公開日:2024-07-14  更新日:2024-12-13

掃き出し窓は「いらない」?メリット・デメリットと窓リフォームのポイントを解説

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掃き出し窓は「いらない」?メリット・デメリットと窓リフォームのポイントを解説

 

今住んでいる家の窓に不満を感じている方もいらっしゃるでしょう。

 

特に大きな掃き出し窓は、位置などによって日々の生活でストレスを感じる方は珍しくありません。

 

そこで、今回は「掃き出し窓」のメリット・デメリットや、“いらない”と言われてしまう理由を紹介します。

 

既存住宅の窓を快適にリフォームするためのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

このコラムのポイント

・「掃き出し窓はいらない」と言われる理由は、断熱性・防犯性の低さや、プライバシーの確保が難しい点にあります。

・掃き出しを“いらない”と感じる場合も“いる”と感じる場合も、築20年を超えている住宅はリフォーム・リノベーションを検討するのがおすすめです。

・中古物件の購入から始める方は、物件探しから資金計画、リノベーションの設計施工までフルサポートできるSHUKEN Reの「ワンストップリノベーション」がおすすめです。

 

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掃き出し窓とは?種類と必要性

 

 

「掃き出し窓(はきだしまど)」は、窓の下部が床面に接する、人が出入りできるほどの大きな窓を指します。

 

語源は昔、その開口部から外へホウキでホコリやゴミを掃き出していたことに由来します。

 

テラスへ出る窓として設置されるため、テラス窓と呼称され、近年は室内外の出入りや採光が主な設置の目的です。

 

そのため、主に1階や2階のバルコニーやベランダに面した場所に設置されます。

 

また、隣家との距離が短く窓を設置できる壁面が少ない場合には、建築基準法で定められた有効採光面積(※)を確保するために、設置するケースも少なくありません。

 

※有効採光面積:建築基準法(第28条第1項)で定められている規定で、住宅の居室において、採光できる窓などの開口面積が床面積の1/7以上であることが求められます。(地階を除く)

 

掃き出し窓の種類は、主に以下の種類に分類されます。

 

【2枚建て引き違い窓】
2枚のガラス面で構成され、互いにスライドし、どちらか1面から出入りできる

 

【片引き窓】
2枚のガラス面で構成され、1枚のみをスライドして開閉できる

 

【4枚建て引き違い窓】
4枚のガラス面で構成され、2枚1組になっていて、2面を開放できる

 

【引き分け窓】
4枚のガラス面で構成され、中央2枚を外側に向かってスライドするタイプで、中央2枚分を開放できる

 

【全開口窓(2枚・4枚・6枚)】
2・4・6枚のガラス面で構成され、折戸のように中央から外側に向かい全開口できるため、開放感が抜群

 

掃き出し窓の一般的なサイズは、幅163〜180cm・高さ183〜223cm程度ですが、最近はさらに大きな幅350cmものダイナミックなサッシを採用する事例も増えています。

 

 

掃き出し窓のメリット

 

掃き出し窓のメリット

 

掃き出し窓は、生活面におけるメリットがあります。

 

 

空間が開放的になる

 

掃き出し窓の広いガラス面は、空間に開放感をプラスします。

 

掃き出し窓があるのとないのとでは印象がかなり変わるため、戸建住宅のリビングに設置されているケースが大半です。

 

 

採光・通風効果が高い

 

窓には採光と通風を確保する役割があります。

 

開口面積の大きい掃き出し窓は、小さな窓よりも多くの光や風を取り込めるため、心地よい住空間に欠かせないと考える方は少なくありません。

 

 

室内外を出入りしやすい

 

掃き出し窓があると、出入りしやすくなるため、外へ出る機会が増えるご家庭は少なくありません。

 

そのため、庭やウッドデッキなどのアウトドア空間も日々の生活で活用できます。

 

 

避難経路になる

 

地震や火災の際、いつも出入りしている玄関から避難できるとは限りません。

 

掃き出し窓があると、避難経路が増え、迅速にご家族が外へ避難できる可能性が高まります。

 

また、外からの救助もスムーズになるため、防災面で掃き出し窓を設置する住宅は珍しくありません。

 

 

開口幅の広い出入り口になる

 

家具などの大きな荷物を搬入出したり、車椅子に乗っている人を家の中に連れたりする際にも、掃き出し窓があると便利です。

 

一般的な玄関ドアの開口幅は80〜85cm、より幅の広い親子ドアでも110〜120cm程度ですが、一般的な2枚建て引違い窓でも障子(ガラス面)を外せば160cm以上の開口を確保できます。

 

ポイント

掃き出し窓は、家の居心地や防災性能を高めるために設置されています。

そのため、「いらない」と思っても、まずはその必要性を振り返ってみることが重要です。

 

