公開日:2023-02-18 更新日:2024-12-19
中古住宅売却の流れ|費用や確定申告・不動産会社の選び方まで解説
中古住宅の需要が高まり価格相場が上昇傾向にある今、自宅を売却したいと考えている人もいるかもしれません。
そこで、実際に中古住宅の売却はどのような流れで進めて行けば良いの?と気になっている人も多いのではないでしょうか。
今回は、中古住宅売却で事前に必要な準備から、不動産会社選びや契約・売却活動の流れ、引渡し、確定申告までの流れやかかる期間の目安をステップ別に分けて分かりやすく解説します。
さらに、売却時にかかる諸費用や税金についてもまとめていますので、中古一戸建てやマンションの売却を検討中の方は参考にしてください。
・中古住宅を売却する際は、流れや必要な費用などを事前に知っておくことで、契約や内覧、引渡し時に慌てることなくスムーズに売却を進められます。
・中古住宅(一戸建て)の売却にかかる期間は5か月~1年ほどが目安で、売却価格の約5~7%の諸費用がかかります。
・中古住宅の売却では、物件の価値を市場状況や地域の需要などから客観的に判断し、スムーズに高値で売却できるようなスケジュールや資金計画のアドバイスをしてくれる不動産会社を選ぶのがポイントです。
目次
中古住宅売却の流れをステップ別に解説!
はじめに、中古住宅売却の流れの全体像を図解してみます。
それでは、中古住宅売却の6つのステップを1つずつ分かりやすく解説します。
Step1:事前準備(目安:1か月)
中古住宅を売却するときは、事前準備として必要書類を揃えたり、売り出し価格を決める際に役立つ周辺価格相場をあらかじめ調査したりしておくと、後々の不動産会社との媒介契約や売買契約をスムーズに進められます。
・売却に必要な書類
まずは、売却にあたって必要になる書類を確認しましょう。
①売主に関する書類
- ・身分証明書(免許証・マイナンバーカードなどの本人確認書類)
- ・実印
- ・印鑑証明書
- ・住民票
②売却する不動産に関する書類
- ・登記識別情報通知書または権利証
- ・固定資産税納税通知書・固定資産税評価証明書
- ・購入時の売買契約書・重要事項説明書
- ・間取り図
- ・地積測量図・境界確認書(戸建て/土地)
- ・建築確認済証・検査済証(戸建て)
- ・建築設計図書・工事記録書(戸建て)
- ・管理規約・維持費等の書類(マンション)
この他、一戸建ての場合は住宅性能評価書やインスペクション(住宅診断)の結果報告書などがあると、査定時に物件の価値が上がる可能性があります。
・売却価格の相場を確認する方法
売却予定の中古住宅と似たような条件の住宅の相場が分かれば、売り出し価格を決めたり、売却額を想定して資金計画を立てたりするのに役立ちます。
過去の成約価格の相場や、現在の売り出し価格の相場は以下のサイトでインターネットでも調べられます。
- ・全国の不動産の取引情報が見られる「レインズマーケットインフォメーション」
- ・国土交通省が運営する過去の不動産取引履歴「土地総合情報システム」
- ・不動産情報ポータルサイトの売り出し情報
- ・不動産会社がHPなどで公開している売り出し中の物件情報
- ・地元の不動産会社のDMやチラシ
過去のコラムでは、中古住宅の検索に使える便利なサイトを紹介しています。売り出し価格の相場を調べるのにも有効なので、ぜひ活用してみてください。
POINT 住宅ローンの残債がある場合は必ず確認
売却予定の中古住宅のローンを完済していない場合は、現在の残債がどのくらいか確認しましょう。
また、その際は住宅の売却を決めた時点で、ローンを契約している金融機関に連絡しておくのが無難です。
不動産会社にローン償還予定表(償還表)の提出を求められる場合もあります。
Step2:査定依頼・会社選び・媒介契約(目安:1か月~2か月)
売却に必要な書類や、周辺の中古住宅の相場が分かったら、実際に不動産仲介会社にいくらで売れそうか査定を依頼してみましょう。
・査定依頼
査定とは実際に物件を市場に出して売却できそうな価格を不動産会社に算出してもらうことです。
査定の方法は主に2種類あります。
・一括査定サイト
一括査定は、インターネット上で物件データを入力するだけで複数の不動産会社に訪問査定を依頼できるのがメリットです。
実際に物件を見て査定するわけではないため、机上査定とも呼ばれます。
そのため、一括査定での査定価格はあくまで参考価格にとどまります。
一括査定は、その後の訪問査定を依頼する不動産会社を絞り込むのにも使えます。
・訪問査定
訪問査定は、不動産会社が実際の物件を見て査定するため、より精度の高い査定額が分かります。
