公開日:2025-11-19
中古リノベもフラット35が使える!ローンを一本化する条件・デメリット・物件選びをプロが解説

「フラット35を使ってリノベがしたい」「中古住宅の購入費とリノベ費用を一本化したい」 こうした資金計画は、リノベーションを考える上で多くの方が悩まれるポイントです。
物件購入費とリノベーション費用を別々にローンで組むと手続きが複雑で金利も高くなりがちですが、その悩みを解決する有力な選択肢が【フラット35】リノベ(リフォーム一体タイプ)です。
この記事では、【フラット35】をリノベーションに活用するメリット・デメリットや利用条件、さらに35年という長期ローンを見据えた「リノベ向き物件」の選び方を、プロの視点でわかりやすく解説します。
- ・中古リノベで【フラット35】を使うための条件や、メリット・デメリットを解説します。
- ・35年の長期ローンだからこそ考えたい、「リノベ向き物件」選びのポイントがわかります。
- ・【フラット35】の利用には、物件探しから施工までスムーズに進められるワンストップリノベーションがおすすめです。
目次
■そもそも【フラット35】とは?リノベーションにも使える?

まずは【フラット35】の基本と、リノベーションへの活用可否について押さえておきましょう。
全期間固定金利の住宅ローン【フラット35】の基本
【フラット35】は、住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して提供している住宅ローンです。
最大の特長は、借入時から返済終了まで金利が変わらない「全期間固定金利」であること。
最長35年(※条件により異なります)という長期の返済でも、将来の金利上昇を心配することなく、安定した返済計画を立てられるのが魅力です。
結論:中古住宅購入+リノベーション費用に使える
【フラット35】は新築のイメージが強いかもしれませんが、もちろん中古住宅の購入にも利用できます。
さらに重要な点として、中古住宅の購入費用とリノベーション費用をまとめて【フラット35】リノベで借り入れることが可能です。
〈参考〉
住宅金融支援機構【フラット35】ホームページ|【フラット35】リノベ
■【フラット35】リノベのメリット・デメリット

【フラット35】リノベの利用には、リフォーム済物件を買う「買取再販タイプ」と、中古住宅の購入後にリノベーションを行う「リフォーム一体タイプ」があります。
ここでは、SHUKEN Reがお客様と進めることの多い「リフォーム一体タイプ」に焦点を当て、そのメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。
【フラット35】リノベを利用する主なメリット
<メリット1:リノベ費用も低金利・長期固定で借りられる>
通常、リフォーム単体のローンは、住宅ローンに比べて金利が高く、返済期間も短めに設定されがちです。
「リフォーム一体タイプ」なら、高額になりがちなリノベーション費用も、住宅購入費用と同じ低金利(かつ全期間固定)で、最長35年かけて返済計画を立てられます。
<メリット2:住宅ローン控除や諸費用も一本化できる>
ローンを一本化することで、物件価格とリノベーション費用の合計額が「住宅ローン控除(減税)」の対象となります。
また、ローン契約が1本で済むため、契約時の事務手数料や印紙代といった諸費用、手続きの手間を最小限に抑えられるのも大きなメリットです。
【フラット35】リノベを利用する主なデメリット・注意点
<デメリット1:物件・工事に「技術基準」の要件がある>
【フラット35】リノベを利用するには、購入する物件が住宅金融支援機構の定める「技術基準」に適合している必要があります。
また、リノベーション工事の内容にも、省エネ性や耐震性の向上など、一定の性能向上を含む要件が定められています。
<デメリット2:融資実行までに時間がかかる場合がある>
【フラット35】リノベは、物件が基準に適合しているかを検査する手続きなどが必要なため、一般的な民間の変動金利ローンと比べて審査・手続きに時間がかかる傾向があります。
物件の決済(引き渡し)希望日までに間に合うよう、早めに相談を開始することが重要です。
<デメリット3:「つなぎ融資」が別途必要で、金利・手数料がかかる>
【フラット35】リノベの融資実行は、リノベーション工事完了後です。
しかし、実際には「中古物件の購入代金」や「リノベーションの着工金」を先に支払う必要があります。
このタイムラグを埋めるために「つなぎ融資」を利用するのが一般的ですが、これは【フラット35】リノベ本体のローンとは別物です。
つなぎ融資は本体ローンよりも金利が割高になるほか、別途事務手数料や印紙代が発生するため、総諸費用が膨らむ点に注意が必要です。
重要!【フラット35】と住宅ローン控除の「面積要件」の違いに注意
【フラット35】の面積要件はマンションの場合「30㎡以上」ですが、住宅ローン控除の面積要件は原則「50㎡以上」(※合計所得金額1,000万円以下の場合は40㎡以上)です。
そのため、例えば45㎡の中古マンションを購入してリノベーションする場合、【フラット35】リノベのローンは組めますが、住宅ローン控除は対象外となる可能性があります。
コンパクトマンションを検討する際は、この違いに十分ご注意ください。
■【フラット35】リノベの利用条件とリノベ向き物件の選び方