 

 

 

「掃き出し窓はいらない」と言われる理由とデメリット

 

「掃き出し窓はいらない」と言われる理由とデメリット

 

ブログやSNSを見ると、「掃き出し窓はいらない」と思っている方は少なくないようです。

 

主な理由として、以下の点が挙げられています。

「結露がひどい」
「窓辺が寒い(暑い)」
「前に家具を置いていて開け閉めしない」
「庭がないから外に出ることがほとんどない」
「レール溝を掃除しにくい」
「外からの視線や防犯面でのリスクが気になる」
「古くなって開け閉めしづらい」
「車の音や人の話し声がうるさく締め切っている」

 

では、これらの原因となるデメリットとその対策を紹介します。

 

 

プライバシーを確保しにくい

 

前面道路や隣家から近い場所に掃き出し窓があると、外からの視線が気になり、ほとんどカーテンを締め切ったままというお宅も少なくないでしょう。

 

ガラス面の広い掃き出し窓は、プライバシーを確保しにくい点は否めません。

 

特に、屋外が暗く室内で照明を点けている夜間は、家の中が丸見えになってしまうため注意しましょう。

 

対策ポイント

プライバシー確保に有効なのはカーテンやシャッターなどを設置する方法ですが、これではメリットである開放感が失われてしまいます。

おすすめは、適度に視線を遮るブラインドやミラータイプのロールススクリーンです。

室内から見てもスッキリするため、圧迫感がありません

中が見えにくくなるガラスフィルムもおすすめです。

 

 

暑さや寒さ、結露が気になる、空調効率が悪い

 

単板ガラス(一枚ガラス)は、熱伝導率が高く断熱性はほとんどありません。

 

そのため、屋内外の温度差が大きくなれば、ガラス面に結露が発生します。

 

また、窓から太陽の直射日光が差し込めば窓辺は暑くなりますし、冬は外から伝わる冷気を遮断することはできません。

 

エアコンをつけても効果を維持できないため、光熱費が高くなりがちな点も大きなデメリットと言えるでしょう。

 

対策ポイント

掃き出し窓の結露や暑さ・寒さを防ぐ手軽な方法は、内窓(インナーサッシ)の設置です。

ただし、よく開け閉めする場所ですとその作業が2回に増えるため、煩わしさを感じてしまうかもしれません。

そのため、開閉回数の多い窓は「断熱サッシ+ペアガラス」へ交換するのがおすすめです。

 

 

音が伝わりやすい

 

壁面と比べて単板ガラスは音響損失率が低く、音を伝えやすい性質を持ちます。

 

つまり、外部の音が室内へ伝わりやすく、室内の音が外へ漏れやすいということです。

 

対策ポイント

掃き出し窓から腰窓サイズの小さい窓へ変える方法も防音対策として有効ですが、開口をそのまま残す場合は、防音(遮音)ペアガラスや気密性の高い防音サッシを採用する方法がおすすめです。

コストを抑えたい方は、内窓をつけても一定の防音効果が期待できます。

 

 

防犯面で心配

 

掃き出し窓は人が出入りするための窓なので、当然のことながら、不審者も侵入しやすいということです。

 

実際に、戸建住宅における侵入犯の侵入経路は53.5%が窓からによるものというデータも出ています。(参考:警察庁|住まいる110番|手口で見る侵入犯罪の脅威

 

対策ポイント

なかなか破れない防犯ガラスへ取り替える方法が最も効果的です。

また、最近の窓サッシは、外側からクレセントそのものが見えないタイプも増えています。

これらへ取り替えると、入りやすい窓かどうか近づかなければ確認できないため、侵入犯罪の抑止力になります。

 

 

レール溝にホコリがたまる

 

掃き出し窓は、床にたまったホコリや髪の毛、ペットの抜け毛などがレールにたまりやすく、掃除が大変と感じている方も多いでしょう。

 

ホコリなどの上から結露の水が掛かると、カビやダニなどの温床になってしまいます。

 

対策ポイント

「掃き出し窓は残したいが掃除手間は楽にしたい」という方には、ノンレールサッシがおすすめです。

下枠の溝を浅くすることで、つまずきにくくゴミがたまりにくい構造のサッシです。

掃除の手間を軽減できるだけではなく、足があまり持ち上がらない方でも怪我しにくいため、バリアフリーの観点からも採用されています。

 

 

屋外に段差がありステップが必要

 

建築基準法(施行令第38条)では、木造住宅における基礎の高さは地表から30cm以上確保することになっており、40〜50cm程度が一般的です。

 

