中古住宅の“現状渡し”とは?売主と買主のメリット・デメリットや注意点について
中古住宅の売買において、その不動産の状態を契約書に記載します。
その際に見かけるのが、「現状渡し」、正式には「現状有姿渡し」です。
不動産業界の専門用語なので、法律との関連性やメリット・デメリットについては知らない方も多いでしょう。
そこで、今回は「現状渡し(現状有姿渡し)」について、詳しく解説します。
これから中古住宅を売りに出そうとしている方や、購入を検討している方は、是非参考にしてください。
・現状渡し(現状有姿渡し)とは、そのままの状態で引き渡す方法で、日本でも多く採用されています。
・引き渡し後のトラブルを防ぐためにも、売主・買主双方が契約前に、建物の現状を十分に把握することが重要です。
・howzlifeでは、中古物件探しからローン相談、リノベーション、アフターサービスまでまとめてお任せいただける「ワンストップリノベーション」や、不要な不動産の売却をご相談いただける「ホームパス」サービスをご用意しています。
Contents
“現状渡し”とは?契約不適合責任・告知義務との関係性は?
「現状渡し」は、正式には「現状有姿渡し」と言い、字の通り“現状そのまま”で売買することを意味します。
つまり、多少不具合や汚れがあっても特にリノベーションはされませんし、解体することもありません。
中古住宅の売買取引においては、「家の中の残置物は撤去するが、建物そのものは現状有姿渡し」などのような使われ方をされます。
日本では、取引の60%以上が現状有姿渡しであるというデータもあり、一般的な取引方法です。
ここまで聞くと疑問に思うのが、“保証”との関係性ですよね。
中古住宅の売買取引においては、売主へ「契約不適合責任」が課せられます。
これは、2020年に改正された民法に基づく責任で、契約にそぐわない不具合などが見つかった場合、買主が売主へ契約解除や是正請求、損害賠償請求できる権利を指します。
契約不適合責任は、瑕疵(かし)、つまり見えない部分の不具合なども対象となるため、引き渡しを受けてからその不具合に気がついたとしても、一定の期間内は保証されるのです。
現状有姿渡しの場合、契約書に不具合箇所や劣化箇所について記載があれば、その部分は“納得した上で購入した=契約時不適合ではない”とみなされ、保証対象外となります。
一方で、特記されていない不具合が引き渡し後に見つかれば、それは“把握せずに購入した=契約不適合”となり、保証の対象となるということです。
「不具合などをきちんと伝えてくれるか心配」「不具合の告知期限を超えてから致命的な劣化が見つかっては困る」そう考える方もいるでしょう。
そのようなトラブルを防ぐために定められているのが、「告知義務」です。
宅地建物取引業法の第35条(重要事項の説明等)及び、第47条(業務に関する禁止事項)に基づき、不動産仲介業者は、建物に関する重要な事項を敢えて買主に伝えなかったり、間違った情報を伝えたりすれば、厳しく罰せられます。
そのため、建物の状態を買主がきちんと把握できるように、売買契約書には、現状確認書や付帯設備表などの書類が添付されます。
過去の修繕履歴や、現状の不具合箇所なども明記されるため、買主はそれらを十分確認して購入しなくてはいけません。
「告知義務」及び「契約不適合責任」によって、現状有姿渡しの場合も、売主の責任や保証範囲が明確化され、売主・買主間のトラブルが減りました。
ただし、この制度は単に売主が不利になるという訳ではなく、買主側にも事前に不具合を十分把握する責任が課せられたということです。
日本の中古住宅売買取引において、現状有姿渡しが多いのには理由があります。
それは、売主・買主双方にメリットがあるからです。
ただし、事前に知っておかなくてはいけないデメリットもあります。
では、それぞれ見ていきましょう。
売主のメリット・デメリット
売主にとって最大のメリットは、「手直しする手間と費用がかからない」という点につきます。
引き渡し前に修繕工事を手配したり、リノベーションに費用をかける必要がないのです。
売主にとって大きなデメリットはありませんが、現状の不具合や劣化をきちんと把握して、それを買主に伝える義務があるため、売り出す前に「ホームインスペクション(住宅診断)」を手配することをおすすめします。
ホームインスペクション(住宅診断)とは、住宅に精通したホームインスペクター(住宅診断士)が、第三者的な立場から、また専門家の見地から、住宅の劣化状況、不具合事象の有無、改修すべき箇所やその時期、おおよその費用などを見きわめ、アドバイスを行なう専門業務を指します。