複数の会社に査定を依頼して、事前に自分で調べた相場とどれくらい違うのか比べてみましょう。
それぞれの査定額の根拠を聞いてみることで、信頼できる不動産会社かどうか見極める材料にもなります。
・会社選び・媒介契約
次に、査定してもらった会社の中から住宅売却を任せる会社を選び、媒介契約を結びます。
媒介契約には「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」の3種類があります。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
複数の不動産会社との契約 | 可能 | 1社のみ | 1社のみ |
自己発見取引 | 可能 | 可能 | できない |
契約の有効期間 | 指定なし | 3ヵ月以内 | 3ヵ月以内 |
売却活動内容の報告義務 | 任意 | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
メリット | ・複数の会社に依頼するので間口が広がる ・自分で購入者を探すこと(自己発見取引)ができる |
・売却活動の進捗を把握できる ・自分で購入者を探すこと(自己発見取引)ができる |
・売却活動の進捗を把握できる ・広告宣伝に費用をかけるなど、売却により力を入れてもらいやすい |
デメリット | ・会社にとってはメリットが少なく売却に力を入れてもらえない可能性も | ・複数の会社に依頼できない分、間口は狭まる | ・仮に自分で購入者を見つけても、不動産会社を仲介して売却(仲介手数料を支払う)しなければならない |
中古住宅売却の際は、それぞれの媒介契約の特徴を理解した上で契約を結びましょう。
おすすめは、自己発見取引もでき、なおかつ定期的に不動産会社から報告を受けられる「専任媒介契約」です。
ただし、しっかりと販売計画を立てて行動してくれる、信頼できる不動産会社を選ぶようにしましょう。
不動産会社の選び方のポイントは、次の章で解説します。
Step3:売り出し・販売活動(目安:1か月~半年)
媒介契約を結んだ不動産会社と相談して物件の売り出し価格を設定したら、いよいよ販売活動の開始です。
不動産会社は買い手を見つけるためにチラシを作成したり、不動産情報サイトに広告掲載したりと売却活動をします。
購入希望者から連絡があった場合は内覧をセッティングして対応します。
また、売主に代わり、買主と価格や引渡し時期などの条件交渉も行います。
中古一戸建ての売却期間の目安
なお、公益財団法人東日本不動産流通機構の調査によると、中古一戸建ての物件登録(販売開始)から成約に至る平均日数は101.2日となっています(2021年)。
(出典)レインズデータライブラリー「首都圏不動産流通市場の動向(2021年)」
不動産会社と媒介契約を結んでからレインズに登録するまでの期間も考慮すると、売却期間は3か月半~4か月程度が目安となります。
また、事前準備から売却後の確定申告までをトータルした期間は約5か月~1年程度を見込んでおきましょう。
Step4:売買契約
販売活動の結果、最終的に買主が決まったら、買主との間に不動産売買契約を結びます。
事前に不動産会社を介して買主から購入申込書が届けられるので、価格や引渡し条件などの内容を確認し、納得できた段階で契約するようにしましょう。
なお、一般的に売買契約締結日に買主から売主へ手付金の支払いが行われます。
また、契約が成立すれば不動産会社に報酬として仲介手数料を支払うことになります。
仲介手数料は、売買契約完了時点で半額を、引渡しが完了した時点で残りの半額を支払うのが一般的です。
・中古住宅を買うときに必要な“手付金”の相場は?手付金なしの場合はある?基礎知識から詳細まで解説
・中古住宅の手付金はいつ払う?キャンセル時は返ってくる?払えないときの対策も解説
Step5:決済・引渡し(目安:1か月~)
売買契約を結んでから1か月ほどで、物件金額の決済と引渡しが行われます。
引渡し時には登記手続きや各種書類が必要になるので、Step1を参考に事前に用意しておきましょう。
また、引渡し当日までには引っ越しを完了させ、家を空の状態にしておくのが原則です。
引渡し日には、手付金を除いた物件の残代金の受け取りや鍵の引渡し、不動産会社への仲介手数料の支払い、司法書士への報酬の支払いを行います。
なお、住宅ローンの残債がある場合は、決済と同時に完済し、抵当権抹消の手続きを行います。
Step6:確定申告をする(売却の翌年)
不動産の売却で利益が出た場合は、譲渡所得税が発生するため、翌年に確定申告を忘れず行いましょう。
