漆喰(しっくい)とは

漆喰(しっくい)

【漆喰(しっくい)】

 

1. 概要

 

「漆喰」とは、日本の伝統的な左官(さかん)材料(職人がコテを使って塗り仕上げる壁材)の一種です。主原料である消石灰(水酸化カルシウム)に、麻などの繊維(スサ)や、糊(のり)を加えて水で練り上げたものです。

 

最大の特徴は、塗った後に空気中の二酸化炭素と化学反応を起こし、時間をかけてゆっくりと硬化していく(元の石灰石に近い状態に戻る)点です。そのため、年月を経るごとに強度が増していきます。

 

 

2. メリット

 

自然素材である漆喰には、日本の気候風土に適した多くの優れた機能があります。

 

  • 調湿性(結露抑制): 空間の湿度が高い時は湿気を吸収し、乾燥している時は湿気を放出する「呼吸する壁」です。結露を抑制し、カビの発生を抑える効果が期待できます。

 

  • 消臭・抗菌性: 主成分である消石灰は強いアルカリ性のため、カビや菌の繁殖を防ぎます。また、ペットやタバコなどの生活臭を吸着・分解する効果もあります。

 

  • 防火性: 消石灰は不燃性の鉱物であるため、燃えにくい素材として建築基準法でも「不燃材料」に認定されています。

 

  • 意匠性(デザイン): 左官職人のコテさばきによって、フラットな仕上げから模様をつけた仕上げまで、多様なテクスチャー(質感)を生み出せます。ビニールクロスにはない独特の陰影と上質な風合いが魅力です。

 

 

3. デメリットと注意点

 

  • コストと工期: ビニールクロス(壁紙)の張り替えと比較して、材料費と左官工事(職人の手作業)の費用がかかります。また、塗った後に乾燥させる時間が必要なため、工期も長くなる傾向があります。

 

  • ひび割れ(クラック): 下地の動きや建物の揺れなどにより、表面に細かなひび割れ(ヘアークラック)が生じることがあります。

 

  • 職人の技術力: 仕上がりの美しさが左官職人の技術力に大きく左右されます。

 

リノベーションで採用する際は、リビングの一面だけを漆喰にする「アクセントウォール」として取り入れるなど、コストとデザインのバランスを考えるのもおすすめです。

 

4. 関連語

 

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