公開日:2026-03-18
アパート・マンションリノベーションの減価償却は何年?計算方法と節税のポイントを解説

築年数が経過して入居率が低下したアパート・マンションを所有するオーナー様や、中古物件の一棟投資を検討している方にとって、空室対策と資産価値向上を兼ねたリノベーションは重要なポイントです。
特にアパート・マンション一棟まるごとのリノベーションは投資金額が大きくなるため、減価償却で節税する経営戦略が欠かせません。
減価償却の仕組みを正しく理解してリノベーション費用を経費計上できれば、毎年の所得税を抑え、次の物件購入に向けた資金を効率的に蓄えることが可能になります。
本記事では、アパート・マンションリノベーションの耐用年数や減価償却の計算方法、さらに節税効果を高めるテクニックまで分かりやすく解説します。
リノベーションの節税効果と空室対策を両立させ、収益性と資産価値を最大化させるために必要な知識をまとめました。
- アパート・マンションの構造や築年数ごとの減価償却費の計算方法が分かります。
- 設備や外壁塗装を切り分けて経費計上し、単年度の節税効果を最大化させる実務テクニックを解説します。
- 売却時の未償却残高の扱いや、空室対策とのバランスなど、失敗しないリノベ経営のポイントも押さえましょう。
目次
■アパート・マンションリノベの成功を左右する減価償却

アパート・マンションリノベーションの減価償却は、キャッシュフローに影響し、経営の成功に関わる重要な要素です。
建物の資産価値を向上させるためのリノベーション費用は、基本的に「資本的支出」とみなされ、数年にわたって減価償却費として経費計上していく必要があります。
アパート・マンションは、構造や築年数によって減価償却期間が変わり、年間の経費計上金額も変動するため、キャッシュフローや経営戦略に大きく影響するのです。
例えば、同じ築年数でも鉄筋コンクリート造と木造では、減価償却期間が大きく異なります。
また、築年数によっても、リノベーションによる節税効果や適切な経営戦略は変わってくるのです。
特に一棟リノベーションはまとまった初期費用がかかるため、減価償却の仕組みを正しく理解し、物件に合わせた修繕計画と経営戦略が求められます。
また、一棟リノベーションを計画する際は、2025年4月の建築基準法改正の「4号特例」の縮小による影響も考える必要があります。
特に木造アパートなどで構造に関わる大規模な修繕・模様替えを行う際は、改正法に適合させるための設計見直しや確認申請が必要になるケースが増えます。
これに伴い、設計費の増加や工期の長期化といった影響が出る可能性があるため、収支計画に織り込む必要があるのです。
次の章から、アパート・マンションの減価償却期間の計算方法を詳しく見ていきましょう。
■アパート・マンションリノベーションの減価償却費の計算方法

前述したように、リノベーション費用は原則として資本的支出として扱われるため、建物の構造や築年数ごとに減価償却費を計算する必要があります。
具体的には、まず減価償却期間を求め、年間の減価償却費を計算する2つのステップになります。
それぞれのステップを1つずつ掘り下げ、計算方法をマスターしましょう。
ステップ① 減価償却期間を計算
まずは、アパート・マンションの構造と築年数に応じた減価償却期間を計算しましょう。
リノベーション費用の減価償却期間は、原則として建物本体の「法定耐用年数」をベースに計算します。
|
構造 |
法定耐用年数 |
|
鉄筋コンクリート(RC)造 |
47年 |
|
重量鉄骨造(鋼材厚4mm超) |
34年 |
|
軽量鉄骨造(鋼材厚3mm超~4mm以下) |
27年 |
|
木造 |
22年 |
鉄筋コンクリート造のマンションは47年、木造アパートは22年といったように、構造ごとに法定耐用年数が定められています。
軽量鉄骨造の場合は、鋼材の厚みによって法定耐用年数が異なるため事前に確認しましょう。
新築マンションやアパートの場合は、上記の法定耐用年数がそのまま減価償却期間となりますが、築年数が経っている場合は「簡便法」を用いて計算します。
計算方法は、築年数に応じて次の2パターンに分かれます。
- ・法定耐用年数の一部を経過している場合:(法定耐用年数 - 経過年数)+(経過年数 × 20%)
- ・法定耐用年数の全てを経過している場合:法定耐用年数 × 20%
鉄筋コンクリート造のマンションで築20・50年の2パターンを例に挙げて計算してみましょう。
- ・築20年:(47年 - 20年)+(20年 × 20%) = 31年
- ・築50年:47年 × 20% = 9年
同じ鉄筋コンクリート造のマンションでも、築年数が経っているほど減価償却期間は短くなります。
築20・50年の木造アパートの場合も計算してみましょう。
- ・築20年:(22年 - 20年)+(20年 × 20%) = 6年
- ・築50年:22年 × 20% = 4年
木造アパートはベースとなる法定耐用年数が短いため、同じ築年数でも鉄筋コンクリート造のマンションより減価償却期間が短くなります。
どの構造・築年数でも計算方法は変わりませんので、所有するアパートやマンション、または購入検討中の中古物件でも計算してみてください。
ステップ② 年間の減価償却費を計算
償却期間を求めたら、毎年一定額を償却する「定額法」によって1年あたりの減価償却費を計算します。
- ・リノベーション費用 ÷ 償却期間 = 年間の減価償却費
具体的な計算方法は上記の通りで、リノベーションにかかった費用総額を減価償却期間で割ると年間の減価償却費が求められます。
先ほど例に挙げた、築20年・50年の鉄筋コンクリート造で、5,000万円のリノベーションをした場合を計算してみましょう。
- ・築20年:5,000万円 ÷ 31年 = 約161万円
- ・築50年:5,000万円 ÷ 9年 = 約555万円
上記のように、築年数が経っているほど減価償却期間が短く、1年で経費計上できる減価償却費は大きくなります。
最終的な減価償却費の合計は変わりませんが、期間が短い方が1年で経費計上できる金額が大きいため、リノベーション後の節税効果を高めることができます。
ただし、短期間で大きな減価償却費を計上すると、償却終了後に経費が減り、税負担が重くなる時期(デッドクロス)が早く到来する点には注意が必要です。
出口戦略(売却)も見据えた長期的な収支シミュレーションが欠かせません。
■リノベーションの減価償却で節税効果を高めるテクニック