特定のマイホームの売却では、課税所得から3,000万円を控除できる特例を使って税額を大きく減らしたり、ゼロにしたりできる場合があり、この制度を使う場合も確定申告が必要です。
逆に、売却によって損失(マイナス)が出た場合は、譲渡所得税がかからないため確定申告は原則不要です。
ただし、損失が出た場合、マイナス分を売却した年の事業所得や給与所得などの所得から控除して所得税や住民税を減らすこと(損益通算)ができ、この制度を利用する場合は確定申告が必要です。
確定申告の手続きは、翌年の2月16日から3月15日までの間に行いましょう。
中古住宅売却時にかかる費用
一般的に、中古住宅の売却では売却価格の5~7%の諸費用がかかると言われています。
具体的にどんな費用が必要になるのか事前にチェックしておきましょう。
①仲介手数料
仲介手数料は、不動産の売却を依頼した不動産会社に対して支払う費用です。不動産の買い手がついて取引が成立したことに対する報酬と考えてもよいでしょう。
仲介手数料は、「約定報酬」「媒介報酬」「媒介手数料」などと呼ばれることもあります。
仲介手数料の相場や目安は過去のコラムで解説していますので合わせてチェックしてみてください。
②印紙税
印紙税は、売買契約書に印紙を貼ることで納める税金です。
税額は契約書に記載されている金額によって変わり、令和6年3月31日まで、契約書に記載された契約金額が10万円を超えるものについては軽減税率が適用されます。
記載された契約金額 | 印紙税額 | 印紙税額(軽減税率適用時) |
1万円未満 | 非課税 | 非課税 |
10万円以下 | 200円 | 200円(軽減なし) |
10万円を超え50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円を超え100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円を超え500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円を超え1千万円以下 | 10,000円 | 5,000円 |
1,000万円を超え5,000万円以下 | 20,000円 | 10,000円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 60,000円 | 30,000円 |
1億円を超え5億円以下 | 100,000円 | 60,000円 |
5億円を超え10億円以下 | 200,000円 | 160,000円 |
10億円を超え50億円以下 | 400,000円 | 320,000円 |
50億円を超えるもの | 600,000円 | 480,000円 |
(参考)国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」
国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」
③登記費用(抵当権抹消登記)
中古住宅を売却するとき、物件に対してローンが残っていた場合、売却前にローンを完済して住宅ローンを借りるための担保になっている不動産の抵当権を抹消しなければなりません。
抵当権抹消の登記手続きにかかる費用(登録免許税)は、不動産1物件につき1,000円です。
また、不動産が土地と建物で構成されている場合、それぞれ別の不動産として数えられるため、不動産が2件で登録免許税は2,000円となります。
登録免許税に加えて、登記手続きを司法書士に依頼するための委託料・報酬として10,000~15,000円程度を合わせて見込んでおきましょう。
④ローン一括返済手数料
中古住宅売却時にローンが残っている場合、一括繰り上げ返済するには金融機関に対して手数料が必要になります。
ローン一括返済手数料は、金融機関の違いや金利タイプ、手続き方法などによって異なりますが、目安として5,000円~40,000円ほどが相場になります。
⑤住所変更登記費用
中古住宅売却時に、売主から買主へと所有権移転登記を行いますが、売主の登記簿上の住所と住民票の住所が異なる場合、住所変更登記費用が必要になります。
具体的には、売却前にすでに新居に引っ越している場合などがあてはまります。
抵当権抹消登記と同じく、司法書士に依頼するのが一般的で、5,000円~20,000円ほどが費用の目安になります。
⑥譲渡所得税
中古住宅などの不動産を売却して売却益が出た場合(購入時より高い金額で売却した場合)に収める税金です。
