公開日:2025-02-12
実家処分はどうする?売却の流れや費用・手続きのポイントを詳しく解説
親が亡くなった時、実家の処分をどうすればいいかお悩みではありませんか?
実家を空き家のまま放置していると、維持費・管理費がかかったり、資産価値が低下したりするデメリットがあります。
今回は、思い出が詰まった大切な実家だからこそ、後悔のない方法で手放したい方向けに、売却の流れや事前準備について詳しく解説します。
一般的に、時間がかかる実家処分を効率的に進めるための成功ポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
- ・実家の処分は売却以外に、譲渡や賃貸などがあり、目的や長期的なプランをもとに条件をすり合わせ、後悔のない方法を選ぶことが大切です。
- ・実家を売却する際は、相続関係の手続きや不動産会社の選定、必要書類の準備などが必要になるため、時間に余裕をもって進めましょう。
- ・遺言書や特別控除の確認、売却が難しい物件の対応など、法律や税金の専門知識が必要な場合は、プロに相談するのがおすすめです。
■実家をどう処分する?売却前に知っておきたい基礎知識
実家マンションのリノベーション事例を見る:Case194「Find my origin」
実家を処分する方法として、まず売却すべきかどうかを検討される方が多いです。
売却を選ぶ場合、一般的に以下の手段で実家を売りに出します。
- ・不動産会社の仲介による買主探し
- ・不動産会社による買取り
- ・空き家バンクを利用した買主探し
- ・実家を解体して更地(土地)を売却
実家の処分には、他にどんな方法があるのでしょうか。
実家は売却以外にどんな処分方法がある?
実家を売却せずに処分する場合、代表的なものに「家族や親族に譲渡する方法」や「賃貸として貸し出す方法」が挙げられます。
「実家を家族や親族に譲渡する」
思い出が詰まった実家を家族や親しい親族に住み継いでもらう方法です。
まだ使える家具・家電ごと実家の譲渡が可能なため、余計な廃棄物が出ない点も大きなメリットです。
信頼できる相手に大切な実家を託せる一方、贈与税などの税金が発生する可能性もあるため、事前に税理士や税務署に相談しておくことをおすすめします。
「実家を賃貸として貸し出す」
実家を所有したまま賃貸物件として貸し出す場合、固定資産税の負担軽減や定期的な家賃収入が見込めます。
例えば「実家を残したい」「実家の立地がいい」「実家が長期的な収入源になり得る」などの条件がある場合は、賃貸もおすすめです。
ただし、借主が見つからないリスクが高い場合や、運用や入居者対応、物件管理の手間、メンテナンス費用などがかかる点にも注意が必要です。
実家の処分が必要になる主な理由
実家の処分が必要になる理由として、建物を放置した場合に起こりうる以下のようなデメリットが挙げられます。
- ・特定空き家に指定される
- ・建物の維持費や管理費がかかる
- ・実家の資産価値が下がる
- ・近隣住民に迷惑がかかる可能性がある
- ・上記に関する心理的な負担も大きい など
実家の相続後は、固定資産税や維持費・管理費などが発生するため、住み継ぐ予定がない場合は特に、これらがご家族にとって大きな負担となります。
また、空き家は放置したままにしていると老朽化が進み、資産価値が低下するのはもちろん、ご近所トラブルや害獣被害の原因にもなりかねません。
建物の築年数や立地によっては、実家活用が難しい場合もあるため、早めに処分などの対応を検討しておくことが大切です。
実家売却のタイミングと判断基準
実家を売却する際は、売却のための準備から完了までの流れを把握した上で、不動産が高く売れるタイミングを判断して売るのが理想的です。
空き家としての時間が経過し過ぎない程度に、社会情勢や土地の値動きを観察して、専門知識を持つ不動産会社のサポートも受けながら、低リスクな売却スケジュールを検討していきましょう。
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■実家を売却するための準備と手続きの流れ
実家処分をスムーズに進めるためには、売却に必要な書類を早めに用意しておくことが大切です。
以下8つの基本的な手続きの流れを確認しながら、それぞれのステップで注意すべきポイントを押さえておきましょう。
① 実家売却の準備 |
② 不動産会社の決定 |
③ 売却に必要な書類集め |
④ 不動産会社に売却を依頼 |
⑤ 不動産会社による販売活動 |
⑥ 買主と売買契約書のとり交わし |
⑦ 物件の引き渡し |
⑧ 確定申告の完了 |
①実家売却の準備
処分する実家の相続が発生した場合、まずは遺言書や分割方針について確認します。
その後、名義変更の手続きや住宅ローン残高のチェックなど、不動産会社に実家の売却を相談する前に進めておくとスムーズな確認事項を紹介します。
1.遺言書の確認や名義変更
相続が発生したら、まず生前に被相続人が遺産の分割方法などを記した「遺言書」があるかどうかを確認します。
なお遺言書は、法的な要件を満たした「公正証書遺言」で作成されていることが重要です。
(参考):法務省「公証制度について」
