公開日:2024-04-14 更新日:2024-12-13
中古マンションの修繕積立金・管理費は高い?安い?相場や値上げの条件、確認方法を解説
中古マンションを購入する人が増えています。
購入資金とあわせて事前に知っておきたいのが、「修繕積立金・管理費」の相場ですよね。
「住み始めてから値上がりするのが心配」という方も多いでしょう。
そこで今回は、中古マンションの修繕積立金・管理費について、相場や事前に確認する方法、値上がりのタイミングを解説します。
新築マンションと比べて高いのか低いのかについてもお話ししますので、マンション購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
・中古マンションの修繕積立金と管理費には相場がありますが、築年数や社会情勢などによって値上がりする可能性もあります。
・中古マンションを購入する際は、管理規約や長期修繕計画をチェックして、購入後の家計に無理が生じないかチェックしておくことが重要です。
・後悔のない中古マンション購入を実現させたい方には、物件探しからリノベーションまでまとめて相談できる「ワンストップリノベーションサービス」がおすすめです。
目次
マンションにおける修繕積立金・管理費の用途とは?安い方がいい?
リフォーム・リノベーション事例を見る:Case169「Growing」
マンションのオーナーになったら必ず払わなくてはいけないのが、「修繕積立金」と「管理費」です。
名前はよく聞きますが、その使い道はあまり知られていません。
また、“安いほど負担が少なくていい”と思う方も多いでしょう。
ところが、その用途を知ると、一概に安い方が良いとも言い切れません。
では、まず修繕積立金と管理費の特性や用途を詳しく解説します。
修繕積立金
「修繕積立金」とは、分譲マンションの共用部を改修・修繕・更新するために、区分所有者がお金を出し合って積み立てておく資金です。
【修繕積立金の主な用途】
- ・外壁塗装工事
- ・外壁亀裂補修工事
- ・屋上防水工事
- ・共用廊下や階段のメンテナンス
- ・エントランスの修繕(自動ドア・オートロックなど)
- ・エレベーターの修繕や交換
- ・貯水槽の修繕や交換
- ・設備配管の清掃
- ・駐輪場や駐車場の増設や交換
- ・集合ポストや宅配ボックスの修繕や交換
- ・建物の構造躯体耐震補強工事
- ・玄関ドアの一斉交換
- ・光配線の引き込み
共用部の大規模修繕工事は、10〜15年に一度計画的に行われ、それ以外でも、災害や老朽化によって突発的に工事が必要な可能性があります。
どちらも区分所有者がお金を出し合って工事費を負担しなくてはならず、費用を突然一括で徴収することは難しいため、“積立”の方法が取られているのです。
「みんなで使う場所はみんなで直す」という考えが根本にあるため、工事前にマンションを売却しても、修繕積立金は返金されないので注意してください。
修繕積立金の額は、国土交通省が作成した長期修繕計画作成ガイドラインに基づき立てられる「長期修繕計画」を基に算出されます。
相場よりも安いと、いざ不具合が出ても満足に修繕できず劣化が進み、資産価値が下がる可能性もありますので注意してください。
管理費
「管理費」もマンション共用部の維持管理にかかる費用を確保するためのもので、各区分所有者から毎月徴収されます。
ただし、修繕積立金とは用途が異なります。
修繕積立金は長期修繕計画に基づき「共用部の修繕・メンテナンス」へ使われるのに対して、管理費は「日々の維持管理」にかかる費用です。
【管理費の主な用途】
- ・軽微な修繕(共用部にある掲示板の修理など)
- ・ゴミ置き場の整備や清掃
- ・エントランスの整備や清掃
- ・共用廊下などの電球交換費用
- ・植栽の手入れにかかる費用
- ・共用部の光熱費
- ・管理会社への業務委託費用
- ・管理人の人件費
- ・管理室の備品費や光熱費、ゴミ処分費などの雑費
- ・共用部の定期清掃
- ・共用部の火災保険料や地震保険料
- ・管理組合運営に係る費用(総会に必要な雑費など)
- ・マンション管理運営に係る専門家の顧問料
このように、管理費は住む人の生活を快適に保つためにかかる少額の維持費に充てられます。
修繕積立金と同様に「管理費は少しでも安い方がいい」と思うかもしれませんが、管理費が安いと共用部の管理が行き届かず、住みにくくなったり資産価値が下がったりする可能性があります。
中古マンション修繕積立金・管理費の相場や新築との違い
リフォーム・リノベーション事例を見る:Case161「BOOKSHELF」