基礎の上に構造体である土台と窓を取り付けるための下地材が乗り、その上に窓サッシが設置されるため、地表から低くても60cm以上は高くなってしまいます。

 

そのため、掃き出し窓から外へ出る際にステップが必要です。

 

ステップを設置しても段差によっては転倒・落下の事故となる可能性もあります。

 

対策ポイント

掃き出し窓の外には、ウッドデッキやタイルテラスを作るのがおすすめです。

奥行きの狭いステップよりも踏み外しがなく、室内とフラットにすると、アウトドアリビングとして活用できます。

 

 

家具の配置に困る

 

開放感を得るために掃き出し窓が何ヶ所も設置されている部屋は、家具を置く壁面が少なく、窓前にテレビなどを配置しているご家庭もあります。

 

せっかくの掃き出し窓も、前に家具を置いてしまうと出入り口として使えません。

 

対策ポイント

窓前に家具を置くと、背面が紫外線で焼けたりホコリがたまりやすくなったりします。

そのため、家具の配置がうまく決まらない場合は、掃き出し窓を腰窓へ変える方法を検討してみましょう。

それだけでスッキリとした印象のお部屋へ生まれ変わります。

 

 

掃き出し窓は変えられる?後悔&失敗しない窓リフォームのポイント

 

掃き出し窓は変えられる?後悔&失敗しない窓リフォームのポイント

 

「掃き出し窓はいらない」と考える方もいらっしゃいますが、それが全ての家に当てはまるとは限りません。

 

そのため、掃き出し窓のある空間でどのように生活するのか具体的な使い方や必要性をイメージし、それに合わせてリフォームすれば良いのです。

 

では、掃き出し窓をリフォームする際のポイントを紹介します。

 

 

腰窓との違いを知る

 

掃き出し窓と同様に住宅へ多く設置されているのが、腰窓です。

 

腰窓とは、床から90cm以上離れた場所へ設置されていて、なおかつサッシ高さが80cm以上あるものを指します。

 

掃き出し窓は人の出入りもできるのに対して、腰窓は採光・通風の確保が設置の目的とされています。

 

掃き出し窓との主な違いは、以下のとおりです。

 

・窓の下に壁面があるため、家具を配置しやすい
・窓を開ける際、外からホコリが入るリスクが少ない
・掃き出し窓が設置してある状態より、外気温の影響が小さく、音漏れや騒音も少ない

 

ポイント

戸建住宅でしたら、掃き出し窓を撤去してそれよりも小さな窓へ取り替えたり、全面を壁面にしたりすることができます。(建築基準法で定められた有効採光面積を確保していることが条件)

 

 

築20年以上なら窓交換を

 

ここ数十年で窓サッシの断熱性は大きく向上しています。

 

また、一般的にはアルミサッシで20〜30年、木製サッシで50年が寿命と言われており、それを超えると部品交換を続けても突然開け閉めできなくなる可能性もあります。

 

そのため、一般的なアルミサッシが取り付けられている住宅で築20年を超えている場合は、窓全体の取り替えを検討しましょう。

 

ポイント

築20年以上経っている住宅は、窓だけでなく玄関ドアや外壁、屋根、床下などの断熱性が現行のレベルより劣っている可能性が高いでしょう。

また、水回りの設備機器や内装材も寿命を超えているかもしれませんので、窓リフォームと併せてフルリノベーションを検討するのもおすすめです。

 

 

サッシ・ガラスは高断熱仕様に

 

掃き出し窓を残す場合も腰窓へ交換する場合も、サッシとガラスは高断熱仕様にこだわりましょう。

 

なぜなら、外気温の影響によって空調熱が窓などの開口部から熱損失する割合は、暖房使用時56%、冷房使用時73%とも言われており、家の断熱性・省エネ性を高める上で、とても重要なパーツであるからです。(参考:一般社団法人 日本建材・住宅設備産業協会|Q&A

 

ただし、ここで注意しなくてはいけないのが「掃き出し窓のガラスだけ変えても完璧ではない」という点です。

 

確かにガラスを断熱ペアガラスに変えればいくらか熱の出入りは防げますが、サッシ枠が古ければ、そこから空調熱が逃げ、結露も発生します。

 

また、部屋の中に数ヶ所の窓がある場合、そのうち1ヶ所だけ取り替えても、その他の窓へ熱の出入りが集中し、結露がひどくなる恐れすらあるのです。

 

そのため、窓をリフォームする際は、部屋ごとにまとめてするのがおすすめです。

 

ポイント

窓の断熱リフォームは、既存住宅の省エネ性を向上させる上でとても重要です。

補助金の対象となる可能性が高いため、対象要件を事前に建築会社へ確認しましょう。

(例:子育てエコホーム支援事業先進的窓リノベ2024事業

 