また相続人が明確でないと、後で大きなトラブルにつながる可能性があるため、遺言書がない場合は、相続人全員で「遺産分割協議」を開き、合意の上で遺産を分けます。
さらに、不動産を相続した場合には「名義変更」*が必要で、相続した実家を処分する際は、物件を管轄する法務局にて手続きを行わなければいけません。
*2024年4月から、不動産を相続により取得した相続人は「所有権を取得したことを知った日から、3年以内に名義変更登記を申請すること」が義務化されています。
2.住宅ローン残高をチェック
仮に実家の住宅ローンが残っていた場合、原則として相続人が融資残高の返済を引き継ぐことになります。
ただし、住宅ローンの契約時に「団体信用生命保険」に加入している場合、加入者が返済中に亡くなるなどした時は、保険金により残高が弁済されます。
3.隣家との境界や確定測量図の確認
実家の敷地面積を明確にしておくことも不動産売却時の価格決定の際に重要です。
なお測量図面は、現在の最新測量機器による正確な面積とは差異が出る可能性があるため、土地を売却する場合は、実測面積による「実測売買」が理想的です。
実測売買に必要な「確定測量図」作成のために、隣家所有者の立ち合いによる同意上の境界を確定し、改めて境界標を設置するため、打ち合わせなどに時間がかかる可能性も想定しておきましょう。
4.売買契約書で購入額を知る
土地や建物の購入額がわかる「土地の購入契約書」や「請負契約書」の有無により、売却利益に課税される「譲渡所得税」の額に大きな差が出る可能性があります。
課税所得税の計算において、取得費の金額が大きいほど課税額はおさえられます。
この際、実額法と概算法のどちらか高い方の金額が計算式に用いられますが、実額法を適用するためには、土地や建物の購入額がわかる書類が必要です。
5.遺品整理・仏壇の移動などを含む家の整理
実家を売却する際は、遺品の整理や不用品の処分を完了しておく必要があります。
建物の老朽化などによる解体が必要な場合も、通帳・保険証券・登記済権利証・建築確認済書等の相続財産に関する重要な書類や貴重品、思い出の品などを別に保管しておきましょう。
また、実家に仏壇や神棚がある場合は、適切な方法で法要や返納を行います。
②不動産会社の決定
実家を売却する際は、まず地元の不動産会社に査定を依頼して、地域の相場をご自身でも把握しておきましょう。
遠方に住んでいる場合は、ネットの一括査定サービスで、複数の業者からの査定結果を比較するのもおすすめです。
東京・千葉・神奈川で、まわりの住人や知人に実家の売却活動を知られたくない場合や、スピーディーな換金を希望される場合は、買取専門会社への相談をおすすめします。
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不動産会社を選ぶ際は、査定価格だけでなく事業内容や実績、信頼度を見極めることが大切です。
③売却に必要な書類集め
売却を依頼する不動産会社に提出する書類をあらかじめ準備しておくことで、手続きがスムーズに進められます。
- ・本人確認書類
- ・印鑑証明書
- ・登記済権利証
- ・建築確認済証・検査済証
- ・物件の間取り図
- ・土地測量図・境界確認書
- ・耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書など
- ・固定資産税等の納税通知書
- ・管理規約(マンションの場合)
- ・重要事項に関する調査報告書(マンションの場合)
④不動産会社に売却を依頼
売却を依頼する不動産会社が決まれば、正式に「媒介契約」を結びます。
この媒介契約には、「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があり、それぞれ以下のように特徴が異なります。
- ・専属専任媒介契約:1社のみに売却を依頼する契約で、買い手が早く見つかる傾向。販売状況の報告義務が1週間に1回以上。
- ・専任媒介契約:1社のみに売却を依頼する契約で、売主が直接買主と契約できる。販売状況の報告義務は2週間に1回以上。
- ・一般媒介契約:複数の不動産会社に売却を依頼できる契約で、売主が直接買主と契約できる。複数社とのやり取りになるため、スケジュール調整などの手間がかかる傾向。
「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」には、契約不動産会社に該当物件をレインズ*に登録する義務があるため、積極的な販売活動が行われます。
*レインズとは、国土交通省が不動産の円滑な取引を目的に、指定する不動産流通機構が運営する不動産会社限定の会員制ネットワークシステム。
一方、「一般媒介契約」にはレインズの登録義務がないため、複数の不動産会社に依頼できるメリットと、販売活動の積極性に差が出る可能性のバランスを見極める必要があります。
⑤不動産会社による販売活動
「媒介契約」を結んだ不動産会社は、以下のような販売方法で購入希望者を求めます。
- ・レインズの登録
- ・自社のホームページやポータルサイトに物件を掲載
- ・新聞の折り込みチラシやポスティングによる広告宣伝