所得税・復興特別所得税は税務署窓口、銀行窓口、コンビニ、口座振替、クレジットカード、キャッシュレス決済などで支払い、納付期限は4月15日前後となることが多いです(口座振替以外)。
住民税は、確定申告した年(不動産を売却した翌年)の5月以降に市町村から納付通知書が送られてきます。
納付回数は一括払いの他に、6月・8月・10月・翌年1月の4回払いが選べ、会社員の方は毎月の給与から天引きされる特別徴収のケースもあります。
⑦引っ越し、ハウスクリーニングなどの費用
マイホームの買い替えや住み替えでマンションを売却する場合、新居への引っ越し費用が必要です。
また、マンションを先に売却してから新居を購入する「売り先行」の場合、新居購入までの間の仮住まい費用(家賃など)もかかる可能性があります。
さらに、ハウスクリーニングや必要に応じてリフォーム費用なども見越しておくと安心です。
信頼できる不動産会社の見極め方
中古住宅の売却を依頼する際、信頼できる不動産会社はどうやって見つければ良いのか、見極めのポイントを紹介します。
①瑕疵保険、インスペクション、住宅履歴に対応しているか
瑕疵保険に加入しているか、インスペクション(住宅診断)を実施しているかどうかは、買主の購入時の不安を解消するためにとても重要です。
買主にとっては、買ったあとにどんなトラブルが発生するか分からない中古住宅より、
インスペクションを実施して不具合を明確にし、不具合に対する補償(瑕疵保険)がある中古住宅のほうが魅力的ですよね。
中古住宅を売却するなら、インスペクションなどの知識が豊富で、状況に応じて適切にアドバイスしてくれる不動産会社が安心です。
②売却に特化したノウハウを持っているか
ただ単に売却依頼された住宅をそのまま宣伝するだけでなく、より高値で、早期に売却するためのノウハウを持っているかどうかもポイントです。
③売却の流れや資金計画を丁寧に説明してくれる
現在の住居を売却して新たに新居を購入する「住み替え」は、資金計画やタイミングがより難しくなり、手順を間違えると思わぬトラブルに見舞われてしまう可能性があります。
住み替えなどの手順が複雑な売却に対しても、
- ・「売り先行」「買い先行」どちらが適しているか
- ・売却金額でどの程度の物件が購入できそうか
- ・仮住まいの期間や費用の目安はどれくらいになりそうか
など、具体的な流れや資金計画を提案してくれる会社を選びましょう。
④リフォーム・リノベーションの提案ができるか
中古住宅の売却時には、事前にリフォーム・リノベーションした方が売れやすくなるのでは?と思う人もいるかもしれません。
しかし、売却前は安易に大掛かりなリフォームをするのはおすすめしません。
その理由は、実施したリフォーム費用に見合った売却額にならなかったり、リフォーム内容によっては購入者の幅を狭めてしまったりする可能性があるからです。
よって、現在の不動産市場や売り出し状況によって「どんなリフォームが必要なのか」を、しっかり見極めて提案してくれる不動産会社を選ぶのがおすすめです。
⑤自社買取に対応しているか
中古住宅の売却がうまくいくかどうかは、住宅の状態だけでなく、立地や周辺環境、マンションの場合は管理状況などによっても大きく変わってきます。
不動産会社によっては、仲介だけでなく、物件を直接買い取る「買取制度」を用意している場合があります。
売却活動を長期化させたくない場合や、事情があってすぐに現金化したいなど、なるべく早く売却したい場合は、買取制度のある不動産会社を選ぶのもおすすめです。
SHUKEN Reでは、仲介による売却の他、自社による買取も行っておりますので、お気軽にご相談ください。
まとめ|中古住宅の売却は流れを把握して計画的に進めよう
中古住宅を売却する際は、流れや必要な費用などを事前に知っておくことで、契約や内覧、引渡し時に慌てることなくスムーズに売却を進められます。
また、住み替えなど売却と購入のタイミングが重要なケースや、築年数が古い中古住宅を売却する際は特に、
物件の価値を市場状況や地域の需要などから客観的に判断し、さらに、スムーズに高値で売却できるようなアドバイスをしてくれる不動産会社を選ぶことが成功のコツになります。
中古住宅の売却サポートはSHUKEN Reにお任せください
私たちSHUKEN Reは、東京23区・23区に隣接する市・横浜市・川崎市・千葉県の一部(浦安・市川・船橋・千葉)を対応エリアとした、リノベーション専門の不動産会社です。
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