前述したように、リノベーション費用は原則的に建物本体と同じ年数で減価償却しますが、例外もあります。
リノベーション費用の一部を短い期間で減価償却し、より節税効果を高めるテクニックを2つご紹介します。
①設備を短期間で減価償却する
リノベーション費用の中でも、水回りや電気設備などはより短期間で減価償却でき、節税効果を高めるのに効果的です。
次のような設備は「建物附属設備」として、建物本体(RC造47年等)よりも短い15年で償却可能です。
- ・水回り設備(ユニットバス、システムキッチン、トイレ、洗面台、給湯器など)
- ・電気設備(エアコン、インターホン、照明器具など)
- ・共用部設備(エレベーター、受水槽、火災報知器、オートロック、宅配ボックスなど)
具体的には、上記のような設備部分が対象です。
築浅のアパートやマンションなどで減価償却期間が長い場合は、リノベーションと切り分けて設備を15年で償却して単年度に計上できる経費額を増やすことが可能です。
特に一棟リノベーションの場合、共用部のエレベーターやオートロックなども設備に含まれるため、節税効果が大きくなります。
ただし、10万円以上30万円未満の設備については「少額減価償却資産」として一括償却を選択する方が節税効果が高いケースもあるため、見積書レベルでの仕分けが重要です。
〈関連コラム〉
一棟リノベーションのメリット・デメリット|費用相場と事例も紹介
②修繕費を一括経費計上する
リノベーション費用から修繕費を切り分けて、一括で経費計上することで年間の節税効果を高める方法もあります。
例えば、定期的なメンテナンスとしての外壁塗装や屋上の防水工事、劣化した箇所の原状回復などは、修繕費として認められる傾向にあります。
ただし、耐久性を著しく高めるようなグレードアップを伴う場合は資本的支出とみなされるため、税理士等の専門家への確認が必須です。
故障した設備の修理や交換、劣化した内装の原状回復なども、修繕費として処理できる可能性が高いです。
例えば、総額3,000万円のリノベーション費用のうち、500万円が修繕費として認められれば、支払った年の経費として計上できます。
工事の見積段階から「資産価値向上リノベーション」と「原状回復の修繕費」の項目を分けておくことで、実際に税務処理をしやすくなります。
ここでご紹介した節税効果を高めるテクニックを活用するためには、工事ごとの内訳が記載された正確な見積もりが必要です。
また、建物附属設備や修繕費にどのような工事が含まれるのかなど、プラン・見積もり作成時のサポートも不可欠です。
なるべくアパート・マンションのリノベーション工事の実績が豊富で、節税効果や経営戦略を踏まえたプランを提案できるプロに相談しましょう。
SHUKEN Reは、8,000件超のマンション・アパートリノベーションで培ったノウハウを活かし、減価償却を含めた資金計画、プランづくりをトータルサポートいたします。
マンション・アパート一棟まるごとのリノベーションにも対応しますので、ぜひお気軽にご相談ください。
■アパート・マンションリノベでよくある質問

アパート・マンションリノベーションの減価償却について、オーナー様からよくいただく質問をまとめました。
■アパート・マンションのリノベは減価償却×空室対策のバランスが重要
ここまで見てきたように、アパート・マンションのリノベーション計画時は、減価償却も含めたキャッシュフロー・経営計画が求められます。
しかし、リノベーションの本来の目的は節税ではないため、空室対策や家賃収入の向上をするためのプランづくりも重要です。
リノベーションによって節税効果を得られても、費用をかけたのに入居率が改善しなければ意味がありません。
節税効果を踏まえた適切な資金計画と、物件の状況に合わせたリノベーション計画、両輪のバランスを取ることが重要です。
なるべくマンション・アパートのリノベーション実績が豊富で、トータルサポートができる専門店に相談するのが成功のポイントです。

SHUKEN Reは、8,000件超のマンション・アパートリノベーションの実績から培ったノウハウを活かし、資金計画から資産価値を高めるプランづくりまでトータルサポートいたします。
マンション・アパート一棟まるごとのリノベーションにも対応し、資産価値や収益性を高めるお手伝いも可能です。
ぜひお気軽にご相談ください。
Q 減価償却の途中で物件を売却したらどうなりますか?
売却時に未償却残高を取得費に合算できます
リノベーション費用のうち経費化していない残りの金額(未償却残高)は、売却時にマンションやアパート本体の価格と一緒に取得費として計上できます。
- ・売却価格 - (物件の取得費 + リノベ費の未償却残高 + 譲渡費用) = 譲渡所得
上記の計算で譲渡所得が減るため、結果的に譲渡所得税を抑えることができ、償却期間の途中で売却しても損になってしまうわけではありません。
〈関連コラム〉
Q 年度の途中でリノベーションが完了した場合どのような計算になりますか?
完了した月から12月までの月割り計算となります
リノベーションの減価償却は、「事業の用に供した(入居可能な状態になった)」月から開始されます。
例えば、10月に工事が完了して募集を開始した場合、その年に経費計上にできるのは10・11・12月の3ヶ月分となります。