- ・買取業者を含む既存顧客への宣伝
- ・オープンハウスなどの開催
- ・オークション形式の販売
SHUKEN Reの売却・買取システム「HOME PASS」では、直接買取り&早く確実な売却を実現させるため、「媒介契約」の時間や手間も不要になります。
⑥買主と売買契約書のとり交わし
購入希望者が見つかると、売主と買主の間で、売却価格や引き渡し条件、支払いスケジュールなどの合意をとり、媒介する不動産会社が「売買契約書」を作成します。
契約書には違約金やキャンセル時の条件などを含む重要事項が記載されているため、トラブル防止のために内容をしっかり理解しておきましょう。
⑦物件の引き渡し
売買契約が成立した後は、物件の引き渡し準備に進みます。
引き渡し日には、鍵の受け渡しや売却代金の残金支払いが行われます。
また、売主から買主へ所有権移転のための手続きも行われるため、以下のような書類等が必要です。
- ・本人確認書類
- ・印鑑証明書(住民票)・実印
- ・土地や建物の登記済権利証
- ・抵当権抹消書類(住宅ローンなどで抵当権が設定されている場合)
- ・確定測量成果品一式
- ・建築確認済書・検査済証など
- ・鍵
- ・付帯設備の取り扱い説明書など
⑧確定申告の完了
実家の売却により譲渡所得が発生した場合は、翌年の2月16日~3月15日までの間に確定申告を忘れずに完了させましょう。
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■実家売却を成功させるためのポイントと注意点
最後に、実家の処分をスムーズに進めるための成功ポイントも押さえておきましょう。
遺言書がない場合の分割方針について
遺言書がない場合、法定相続分に従って遺産分割協議を行う必要があります。
この際、相続人全員が協議に参加し、全員の合意が得られる形で分割案を決定します。
不動産の分割においては、売却後の現金化や共有名義にするのが一般的ですが、売却や今後の管理に関するトラブルが起こらないよう、専門家を交えた話し合いを検討しておきましょう。
売却が難しい物件はどうすべき?
築年数の経った実家や立地条件が悪い場合、売却がスムーズに進まないケースも考えられます。
相続放棄や相続土地国庫帰属制度を選択する方法もありますが、期限や厳しい条件があるのもデメリットです。
この場合、リノベーションにより物件価値を高める方法がおすすめです。
リノベーションには改修工事費用がかかりますが、現代的な内装や最新設備を取り入れた住まいの魅力がアピールできるため、高値で売却できる可能性が高まります。
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税金の優遇制度や空き家特例を活用
相続で取得した実家を売却する際は、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」や「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」が利用できる可能性があります。
「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」:
相続税を納めた上で、相続税申告の翌日から3年以内に実家を売却すると、納めた相続税の一部が譲渡収入金額から差し引かれます。
「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」:
相続により取得した実家を2027年12月31日までに、一定の要件を満たして売却した場合、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除されます。
他にも、近年増加傾向にある空き家対策の一環として、各自治体が独自に、家具の処分や搬出にかかる費用の一部を補助する制度を設けている場合があります。
実家(空き家)の売却をご検討の際は、自治体のホームページや窓口で条件に合う優遇制度や特例がないかチェックしてみましょう。
家族間の話し合いで合意形成を図る
実家の処分を検討する際は、家族全員が納得する形で手続きを進めることが大切です。
特に相続が絡む場合は、相続人全員の意見や実家への思い入れを考慮しながら、専門家を交えた冷静な話し合いで、円満な合意形成を図りましょう。
また将来的なトラブルを避けるために、話し合いや手続きの流れを文書化しておくのもおすすめです。
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■まとめ
実家の処分は、ご家族の気持ちの整理にかかる時間や相続トラブル回避のための労力が必要になるため、スムーズな準備や手続きを進めるためにも専門家のサポートが大切です。
また、譲渡所得の優遇制度や空き家特例をうまく活用するためにも、できるだけ早い段階から専門家に相談しておくのがおすすめです。
SHUKEN Reでは、ご家族の大切な実家を直接買取り、スピーディーな売却を実現させる体制を整えています。
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