修繕積立金と管理費は、金額の決まるプロセスが少々異なり、相場も異なります。
では、それぞれの価格相場や傾向を紹介します。
修繕積立金の相場
修繕積立金の額は、長期修繕計画作成ガイドラインに基づく「長期修繕計画」の費用を根拠として算定されます。
長期修繕計画で一回にかかる工事費用を、工事スパン(年数)で分割し、区分所有者全員で均等積立していくのが一般的です。
国土交通省が行った平成30年度マンション総合調査によると、全国の修繕積立金平均額は「12,268円(駐車場使用料等からの充当額を含む)」で、東日本不動産流通機構の調査では、首都圏の修繕積立金平均額は「11,164円」です。(参考:東日本不動産流通機構|首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金)
修繕積立金は、築年数が古くなるほど修繕箇所が増えるため、高くなる傾向があります。(参考:国土交通省|平成30年度マンション総合調査結果からみたマンション居住と管理の現状)
つまり、新築マンションと中古マンションを比べると、中古マンションの方が修繕積立金は高いということです。
ちなみに、国土交通省では、「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」で修繕積立金の目安を定めています。
管理費の相場
平成30年度マンション総合調査によると、全国の分譲マンション管理費平均額は「217円/㎡(駐車場などの使用料や専用使用料からの充当額を含む)」で、東日本不動産流通機構が調査した首都圏の管理費平均額は「191円/㎡」です。(参考:東日本不動産流通機構|首都圏中古マンションの管理費・修繕積立金)
一般的なファミリータイプ70㎡の物件ですと、15,000円前後かかる計算になります。
ここで重要なのが、「管理費は築年数によってあまり左右されない」という点です。
管理費は、マンションの規模(世帯数)や、共用部の設備・サービスの充実度によって変わります。
世帯数が少ないマンションは少ない戸数で共用部を維持するため、管理費が高くなり、世帯数が多いタワーマンションなどでも、コンシェルジュが常駐しライブラリーやスポーツジム、パーティールームがあれば、その分管理費は上がるのが通常です。
そのため、新築マンションと中古マンションの管理費を比較しても、築年数だけでは金額差を予想できません。
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修繕積立金と管理費は、住宅ローン返済と同じく、マンションを購入してから払い続ける支出です。
そのため、中古マンションを買う場合、物件を決める前にその額を確認しておかなくてはいけません。
修繕積立金と管理費は、管理規約によって金額が明確に定められているため、不動産仲介会社を通して、管理規約と関連書類を見せてもらいましょう。
また、「長期修繕計画」の内容をチェックすると、今後、修繕積立金がどのように値上がりしていくかが書かれているはずです。
さらに詳細な情報を知りたい方は、売主から「重要事項に関わる調査報告書」を取り寄せてもらいましょう。
「重要事項に関わる調査報告書」は、マンション管理会社が発行する書類で、月々に支払う修繕積立金・管理費の金額だけではなく、以下の情報も分かります。
【「重要事項に関わる調査報告書」に記載される主な内容】
- ・修繕積立金と管理費の金額
- ・大規模修繕工事の履歴やこれまでにかかった費用、将来の計画
- ・修繕積立金の残高
- ・修繕積立金や管理費の滞納額
- ・管理組合の借入金有無
- ・修繕積立金や管理費の値上げ予定計画
- ・駐車場の使用権利有無(全オーナーから承継可能かどうか)
- ・耐震診断の調査結果
- ・アスベスト使用調査の結果
- ・火災や雨漏り、心理的瑕疵、マンション内トラブルの有無
- ・インターネットの方式(BSやCS、光回線など)
ただし、「重要事項に関わる調査報告書」を取り寄せてもらうには時間がかかるため、その物件を買う意思がほぼ決まった状態で最終判断するための参考資料として活用しましょう。
修繕積立金と管理費の額を購入前にチェックしておくと、住み始めてからかかる月々の支出をしっかり把握できます。
物件価格が予算内であっても、修繕積立金・管理費が高いと、家計を圧迫してしまうので注意しましょう。
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マンションの修繕積立金・管理費が値上げされる理由とタイミングは?金額交渉できる?
