐熱性建材などに多く使用されていました。
【アスベストが含まれていた主な建材】
- ● 断熱材
- ● 吸音材
- ● 結露防止材
- ● 耐火皮膜
- ● 化粧用内装材
- ● 外装・屋根材
- ● システムバス(ユニットバス)の壁材や浴槽
- ● 吹き付け材 …
しかし、その繊維がとても細かく軽いため、材料の切断や解体する際にアスベストが飛散して作業している人などが吸い込んでしまう欠点がありました。
大量に吸い込めば肺に溜まって20年以上の潜伏期間を経て肺がんや肺線維症などの深刻な病気を引き起こしてしまいます。
アスベスト使用禁止までの変遷
1975年 | 「特定化学物質等障害予防規則の改正」によって、アスベストの含有率が5%を超える材料を用いた施工が禁止される |
1986年 | アスベストによる健康被害を抑制するためにILO(国際労働期間)が「石綿条約(第162号)」で、管理や使用、吹き付け作業の禁止指導を明確化する |
1995年 | 「労働安全衛生法施行令」が改正され、アスベストの含有量が重量の1%を超える場合の吹き付けを禁止する |
1997年 | 「大気汚染防止法」が改正され、吹き付けアスベストを使用している建物を解体する工事が「特定粉じん排出作業」に認定され、厳しく管理されるようになる |
2004年 | 「労働安全衛生法施行令」の改正に伴い、アスベストの含有量が1%を超える建材・摩擦材・接着剤などの10品目について、その製造・輸入・使用が禁止される |
2006年 | 「労働安全衛生法施行令」の改正に伴い、アスベスト及びアスベストの含有量が0.1%を超える全ての物の製造・輸入・譲渡・提供・使用が禁止される(=「全面禁止」) |
■ 建築年が1995年以降ならアスベストはない?
たしかに、1995年に労働安全衛生法施行令が大きく改正されたことをきっかけに、建築業界でもアスベストの使用に対して一気に消極的になりました。
しかし、法律上でアスベストを建築物に使うことが全面的に禁止されたのは、2006年です。
つまり、1995年以後に建設されていたとしても、微量ではあるもののアスベストを含む建材が使われていた可能性はゼロではありません。
築40年以前のマンションであれば、大なり小なりアスベストが使われていると考えても良いでしょう。
ただし、既に大規模リノベーションをしている物件であれば、除去や密閉されているはずです。
■ アスベストが含まれているかをどうやって判断するの?
では、今お住まいのマンションや購入を検討しているマンションに、アスベストが含まれているかどうかを判断する方法はあるのでしょうか?
まず、先ほどもお話しした通り全面禁止となる2006年以前に建てられた物件であれば、アスベストを含んだ材料を使っている可能性があります。
ただし、築年数だけでは完全に判断できないため、新築時の設計図や仕様書を元に材料の種類や製造年からアスベストの有無を推測しなくてはいけません。(「国土交通省・経済産業省|石綿(アスベスト)含有建材データベース」参照)
これでも確かな情報を得られない場合や、完璧な情報を知りたい場合は、専門業者に調査を依頼することをおすすめします。
■ リノベーションでアスベストが見つかったらどうすればいい?
では、マンションのリノベーションをする際に、万が一アスベストが見つかった場合はどうすれば良いのでしょうか?
「罰則がある」「リノベーションできない」と思っている人もいますが、結論から言うとそうではなく、きちんと処理さえすれば問題ありません。
建築基準法では、吹付けアスベストとアスベスト含有吹付けロックウールについては、増改築や大規模修繕をする時に、除去などの対策をとることを義務付けられています。
これは、解体時にアスベスト繊維が空気中に飛散するのを防ぐためです。
具体的な処置については、作業する内容や度合いによって方法が決められています。
「封じ込め」とは、アスベスト含有材の表面に化学物質を散布して、被覆し固定化する方法で、「囲い込み」はアスベストが露出している部分の外側からアスベストを含まない建材を取り付けて密封する方法です。
どちらもアスベストが残ったままになりますが、飛散する恐れがなくなるため、その後大きな解体工事をしない限りは健康面での不安はなくなります。
このように、アスベストを含んだ材料を処理するには大変な作業を伴います。
ただし、成形版などの場合は、解体しない限り何かしらの対策をとることは義務付けられてはいません。
ですが、ご自身やご家族の健康を考えれば、法的義務はないものの入れ替えや処分をすることをおすすめします。
ここで忘れてはいけないのが、アスベストの除去などにかかる作業代や廃棄処分費。
他の廃材と同じように撤去処分できないため、それなりの費用がかかってしまいます。
そのため、アスベスト建材が残っているであろう古いマンションをリノベーションする場合は、それらに対応できるような予備費を想定しておきましょう。
■ アスベストの調査や除去には補助金も
マンションなどの民間建築物に対するアスベスト調査については、国の補助金を利用することができます。
対象建材: | 吹付けアスベスト、アスベスト含有吹付けロックウール、吹付けバーミキュライト、吹付けパーライト等 |
対象建築物: | 吹付けアスベスト等が施工されているおそれのある住宅・建築物 |
補助内容: | 対象建築物の所有者等が行う、吹付け材のアスベスト含有調査に要する費用 |
補助金額: | 限度額は原則として25万円/棟 |
申請窓口は都道府県ごとに設けられており、補助制度を行っていない地方公共団体もあります。
また、自治体によっては除去についても補助対象となる場合もあります。
詳細な情報は各担当部署へ問い合わせましょう。
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■ まとめ:アスベストはきちんと処理さえすれば安心
「リノベーションをしたらアスベストが見つかった」「古いマンションだからアスベストがあるかも」と不安に思う人は少なくないでしょう。
確かに、今や使用や施工が法律によって全面的に禁止されているため、見つかったら“一大事”と思うかもしれません。
しかし、適正な処置さえすればその後も安心して生活することができます。
アスベストに関して少しでも心配や不安を感じている方は、マンションリノベーションの実績がある会社に相談しましょう。
経験や知識を踏まえて、適切な処置ができるからです。
ぜひ、皆さんもあまりアスベストを怖がりすぎずに、きちんとした知識を持って都度対応してください。
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