建築確認申請とは

【建築確認申請(けんちくかくにんしんせい)】
1. 概要
「建築確認申請」とは、建物の建築やリノベーション(リフォーム)の計画が、建築基準法や関連法規(安全性、防火性、耐震性など)に適合しているかを、工事開始前に公的な機関(行政の建築主事または民間の指定確認検査機関)に審査してもらうための法的な手続きです。
審査が通ると「確認済証」が交付され、工事に着手できます。
2. リノベーションにおける必要性の判断
すべてのリノベーションで建築確認申請が必要なわけではありません。特にマンションと戸建てでは、その必要性が大きく異なります。
-
原則として【不要】なケース(マンション専有部分)
マンションのリノベーションは、その多くが「専有部分」の内部に留まります。壁紙(クロス)の張り替え、キッチンやユニットバスの交換、主要構造部(柱・梁・床・構造壁)を触らない範囲での間仕切り壁の変更などは、「軽微な変更」として扱われるため、建築確認申請は原則として不要です。
(※ただし、申請が不要な工事であっても、管理組合への申請・承認は別途必要です)
-
【必要】となる主なケース
建築確認申請が必要になるのは、主に建物の構造や規模、用途に大きな変更を加える場合です。
-
大規模な修繕・模様替(特に戸建て)
戸建て住宅で、柱、梁、床、壁などの「主要構造部」のいずれか一種以上を、半分(過半)以上修繕・模様替する場合は申請が必要です。(※この規定が最もリノベーションと関連が深いです)
-
増築・改築
建物の床面積を増やす「増築」(※防火・準防火地域では床面積に関わらず必要)や、既存の建物を一部解体して建て直す「改築」を行う場合。
-
用途変更
事務所(店舗)として使われていた空間を、住居に変更する(またはその逆)など、建物の用途を変更する場合。(※床面積の条件あり)
-
3. 申請の手続きとメリット
-
手続きの流れ
建築確認申請は、専門的な設計図書(図面)の作成が必要となるため、建築士やリノベーション会社が所有者(建築主)に代わって手続きを行うのが一般的です。申請から審査完了(確認済証の交付)までは一定の期間(数週間〜)と費用が別途かかります。
-
申請を行うメリット
-
法的な安全性の確保: 専門家と行政の二重のチェックにより、耐震性や防火性などが法規に適合していることが証明され、安全な住まいが確保されます。
-
資産価値の維持: 法的手続きを適正に踏むことで、将来の売却時などに「違法建築」として扱われるリスクがなくなり、資産価値が維持されます。
-
各種ローンの利用: 住宅ローンやリフォームローンを利用する際、金融機関から確認済証の提出を求められる場合があります。
-
リノベーションの計画が建築確認申請の対象となるか否かは、専門的な判断が必要です。計画段階でリノベーションプランナーに相談し、必要な手続きや費用、期間について確認することが重要です。
4. 関連語
-
建築基準法(けんちくきじゅんほう)
-
確認済証(かくにんずみしょう)
-
検査済証(けんさずみしょう)
-
主要構造部(しゅようこうぞうぶ)
-
増築(ぞうちく)
建築確認申請の関連記事
-
リノベーションに「建築確認申請」は必要?費用と注意点は?
なんとなく聞いたことのある「建築確認申請」ですが、新……
2023.01.09 -
長屋のおしゃれなリノベーション事例|長屋暮らしのメリットや費用相場も
この記事では、長屋をリノベーションしたい方に向けて、……
2024.02.21 -
アパート築年数の限界は何年?寿命を過ぎたアパートのデメリットと対策
アパート経営において、家賃収入と修繕費に大きく影響す……
2023.09.27 -
リノベーション向き分譲マンションの選び方は?リノベーション済み物件も
東京・千葉・神奈川を中心とした都市部で、中古の分譲マ……
2023.08.06 -
〈物件探しからのリノベーション〉リノベ向き物件・探し方のコツをプロが徹底解説
「中古物件をリノベーションしておしゃれな住まいにした……
2023.07.05 -
アパートリノベーションの費用相場|建て替えとどっちがお得?
アパートの築年数が経ち空室が目立ってくるタイミングで……
2023.06.03