リフォーム・リノベーション事例を見る:Case143「光あふれ、風に寄り添うワンルーム」
まず、管理費が値上がりするタイミングは、ずばり「物価が上がったタイミング」です。
最近は、インフレ・原油高などにより、管理費が値上がりしているタワーマンションなどが増えています。
共用部の電気代や管理にかかる人件費などの経費が値上がりしていることが、一番の要因と言えるでしょう。
一方、修繕積立金も物価上昇に伴い、建築工事にかかる材料費・人件費が上がることも確かですが、それ以外に値上がりする要因があります。
それは、築年数による「長期修繕計画」の変更です。
修繕積立金額の根拠となる「長期修繕計画」は、新築時に作成された後、経年に伴う劣化度合いを見て、内容が更新されます。
内容が変更されると言っても、工事範囲が狭まることはほぼなく、修繕費用は値上がりするのが通常です。
つまり、築年数が古くなるほど「長期修繕計画」で想定される改修工事費用は増え、それに伴って各戸から徴収される修繕積立金も値上がりするということです。
国土交通省の「平成30年度マンション総合調査結果」では、「長期修繕計画」を5年毎に見直していると回答した管理組合が全体の56.3%に上るという結果が出ており、そのタイミングで修繕積立金を値上げしているマンションは少なくないはずです。
ここで気になるのが、「修繕積立金と管理費は金額交渉できるのか」という点ですよね。
修繕積立金と管理費の額は、マンション管理組合で最終決定するため、組合員である各区分所有者は金額に納得できなければ異議を申し立てられます。
ただし、異議を通すためには、多くのマンションでは、区分所有者のうちの過半数もしくは3/4以上の賛成が必要です。
修繕積立金や管理費は、建築工事やマンション管理のプロから受けたアドバイスを受けて算出されるのが通常で、資金不足になれば建物自体の寿命を縮め、資産価値を落としかねません。
そのため、根拠のない値下げ交渉は採択されない可能性が高いでしょう。
修繕積立金と管理費は定期的に値上がりするということを念頭に、月々の収支計画を立てましょう。
東京都心部のハイグレードマンションでは、10年で管理費が30%増、修繕積立金が前年比3%増と大幅に値上がりしている物件もあるため、余裕のある計画を立てることが重要です。
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国土交通省の「平成30年度マンション総合調査結果」によると、長期修繕計画と現時点の修繕積立金残高を比較して、現時点の修繕積立金残高の方が下回っている物件(=積立金不足の物件)が、なんと「34.8%」にも上ります。
その中で、不足分割合が20%を超えるマンションは、15.5%というデータも無視できません。
つまり、マンションの中には、いざ大規模修繕工事をする際に、修繕積立金では費用をまかないきれない物件があるということです。
その原因は、新築時の長期修繕計画シミュレーションが甘く、修繕積立金を低く設定していたり、納付を滞納している世帯が多かったりすることが挙げられます。
修繕積立金残高が不足しているマンションは、5年目・10年目・15年目と言った長期修繕計画見直しのタイミングで、「修繕積立一時金」を徴収する可能性があります。
そのため、購入前には、必ず長期修繕計画の内容と修繕積立金の残高、住民の滞納率を確認してください。
修繕積立一時金の額は、物件規模や築年数によって異なりますが、100万円を超えるケースもあります。
特に、築年数が古いマンションは、経年とともに思わぬ劣化が進み、修繕積立金が不足する可能性があるので要注意です。
思うように修繕積立一時金を徴収できなければ、不足分を管理組合が金融会社から借入れるため、その利子が月々の修繕積立金に上乗せされてしまいます。
中古マンションを購入する際、長期修繕計画の内容を精査することが重要になりますが、その内容を深く把握するのは難しいかもしれません。
修繕積立金残高と今後の修繕計画内容が適切であるかを事前に確認したい方は、不動産会社へ相談しましょう。
リノベーションを前提とした物件探しなら、マンションの大規模修繕や一棟リノベーションなども手掛けるワンストップリノベーション会社がおすすめです。
まとめ:中古マンションを買う際は修繕積立金・管理費も必ずチェック
中古マンションを買う際は、修繕積立金と管理費の金額を必ず確認し、住宅ローン返済とあわせて家計に負担がかからないかチェックしましょう。
その際、購入時の金額だけではなく、今後値上がりする可能性も想定することがポイントです。
また、近々大規模修繕工事が予定されている物件は、修繕積立一時金の支払いが発生しないか確認しましょう。
中古マンションの修繕積立金が適正価格かどうかをチェックしたい方は、長期修繕計画を購入前に見ておくのがおすすめです。
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