【フラット35】リノベを利用するには、クリアすべき条件があります。
ここでは、その具体的な条件と、ローンを組む上で重要になる「リノベ向き物件の選び方」について解説します。
【2025年4月制度改正】リフォーム工事費の金額要件が撤廃されました
従来、【フラット35】リノベの利用には「リフォーム工事費が200万円以上」といった金額要件がありましたが、2025年4月の制度改正によりこの金額要件が撤廃されました。
これにより、小規模なリノベーションであっても、物件購入費とまとめてローンを組みやすくなりました。
ただし、金利優遇(金利Aプラン・Bプラン)を受けるための「性能向上工事」(省エネ、耐震など)は引き続き必要です。
【フラット35】リノベ利用の条件|「技術基準」を満たすことを示す適合証明書が必要
【フラット35】リノベを利用するための条件は、住宅金融支援機構が定める「技術基準」を満たしていることです。
その証明として「適合証明書」が必要となり、これは築年数の一律な制限ではなく、現行の基準を満たしているかが問われます。
技術基準には多くの項目がありますが、中古住宅の場合、主に以下のような点がチェックされます。
- ・耐震性: 建築確認日が昭和56年6月1日以降であること。(新耐震基準)
(※旧耐震でも耐震評価基準を満たす、または耐震改修工事を行う場合は利用可) - ・劣化状態: 基礎や柱、壁などに著しい劣化がないこと。
- ・住宅の規格: キッチン、トイレ、浴室などがあり、独立した生活ができること。
- ・接道など: 建築基準法上の道路に接していること。
- ・住宅の規模:戸建て70㎡以上、マンション30㎡以上であること。
もし購入検討中の物件が現状で基準を満たしていなくても、「リノベーション工事によって基準を満たす」という計画で申請し、工事完了後に検査を受ける方法もあります。
〈参考〉
住宅金融支援機構【フラット35】ホームページ|中古住宅の技術基準の概要
「35年ローン」で考えるリノベ向き物件の選び方
近年は新築で40年・50年ローンも登場するなど、【フラット35】の「35年」を含め、住宅ローンを長期間で組むのが一般的になりました。
だからこそ、「ローン完済時に価値がゼロだった」という事態を避けるためにも、以下の3つのポイントを意識して「リノベ向き物件」を選ぶことが大切です。
- 1. 建物の構造(ラーメン構造など自由度が高いか)
- 2. 管理状態(管理組合の活動、修繕履歴、積立金)
- 3. 立地(将来的な需要が見込めるか)
特にマンションの場合、専有部(室内)はリノベーションで一新できますが、建物全体(共用部)の管理状態は変えられません。
将来にわたって適切に維持管理されていく見込みがあるかを、厳しくチェックする必要があります。
〈関連記事〉
リノベーションで成功する物件探しのコツ|中古物件選びで知りたいポイントと実例
■相談から融資実行までの流れ

ここでは、【フラット35】リノベを利用する際の、相談から融資実行までの具体的な流れを解説します。
物件探し・リノベーション設計・ローン手続きを同時並行で進める必要があるため、これらすべてをスムーズに行えるワンストップリノベーションがおすすめです。
Step1:資金計画、リノベーション会社への相談
まずは「総予算はいくらか」「フラット35が利用できそうか」を相談します。
物件探しとリノベーションをまとめて相談できる会社が理想です。
Step2:物件探しとリノベプランの確定、借入申込み
物件に目星をつけながら、リノベーションの概算プランと見積もりを作成し、ローンの借入申込みを行います。
Step3:事前確認の手続き、物件契約、工事着手
審査が通ったら、物件の売買契約と【フラット35】の本申込みを進めます。
この段階で、リフォーム工事によって技術基準を満たす計画であることを確認する「事前確認」の手続き(適合証明機関への申請など)も並行して行います。
物件の決済・引き渡しを受け、リノベーション工事に着手します。
(※中古住宅の代金決済や工事費の支払いは、本融資実行前となるため、一般的に「つなぎ融資」等の利用が必要となります。取扱金融機関にご相談ください。)
Step4:リフォーム工事完了後、適合証明検査、契約、本融資実行
リノベーション工事が完了し、検査を受けると「適合証明書」が発行されます。
その後、取扱金融機関と借入れの契約を結び、【フラット35】(本融資)が実行されます。
(「つなぎ融資」を利用した場合は、この融資金で返済します。)
〈参考〉
住宅金融支援機構【フラット35】ホームページ|【フラット35】 リノベ(中古住宅購入+リフォーム)融資手続
〈関連記事〉
ワンストップリノベーションとは?会社選びをメリット・デメリット比較で徹底解説!
■リノベーションと【フラット35】 に関するQ&A

最後に、お客様からよく寄せられる質問をQ&A形式でまとめました。
Q. 築年数が古くても【フラット35】は使えますか?
A. はい、技術基準を満たせば利用可能です。
ただし、建築確認日が昭和56年5月31日以前の住宅の場合、住宅金融支援機構が定める耐震評価基準に適合している必要があります。
Q. リノベーションの工事内容に制限はありますか?
A. はい、省エネ性や耐震性向上など、住宅の性能を上げる工事を1つ以上含む必要があります。
性能向上工事と併せて行う、間取り変更や内装の一新などもローン対象になります。
Q. 「適合証明書」はいつ取得しますか?
A. リフォーム工事前の事前確認、リフォーム工事後の確認の2回の検査が必要です。
リノベーション会社を通じて、物件契約前や工事完了後など適切なタイミングで手配するのが一般的です。
Q. リノベーション費用はいつ支払いますか?
A. 一般的に【フラット35】リノベの融資は、リフォーム工事完了後になります。
中古住宅の代金決済やリフォーム工事費の分割払いの際に、つなぎ融資(取扱金融機関等のローン)が必要な場合は、取扱金融機関に相談しましょう。
■まとめ:【フラット35】を賢く使って、資産価値の続くリノベーションを
【フラット35】リノベ(リフォーム一体タイプ)は、中古住宅の購入とリノベーションを考えている方にとって、金利や手続きの面で非常にメリットの大きいローンです。
ただし、利用には専門的な「技術基準」のクリアが必要であり、35年という長期返済を見据えた「資産価値の続く物件選び」も重要になります。
物件探し、リノベーションプラン、複雑なローン手続きのすべてを熟知したパートナー選びが、リノベーション成功の鍵を握っています。
SHUKEN Reでは、資金計画やローン選び、物件探しからワンストップでサポートしておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。
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