住宅の購入前や、ご自宅の売り出し前にホームインスペクションを行なうことで、建物のコンディションを把握し、安心して取引を行うことができます。
居住中のご自宅について調べることもあります。
また、不動産仲介業者が物件の状況を消費者に明らかにするために利用するケースも増えています。(引用:日本ホームインスペクターズ協会)
ホームインスペクションの結果に基づき、不具合などを事前に買主へ伝えることで、引き渡し後のトラブルを未然に防げます。
買主のメリット・デメリット
買主にとってのメリットは、ありのままの状態を確認して納得した上で購入できる点と、比較的物件価格が安い点です。
現状有姿渡しでないと、完成形を契約前に確認することが難しいですし、補修費用などが物件価格に上乗せされているケースも少なくありません。
現状を踏まえて、好きなようにリノベーションできる点も魅力と言えるでしょう。
ただし、一方で劣化度合いによっては引き渡し後すぐに住めない可能性もありますし、補修工事やリノベーションの手配は買主がしなくてはいけません。
そのため、引き渡し後にどうしても手間や費用がかかってしまいます。
物件購入費用と手直しにかかる総コストを事前に予算立てするためにも、契約前にしっかりと現状を把握することがポイントです。
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“現状有姿渡し”の気になる疑問とその対策
不動産取引においては決して珍しくない現状有姿渡しですが、実際に売却・購入を検討すると、いろいろと疑問が湧いてきますよね。
そこで、ここでは多くの方が気になる疑問について解説します。
「残置物はどうなるの?」
いくら現状のまま引き渡すといっても、通常の場合、残置物(家財品やゴミなど)はその対象に含まれません。
残置物に関する法律はないものの、基本的には売主の責任で引き渡しまでに撤去処分します。
ただし、あくまでもこれは“マナー”であり法的拘束力はないため、あまりにも多くの残置物がある場合は、契約書類に「売主が引き渡しまでに撤去処分する」という旨の特記を書き加えておくと良いでしょう。
ちなみに、家具・家電・日用品などを全て撤去して引き渡すことを「空渡し」と呼ぶこともあり、逆に売主・買主双方の承諾が取れていれば、荷物を残して引き渡すことも可能です。
「雨漏りがある場合でも現状有姿渡しできる?」
結論から言うと、雨漏りがあっても現状有姿渡しでの契約はできます。
法律上、雨漏りがあることをきちんと伝え、買主がそれに納得した上で取引が成立した場合は、契約不適合責任の対象外となり、売主に保証義務は発生しません。
トラブルを避けるためにも、少しでも雨漏りの可能性がある場合は、プロに診断してもらい、現状を買主へしっかり伝えることが重要です。
「ホームインスペクション(住宅診断)の費用は売主・買主どちらの負担?」
ホームインスペクションの費用は、買主・売主どちらが負担しても構いません。
多くの場合は現状を把握するために売主が事前に手配することが多いですが、買主側で契約前に不安要素を取り除きたいと手配するケースもあります。
戸建住宅の場合は、目視による簡易診断で5~7万円程度、屋根裏や床下まで隈なく調査する詳細診断で6~12万円程度かかりますので、誰が費用を負担するのかについては、商談の早い段階で打ち合わせしておくと良いでしょう。
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不動産売買は、注意しなくてはいけない点や、しっかり確認しなくてはいけない点がたくさんあります。
安心して中古住宅の売却・購入をしたい方は、信頼できる不動産仲介会社を選ぶことが重要です。
中古住宅の売却・購入は、リノベーションに強い不動産会社への相談がおすすめ
事例を見る:Case143「光あふれ、風に寄り添うワンルーム」
中古住宅の売却や購入は、多くの方にとって人生でそう何度もない出来事です。
大きなお金が動くため、不安を抱える方も少なくないでしょう。
そこでポイントとなるのが、不動産仲介会社選び。
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まとめ:中古住宅の売却・購入する際は“プロの経験と知識”が必須
中古住宅を現状有姿渡しで売買する場合、引き渡し後のトラブルを防ぐためにも、プロの経験と知識は欠かせません。
契約不適合責任に関わる不具合・劣化箇所の把握や、残置物の処理について、契約時に売主・買主双方できちんと把握しなくてはいけないからです。
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