 

 

直射日光の当たる南面は遮熱ガラスもおすすめ

 

特に夏に窓辺が暑いとお悩みの方は、断熱サッシへ取り替えるのと併せて遮熱ガラスを採用するのもおすすめです。

 

遮熱ガラスとは、ペアガラスの間に特殊な金属膜が貼られており、強い日差しを反射できるガラスです。

 

直射日光の強い掃き出し窓には遮熱ガラスがおすすめ

(引用:YKK AP株式会社

 

ポイント

遮熱ガラスは冬に太陽熱でじんわり室内を温める効果を損ねてしまうため、北側など日の当たりにくい場所には通常の断熱ガラスを採用しましょう。

 

 

外へウッドデッキなどを作る

 

掃き出し窓を残して庭などと簡単に行き来したい方は、ぜひ窓の外へウッドデッキなどを設けてください。

 

大きな掃き出し窓を介して外へ空間が広がると、より室内の開放感が増します。

 

最近は、家具を置いてリラックスしたりリモートワークしたりするスペースとして活用する事例が増えています。

 

ポイント

ウッドデッキを作る際は、室内と床レベルを合わせて出来るだけ段差がないようにしましょう。

屋外空間での過ごし方によっては、コンセントや水栓などがあると便利なケースもあります。

 

 

採光目的なら高窓に変更するのもおすすめ

 

採光したいが外部からの視線や防犯面でのリスクが気になるという方は、高窓(ハイサイドライト)へ取り替えるのもおすすめです。

 

ハイサイドライトとは、天井近くに設置する小窓もしくは横長の窓で、太陽の光を部屋の奥まで届ける効果があり、人の視線高さは壁になるため、プライバシーや防犯性をしっかり確保できます。

 

 

和室や寝室は地窓に取り替えるのもおすすめ

 

太陽光をそれほど必要としない落ち着いた空間に掃き出し窓がついている場合は、地窓(じまど)へ取り替えるのもおすすめです。

 

元々は和室や茶室などへ設置され、外界と遮断して景色を切り取り楽しむための窓でした。

 

地窓は掃き出し窓と同様に床に接着するように設置しますが、高さは30〜40cm程度しかありません。

 

そのため、人の視線や雑多な景色が気にならず、室内から窓を見ると落ち着いた印象になります。

 

 

窓リフォームは内装工事と一緒に

 

掃き出し窓を交換したり撤去してサイズ変更や壁にしたりする場合、基本的には壁や床の補修が必要になります。

 

最近は、既存サッシ枠をそのまま残して、その上から新規サッシ枠を被せるカバー工法も普及しており、周囲の補修は必要ありませんが、ガラス面が一回り小さくなり、掃き出し窓は足元に小さな段差ができてしまいます。

 

そのため、見た目や利便性を考えると、取り替えの際には窓周囲の壁や床を解体する方法がおすすめです。

 

ただしそうなると、その部分を修復する工事が発生します。

 

ポイント

掃き出し窓を交換する際は、フルリノベーションと同時にするのがおすすめです。

壁や床がツギハギにならず、美しい仕上がりになります。

 

 

マンションは取り替えできない

 

マンションの場合、窓は共用部に該当するため、窓本体はもちろん、ガラスやクレセントなどの部品も基本的には取り替えできません。

 

ただし、防犯性や断熱性向上を目的としたガラスや部品は、管理組合へ申請の上、許可が降りれば交換できます。

 

また、マンション全体で窓が劣化している場合は、大規模修繕の一環として全戸一斉にサッシ交換をするケースも増えています。

 

ちなみに、RC造(鉄筋コンクリート造)で窓サイズを変更する場合、構造躯体であるコンクリートを解体・復旧しなくてはならず、管理組合が工事を許可することはほぼないでしょう。

 

ポイント

マンションにおいて掃き出し窓の断熱性・防音性を高めたい場合におすすめの方法が、「内窓(インナーサッシ)設置」です。

内窓を設置する窓枠は専有部分に該当するため、その他の内装リノベーションと同じように、簡単な申請だけで設置できます。

 

 

 

 

まとめ:平屋・2階建ての掃き出し窓は必要性を考えてリフォームしましょう

 

「掃き出し窓はいらない」と言われる理由は、断熱性の低さやプライバシーの確保、防犯性など様々なポイントにあります。

 

しかし一方で、掃き出し窓があるからこそ得られる快適性がある点もポイントです。

 

中古住宅での暮らしをイメージする際は、まず掃き出し窓の必要性を再検討してみてください。

 

築20年を超える住宅は、窓だけではなく家全体の断熱性や設備機器の取り替えなども併せて見直してみるのも良いでしょう。

 

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